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沖縄県医師会医学会賞(研修医部門)の設立について

田名毅

沖縄県医師会医学会副会長・研修医医学賞選考委員会委員
田名 毅(首里城下町クリニック第一)

(設立の経緯)

沖縄県は琉球大学医学部医学科が開設される 以前から、研修医を養成し地域医療を担う人材 を育てる役割を沖縄県立中部病院が担ってき た。ハワイ大学との提携によるアメリカ式医学 教育は救急医療、総合内科をはじめとする診療 能力が養われるシステムとして全国から高い評 価を受けてきた。その後琉球大学医学部におけ る医師養成が開始されてからは、多くの人材の 交流の基に沖縄県立中部病院が従来行ってきた 研修と琉球大学における医学教育の新しい融合 も進んだ。このような背景から各研修指定病院 には熱心な指導医が多く、新研修システムが導 入されて以降も沖縄には全国から多くの研修医 が初期研修、後期研修を受けに訪れてきてい る。しかし、図1 にみるように平成18 年の149 名をピークに徐々にではあるが研修医数に減少 傾向がみられる。全国の地方都市、大学におい て研修医をそれぞれの地域に残そうとする取り 組みが増えていることが一因として考えられ る。研修指定病院の指導医は現場において、こ の傾向を敏感に感じ危機感をもっている。

図1

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今回、浦添総合病院の金城俊一先生をはじめ とする呼吸器同好会に所属する指導医の先生方 から、沖縄県における研修医教育システムをより魅力あるものにすることを目的に表題の賞の 設立の提案があった。本件は6 月7 日開催の県 医師会理事会、6 月12 日開催の県医学会分科 会長会議にて了承され、今回設立に至った。

(選考委員会の構成)

2 回の準備員会を経て以下のメンバーを決定 した(表1)。発案の原動力になった呼吸器同 好会所属の指導医の先生方、分科会推薦の先生 方、そして医学会役員による構成とさせて頂い た。選考委員長には長年、県立中部病院、群星 研修群において研修医教育に携わってこられた 宮城征四郎先生に就任頂いた。今年度末の分科 会長会議で審議頂くが、現時点では2 年の任期 を考えている。尚、その後の選考委員の決定方 法については、臨床研修病院長等会議、医学会 幹事会、分科会長会議などにおいて意見をお聞 きする予定である。

表1 研修医医学賞選考委員

表1

(選考規約)

第一回の選考委員会による話し合いの結果、以 下を提案する。

総則

1.沖縄県医師会医学会に学会賞をもうけ、こ れを沖縄県医師会医学会賞(研修医部門)と 名付ける。

2.本賞は、沖縄県医師会医学会総会において、 優れた研究業績を発表した初期研修2 年目で 且つ、日常の研修活動において顕著な成績を 納めた者に対して、選考の上、研修医歓迎レ セプション等において授与する。

3.記念品は「楯」とし、賞金を最優秀賞10 万 円、優秀賞(2 名)5 万円とする。

4.授与された演題は、沖縄県医師会ホームペ ージ、沖縄県医師会報、沖縄医学会雑誌記録 集に掲載する。

5.ただし、他学会に既に発表した内容、もし くはその予定のある場合は当賞へのエントリ ーは認めない。

選考

6.受賞対象者は、発表演題登録時に初期研修 2 年目であること。

7.受賞候補者については、沖縄県医師会医学会 総会一般演題発表者で、所属病院長より推薦いただく。推薦は1 病院最大2 名までとする。

8.選考は、沖縄県医師会医学会賞選考委員会 で行い決定する。

9.選考委員は、自院の演題は採点しない。

10.選考に関する事務は沖縄県医師会事務局 において行う。

本規約の改正

11.本規約に不都合が生じた場合には沖縄県 医師会医学会幹事会、分科会長会議において 審議、検討し、その改正には理事会の承認を 得るものとする。

附則

本規約は2011 年(平成23 年)8 月1 日より 施行する。

(選考方法)

選考委員は事前に抄録を十分熟読した上で、 医学会総会当日に全演題の発表を聞いた上で採 点する。

(1)採点に関する内規:

1)選考委員は医学会賞(研修医部門)のセッションにエントリーされた演題に基づき採点する。但し、自院の演題の採点は行わない。

2)各選考委員の点数の平均値に基づき決定する。

3)点数が同点もしくは近似値になった場合は、選考委員長に一任する。

(2)採点における評価方法(表2)

表2 採点表

表2

(研修指定病院への協力依頼)

今回の医学会賞(研修医部門)の認知度を高 め、より意義深いものとし、設立の目的を果た すためには、各研修指定病院の協力が不可欠で ある。8 月1 日に開催された臨床研修病院長等 会議でも本件について周知させて頂いたが、是 非各病院内で指導医、研修医に周知をお願いし たい。各病院で選考を行うこと自体が、指導医 の研修医教育に対するモチベーションの向上に 繋がることが期待できるという意見が、選考委 員会でも出ていた。多くの医学会参加者が本賞 のセッションに参加できるようなプログラム構 成を現在検討しているので、開催日が12 月11 日と日曜日ではあるが一人でも多くの先生方の 参加をお願いしたい。

※ 12 月11 日開催される第113 回沖縄県医師 会医学会総会におきましては、特別講演 として東北大学病院長里見進先生の東日 本大震災関連のご講演を予定しておりま す。会員の皆様、当日は午前中から一人 でも多くの参加をお待ちしております。