理事 金城 忠雄
平成23 年7 月9 日(土)・10 日(日)の2 日間に亘り、佐賀県医師会主催によりマリトピ アにおいて、約700 名が参加し、みだし協議会 が開催された。
9 日の第1 日目は、各部門管理者会、分科会 司会・演者・座長打合会が行われた後、3 分科 会が開催され、「第1 分科会:医師会病院部門」、 「第2 分科会:検査・検診部門」、「第3 分科会:高 齢社会事業部門」に分かれて、発表・討論が行 われた。
私が参加した第2 分科会の「検査・検診部 門」では、4 医師会より発表があった。
また、10 日の第2 日目は、葉梨日本医師会 常任理事より「今後の医師会共同利用施設のあ り方」について、佐賀県立九州陶磁文化館長の 鈴田由起夫先生より「九州のやきもの文化」と 題して講演が行われた。第2 分科会並びに講演 の概要については、以下のとおり。
第2 分科会「検査・検診部門」
島原市医師会では、特定健診は平成20 年度より島原市国保の委託を受け、島原市国保及び 後期高齢者を対象に会員医療機関による個別健 診と各地区公民館等を巡回して行う集団健診に て実施している。平成2 0 年度から3 年間、 様々な取り組みを実施しているが、受診率アッ プにはつながらない。この協議会を機会に各郡 市医師会の受診率アップへの取り組みについ て、又、島原市国保加入者で特定健診未受診者 を対象に特定健診に関するアンケートを実施し た。今回、そのアンケート内容や受診率向上の ために取り組んだ3 年間の報告があった。
また、医療機関で定期的に受診しているの で、特定健診は受けないという受診者に、年1 回は特定健診を受けていただくよう、特定健診 への参加方法などを検討する必要があること等 今後の課題や、特定健診事業を医師会が実施す る場合、手数料等が医師会に入り、事業として 十分に成り立つことの説明があった。
北九州市小倉医師会では、北九州市国保保険者で集団健診および個別医療機関からの保健指 導依頼者の合計1,343 名(男性787 名、女性 556 名、平均年齢64.6 歳)を対象とし、小倉 医師会健診センターで保健指導を実施後、6 ヶ 月の体重変化および次年度の特定健診を受けた 同一対象者665 名(男性348 名、女性281 名) の諸指標変化を検討した。又、減量群(-1 s 以上)、無変化群(± 1 s)、増加群(+1 s以 上)に分けて解析を行った。
その結果、保健指導6 ヶ月後、動機づけ支援 (996 名)はそれぞれ53.2 %、34.7 %、12.2 %、 積極的支援(347 名)は60.8 %、25.4 %、 13.8 %の体重変化を示し半数以上は減量に成 功した。さらに次年度の特定健診を受診した同 一対象者665 名の全体評価では、体重1.5 s、 腹囲1.9 pの有意な減少を認めた。結論として は、保健指導後、受診者全体では体重・腹囲の 有意な減少を認められ、さらに体重・腹囲減少 群では血圧下降、脂質代謝の有意な改善、一方 増加群では血圧上昇、糖代謝(HbA1c 値上昇) の悪化を認め、特定保健指導による体重、腹囲 減少効果は生活習慣病発症抑制に有効と思われ るとして発表があった。
また、北九州市が今年度より取り組んでいる CKD(慢性腎臓病)対策についての報告も行 われた。
熊本市医師会では、従来大腸がん検診は集団 検診でのみ実施していた。平成22 年度から特 定健診との同時実施という形で大腸がん個別検 診を導入し1 年が経過したので、実績を検証し た。その結果、平成20 年度の集団検診受診者 数は3,771 名、平成21 年度の集団検診受診者 数は3,620 名であったが、平成22 年度は集団 検診受診者数は3,146 名、個別検診受診者数は 8,039 名で合計11,185 名となった。従来の集 団検診のみに比べ、受診率は格段にアップし た。初回受診者の掘り起こし(個別検診の 88.7 %(7,134 名)は初回受診者であった)や、がん発見数(個別検診で28 名、集団検診 で5 名の発見)等で大きな成果が見られた。今 後の課題は、平成23 年度も実施予定の大腸が ん個別検診の方法や改善について。又、がん検 診の受診率アップに、個別検診は相当な効果が 見込めるため、現在集団検診で実施している胃 がん、肺がん検診についても個別検診体制を構 築する必要があるが、画像処理や読影等の問題 があるため慎重に進める必要があるとして発表 があった。
北部地区医師会では、メタボリックシンドロ ームの生活習慣改善への早期介入を目的に、平 成18 年度より今帰仁村を皮切りに国頭村、名 護市、本部町、東村の順に、5 つの市町村と 「二次検診業務委託契約」を取り交わし、市町 村が指定した方を対象者として、「頸動脈エコ ー」、「糖負荷試験」、「尿中アルブミン検査」を 取り入れた二次検診を実施している。又、診断 結果を受け取った市町村保健師等により、食事 指導や医療機関への受診勧奨が実施されるなど の取り組みが行われている。
特定健診、二次検診の結果から、HbA1c が 5.2 %でも50 %近くに耐糖能異常がみられ、動 脈硬化も早期から発症しており、この取り組み は患者指導においては有用であると考えられた として、今回、本検診事業の概要と二次検診受 診者に対するフォローアップの取り組み等につ いて発表があった。
講 演
葉梨日本医師会常任理事より、先ず、東日本 大震災における日本医師会の主な活動について 報告があった。
1)災害医療チーム「JMAT」の派遣
全国から、1,300 チーム以上を被災4 県(岩 手・宮城・福島・茨城)に派遣した。又、JMAT とは別に、検案担当医の派遣に協力した。
2)医薬品の搬送
アメリカ軍、自衛隊、警察、製薬団体等との 連携を行った。
3)被災者健康支援連絡協議会の結成
関係団体、内閣府、厚労省、文科省、総務省 などで構成し、情報の共有、被災地の医療ニー ズへの対応などを行った。
4)被災地の医療再生のため、国との折衝
被災地の医療機関の再建(建替え、修繕、医 療機器の購入など)のため、補助金、公的融 資、優遇税制について折衝を行うとともに、被 災地の医療従事者(医師、看護職員、技師、リ ハビリ担当者、事務職員など)の雇用の維持に ついて折衝を行った。
日本医師会災害医療チーム「JMAT」は、医 師1 名、看護職員2 名、事務職員1 名等の構成 で、被災地病院、診療所の日常診療への支援を 行い、避難所、救護所における医療を行った。 6 月27 日現在のJMAT 登録状況は、1,349 チ ーム(派遣中・派遣済み1,328 チーム、派遣に 向けて準備中21 チーム)で、6,022 名(医師 2,147 ・看護職員1,770 ・薬剤師460 ・事務 1,145 ・その他500)が参加している。
又、6 月1 日現在のJMAT 参加医師会病院 (暫定版)は15 病院である。次に医師会共同利用施設に関する事項につい て、次のとおり説明があった。
次に医師会共同利用施設に関する事項につい て、次のとおり説明があった。
<平成22 ・23 年度医師会共同利用施設検討委員会について>
委員会では、会長諮問「地域社会に貢献する 医師会共同利用施設の今後の方向性について− 医療と介護の連携を見据えて−」について検討 を行っており、今期の主な議題は、公益法人制 度改革への対応、医師会病院における公的医療 機関への位置づけ、地域医療支援病院の位置づ け、介護や在宅医療について、医師会共同利用 施設の理念、総会(今年9 月・山形市にて開 催)に向けた検討等を行うことにしている。
<第24 回全国医師会共同利用施設総会について>
平成23 年9 月3 日(土)・4 日(日)山形市 おいて開催し、第1 分科会(医師会病院関係)、 第2 分科会(検査・健診センター関係)、第3 分科会(介護保険関連施設関係)の3 つの分科 会に分けて行う予定であり、是非参加いただき たい。
<新公益法人制度について>
現在、公益社団法人に移行した郡市区医師会 は、北海道の函館市医師会と東京都の調布市医 師会の2 医師会である。又、一般社団法人であ る移行法人は15 医師会となっている。平成25 年11 月30 日までに移行する必要があり、対応 を迫られている。
<都城市郡医師会病院の移転について>
都城市郡医師会病院は、医療計画で、脳卒 中・急性心筋梗塞・救急医療・小児医療の各 分野の「急性期を担う中核的な医療機関」等に 位置づけられている。3 つの施設を中心に昭和 60 年より24 時間365 日切れ目のない救急医療 体制が構築されている。
又、都城北諸県医療圏の夜間救急搬送の 46 %は都城救急医療センターに搬送されてお り、重篤な患者については3 つの施設の連携で 治療チームが編成されている。地域完結型の医 療体制が構築されている。
移転前の課題として、各施設は昭和60 年に 開設されて以来25 年もの間、24 時間365 日無 休で稼働してきた施設であり、全体的に老朽化 が進んできていること。現在の観点からみる と、床面積等施設が狭隘化している上に、増設 を繰り返してきたために効率が落ちてきている こと。又、市内の診療所の無床化が進み、医師 会病院へ紹介入院が増加したことなどから病床稼働率が95 %前後で推移しており、救急で重 篤な患者が搬送されたときにスムーズに入院を 受け入れられない事態も生じている。さらに都 城市の人口の28 %は救急搬送に20 分以上かか るエリアに居住している。
移転計画の事業推進の基本方針は、1)都城市 が土地造成等の整備を行う。2)都城市、三股町 及び都城市北諸県郡医師会が共同で事業を推進 する。3)基本的には現施設と同じ状況で整備を 進める方針とするが、3 施設をより効率的に運 用するために、一体的に、一棟建てにより整備 し、都城市と都城市北諸県郡医師会が各々区分 して施設を所有する「共同整備・区分所有方 式」とする。
移転のメリットして、都北IC や主要国道の そばに移転することで、各医療圏からの交通ア クセスが改善することができる。又、大学から 派遣される医師がアクセスしやすく、医師確保 が期待できる。
なお、都城市郡医師会病院の移転についての 詳細は、来る9 月3 日開催の第24 回全国医師 会共同利用施設総会第1 分科会にて発表予定で ある。
<地域医療支援病院の要件について>
日本医師会は、去る5 月19 日、細川厚生労 働大臣へ「2012 年度の診療報酬・介護報酬同 時改定に関する申し入れ」を行った。今回の申 し入れ事項は、4 月24 日に開催された第124 回定例代議員会での議論を踏まえて、執行内部 で検討を行った結果、取りまとめられたもので ある。申し入れ(要請)内容は次の5 つの事項 となっており、現行制度の不合理な点として、 地域医療支援病院の要件等について、早急な見 直しを求めた。
- 1)2012 年度の診療報酬、介護報酬同時改定を見送ること。
- 2)今年度の医療経済実態調査、薬価調査、保険医療材料価格調査を中止すること。
- 3)介護報酬の改定は見送るが、介護保険料の決定のために必要なことは行うこと。
- 4)不合理な診療報酬、介護報酬については、留意事項通知や施設基準要件の見直しなどを行うこと。
- 5)必要な医療制度改革は、別途行うこと。
地域医療支援病院は、1988 年に紹介患者に 対する医療提供などを通じて、地域医療を担う かかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援する 目的で創設された。しかし、2004 年に承認要 件が緩和されて、地域医療支援病院は、大幅に 増加し、現在では330 病院に達しており、国公 立病院が多く承認されている。
地域医療支援病院は、入院初日に地域医療支 援病院入院診療加算1,000 点を算定できる。 DPC 病院の場合には、機能評価係数を付加さ れ、2010 年以降は機能評価係数で0.0327(収 入に3.27 %上乗せされるということ)である。 現在、地域医療支援病院の9 割近くはDPC 病 院であるが、DPC 病院も地域医療支援病院入 院診療加算を算定しているとすれば、地域医療 支援病院に加算されている医療費は、年間100 億円にも達することを問題視し、地域医療支援 病院本来の姿に戻すことを求めた。
<医療法31 条に基づく公的医療機関認定について>
医師会病院は、診療所と病院の連携による地 域医療の拠点であり、極めて公益性の高い医療 機関であることは論を持たない。しかし、「公 的医療機関」には、行政より多額の補助金が出 ているが、地域医療提供体制に多大な貢献を し、同様に公益性の高い医師会病院には補助金 はほとんどない。
なお、医療法31 条に基づき厚生労働大臣が 定めるのは「公的医療機関」自体ではなく、そ の開設者である。そのため、それぞれの地域医 師会を「公的医療機関の開設者」として定める 必要がある。
このような状況で公益法人制度改革を控え、 「公的医療機関の開設者」として、今後厚生労 働大臣告示において医師会病院ではなく「地域 医師会」を医療法第31 条の中でどのように位置づけるかについて、検討が必要である。
なお、それぞれの地域医師会と医師会病院は 固有の事情を抱えており、全ての医師会病院が 公的医療機関となるのを希望するかは不透明で ある。
<特定健診・特定保健指導について>
平成20 年度から実施された特定健診・特定 保健指導については、早急に解決が求められる 様々な課題がある。1)制度についての国民への 周知不足、2)特定健診の低い受診率、3)特定保 健指導のさらに低い実施率、4)健診項目の減少 (従来基本健診で実施されてきた健診項目が実 施できない)、5)特定健診等データの電子化に 関する取扱いの煩雑さと必要経費、6)総合的な 生活習慣病対策の必要性(対象疾患を内臓脂肪 症候群に特化したことの是非)等である。未解 決課題等について検討すべく厚労省「保険者よ る健診・保健指導等に関する検討会」として、 平成23 年度にようやく再開予定である。
(検討会の検討項目)
・特定健診、保健指導の実施方法について
・特定健診の健診項目及び特定保健指導の内容について
・保険者における特定健診、特定保健指導への取組みの評価方法等について
・その他特定健診、保健指導に関連する事項について
(検討事項の進め方)
・被用者保険の被扶養者の国保への委託による対応
・がん検診等との同時実施に向けた対応
・保険者毎に、健診項目をより柔軟に決定するなど、円滑な実施に向けた集合契約のあり方の検討
なお、国保への委託により受診率の向上が図 られる可能性と医師会共同利用施設が受託でき る可能性がある。
<今後の医師会共同利用施設のあり方>
○「社会保障改革に関する集中検討会議」に提 出された「社会保障改革案」に対する日本医 師会の見解・提言について
日本医師会は、2011 年6 月2 日開催の社会 保障改革に関する集中検討会議に提出された社 会保障改革案に対し、「改革案は、社会保障の 強化に向け、医療、介護に相当の資源(費用、 マンパワー)を投入する方向性を打ち出してお り、このことは評価できる。しかし、財源を確 保するため、受信時定額負担や高齢者(70 〜 74 歳)の患者一部負担割合の引き上げなど、 患者の経済的負担を求めていることは問題であ る。財源は患者(利用者)負担に求めるのでは なく、保険料や税財源に求めるべきである。
又、政府案はさらなる急性期医療の強化を通 じた平均在院日数の短縮化を打ち出している。 しかし、患者負担および医療の安心・安全面か ら、平均在院日数の短縮化はもはや限界であ る」との見解を示した。
上記の見解を示した上で、日本医師会は、国 民がさまざまな格差に苦しむことなく必要な医 療・介護を受けることができる社会を持続させ るため、以下の提言を行った。
1)医療・介護については、地域(特に地方)や 個々の家族の事情を踏まえて多様なあり方を 認め、そのために、全体的かつ幅広く資源を 投入すること。
2)日本は、先進諸国に比べ平均在院日数が長 く、受診回数が多いと指摘されている。しか し、国民医療費が低く抑えられている中、日 本国民の健康度がきわめて高いことも事実で ある。今後は国民医療費を引き上げ、これま での日本の医療のあり方を尊重しつつ、強化 すること。
3)財源は、保険料の見直し(保険料率の公平 化、高所得者や大企業の応分の負担)、さま ざまな税制改革によって確保すること。あら たな患者負担は求めないこと。また、消費税 率を見直す場合には、控除対象外消費税を解 決すること。
4)社会保険の持続可能性を高めるため、医療・ 介護分野のみならず、社会全体の就業人口を 確保するための雇用対策を進めること。
※「受診時定額負担」については、毎回一定 額を支払うことになり、受診回数の多い高 齢者には大きな負担になる。当初は定額 100 円であっても、いったん導入されれ ば、その水準が引き上げられていくことは 明らかだとして、高齢者や低所得者の受診 抑制につながる可能性を示唆し、導入に反 対した。
※「財源」について、保険料を見直し、被用 者保険の保険料率を、もっとも保険料率の 高い協会けんぽの水準に引き上げ公平化す ることや、国民健康保険の賦課限度額、被 用者保険の標準報酬月額の上限を引き上 げ、高額所得者に応分の負担を求めること を提言した。(保険料率は、協会けんぽ 95 %、組合健保79.26 %、国家公務員共 済69.43 %などと大きな格差がある。大企 業が組織し平均給与の高い組合健保や、事 業主負担にかわって公費負担のある国家公 務員、地方公務員、私学教職員の保険料率 を、協会けんぽの保険料率にあわせ公平化 すべき。保険料の増収効果は約1.8 兆円と 見込まれる)
※また、「政府案(パターン1)における医 療・介護のマンパワー必要量(2025 年度 に704 〜 739 人)」に無理があるとして、 将来の就業可能人口から見た実現可能性の あるマンパワーに設定し直すとともに、医 療・介護だけでなく、社会全体での雇用対 策が求められるとした。
※「医療・介護の提供体制」について、政府 案の将来像の例で設定されている提供体制 の圏域(都道府県単位、市町村単位、小・ 中学校区レベル)などを切り口に、それぞ れ機能を持たせているが、日本医師会は一 定の地域にこだわらず、幅をもった地域 で、地域(特に地方)の実情や、家族のあ り方に考慮した多様な提供体制、柔軟に活 用できる仕組みを提案した。そのうえで、 政府案は急性期医療と在宅医療を重視して いるが、「切れ目のない医療・介護」とい う視点を持つべきであり、全体的な機能強 化が必要であるとした。
医療提供体制を整備し、救急医療から、 亜急性期・回復期、慢性期、在宅療養まで の切れ目のない医療を提供→医師会共同利 用施設=医師会員が運営
地域社会における今後の医師会共同利用施設 のあり方として、医師会共同利用施設は連携と 継続による地域医療体制の再構築における中心 的存在として活動することである。
特別講演
鈴田佐賀県立九州陶磁文化館長から、「九州 のやきもの文化」について、主に、唐津焼と有 田焼を中心に歴史的・美術的・産業的観点から 講演があった。
・2011 年の九州・山口陶芸展における応募者 数は147 名であり、佐賀県が52 %、福岡県 が19 %、山口県が13 %の比率である。(沖 縄県は3 %)
・佐賀県内の江戸時代の登り窯跡が、唐津市・ 伊万里市・佐賀市・有田町・武雄市・嬉野 市にある。
・九州陶芸のスタートラインは、安土桃山時代 に始まる(「白さ」と「描くこと」の始まり は1580 〜 1610 年代)。
・唐津焼の場合は、1580 年代に創業した。需要 →高麗茶碗は朝鮮からの輸入品。技術→朝鮮 陶工に来てもらう。原料→地元の土が使えた。
・有田焼の場合は、1610 年代に創業したとの ことである。需要→磁器は中国からの輸入 品。技術→朝鮮陶工に来てもらう。色絵技術 は中国人。原料→地元の石が使えた。
・肥前の甕は日本全国および東南アジアまで流 通した。又、江戸時代には、土地と陶器(名 品)の交換も行われたとのお話があった。
印象記
理事 金城 忠雄
九州各県各地区医師会からの総勢約700 人の参加者であった。例年この連絡協議会は参加者が 多く盛会である。沖縄県からは、北部地区医師会5 人、中部地区医師会16 人、南部地区医師会 11 人、那覇市医師会11 人、沖縄県医師会理事として事務局と共に特別参加総勢45 人参加した。
医師、看護師、検査部門、事務部門と3 分科会に分かれ活発に発表討論が行われた。演題発表 の概略については、報告本文を見て欲しい。
熊本市医師会から大腸がん個別検診についての印象深い報告があった。
特定健診との同時実施の大腸がん個別検診についてである。特定健診と個別検診大腸がん発見 率0.4 %は、驚くべき発見率である。がん検診の受診率アップに個別検診は相当な効果が見込め るため胃がん、肺がん検診についても個別検診体制を提案している。
日本医師会葉梨之紀常任理事の「今後の医師会共同利用施設のあり方」の講演では、はじめに 東日本大震災における日本医師会JMAT の活動状況の報告からはじまった。
例年話されることだが医師会立病院は、極めて公益性の高い仕事をしているが、開設者が公的 でない医師会ということで公的医療機関として認定されていない。行政からそれなりの補助金が あってもよさそうだが、行政のバックアップ財政の補助ができないのは疑問である。
印象深いのは「九州のやきもの文化」佐賀県立九州陶磁文化館鈴田由紀夫館長の特別講演であ った。陶磁器など高価な骨董品を扱う人は、目利き独特のセンスが必要でありさもないととんで もない安物をつかまされる心配があると。「穴子の蒲焼」と「うなぎの蒲焼」の違いが分からない 人は手をだしてはいけないと、陶磁文化館各職員の「湯のみ」の品定めがあり、職務上気品ある 湯飲みを利用して欲しいとユーモアたっぷりの導入で始まった。私など穴子もうなぎも同じよう なものと思う者には、高価な骨董品に関わってはいけない人種であると理解し、いたく感心した。
陶磁器の九州地場産業の歴史として、当初は中国朝鮮から輸入、安土桃山時代になり、朝鮮か ら陶工を連れて来てはじめて地元の原料で焼けるようになった。唐津焼有田焼ができるようにな ったのは1580 〜 1610 年代で、現在の芸術性の高い産業的発展につながっていると話された。
当連絡協議会終了後、近代日本を築いた佐賀鍋島藩の賢人たちの足跡や「弥生人の吉野ヶ里」 を訪ねた。吉野ヶ里で思ったことは、日本人は弥生時代の昔から立派な土器を作りしかも芸術的 な品性を持っている。そのセンスのある日本人が陶磁器を焼き作るのには、4 〜 500 年前の中国 朝鮮半島から来た陶工たちの指導でしか作成できなかったとは、専門家が言うから疑いないとは 思うが不思議であり納得しがたい。
当連絡協議会に参加して、九州各県各医師会の活発な活動状況が見聞できた。平成25 年は、沖 縄南部地区医師会の担当で開催される予定になっている。