沖縄で得た心の栄養
八重瀬会同仁病院皮膚科 菅野 美紀
皆様はじめまして。平成8 年に筑波大学を卒 業し皮膚科医となり、その後、縁あって沖縄に 参りまして丸6 年となります。沖縄で出会った 趣味についてお話したいと思います。
当地へ転居後まもなくの出産となり、しばら くは仕事から離れ育児と向き合う生活をする 中、親戚も居ない沖縄でどうにか居場所を探そ うと、当時小学1 年生の長女と新生児の長男を 連れいろいろと動きまわりました。長女が小学 校での琉球舞踊（放課後子供教室）に参加し始 め一緒に同伴し、また自治会エイサーに参加し たことなどで感じたことのひとつは、沖縄では 伝統芸能がとても大切にされ受け継がれている こと。これはとても素敵なことです。
前任地千葉県旭市にいるころ旅行で沖縄に来 た時、なにげなく入った三線屋さんでハイビス カス柄の三線に出会いました。その後、三線に 興味を持った数名が我が家に集まり、食事（宴 会？）をしながら練習していました。食事か三 線かどっちがメインであったかわかりませんが。応援部出身で声量豊かな夫が先生役です。 私はといえば、工工四（楽譜）を見ながら弾く ことはできましたが歌えませんでした。子供の ころから「おなかの底から声を出して歌え」と いう先生の言葉がピンとこないぐらい歌は得意 でなく、合唱などでも歌を避け伴奏で参加する ほうでしたので尚更です。
当時、思いきり自己流の練習でしたが、メン バーそろって病院の忘年会で決して上手ではない 演奏をしたり、と楽しかった経験があったからこ そ今も楽しめているのではないかと思います。
沖縄に来て落ち着いた頃より前述の三線屋さ んで毎週開かれている教室に通い始めました。 出産をはさみブランクもあり、あいかわらず弾 けるが歌えない状態で数年経過・・。それで も、お菓子を食べながらユンタクするのを楽し みに通い続けるうち、歌詞を覚えたからか、な んとなくの歌三線となりました。
半ば強制的にかぎやで風の試験も受け、それ をきっかけに古典の研究所を紹介され通い始め ることに。私にとっては歌詞の言葉も難しく、 歌のメロディと三線で弾く音が違う為さらに苦 労しますが、意味がわかりはじめると親しみが 徐々に湧いてきました。さぞかし堅い歌なのだ ろうと思いきや恋のうたがとても多いなど意外 でした。今年は新人賞をめざし伊野波節を練習 中です。「伊野波の石くびり無蔵連れて登るに やへも石こびれ遠さはあらな」。ちなみにこれ も恋のうたです。
さて、沖縄でもうひとつ私の中を大きく占め るのが海。もともと大学時代水泳部なので泳ぐ こと、水に漂うことが好きなのですが沖縄の海 がすばらしい！故郷横須賀の海も好きですが沖 縄の海は格別です。本島周辺はもちろんのこと、 西表の星砂海岸、宮古島の吉野海岸など魚がワ ーッと泳いでおり驚きました。最近では渡嘉敷 島でウミガメと遭遇し子供とともに大喜びした ことも。皮膚科医があまりお肌真っ黒ではいけ ないですし、紫外線の怖さは心得ているつもり ですので普段は日焼け止めを塗り沖縄の陽射し に対抗すべくがんばっていますが、海にいるとき はついつい忘れがち。子供には筒型の水中のぞ きめがねをつけさせ、浮輪のひもをひっぱりつつ 海中をのぞいているうち時間をも忘れてしまい ます。何度あとから日焼けで後悔したことか。
数年前北谷町砂辺でダイビングをする機会に も恵まれ更に魅了されました。かろうじて光が さす方が上とわかる中、ソフトコーラルが揺 れ、魚たちが舞う。何ともいえません。私たち が防水カメラも手に入れ、写真を見せながらう れしそうに話すものだから、私の両親は沖縄へ 来る際、海には行けるのかと必ず確認します。 季節に関わらず。ある時は「カクレクマノミを 見たい」、娘たちも「ぜひおじいちゃんおばあ ちゃんに見せたい」、と三世代でビーチへ行き ました。さすがにそれは11 月の寒い日で、青 い唇で震えながらでしたが両親はとても感激し ていました。地元沖縄の方はあまり海に入らな いと聞きます。もったいないです。ぜひ海の中 をのぞいていただきたい。くれぐれも日焼けに 気をつけながら。
この度日本を未曾有の災害が襲いました。被 災された方々を思うととても胸が痛みます。東 北地域経済振興への一助にと、今回夫の故郷山 形を紹介しようとも迷いましたが書き尽くせ ず、不謹慎かと思いつつ私の趣味（好奇心が強 いので一部ではありますが）の話となりまし た。山形に興味がおありでしたら個人的でもお 尋ねいただけたらと思います。最後までお付き 合いいただきありがとうございました。