常任理事 真栄田 篤彦
去る3 月4 日(金)、標記推進協議会が開催 されたのでその概要を報告する。当日は急な呼 びかけにもかかわらず加盟28 団体中19 団体が 参加し、日本の医療を守るための活動計画につ いて協議を行った。
先ず、今回の呼びかけ団体である県医師会を 代表して、宮城会長より概ね下記のとおり挨拶 があった。
宮城信雄沖縄県医師会長挨拶
本日は、ご多用な中、 急な呼びかけにもかか わらず、沖縄県医療推 進協議会にご出席賜り 厚く感謝申しあげる。
当協議会は、沖縄県 における医療・介護・ 保健および福祉行政の充実強化を目指し、積極 的に諸活動を推進することを目的に掲げ、当該 趣旨に賛同する28 団体が参加し、平成16 年11 月に設立された。
当協議会では、これまで「混合診療の解禁阻 止」、「高齢者のさらなる負担への反対」、「国民 不在の医療制度改革反対」、「助産師・看護師養 成、県立浦添看護学校の存続」、「地域医療を守 る予算の確保」、「社会保障費の年2,200 億円削 減撤廃」等を求め、署名活動や県民集会等各種 活動を展開してきた。お陰をもち「混合診療の 解禁阻止」「助産師・看護師養成」「社会保障費 の削減撤廃」については一定の成果を得ること ができた。これも偏に当医療推進協議会各加盟 団体のご協力の賜と感謝申しあげる。
ご高承のとおり、昨年6 月に政府は「新成長 戦略」を閣議決定し、そのなかで、医療・介 護・健康関連産業を、日本の成長牽引産業とし て位置づけ、医療の営利産業化に向けた市場開 放についての議論が、政府内で急速に展開され ている。
折しも本年6 月には、我が国のTPP(環太 平洋戦略的経済連携協定)への参加可否が判断されることになっており、仮にTPP への無条 件参加が決まれば、外国人医師の受け入れ拡大 や病院が外資系になる可能性がある。このこと により、外国人医師給与の高額化や全額自費と なる自由診療化等の問題が発生し、世界に冠た る日本の医療制度である「国民皆保険制度」の 崩壊を招く事態になりかねない。
かかる状況に鑑み、国民に今の医療をとりま く危機的状況を知らせると共に、国民皆保険制 度の堅持を求める声を政府に届けることを目的 とした県民運動を沖縄県において展開したいと 考え、本日当医療推進協議会を開催した。
ついては、時節柄何かと慌ただしい折、誠に 恐縮に存じるが、所期の目的を達成すべく、ご 支援ご協力賜るようお願い申しあげ、ご挨拶と させていただく。
続いて議事に入り、当協議会の役員選出が行 われた。
なお、役員選出にあたっては、県薬剤師会の 神村武之会長より当協議会活動の中心となって いる県医師会に一任したい旨の提案があり、全 会一致で了承された。
これを受けて、県医師会より役員名簿が上程 され、会長に県医師会長、副会長に県歯科医師 会長、県薬剤師会長、県看護協会長、理事にそ の他の団体の代表者が就くことで異議無く了承 された。
続いて、真栄田常任理事より、政府が医療・ 介護・健康関連産業を日本の成長牽引産業と位 置づけ推し進めている「新成長戦略」が、日本 の医療をいかに危機にさらしているか説明が行 われた。
同趣旨説明を受け、当医療推進協議会の活動 計画について協議した結果、平成23 年3 月31 日(木)午後7 時30 分からロワジールホテル 那覇において、沖縄県医療推進協議会主催の 「日本の医療を守るための沖縄県民集会」を開 催することについて決定した。
なお、当県民集会における意見表明発表者の 2 名については、県歯科医師会、県薬剤師会、 県看護協会において後日改めて調整することに なった。当日の動員については、本会が200 人、県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会が 各100 人、その他の団体は各20 人の計980 人 の動員目標が示され、各団体とも協力すること が確認された。
※ 3 月11 日に東日本大震災が発生したため、3月31 日開催予定の同集会は延期になった。また、当推進協議会規則において事務所所在 地が旧県医師会所在地の住所となっていたた め、現在の住所に変更することが了承された。
※当協議会の活動に関して委員より以下のとお り意見があった。
Q :沖縄県社会福祉協議会 比嘉成和氏
通常、決議の取扱に ついては、県民集会等 開催後に県選出の国会 議員、県議会議員等に 決議文を送っているが、 県議会議長宛に文書を 送ると陳情であれば、 議会で議論がなされることから、県民に分かり やすいと思われるが、その点はいかがか。
A:宮城会長 決議文の送付先については、 前回同様に内閣総理大臣、厚生労働大臣、財務 大臣、衆参両議長、衆参厚生労働委員会委員、 県選出国会議員、沖縄県知事、県議会議長、県 議会議員等の関係各位を予定している。
Q:沖縄県社会福祉協議会 比嘉成和氏 この決議の内容では簡略しすぎて反対の理由が伝 わりにくいことから、詳しく項目建てをしたほ うがよいのではないか。
A:真栄田常任理事
反対の項目を明確にすることは良いかと思う。
ただ、T P P につい ては明確に反対して良 いのか協議しなくては いけないと思うがいか がか。
○宮城会長 TPP については意見のすりあ わせが出来ていないことから、医師会としては 危惧を抱いているとの表現にしているが、農業 団体は明確に反対をしている。決議に盛り込む かについては、当協議会で協議しなければなら ない。
○沖縄県調理師会 高嶺貞裕氏
項目建てにすると逆 に複雑になるのではな いか。今の内容で現在 の医療を守る旨を明確 に表現していることか らそのままで良いので はないか。
○沖縄県栄養士会 新垣慶子氏
TPP については、い ろんな分野が絡んでい る。医療推進協議会と しては医療の分野に限 った内容で項目建てを したほうがよいのでは ないか。
○真栄田常任理事 現在TPP については、 様々な団体が賛成か反対か十分なコンセンサス が得られていない状況で、医師会も同様であ る。一端、各団体に持ち帰って頂き、それぞれ 協議したうえで今月31 日開催の県民集会まで に意見を集約するのは難しいのではないかと考 える。
そのため、この決議文は明確な項目建てをせ ずに単純明解な内容となっている。
○日本精神科病院協会沖縄県支部・沖縄県医師会 小渡敬副会長
仮に医療を産業化す ると産業としては成り 立つが、その代わりに 公的保険である国民皆 保険制度は成り立たな くなることははっきり している。日本の国民 皆保険制度は世界のどこの国も真似が出来ない 立派なものである。米国のオバマ大統領もこの 制度を取り入れようとしているが中々進んでい ない状況である。このすばらしい制度が危機的 状況にあり、その内容がこの決議文には集約さ れている。言葉一言で説明するのは中々難しい ところである。県民集会においては決議文の趣 旨を説明し、その内容を新聞等に載せてもらっ てはどうか。
○沖縄県ウォーキング協会 積 洋一氏
この決議文の中には 実際にその表現はして いないが、TPP の問題 も含まれている。
公的保険制度を堅持 しなければいけないと いうことが端的で非常 に解りやすく表現されている。県民集会で補足 的な説明を行えば良いのではないか。
○宮城会長 多くの団体が加盟する協議会で は意見の集約が難しい。具体的な内容とするに は各団体それぞれが調整のうえ、改めて全体の調 整を行わなければならず、時間的にも厳しい。
Q :沖縄小児在宅医療基金「てぃんさぐの会」 高良吉広氏
小泉改革から問題は 始まっており、それを 解決するために政権交 代が行われたが、現在 も同じことが繰り返さ れている。これまで沖 縄県民集会を数回開催 しその都度決議文を関係者へ送付しているが、 その後の結果が中々見えてこないが、それを知 る機会は無いのか。
A :小渡副会長 実際に効果も出ている。小 泉政権下で、株式会社の医療への参入が目前 で、混合診療の解禁が危ぶまれた際、全国で反 対運動を展開すると共に署名運動を行った。ま た、療養病床の廃止も提案されたが、同様に反 対運動を展開した。その結果これらを食い止めることができた。やはりこれは、各都道府県で 反対運動を起こした結果によるものである。こ のような運動を行わなければそのまま実施され ていた可能性は高い。全国で運動を起こせば国 会議員に対して大きな圧力となり無視は出来な くなる。
○宮城会長 節目節目で医療推進協議会、県 民集会を開いている。平成16 年には混合診療 反対のための県民集会を開催し全面解禁を阻止 した。平成19 年には助産師・看護師養成、医 療の格差是正並びに県内の助産師・看護師養成 に基づく県立看護学校の存続を求めた結果、看 護大学の中に別科として助産師養成コースが出 来た。先ほど説明があった療養病床の廃止につ いてもこの運動の展開により、現在これが棚上 げになっている。また、社会保障費における 2,200 億円の機械的削減問題についても運動を 起こした結果、政権が変わり撤廃されるに至っ た。このように具体的に成果として上がってい る。このような運動を展開しなければ無条件に 様々なことがなし崩し的に実施されていたこと になる。そういう意味でも非常に大きな成果が 出ている。
文書映像データ管理システム開設(ご案内)
さて、沖縄県医師会では、会員へ各種通知、事業案内、講演会映像等の配信を行う「文書映像デー タ管理システム」事業を本年4 月から開始致しましたのでお知らせ致します。
また、各種通知等につきましては、希望する会員へ郵送等に併せてメール配信を行っております。
なお、「文書映像データ管理システム」(下記URL 参照)をご利用いただくにはアカウントとパス ワードが必要となっており、また、メール配信を希望する場合は、当システムからお申し込みいただ くことにしております。
アカウント・パスワードのご照会並びにご不明な点につきましては、沖縄県医師会事務局 (TEL098-888-0087 担当:平良・池田)までお電話いただくか、氏名、医療機関名を明記の上 omajimusyo@okinawa.med.or.jp までお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
○「文書映像データ管理システム」
URL:http://www.documents.okinawa.med.or.jp
※ 当システムは、沖縄県医師会ホームページからもアクセスいただけます。