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やはり日本の昔の生活が…

高良和代

金武診療所 高良 和代

毎日毎日忙しい日常診療の中、ふと疲れを感 じたり、こんなはずではなかったと思う時間が誰 しもあると思います。医療面だけでなく患者と の人間的つながりや医療スタッフとの密接な関 わりが、とても幸福に思える瞬間もあり、又果 てしない苦悩につながる時もあると思われます。

人と人の間の仕事であるため余計なストレス にさらされ、たまには人生をふり返り後悔の念 が生まれ、心が折れそうになることもあると思 われます。心が少し折れてしまいそうな時、尊 敬する先生にすすめられた一冊です。医学書で はありませんが、なかなか興味深く読みすすん でいくことができます。患者さんの日常生活指 導の一助になるのではないかと思います。

「セロトニン脳」健康法という一冊ですが人 間の心と体のバランスに関係のある神経とし て、危機管理のノルアドレナリン。夢をもち困 難に耐えいつかはそれがかなうと努力すること に関係するドーパミン。オーケストラの指揮者 のように脳全体をコントロールしてバランスを 整え意識や元気のレベルを調整するセロトニン という具合に説明がされています。別の言い方 をすると学習脳、仕事脳、共感脳ということも できる様ですが…

ノルアドレナリンが暴走するとストレスに押 しつぶされ、ドーパミンが暴走すると快に引き ずられ、依存症などを引き起こされますがどち らにもブレーキをかけて心を安定した状態に戻 すのがセロトニン神経だそうです。

セロトニンを増やす、ウォーキング、呼吸 法、日光、タッピングタッチ等細やかなことが 具体的に書かれていますので御一読下さい。又 セロトニンは貯金ができずサプリでも意味がな いため毎日毎日少しずつ増やす努力が必要であ り、何事にもやりすぎは反対にセロトニンを減 らしてしまうという様なことが記されてありま す。又、週末号泣することが共感脳としてのセ ロトニン増加に効果ありとのことですが、まあ 私たちの生活で毎日号泣というわけにもいかな いでしょうが。グルーミングという母子間や他 人とのスキンシップ、ペットとのふれ合いがセ ロトニン増加に効果がある様です。

昔の日本は生活自体が高度なセロトニン活性 化社会であったと書かれています。

  • 1 朝は早く起き、夜は早く寝る。
  • 2 じっとしていないで体を動かす。
  • 3 一つのことばかり突き詰めて考えない。
  • 4 家族にも他の人にも挨拶し、和やかにつきあう。
  • 5 子供やお年寄り、弱い人をいたわって手助けをする。
  • 6 何事もほどほどを心がける。
  • 7 子供は外で遊ぶ。
  • 8 食べ物はよくかんでバランスよく食べる。

上記の様なおじいちゃんやおばあちゃん、あ るいは両親や大人たちから、はっきりした理由 はわからず伝えられてきた知恵が、脳の安定に 非常に役立っていたらしいです。現在は夜型社 会で個人主義のためキレやすい子が多いのもセ ロトニンが活性化されていないからでしょうか。

まだいろいろな事が書かれていますので、興 味のある方はぜひ御一読をお願いします。目か らうろこの世界でした。