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九州医師会連合会平成22年度 第2回各種協議会

2.介護保険対策協議会

副会長 小渡 敬

挨 拶

鹿児島県医師会の鉾乃原大助常任理事より、 概ね以下の通り挨拶があった。

厚生労働省は、昨年12 月に介護保険法等の 一部を改正する法律案として、医療・介護・予 防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく有 機的かつ一体的に提供する地域包括ケアシステ ムの実現を目指す方針を示した。その中には、 医療と介護の連携強化や高齢者の住まいの整備 や施設サービスの充実、認知症対策、介護保険 料の上昇の緩和等が重点ポイントとして出され ている。また同時に、社会保障改革の推進につ いての閣議決定がなされ、社会保障の安定、強 化のための制度改革とその必要財源についても 検討されている。加えて、来年度は、診療報 酬、介護報酬の同時改定の年である。このよう に平成23 年という年は我々医師会にとって、 将来の医療、介護、福祉を見据えた大事な年と 考える。

本日は介護保険の諸問題について各県から 13 題の協議題をいただいている。限られた時 間ではあるが、皆様方からの忌憚のないご意見をいただきたい。

日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下の通り挨拶があった。

昨年の7 月から月2 回のペースで、非常にタ イトなスケジュールで開催されていた介護保険 部会が終了し、介護保険制度の見直しに向けて の基本的な考え方が示され、これから介護保険 法の改正が行われるというところである。また 横断調査を踏まえ、慢性期入院医療の評価分科 会も精力的に会議を行っている。7 月位までに はその結果が出てくるだろうと思う。それを受 けて、来年の同時改定に向けての協議が始まる ということである。本日は、先生方のいろいろ なご意見を伺い、これからの介護給付費分科 会、慢性期入院医療の分科会の議論に役立てた いと考えている。よろしくお願いしたい。

○座長選出

慣例により、担当県の鉾乃原常任理事が座長 に選出され会が進行された。

協 議

(1)「認知症サポート医フォローアップ研修」 についての各県の取り組み状況について (福岡県)

<提案要旨>

平成17 年度より始まった認知症サポート医 養成研修であるが、全国的には既に1,200 名を 超える修了者がおり、福岡県でも平成22 年12 月末で44 名の修了者がいる。

活動状況については、求められる役割や取り 巻く状況の違いや自発性に任されていることも あり、かなりの地域差があると思われるが各県 の状況について教えていただきたい。

また、平成22 年度より認知症地域医療支援 事業のメニューに「認知症サポート医フォロー アップ研修」が加わっているが、この研修につ いての各県での取り組み状況をお伺いしたい。 また、日医の見解及び各県のご意見を伺いたい。

<各県回答>

認知症サポート医養成研修を修了したサポー ト医については、佐賀県27 名、宮崎県21 名、 大分県18 名、長崎県19 名、熊本県18 名、鹿 児島県40 名となっていることが報告された。沖 縄県は現在8 名のサポート医が養成されている。

各県において、認知症サポート医が講師を務 める「かかりつけ医認知症対応力向上研修事 業」が毎年開催されているが、佐賀県や大分 県、本県より、認知症サポート医は具体的に何 をサポートしたら良いのかが明確ではなく、ま た認知症への対応は多岐にわたり、各学会や製 薬メーカー等が示す認知症の対応方法に一貫性 が無いとの指摘があり、それらを整理する必要 があるのではないかと意見された。

認知症サポート医フォローアップ研修につい ては、本県以外の県では実施されていないこと が報告された。本県では、県が実施主体とな り、平成22 年10 月16 日にフォローアップ研 修が実施されている。

<日本医師会コメント>

各県のご意見を聞くと、認知症サポート医の 位置付けや特徴をどのように捉えているかとい うことにかなりばらつきがあると思った。本 来、認知症サポート医は認知症専門医とは違う 位置付けであり、かかりつけ医と専門医を繋ぐ いわゆるコーディネート役が期待されている。 必ずしも精神科の先生ではなく、かかりつけ医 の先生方がサポート医になっていただくことが 一番良いという形で始まっている。現在、 1,000 人以上のサポート医が養成されている。

各県からのご意見のように、機能が十分活か されてないということがある。その一番の大き な理由は、どこにも評価がされていないという ことであり、機能しようがない。

これが非常に上手く機能すれば、かかりつけ 医と専門医あるいは専門医療機関との連携がで き、早期発見、早期診断に繋がるということ で、是非これが機能する形にしたい。現在、介 護関係の審議会あるいは精神保健関係の審議会等でも、サポート医を何とか評価してもらいた いということを申し上げている。

今回の介護保険部会の中で見直しの方向が出 た。認知症の項のところで、サポート医を適切 に評価すべきという意見があることを書き加え ていただき、特に地域包括支援センターに専門 的な知識を有するコーディネーターを置く、そ こにサポート医が関わるということで、予算措 置もそこに付けて欲しいと。当然、診療報酬で みる部分と、別予算で地域包括支援センターの 中に人件費の部分として盛りこんでいただくと いうことを、今お願いしているところである。 是非これを実現したいと考えている。

○沖縄県:根本的な問題をお聞きしたい。国の 考え厚労省の考えを知りたい。

もともとは患者様側から、認知症と言われ てもどこに行ったら良いか分からないというこ とがあった。専門は精神科なので精神科に行 けば良いが、国民感情としては、そういうも のはなかったようである。一つはどこに行った ら良いか分からないということ。もう一つは、 ちゃんとした診断をどこで行うのかというこ と。このようなことを含め、またいろいろな経 緯があり、サポート医の問題等が出てきた。

現在は、精神科や神経内科等できちっとし た診断ができるようになっていると思うが、 問題は、国は、この認知症を医療でみようと しているのか介護でみようとしているのか、 そこがはっきりしない。そういうものを先ず は明確にしてほしいと考える。

■日本医師会:今は両方でみるという形で、昨 年の後半から、精神科病棟における認知症患 者の検討会が始まった。BPSD がある場合 等、特殊な場合については医療でみる、そう でない場合は介護でみるというスタンスでは ないかと思う。

○沖縄県:BPSD が出ても、ある時期には良く なる、その後の退院先が無く実際は長期入院 となる。それをもの凄く突付いているような 感じがする。国が準備するのであればそれは それで良いが、実際には良くなったからとい っても引き取ってもらえない場合が多々ある。

■日本医師会:その部分のアンケート調査も全 て出ており、条件が整えば退院できる方がど の程度いるのか、条件が整わないので退院が できない方がどの程度いるのかということも 実際に出ている。

今の日本の現状の中では家族介護ができな い。地域が習熟できていない中では、やはり 入院入所を続ける必要がある。もう一つは、 身体合併症のある認知症の患者さんは医療で という形になっているので、その為に精神科 病床、統合失調症の部分については、病床削 減ということで9 万床とか7 万床減らすとい うことがあったが、その部分については、そ の認知症のBPSD 部分と身体合併症部分を、 医療の精神科病床の中でどのように受け取る かという話が今進んでいるところである。

(2)地域支援事業改正への対応について(佐賀県)

<提案要旨>

平成22 年8 月に「地域支援事業実施要綱」 等が一部改正され、「特定高齢者」の用語が 「二次予防事業の対象者」など親しみやすい用 語に変更されるとともに、「二次予防事業の対 象者(従前の特定高齢者)」の決定方法等が簡 素化され、医師による生活機能チェックと生活 機能検査が廃止された。(中略)

佐賀県では、県内の全介護保険者において、 平成23 年4 月1 日から、改正後の方法で対応 する方針で、具体的な対応方法について、現 在、介護保険者と協議を行っているが、医師へ の運動器プログラムに参加する場合の適否の確 認は、二次予防事業の対象者本人が主治医に口 頭で確認するよう対応するなど、現場で混乱を 招くような方法が提示されている。

今回の改正は、財政削減優先の改正で、事業本来の理念から懸け離れ、措置されるべき対象 者が措置されず、事業が形骸化するのではと危 惧されるが、現場サイドでは、現場が混乱しない ように対応をしなければならないと考えている。

九州各県医師会におかれては、医師の判断の 紹介方法などについては、どのような体制で対 応されているのか、また、医師会はどのように 関与されているのか、ご教示願いたい。

<各県回答>

各県より、介護予防対象者を選定する生活機 能評価のうち、基本チェックリスト以外の実施 を任意化したことは、事業の形骸化ではないかと の意見が示され、各県ともに、現時点では医師 会として特に関与はしていないが、今後、各保険 者との調整が必要であるとの認識が示された。

<日本医師会コメント>

21 年11 月に、地域支援事業の実施要項の改 正に係るQ&Aが出たが、一応、この改正の目 的は、あくまでも事業の効率化を図るというた めであり、今後、特定高齢者の対象者把握の場 合に、必ずしも基本チェックリストだけで判定 する必要はなく、いわゆる従来の方法を用いて も構わないということが書かれている。それに ついては2 度にわたり日医から各都道府県医師 会に通知を出させていただいている。

協議によって、従来の方法を取る場合もある し、今回の新しい方法を取る場合もある。その 際、市町村との協議で、利用者の不利益になら ないような取り計らいをする必要がある。そこ には医師会の先生方に大いに関係していただき たいと考えている。

(3)在宅における訪問看護のマネジメント について(長崎県)

<提案要旨>

国は、入院医療から在宅医療へのシフトを図 ると言いながら、本来医師の指示で動くべき訪 問看護が介護保険におけるケアマネジメントに 組み込まれている。

このため、介護保険でまかなえないと言っ て、訪問看護の回数を減らしたり、看護師を派 遣すべきところをヘルパーを派遣したりなどの 事例がみられ、在宅医療の推進に支障をきたす こともある。

次回の同時改定で、在宅における訪問看護の マネジメントをケアマネではなく医師主導で出 来る制度に改めることを強く希望する。

各県の意見をお伺いしたい。また、日医にお いては次の改定での変更を国に要望していただ きたい。

<各県回答>

各県においても、利用限度額等の視点から、 訪問看護より訪問介護が選択されている場合が 多々あるとの報告があり、訪問看護における医 療保険の適用範囲の拡大等について、次期改定 に向けた検討が必要ではないかとの意見が提起 された。

<日本医師会コメント>

この問題は、現在、厚生労働省の研究事業 で、医療ニーズの高い高齢者に対しての訪問看 護のあり方として、ケアマネジャーがどのよう な態度で望んでいるのかということの調査研究 が行われているところである。

実際に、訪問看護が伸びず訪問介護ばかりが 伸びており、福祉系のケアマネの場合には訪問 介護を選択しがちであるという傾向が既に出て いる。逆に言えば、主治医意見書の中に訪問看 護が必要と書いてあるのに訪問看護が選択され ないということが20 %位あるというようなこ とも出ており、その一つに、利用者側が訪問看 護はいらないと言われるということがある。そ の場合に、本当に医療が必要だと思っても利用 者の意志を尊重してそれを選んでいないという こともあるが、本当に医療が必要な人にとって は、利用者がそういう意見を言ったとしても訪 問看護は必要であると、きちんと勧めることが できるようなケアマネの質の向上が大事なので はないかということで、今年度中にはその結果が報告書として出されると思う。

基本的に、介護保険が優先ということである が、本来、ケアマネジメントは担当者会議ケア カンファレンスの中で、主治医もちゃんと意見 を言って、どういうケアプランを立てるかとい うことで参加するはずであるが、それが十分さ れていないことも大きな問題ではないかと思 う。ケアカンファレンスで訪問看護が必要であ れば、訪問看護の必要性を十分説明していただ きたいと思う。

どういったものを医療として訪問看護から出 せるかということは、今後の同時改定で検討可 能かと思う。

(4)訪問看護ステーションにおける看護職 員等の実態について(長崎県)

<提案要旨>

訪問看護は、要介護者等の在宅生活を支える 地域包括ケアシステムの中心的役割を担う重要 なサービスである。

厚労省は、平成16 年度、今後5 か年間の高 齢者保険福祉施策の方向(ゴールドプラン21) で、訪問看護ステーションの設置目標を9,900 か所(参考値)に増やすことを計画していたが、 現実的には現状維持が精一杯な状況である。

厚労省の調査では、人員基準(常勤換算で介 護職員2.5 人以上)を満たせなくなり廃止に追 い込まれたステーションが2009 年度全国で85 か所があり、休止に追い込まれた所が67 か所 ある。

また、基準人員数を満たさなくなった場合の 具体的な取り扱いでは即休止または、廃止が4、 当該月のみ猶予が7、当該月+ αの猶予が5、 次回の指定更新時まで猶予が0、状況に応じて 具体的対応を決めるが最も多く31 と自治体に よって温度差がみられる。突然の休廃業は地域 ケアシステムに甚大な被害を及ぼすことは必須 であり、融通のきく制度運用が望まれるが、こ の問題について各県の状況や取り組みと日医の 見解を伺いたい。

<各県回答>

各県ともに、訪問看護は、地域ケアシステム を支える不可欠な役割を担っていることから、 安定したサービス提供体制を整備する必要があ るとの見解であり、鹿児島県並びに本県では、 訪問看護ステーションの支援事業として、コー ルセンター支援事業等が取り組まれている等の 報告があった。

<日本医師会コメント>

コールセンター等、いわゆる訪問看護ステー ションの支援事業を国が行っているが、それは 23 年度末で終了する。その後どうするのかと いうことで、県によっては、福岡県のように県 費を出す場合もあるが、医師会や薬剤師会、歯 科医師会等の協力(寄付金)や会費制で賄って いくというところもある。昨日、その報告会が あり、各県の報告を聞いてきたが、取り組みは 様々で、予算が無くなった後、県がどのように 対応するのかということを非常に心配している 状況である。

また、距離の問題として、島根県では、訪問 看護を行うのに40km 離れたところまで行って いるという報告があり、北海道では、片道1 時 間かかって行き、1 時間の訪問看護を行い、ま た1 時間かかって帰るということで、3 時間に 1 人しかできないということで、非常に効率が 悪く運営ができないという報告があった。効率 的に行うには難しい地域もあるということも事 実である。

一人開業の話だが、一人開業は基本的には日 本医師会としては反対している。これは、訪問 看護自体は24 時間対応なり見取りなりという ことで、手厚くやろうということであるが、一 人開業の場合だと、その方が病気した場合に、 その一人開業を利用されている利用者はどうす るのかということで、安定的に訪問看護サービ スを受けるためには大規模化もしくは大人数持 っていないと駄目だということで、過疎地につ いては、サテライトのような形でやってはどう かということを主張している。サテライトであれば、関係書類の作成等の一括化や、管理者に よる一体管理が行えるため、訪問看護師も看護 業務に専念することができ、24 時間体制も取 りやすくなるということで、一人開業に変わっ ては、サテライトか、なるべく大規模化、ある いはネットワーク化をして、経営を安定させる ようにという方向である。

急に退職した場合に、大変になるということ で、県によって対応が違うが、この問題につい ては、弾力的な運用を求める要望書が日看協か ら長妻厚労大臣に提出されており、医師会とし ても同じように弾力的にということを申し上げ ているところである。

訪問リハステーションについては、訪問看護 の中でリハをやっていただきたいということ で、今のところ日医としては了解していない。

(5)介護保険料の増加に伴う介護療養病床 の行方について(大分県)

<提案要旨>

平成24 年度からの第5 期の保険料は、「介護 職員処遇改善交付金」を介護報酬改定で対応す ることを含め、必要とされる見直し事項の全て を盛り込んだ場合、現在の全国平均4,160 円が 5 , 2 0 0 円程度になると試算された。これを 5,000 円未満にするため、種々の介護サービス の制限が提案されている。

平成23 年度の介護療養病床廃止の延期は決 まっているが、どういう形で介護療養病床が残 るかは未だ不明である。

今回の保険料を5,000 円未満に抑えなければ ならないという方向性から考えると、平成27 年度からの第6 期も同様のことが想定され、現 在の介護療養病床のままの継続が国民及び我々 の要望であるにも関わらず、取り敢えず平成 26 年度末までの介護療養病床廃止の凍結と決 定される可能性が高いと推測される。そうなれ ば、さらに長期間にわたって不安定な状態が続 くことになる。

日医の見解及び各県のご意見を伺いたい。

<各県回答>

社会保障審議会介護保険部会が取りまとめた 「介護保険制度の見直しに関する意見」の中で、 “介護療養病床の廃止方針を撤回すべき”と記 載されたところであるが、民主党厚生労働部門 会議が取りまとめた「介護保険制度の見直しに 関する提言」によると、介護療養病床は11 年 度末の廃止を3 年間延期するというもので、廃 止そのものが撤回されたわけではなく、各県と もに、介護現場は、長期的なビジョンを踏まえ た方向性が示せず未だ混乱している状態にある との報告があった。

各県より、日医においては、引き続き国に対 して、介護療養病床の廃止の撤回を強く働きか けていただきたいと意見が出された。

<日本医師会コメント>

民主党の意見がコロコロ変わる部分があり不 安定だが、基本的には療養病床は減らさない。 2、3 週間前に日医連の検討会があり、そこで 足立前政務官の話があったが、38 万床の療養 病床は維持する、それを医療療養でいくという ニュアンスで言われている。介護療養は廃止す るが、療養病床は38 万床維持するという言い 方をされている。大きな問題は、医療区分1、 ADL3、いわゆる介護療養におられるような要 介護4、5 の方々が、その病床ではたして採算 ベースに乗るのかどうかということが大きな問 題であり、これは検討の途中である。特に慢性 期入院医療の包括評価調査分科会の中でもこれ を検討しており、コスト計算も今やろうとして いる。我々としては、介護療養の方の評価が高 くて、医療療養の医療区分1 の部分は非常に低 いということで、今のままであれば移れないと いうことになる。これは保険局医療課と老健局 老人保健課のせめぎ合いということもある。保 険局の方は、医療に来てほしくない。いわゆる 医療財源に限りがあるので、介護療養が全部医 療に来ると、医療費の枠がかなり狭まってくる ため嫌がっている。我々としても、介護保険の ままで残せという方向でいきたい。

3 年間の猶予があるということは決まったが、 これはまだまだ流動的で、介護保険のまま残る という可能性も十分あるので、私達はそちらに 残したいという方向で働きかける。そうでなけ れば診療報酬改定の中で、医療区分1 の部分も しくは医療区分自体を見直すということも当然 あるし、報酬を見直す、コスト計算をした上 で、赤字にならないような報酬設定をするとい うことを主張していこうと思っている。

折角つくった介護療養病床を無くしてしま い、例えば特養に看護師を配置するというそう いう姑息なことをやること自体が合理性がない と思っているので、介護療養を残す方向でロビ ー活動をしたいと考えている。

もう一つ心配していることが、介護職員(介 護福祉士)に医行為をさせるということで、介護 施設でそういった人達を受け皿にしようかという 思惑が見て取れるので、我々としては反対してい るという状況である。かなり苦しい部分はある が、民主党も与党と政府の意見が統一されてい ないので、厚生労働委員会の人達に言えば、こ ちらの方が正しいと我々の主張の方に乗ってくれ るが、閣内におられる方々は、やはり官僚とのや りとりの中で政府としての意見を出してくるの で、そこで齟齬が出てきている。どちらが勝つか という話だが、法案を出すということになれば、 我々も与党に強く働きかけていきたい。

(6)特養の看護職について(熊本県)

<提案要旨>

特別養護老人ホームのユニット化が推進さ れ、ユニットと多床室は従来の1 事業体から別 事業体としてカウントすることになった。それ に伴い、職員の配置も多くの数が必要となり、 ただでさえ現場の介護職、看護職の雇用に苦労 しているが、特に看護職の採用について苦慮す ることとなった。

医師会では多大な苦労を重ねながら看護学校 を運営し多くの看護師(准看護師)を養成して きたが、従来から看護職の不足は解消されてい ない。介護の質を上げるためには、看護師の数 も増やさなければならないが、そもそもユニッ トと多床室とを別の事業体とすることは現実的 ではないと考えるので撤回を希望する。日医の 見解はいかがか。

<各県回答>

各県ともに、ユニットと多床室を従来の1 事 業体から別事業体とすることの必要性自体に疑 問を感じているとの意見であった。

<日本医師会コメント>

介護保険部会の中でも、かなり違う意見を申 し上げた。報酬だけを別々にしたら良いのでは ないか、多床室を作らなければ低所得者は入れ ないという意見を申し上げたが、委員会の中で 数人が、ユニット化をしなければ人権問題だと いう捉え方をされる方がいて、私は入れないほ うが人権問題ではないかと言ったが、どうして も個室ユニット化を曲げることはできない、一 部ユニット化を認めるとそれが進まないので後 ろ向きになるというような意見をかなり強く言 われることがあり、厚生労働省が困って、一部 ユニット化を容認する、返還を出さないために 別々の施設にし、100 %ユニットと100 %多床 室、1 つの建物でも2 つに分け、一部ユニット が存在しないような形にしたということが実態 である。

現状としては、混合型というのは今のまま残 っていくが、一部ユニットが多床室と個室ユニ ットの2 つの施設として残り続けるということ になった。

何とか認めてくれということであったので、 仕方ないということで、現状が出来るというこ とで了承したということである。

(7)お泊りデイサービスについて(鹿児島県)

<提案要旨>

国は、来年度から通所介護事業所で宿泊を可 能とする「お泊りデイサービス」を創設する方 針を打ち出している。利用者家族のレスパイト ケアの拡充を考えれば有効であると考える。

しかし現行の通所介護事業所の基準に、施設 整備や人員基準等に上乗せし行うよりは、医 療・療養病床を持つ医療機関等の通所リハビリ テーションにおけるショートステイの利用者、 有床から無床となった診療所の空きベッド(入 院病棟)を柔軟に有効活用する方が、医療の質 (感染対策、安全対策等)の確保から鑑みても 得策であると考える。

本件に関する各県のご意見と日医の見解をお 伺いしたい。

<各県回答>

各県ともに、お泊りデイサービスとして新たな サービスを整備するよりも、既に質が担保されて いる病院や診療所、老健等を活用することが効 率的かつ効果的ではないかとの意見であった。

<日本医師会コメント>

介護保険部会でもかなり反対意見を出し、ほ とんどの委員がお泊りデイサービスは反対だ と、質ももの凄く悪いという意見であった。

これは、東京都が、日常対応でモデル事業を やったところ、政務官や厚労大臣等が見学し て、これは良いなという思い付きで、このよう なアイデアが出てきたという経緯がある。ほと んどの人が反対の意見を出したが、政務三役が やろうと言ったので厚労省としては仕方なくこ れを書いたが、反対が非常に強いので、今回の 見直しの書き振りの中でもかなり後退した書き 振りになっているので、たぶんならないだろう と思う。

基本的には、通いの施設基準のところに泊ま った人を管理する責任ということについては、 施設基準をかなり厳しくしているのでおそらく 無理であろうと思うし、今申し上げていること は、有床診やそういったところ、もともとお泊 り機能があり、施設基準がきちっとしたところ を活用してもらったら良いのではないか、これ は緊急ショートステイの話もあるが、そちらの 方へのシフトをお願いしているところである。 これは是非次の改定の時に実現したいと思い、 最重点課題としている。

(8)在宅支援の介護サービスについて (鹿児島県)

<提案要旨>

平成22 年11 月25 日の社会保障審議会介護 保険部会について議論のあった24 時間対応の 定期巡回・随時サービス、小規模多機能居宅介 護と訪問看護ステーション等の複合型事業所、 お泊りデイサービス等が議論されたが、上記の 介護保険サービスについては、いずれも「良質 な医療」があって成立するシステムであると考 える。

しかしながら、実態としては株式会社等の営 利企業が事業を進めていくことも予想される。

上記を踏まえ、3 つの在宅における介護保険 サービスの議論について、日医の見解をお伺い したい。

<日本医師会コメント>

24 時間対応の定期巡回・随時サービスの問 題だが、この問題についても部会の中で意見を 申し上げているが、これは、本来は現在の訪問 介護あるいは夜間対応型訪問介護サービスを整 理すれば新しいサービス体系を作る必要はない という意見を申し上げている。特に、認知症対 応については、滞在型でないと難しいという利 用者側の意見もある。

小規模多機能と訪問看護ステーションの複合 型というものも、これは看護協会等がかなり強 引に言ってきているが、私自身は、これは全く 意味がないと考えている。本来、小規模多機能 の3 機能、泊まり、通い、訪問の3 機能の中 で、訪問看護が今までは外付けで付けてきたも のを一体型にすると、従って小規模多機能の看 護師の配置を増やして訪問事業をさせるという ことなので意味が無いと、その泊まりの部分に ついては、それを居宅にするのかどうかという ことも、居宅なのか施設なのかということで、 居宅であれば訪問看護として外から行くことは 可能だが、施設であれば訪問看護はできない、医療が提供できないということがあるので、小 規模多機能と訪問看護ステーションではなく、 有床診と小規模多機能の組み合わせ、こういっ た複合の方が、医療ができて良いということを 申し上げており、看護協会と冷戦状態というか バトルをしたところである。

営利企業の参入ということも認められるが、 この問題については、各医師会で都道府県市町 村と連携し、地域の医療介護ニーズを踏まえて 介護事業計画を作成するともに、そういったもの が入ってこないよう慎重な対応をお願いしたい。

(9)高齢者居住安定確保計画について(計画期間平成23 年〜平成26 年)について(熊本県)

<提案要旨>

熊本県では、「高齢者の居住の安定確保に関 する法律」に基づいて「高齢者居住安定確保計 画」を策定する作業に入っている。当然、他の 計画「住生活基本計画」「高齢者福祉計画・介 護保険事業支援計画」を踏まえ、「地域福祉支 援計画」「やさしいまちづくり推進計画」とも 調和図りながら策定されているようである。

計画素案の目標の中に「高齢者の住まい確保 にあたっては、先ずは施設等に比べて整備が進 んでいないサービス付き高齢者住宅の供給促進 について重点的に取り組みます。」という文書 がある。

私は、一医師会いや、一市民としてこの目標 の文章に危惧の念を持っている。前回のこの介 護保険対策協議会でも発言したとおり、この、 いわゆる有料老人ホームの有用性、重要性を否 定するものではないが、現在の有料老人ホーム 事業者の考え方は凄まじいものがあり、適正な 質の確保、運用を望むべくもないというのが、 ほとんどだと思う。囲い込み、給付限度額一杯 の介護サービス提供、ニーズにあった適正さを 疑うケアプラン作成等々がある。熊本県も事業 者に指導、監督や介護従事者に研修を行うこと を力説しているが、なかなか大変だと考えてい る。各県の先生方も、有料老人ホームについ て、少し見聞していただき、このサービス付き 高齢者住宅(介護サービス付き高専賃)につい て各県のご意見と日医の見解をお伺いしたい。

<各県回答>

各県ともに、有料老人ホームや高専賃等に対 する行政の指導監督の仕組みを持たせることは 必須であるとの意見であり、厚労省と国土交通 省が共同で進めている「高齢者の居住の安定確 保に関する法律」の改正作業について、日医か らも強く意見していただきたいとの見解が示さ れた。

<日本医師会コメント>

高齢者の住まいの確保ということは非常に大 きな問題で、確かに日本は欧米に比べて少ない 状況にある。要介護2 以上の人の人口比率は 8.8 %だが、住まいは4 %位しか用意されてい ない。21 年5 月に、国土交通省が成長戦略を 出し、2020 年までに欧米並に増やすというこ とを示している。従って、高専賃なり有料老人 ホームなり、当然他の介護保健施設もそうだ が、整備をしていくということは大事なことだ が、特に今回の介護保険部会で見直しの報告で 掲げられた24 時間対応や訪問看護とデイサー ビス等の組み合わせで、中重度の要介護者を診 ていくということも大切だが、今のお話にあっ たような事例は全国あちこちで聞かれており、 厚労省としても頭を悩ましているが取り締まり 方が難しい。

特に大きな問題になったのが、いわゆる貧困 サービスのような形で、宅老所や高専賃等に、 生活保護の方々を入れて医療保険を使う、介護 保険も限度額一杯を使うということで、1 人当 たり凄い給付がされるというような非常にひど いモラルハザードが起こっている。厚生労働省 もかなり意識して今調査中であるが、なかなか それを取り締まる方法が見つかっていないとい う状況である。

何れそういったものは取り締まられると思う が、出来れば、介護の部分について言えば、やはりケアマネジメントが適切に行われていない ということになるので、是非主治医の先生方 が、かかりつけ医としてケアカンファレンスに 出て、ケアプランをチェックするということで 対応していただく。今のところそれしか無いと 考えている。この問題は問題として認識してい るので、厚生労働省ともよく相談していきたい と考えている。

(10)介護認定審査会委員を悩ませる介護認定調査の特記事項記載の考え方について(大分県)

<提案要旨>

認定審査をする場合、先ず「認定調査項目」 のチェック内容及び「障害自立度」・「認知症 自立度」で申請者のイメージをほぼ把握した上 で、特記事項でそのイメージと矛盾がないかの 確認を行っているが、両者のイメージにかなり かけ離れた症例を認めることがある。具体的に は、「認知症自立度」がU a 〜U b、かつ特記事 項では問題行動を伺わせる記載があるにも関わ らず、「認定調査項目」の第3 群( 認知機 能)・第4 群(精神・行動障害)に全くチェッ クのないことが時々見られる。「認定調査項目」 のチェック内容で一次判定がほぼ決定されるた め、「非該当」になっている。二次判定でアッ プさせなければならないが、症例によっては十 分時間を費やしても理由付けが困難な場合もあ り、審査会委員を悩ませている。「認定調査項 目」のチェック内容と特記事項の内容のイメー ジは、ほぼ同じであってほしい。

次に、特記事項の記載量が多すぎる点が、予 習の際に審査会委員を悩ませる2 番目の大きな 問題点と感じている。認定調査員には、自分が 認定審査をすることを想定して、審査会委員の ためにポイントをまとめ、内容を絞った読ませ る記載を要望したいが、この二つの問題を生じ させている主因は、「認定調査項目の選択に迷っ たら、迷わず特記事項へ」との認定審査会任せ の「認定調査員テキスト2009」の間違った指導 であると思われる。これらの問題を改善するた めには、「認定調査委員テキスト2009」の特記 事項記載の考え方を、単なる追加事項ではなく、 介護の手間を推定するのに十分参考になる簡潔 な記載内容に変える必要があると考える。

日医の見解及び各県のご意見をお伺いしたい。

<各県回答>

各県ともに、特記事項の記載内容や記載量の バラツキを懸念事項の一つとしており、佐賀 県、宮崎県、福岡県、鹿児島県より、簡潔かつ 平準化された記載内容とするためには、研修会 を繰り返し行うことが重要であるとの意見が示 された。

<日本医師会コメント>

認定調査項目の選択に迷った場合の記載は、 基本調査の定義に上手く当てはまらない場合と 微妙なケースだが、その場合、認定調査員が判 断するのではなく、その状況を記載し、認定審 査会の判断を仰いで調査の標準化をするという ことが本来だということだと思う。この特記事 項の書き方については、前回の要介護認定の見 直しに係る検証検討委員会の中で、調査員のテ キストを修正して、修正の考え方や書き方、内 容について、いわゆる事例集のようなものを出 して、それを自治体で周知するということを申 し上げた。要は認定に資するような書き振りを していただきたいといことで、書き方の事例を 出した訳だが、この議論をした時に、逆に主治 医意見書の特記すべき事項も何も書いていない ということをかなり批判された。日医としてや はり面目が立たないので、我々としても主治医 意見書の特記事項等についてもきちんと書き込 めるような事業を今年度行うと申し上げたの で、要介護認定における主治医意見書の記載方 法に関する調査研究事業というものを立ち上げ ており、我々もその事業の中に委員として入 り、今現在取り組んでいるところである。今年 度中には一応最終報告を出すが、なかなかこの ように書いて下さいと言っても、書いてくれな いし、書けない人が勉強してくれないということもあるので、いろいろなツールを作ったとし ても上手くいかないかも知れないが、地道な努 力が必要と考えている。

大分県:むしろ書き過ぎが問題である。せめ て、特記事項なので、特別に記載しなければい けないような内容をできるだけ短くということ が意味としてあるが、今は追加事項ということ になっていると感じる。とても全部読む時間が ない。そういう事を審査員として訴えたい。

(11)地域包括支援センターの課題について(熊本県)

<提案要旨>

平成23 年度末の診療・介護報酬同時改定に 向けて、介護分野では、社会保障会議の介護保 険部会とか、また「地域包括ケア研究会」等で 議論されているようで方向性が決まったものも あるようだ。

その中で、地域包括ケアに重要な役割を担う地 域包括支援センターについて下記の課題を提起 し、各県のご意見と日医の見解をお伺いしたい。

1.要支援、要介護の認定区分変更による介護 支援専門員の交替について

2.ケアプランの様式と予防プラン作成料金に ついて

予防ブランと介護プランを統一してほしい との声が多い。

また、予防プラン作成料金は、その作成プ ロセスにかかる時間などから考えても低額で あり適切でないとの声も多い。

3.地域包括支援センターの機能向上について

熊本県では「認知症連携担当者」と「地域 介護コーディネーター(仮称)」を配置する ような提言が出されている。運営的には大変 だと考えられる。

<各県回答>

介護支援専門員の交替については、佐賀県、 大分県、福岡県、鹿児島県より、介護支援専門 員の認定毎の交替については、その要件を緩和 すべきであるとの意見であったが、長崎県より、 介護支援専門員を継続させると今以上に囲い込 みの弊害が蔓延するのではないかとの意見が示 され、先ずは地域包括支援センターのあり方自 体を問うべきではないかとの見解が述べられた。

ケアプラン作成料金については、各県とも に、予防プランの作成は地域包括支援センター にとって大きな負担となっており、適切な評価 が必要であるとの意見が示された。

地域包括支援センターの機能向上について は、各県ともに、その必要性は感じているが、 現時点で、地域介護コーディネーター等が配置 される予定は無いと報告された。

<日医コメント>

要支援と要介護の振り分けだが、これは介護 保険部会でも、地域包括支援センターの介護予 防に関するケアプランの作成について、ケアマ ネ事業所に移してはどうかということがあった が、居宅介護支援専門員事業協会から反対の意 見が出た。今は、各地域で弾力的に運用してい ただいているということであり、それはそれで 良いと思うが、現在、これは検討中ということ であり、今後どのように記載されるかを注視し ていきたいと思う。

ケアプランの様式と予防プラン作成料金につ いては、日医への要望として承る。

地域包括支援センターの機能向上の話だが、 これは大牟田市がコーディネーター方式として 部会の中でも成功例として紹介されている。 我々としても地域包括支援センターの機能向上 が非常に大事だということで、介護保険部会の 中でも、見直し案の中で書きこんでいただいて いる。基本的には人を沢山配置して強化するた めには予算がいるということで、これについて も引き続き要望していきたいと考えている。

(12)訪問リハビリテーションと通所リハビ リテーションの併用禁止について(宮崎県)

<提案要旨>

現在の介護保険制度の規定では、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションを同じ 月に行うことが禁止されている。患者さん自身 の状態や家族の都合によっては、月の途中で変 更せざるを得ないことがある。また回復期病棟 から退院して自宅に戻った際に起こるリハビリ の量と質の低下に戸惑う患者さんも多い。もっ と柔軟に訪問リハビリテーションと通所リハビ リテーションの同時利用が可能になるように規 定の見直しが必要である。

<各県回答>

月の途中で本人の状態が変わり、通所リハで 対応できなくなり訪問リハに切り替えるという ことは可能性としては考えられ、熊本県、鹿児 島県、本県においては、併用は可能と考えると の回答が示された。

<日本医師会コメント>

基本的には、訪問サービスを受ける人は通所 が困難な人ということが考え方のベースにあ る。21 年4 月から、老健施設の通リハ利用者 が通所できなくなった場合でも、その後、直ぐ に円滑に訪問リハが出来るようにということ で、通リハ最終利用日から1 か月について、そ の直近の日の施設のドクターによる診療による 指示があれば訪問リハが利用できるということ になった。要は月の途中で要介護の状態が変わ るということがあれば、両方利用できるという ことなので、ケアプランを見直すということで 対応が可能かと考える。

(13)保険料の均一化について(鹿児島県)

<提案要旨>

介護保険における第4 期の第1 号保険料は、 全国平均は4,160 円であり、鹿児島県の平均 は、都道府県の中で全国平均に最も近い4,172 円である。

しかしながら、都道府県平均では、最高は青 森県4,999 円、最低は千葉県3,696 円と大きな 差が生じている。鹿児島県内の市町村において も同じ状況であり、4,000 円から5,000 円未満 の市町村が45 市町村の内29 市町村であるもの の最高は5,100 円、最低は2,750 円と大きな差 がある。

介護サービスを受ける利用者は全国ほぼ同一 のサービスを受け、ほぼ同一の利用料金を支払 っているので、保険制度とは言え、保険料の格 差の是正が必要だと思われる。

このため、保険者を市町村単位から都道府県 または国レベルで統合して保険料の平準化を図 る必要があると考えられるが、各県の意見をお 伺いしたい。

<各県回答>

本県においては、第3 期県平均額4,875 円に 対し第4 期県平均額4,882 円と7 円の増であっ た。県内市町村においては、最高が与那国町 5,720円、最低が竹富町2,616 円となっている。

保険料の均一化については、各県ともに、保 険料の平準化を議論するためには、各地域にお けるサービスの平準化も併せて議論する必要が あるとの見解が示された。

<日本医師会コメント>

確かに、被保険者数により保険料がばらつく ということは当然であり、段階別定額方式が更 にそれを助長化している可能性があるが、平準 化した場合にどうなるかというシミュレーショ ンは必要だということが2008 年にも言われて いたが、まだ結果は出ていないのではないかと 思う。

基本的に第5 期以降5,000 円を超えるだろう ということで、財政安定化基金の取り崩しを充 ててほしいということを政務三役の方からも要 望が出されている。これによって180 円程度引 き下げられるということも想定されているとこ ろである。

印象記

小渡敬

副会長 小渡 敬

平成23 年1 月29 日に九州医師会連合会の平成22 年度第2 回各種協議会が鹿児島県で開催さ れ、日本医師会からは三上常任理事が参加していた。

介護保険の分野では昨年の12 月に厚生労働省が介護保険法等の一部を改正する法律案として医 療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを切れ間なく有機的かつ一体的に提供する地域包括 ケアシステムの実現を目指す方針を示している。その中には医療と介護の連携強化や認知症対策、 高齢者の住まい整備や施設サービスの充実等が重点ポイントとして示されているが、内容が漠然 としており総論ばかりで各論が見えて来ない。

そのような中で介護保険対策協議会が行われたので各県からの提案事項が13 題あったが、一貫 性がなくばらついている状況であった。最も関心の高い介護報酬改訂については、日医の三上先 生からも何も情報がなく審議が遅れている印象を受けた。今年の夏までにある程度の案が出来上 がらなければ充分な議論が行えないので、早急に審議を進めてもらいたいものである。しかし現 在の民主党政権では介護保険法の改正どころか次年度予算すら成立が危ぶまれているので、腰を 据えて議論が出来ないのではないかと懸念している。

ちょうど新燃岳が噴火している最中で、鹿児島市内も灰に覆われているのかと思ったが、市内 には降灰はほとんどなく普段と変わらない状況であった。宮崎県側に大量に降灰しかなりの被害 が出ているようで、早く噴火がおさまるのを待つばかりである。