副会長 小渡 敬
去る1 月18 日(火)午後3 時より日本医師 会館において標記会長協議会が開催され、宮城 会長(日医理事)の代理で出席した。
はじめに、今村聡常任理事の司会により開会 の辞があり会次第に沿って議事が進められ、原 中勝征日本医師会長から概ね次のとおり挨拶が あった。
「日本医師会に山積された諸問題に対して、 現在政権与党との交渉を盛んに進めている。ま ず、医師会のあるべき姿を中心に物事を捉え、 国民の安全、安心な医療を基本姿勢として交渉 を進めている。今後、人口減少が進む中で社会 保障制度が維持できるよう進めていきたい。医 師全員が一丸となって取り組んでいくことが重 要である。」
引き続き協議に移り、各県からの質問並びに 日本医師会から提案された議題等について協議 が行われたので概要について報告する。
協 議
行政刷新会議の事業仕分けで、国保組合に対 する定率補助は廃止するとの結論が出された。 国の適正な補助が存続するよう積極的な働きか けをお願いしたい。
<羽生田副会長回答>
補助金を削減するためには法律改正が必要で あり、今後政府与党或いは野党に対しても働き かけて行きたい。
医師国保組合の将来については検討を進めて おり、対応策として1)三大臣の合意を阻止する こと、2)このまま医師国保組合を存続させる (この場合は医師国保の保険料の値上げも考え ないといけない)、3)医師国保を解散し地域保 険或いは健保に加入する。4)全国組織で健康保 険組合を作るということも方策の一つとして提 案頂いている。これらは今後の検討課題として進めていくことにしている。現段階では、削減 については反対していくこととし、医師国保組 合の役員からご意見を頂いた上で検討を重ねて 参りたい。
1)現行の指導大綱における平均点数算出方法 の把握、情報開示についての考え方、A指導大 綱を見直すよう厚生労働省に働きかけるためア ンケート等を実施しているが、見直しの方向 性、内容等について見解をお伺いしたい。
<鈴木常任理事回答>
指導監査の見直しについては、昨年夏に保険 局長等へ申し入れている。現在、アンケートに より都道府県医師会の担当役員からいただいた 意見を整理し、医療指導監査室と継続的に折衝 をしている。まずは運用で見直しができないか 検討している。例えば集団的個別指導の対象医 療機関を選定する際の類型区分の改善、集団的 個別指導を医師会のピュアレビューと連携した 形にすることや、集団的個別指導を継続して高 点数であった場合の個別指導での改善等につい ては厚生労働省も前向きな姿勢である。
平均点数を厚生局のホームページに掲載する ことについては、都道府県単位の平均点数は次 年度の指導計画を医師会と協議する際、各厚生 局から口頭又は書面で示しており、ホームペー ジに掲載することまで強要することはできない との見解であった。また、平均点数の算出方法 や個別の医療機関の点数を公にすることについ ては、厚生労働省は指導監査の適切な遂行に支 障を及ぼす恐れがあり難しいとの見解であった。
レセプト一件当たりの点数が高いことや、翌 年度も高点数の場合に個別指導の対象となるこ とについて厚生省に対して改善を求めた結果、 平成10 年3 月の医療課長通知により現行の指 導大綱は変えないが、運用上従来の都道府県個 別指導を優先して実施することで、集団的個別 指導の集団部分のみを実施することも差し支え ない。即ち、都道府県個別指導で手いっぱいに なれば集団的個別指導の面談部分は実施しなく ても良いということになっている。
・産業保健推進センターの廃止に伴う、医療の地域格差問題に対する日医の見解。
・同センターで行っていた産業医研修(年間30 〜 38 単位)への今後の対応。
・メンタルヘルス支援センター業務に関する医師会の役割。
・今後の産業保健医療に対する日医の考え方をお教え願いたい。
<今村聡常任理事回答>
労働者の健康保持増進のためには、産業保健 推進センター或いはメンタルヘルス対策支援セ ンターはかかせない存在になっている。地域格 差がない産業保健を提供するためにはこれらが 一体となった活動が、全都道府県において展開 されることが重要である。
日医は集約化については一環して反対し、見 直しについての要望等を行っているが、その実効 性がきちんと担保されていない状況であり、日医 の集約化に反対する考え方は変わっていない。
産業医の研修事業について、日本医師会では テレビ会議システムを利用拡大することにして いる。具体的には、これまで生涯研修のみを対 象にしていたテレビ会議システムを、この3 月 から基礎研修会にも対象を拡大したモデル事業 を実施して、その成果を踏まえて推進していく。
メンタルヘルス対策支援事業は、厚労省の委 託事業として実施しており平成22 年度に労働 者健康福祉機構が受託し、産業保健推進センタ ー内にこの支援センターが設置されている。産 業保健推進センター事業とメンタルヘルス対策 支援センターは別事業で、そこで平成23 年度 も引き続き47 都道府県にメンタル支援センタ ーが設置され、事業が実施される。受託者に対 して人員を増員するよう働きかけていくことに している。
地域産業保健事業の果たす役割は重要で、こ の事業に協力できるのは医師会以外にはないと考えている。これまで築き上げられてきた事業 が後退して、悪影響を起こすような事態は避け なければいけない。必要な予算確保できるよう 厚労省へ要請する等環境整備に努めていきたい と考えている。
・特例民法法人の名称変更による登記について は、4 月1 日(及び半期決算は10 月1 日) が、土・日であっても登記ができるように法 務局へ要望していただきたい。
・円滑な移行のため、期間延長の法改正を要望していただきたい。
<今村聡常任理事回答>
登記日に係る要望の件については、平成24 年4 月1 日が日曜日であることから内閣府の公 益認定等委員会事務局に確認した結果、全国の 法務局を1 日開けると費用が非常に膨大になる こと、或いはそういう対応をしなくてもやって いるところもあるので、要望があるところだけ のためにそういう対応をとるということについ て法務省は消極的であるとの回答をもらった。 日医としては重要な問題であり、引き続き対応 していきたい。
移行期間については整備法第44 条に規定さ れているので、延長することは難しい。しかし ながら、最後の年に一斉に申請が出ると物理的 に不可能になるので、必要に応じて対応してい きたい。
質疑の中では、法務局に土日に業務をやって もらうということではなく、事前に書類を受け て、登記日を4 月1 日にするような事務手続き をやってもらいたいとの追加意見がだされ、再 度法務省へ確認することになった。
・新公益法人制度移行に関する会員の不安とし て、1)代議員(社員)の任期の問題、2)役員 選挙の時期3)定例代議員会(定時社員総会) の任務等4)母体保穫法の指定医師の指定権の問題5)自家共済事業等の問題があるが、日本 医師会の考えをお聞きしたい。
・日本医師会の移行作業の実態、スケジュール。また、日本医師会の一般社団並びに公益社団への移行の方向性。
・日医が提示された定款変更案について
大阪府では日医の策定した定款変更案は、法 人法との適合性が立証されていないため、定款 変更案のモデルとして適当でないとして、内閣 府が示した変更案に準拠して、定款変更を行う よう指導されている。
<今村聡常任理事回答>
日本医師会は、平成19 年5 月に公益法人を 目指す方向性を理事会で決定している。現執行 部においても公益法人を目指す方向性を確認し ている。
日本医師会が公益法人に移行する大きな課題 として、医師年金事業に係る保険業法の問題と 公益目的事業比率の2 点の問題があった。保険 業法の問題は、一部改正法案が成立したので従 来の公益法人が新法人に移行した場合でも事業 継続の道が開かれている。もう1 点の公益事業 比率50 %については内閣府の事務局とやり取 りをして、公益等認定委員会が認めてもらえる 最終案ができ上がっている。母体保護法第14 条に関する問題は、国民側の不利益を被りかね ない問題で、一般法人になった場合でも継続し て都道府県医師会が指定権者になれるように法 改正も前提にして検討している。
その他、新制度移行後の医師会運営について の問題点をいくつか上げてもらっているが、い かんせん法律の中に記載されている事項に関し ては、既に新制度の下で新たな公益法人を設立 運営されていくので、従来通りに戻すというの は難しい面がある。
内閣府公益認定委員会の定款に関する見解 は、法人自治の原則の下各法人において自主的 に定められるものとしており、定款審査の基本 的な考え方は、定款の必要的記載事項、相対的 記載事項及び任意的記載事項の内容が、法人法 等の規定に適用するかを判断するものということが示されている。
内閣府が示した定款モデル案でも、その冒頭 で本資料は法人において定款の変更の案を作成 する際も参考に資するため作成した。法人法等 に適合しているか否かを直接判断する基準では ないとお断りを入れている。法人法への適合性 は申請する各法人が行わなければならない。
日本医師会定款諸規程改定検討委員会が、検 討した定款変更案は膨大な量ではあるが、かな り細かく留意点をつけているのでご参照いただ きながら進めていただきたい。行政とのやり取 りの中で不適切な事例等があれば、日本医師会 にあげていただき内閣府公益認定委員会に確認 しながら解決していきたい。
その他質疑の中では、今村常任理事から「日 本医師会の法人移行の問題は、最終的には日医 代議員会で決めていただくことになる。唯一大 きな問題は、年金が非常に大きな資金を運用し ていて、そこから出る利子とか配当は非課税に なっているので、加入されている先生方に大変 有利な設計ができている。その辺を考えながら とりあえず公益を目指すことにしている。ま た、定款の件について、内閣府が文書で出すの は難しい面があるので、例えばQ & A みたいな 形でできないか検討していきたい。」との説明 があった。
本事業が開始されて3 年目である。その現状 と問題は、一向に改善しない低い受診率にある。 より魅力的で意義のある健診(検診)事業構築 のため、積極的に政府に働きかける時期が来て いると考えるが日医の見解をお伺いしたい。
<保坂常任理事回答>
日本医師会としては、特定健診、特定保健指 導が抱える問題に対処するため、検討会の開催 を働きかけてようやく再開することになった。 特定健診特定保健指導は、医療費適正化計画の 一環として制度化されたものであるが、この事 業により医療費が削減に繋がっているのか、健 診内容がふさわしいものかどうかの疑問は払拭 されていない。
広く国民に有益な健診の機会を保証すること は、日本医師会として取り組むべき大きな柱で あると認識しており、現在までもあらゆる場面 で特定健診特定保健指導の問題点について指摘 し、国民の健康の保持増進に寄与する健診の在 り方を提言していくつもりである。
又、今期会内委員会の公衆衛生がん対策委員 会においては、特定健診を含めた今後の健診の 在り方に関するワーキンググループを立ち上 げ、これらの課題に対して精力的に議論してい ただくことになっている。
地域医療支援病院が真にその目的で機能して いるのか、紹介外来制も要件に入れるなどの点 についても検討が必要と考る。
<鈴木常任理事回答>
地域医療支援病院の課題は大きく二つに分け て考えている。一つ目は、将来の在り方につい てで、4 疾病5 事業の医療提供体制の構築や地 域連携パスの普及が進められている中で、今後 どのような存在意義を見出していくか、そのた めには要件をどのように見直せばよいか。二つ 目は、既存の地域医療支援病院に対するチェッ ク評価機能で、平成22 年11 月19 日現在で 327 の病院が承認を受けている。
福岡県は神奈川県と大阪府の23 病院に次ぐ 数で人口比では全国最多となっている。又、全 国的には平成22 年で41 病院が新たに加わって いる。医師会病院はともかく、こうした既存の 病院が承認後も紹介率や逆紹介率を堅守し共同 利用、救急医療、地域の医療従事者への研修、 患者の相談対応、そして前回の医療法改正で加 わった在宅医療を行う協議会の支援等の役割を 果たしているかチェックすることが必要である。
そのため従来より地域医療支援病院には、地 域のかかりつけ医の要請に適切に対応し地域医 師確保・地域医療確保のために必要な支援を行 っているのか、業務遂行状況をチェックする委員会が設置されることになっており、その委員 会には地域医師会をはじめ外部のメンバーで構 成されることになっている。
また、前回医療法改正により各都道府県は地 域医療支援病院の業務報告を公表しなければな らないことになり、その資料を基に問題がある 病院には、都道府県医療審議会で説明を求める ことも可能となっている。このようなチェック 機能が実際に効果を上げれば新たに承認する病 院も限られてくると思う。付け替えれば、地域 医療支援病院の承認は、都道府県医療審議会が 地域の実情を踏まえて審議を行った上で行われ るとされているので、本来は自動的に要件を満 たせば承認するというものではない。
厚労省のこれまでの検討経緯をみると、医療 施設体系に関する検討会が平成19 年度来実質 的な議論がなされていない。日本医師会として は特定機能病院と共に地域医療支援病院のある べき姿について、社会保障審議会医療部会等の 公の場で議論するよう求めていく所存である。 その際には各都道府県がそれぞれの地域特性に 応じた独自の承認基準を設けられるよう提案す ることも検討していきたい。
この度、日本医師会は医療保険制度に関する 改革を2025 年を目途に現行総ての保険者を解 体し日本で唯一の保険者による一本化を提案し た。今回の日医案では保険制度としての具体像 があまりにも曖昧で、従来の日医案をくつがえ し、今回の提案に至った基本理念がみえない。 政策提言としてはあまりにも漠然としており、 日医としての単なる願望を述べたにすぎないと いわれても反論の余地はない。
<中川副会長回答>
日医は、昨年11 月国民の安心を約束する医 療保険制度を発表した。その基本理念は現行の 後期高齢者医療制度を踏まえて3 点とした。第 一に全ての国民が同じ医療を受けられる制度で あること、第二に全ての国民が支払い能力に応 じて公平な負担をする制度、第三には将来に亘 って持続可能性のある制度であること。その上 で最終的に公的医療保険の全国一本化を目指す という提案をした。
今回の提案はこれまでの日医の提案を否定す るものではない。日医は高齢者を保障の理念で 支えるという考えの下で高齢者の独立保険方式 を提案してきた。現行の後期高齢者医療制度は 独立医療保険方式であるが、当初は高齢者の切 捨てと批判され、また世代間、制度間の納得も 十分に得られないものであった。こうした境遇 を経て日医は全ての国民が年齢、地域、所得の 格差に苦しむことなく、公平な負担な下で同じ 医療を受けられることの重要性を改めて確認し た。高齢者に手厚くする低所得者に配慮すると いった覚えは過去から今日までいささかも揺ら いではいない。様々な課題があるが、それを関 係機関と協議して中身を詰めていきたい。
本日は、負担と給付面について検討すべき項 目を具体的に挙げていただいた。特に保険者に 変わる運営機構については慎重に考えるべきと 認識している。今後一つ一つ検討を重ね成案を 得ていきたいと思っている。
公的医療保険制度の全国一本化はサラリーマ ン、公務員、自営業者、農林水産業者が同じ制 度の下で助け合う日本国民が未だ経験したこと のない夢の夢であると考えている。一部に理想 論であるとのご指摘があることも十分承知して いる。しかし、地域医療は崩壊し公的医療保険 が閉塞感というものが充満している中で、今こ そ日医主導で回復が必要であると思っている。 ご意見、ご指導をいただき、日本の国の希望の 光となるような公的医療保険制度を立て直して いきたいと思う。
日本医師会は、患者一部負担割合を一般2 割、高齢者1 割を原則とすることを提案されて いる。高齢者医療新制度と日医案の患者負担割 合との整合性をどのように図るかお聞かせ頂き たい。原中会長は、財源確保のために健保組合の保険料、中でも企業負担を増やす事が必要で はないかと言われた。また、医療フォーラムで は、高額所得者には応分の負担を求める必要が あると言われた。これらは非常に困難を伴うも のであると考えられるが、今後の活動方針があ ればご説明いただきたい。
<三上常任理事回答>
先日発表した日医の国民の安心を約束する医 療保険制度は、高齢者医療制度改革会議に合わ せて作成したものではなく、公的医療保険制度 のあるべき姿を提案したものである。
今回の日医案を作成するに当たってはまず年 齢区分を無くすること、医療が高齢者を切り捨 てることがないようにいう考えの下に、現執行 部でゼロベースで考え直したもので、現執行部 が全員で真摯な議論を重ねた結果である。高齢 者医療制度改革会議の見直し案と日医の第一段 階、第二段階においては大きな齟齬はなく、第 三段階以降については難しい課題が非常に多く あり、更に時間をかけて慎重に検討するという スタンスである。
次に財源として保険料改革、消費税改革、国 の歳出改革を同時併行で行うことを提案してい る。今回は保険料改革、消費税改革に重点を移 し、特に保険料については被用者保険の保険料 率を、最も保険料率の高い協会健保の水準に引 き上げることを主張している。現在の組合健保 の保険料率は76.2 %、共済が82.3 %でこれを 協会健保と同じ93.4 %に引き上げた場合、保 険料の増収効果はそれぞれ1.4 兆円と0.3 兆円 で合計1 兆7 千億円という大幅な増収効果が期 待できる。又、被用者保険の保険料上限を引き 上げることも主張しており、日医としては全て の国民が支払い能力に応じて公平な負担をすす べきであると考えている。
総報酬制の問題については、国庫の協会健保 への負担と国庫負担の2,100 億円を肩代わりす る形ということであるが、負担の公平化からは 総報酬制に賛成の立場で行っているが、その浮 いた分の2,100 億円については公費として別に 投入していただくよう要望している。
患者負担割合の引き下げ等については、政権 与党、野党にも説明を行い、各種審議会におい ても理解を求めていく所存であるのでご理解ご 協力をお願いしたい。
現在、県医師会員になるには、郡市地区医師 会に加入した上で県医師会員として加入する必 要があった。この二重入会の制度を改め、卒後 研修医を2 年間県医師会無料会員として入会で きるようにすることを提案する。
<今村聡常任理事回答>
平成22 年度に日本医師会で実施した勤務医 に関する都道府県医師会での調査では、臨床研 修医のC 会員の会費を2 年間免除している県 や、2 年間地区と県医師会の会費を免除してい る県等があり、各県でご尽力されている。医師 会は社団法人であり、日本医師会が同様に同じ ようなことができるかというと、難しいところ があると思っている。
これまでご提案頂いた事項で具体的に進めて いるのは、臨床研修医が会員の資格がなくても 自分の情報をインターネットで登録することに よって、日医が提供する会員サービスの一部を 無料で受けられるよう検討している(インター ネットによる日医の医学図書の閲覧等)。研修 医の臨床研修を支援すると共に医師会への関心 も加味して将来へ繋げていければと考えている。
質疑の中では、岡山県から平成24 年の医 療・介護の同時改定に向けて医療崩壊を阻止す るためにも、国民運動的なものを日医が展開し ていただきたいとの要請があった。
原中会長からは、毎年削減されていた2,200 億円が廃止になり、この2 年間で4,400 億円が この医療費に回ってきた。それにより、この前 の改定は0.19 %であったが、例えば病院は6 % の増収になり、開業医はわずかであるがマイナ スは一切なくなった。それで満足しているとい うことではなく、この次の改定では診療所のお 金を病院に回すというこの姿勢だけは改めさせないといけないと思っている。同時改定に向か ってプロジェクトチームを作って早めに提案を 進めていくことにしている。また医療費に関す る国民運動も進めていくよう計画しているとの 説明があった。
都道府県医師会や、郡市区医師会が知りたい 情報や施行してほしい研究など、日本医師会に 依頼することができるよう研究テーマは可能な 限り公開していただきたい。
<石井常任理事回答>
はじめに日医総研の情報公開(ホームペー ジ)、今後の活動状況等について説明があり次 のとおり説明があった。
研究員が研究テーマに掲げた研究成果は、原 則としてワーキングペーパーにまとめて発表の プロセスに掲載される。このワーキングペーパ ーは全役員が出席する研究企画会議で報告させ て討議に付した上で、役員決済を経て初めて外 部に公開することが許可されている。
加えて、研究員に対する時局の課題に関る短 期的な研究依頼等についても成果的に取り扱っ ており、対応力の向上に努めている。しかしな がら、特定のものについては日医における公平 性を担保する観点からお受けできないケースも 存在するということはご理解いただきたい。
<今村聡常任理事説明>
会員の先生方が都道府県内で郡市区医師会を 異動する際に、なるべく簡単な方法で手続きが とれるよう日医事務局内で検討して「異動様式 案」を作成して、各都道府県医師会(郡市医師 会も含めて)にアンケート調査を実施した。
その結果、導入が可能と回答した県が8 医師 会、残り44 医師会ができないとの回答であっ た。とりあえず今回提案したものは取り下げる ことにしたのでご報告する。
みだし地域医療再生基金について県から説明 があり、1 月中に関係団体の意見をとりまとめ 3 月16 日までに国へ計画を出さなければいけな いことになっている。1)提出期間が短いこと2)日医から活用案を示してもらいたい。 3)交付基準額15 億円については、国庫単独(事業の全額)で交付できるよう働きかけてもらいたい。
<鈴木常任理事回答>
日本医師会では、今回の医療再生基金が補正 予算であるため、短期間で計画を策定する必要 があることを見越して、既に補正予算成立直前 の昨年11 月24 日付の文書により、地域医療再 生基金の拡充について都道府県行政との協議等 の対応を開始していただくよう全都道府県医師 会にお願いをした。又、有効な活用の仕方につ いては、平成20、21 年度の再生基金の参考と なる事例を日本医師会より全都道府県医師会宛 にお知らせをしている。各都道府県医師会の計 画については全て厚生労働省のホームページ上 で閲覧できるようになっている。
今年度の地域医療再生基金の拡充において は、公立病院の立替等ハード中心でなく医療・ 介護の連携や地域の医療従事者への教育研修等 のソフト充実にも活用すること、地域医療再生 計画の作成実施に対する各都道府県医師会の位 置付けを明確にすることを厚生労働省に強く働 きかけてきた。その結果、厚生労働省が各都道 府県行政に示した地域医療再生計画作成指針で は、医師会等関係団体に意見を聞くとの文言が 各項目に記載されると共に、高度専門医療機関 や救命救急センターと連携する地域の医療機関 の機能強化及び介護職員等の医療関係職種を広 く含む、地域医療を担う人材育成がメインにさ れている。
去る12 月15 日に開催された厚生労働省の全 国説明会では、再生基金の交付額と同額以上の 負担を都道府県や事業所に求めるのは加算額部 分のみとしていたが、その後財務省サイドの圧 力により基礎額部分にも拡大することを交付条件の案として昨年末に示していた。
これに対し日本医師会では、これでは従来の 補助金と同じで再生基金の意を否定するもので あるとして、厚生労働省担当者に強く抗議を行 い、原中会長の折衝により厚生労働省からも当 初のとおりに戻すとの連絡があり決着した。
尚、ソフトの規制に関しては、それらの制約 はないとのことである。又、基礎額以上の上乗 せ部分については厚生労働省に設置された有識 者会議での5 段階評価によるコンペ方式で決定 されることになっている。
その他
・医師数増加―医師の養成に関する日本医師会の提案について(案)
<中川副会長説明>
みだし案を作成した。改めて都道府県医師会 に送付するので今月末までにご意見があれば出 していただきたいのでよろしくお願いしたい。
印象記
副会長 小渡 敬
平成23 年1 月18 日、都道府県医師会長協議会に会長の代理で初めて参加した。12 の議題が提 出されており、各質問事項に対して執行部が答える形で代議員会とさほど変わりはなかった。む しろ別な形の議論の仕方が無いのかと疑問を感じた。議題は多岐に渡っており一貫したテーマが ないこと自体が現在の医療情勢を表しているのかも知れない。本来なら来年春には診療報酬と介 護報酬が同時改訂されるので、そのことについて何か説明があるかと思ったが、それについては 全く触れられなかった。まだ議論が進んでいないものと思われた。個々の議題については本文を 読んでいただきたい。公益法人制度改革については、日医の担当理事の説明を聞いていると国側 もかなり柔軟な対応に変わってきたような印象を持った。粘り強く交渉している様子が窺われ、 最終的にはどのような方向になるか今のところ分からないが、ベストな方向を選択してくれるだ ろうと感じた。
東京に行くといつも思うことであるが、日頃の運動不足を痛感させられる。電車に乗るため駅 の階段を上ったり降りたり、さらに日医会館まで15 分くらい歩いただけで息がきれ、情けなくな ってしまった。帰りの飛行機の中で「帰ったら運動するぞ」と決意したが、いま、印象記を書き ながら挫折していることを反省している。