沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

兎年に因んで

安里英樹

与那原中央病院整形外科 安里 英樹

あけましておめでとうございます。皆様新年 をいかがお迎えでしょうか?最近は歳のせい か、月日のたつことが非常に早く感じられま す。西暦も平成も“光陰矢のごとし”のことわ ざ通り次々と飛び去っていくように感じます。 ついこの前、年賀状の整理を終えたばかりなの に、早くも新しい年を迎えております。それ に、以前はそんなに気にもしなかった干支が、 この頃は若い頃に比べてかなり心に留まるよう になってきました。特に今年のように自分の干 支になるとなにやら一層感慨深い感じがしま す。これも歳のせいでしょうか?

歳というとなんだか干支が回ってくるたびに 眼の問題が出てきていた気がします。小学校時 代には眼には自信がありました(まつ毛は長い のですがそこでなく視力の点で・・)。最初に 眼が悪くなってきたのは中学の時だと思いま す。方眼用紙の小さな升目にがんばってきれい に小さな字を書き始めて近視になりました。眼 鏡をかけるよう言われましたが、いやだったの で眼鏡をかけずにいました。しかし、高校に入 ってから野球でのボールが見えにくくなったの で眼鏡を買いに行きました。当時、店員さんに は1.2 に設定して眼鏡を作ることを勧められま したが、ボールが良く見えるように無理矢理 2.0 に矯正してもらいました。ところが最初は 良くボールが見えて良かったのですが、そのう ち強い度のせいで後頭部が痛くなり始めまし た。堪らず眼鏡を作り変えましたがそれでも野 球の時以外は眼鏡を使いませんでした。大学卒 業の25 歳の時には視力がますます悪くなり、 常に眼鏡をかけなければならなくなりました。 医師10 年目の37 歳の時、急に動体視力が悪く なり、眼鏡をかけていても飛んでくるボールが大きく揺れて見え始めました。これには少々焦 りましたが、ひたすらバッティングセンターに 通ってスピードボールを見ることで眼を慣ら し、なんとかボールの揺れが感じられなくなり ました。そして47 歳となった最近では外来で の抜糸が困難となり、しょうがなく遠近両用眼 鏡を買いに行きました。すこし見栄もあったの でレンズの中央に境目がなく傍から見ても遠近 両用眼鏡と分かりにくいものを買いました。家 に帰ってから、この老眼鏡をかけると良く見え てとても心地良く感じ、まだ若いと思う気持と 確実に年を取っている体のギャップが私を複雑 な気持ちにさせました。

しかし、歳をとることは決して悪いことばか りだけではありませんでした。歳をとり経験を 積むことで私を成長させてくれたこともありま した。最近、「これまで時間ばかりを気にして 忙しく生きてきていたな〜」と思うようにな り、「これからは無理せずゆっくりとやってい こう」と考えるようになったのです(ただ疲れ ているためにそう考えているのではありませ ん)。そんなのんびりとした気持ちでいると、 いろんなことが良い方向に流れてきました。お 昼時間をゆっくり味わうために、ご飯の量を少 なくしてもらった愛妻弁当を持つようになって から体重も減少し血圧も低下してきました。ま た、あの老眼鏡のおかげで、野球では相手の表 情も良く見えピッチングが冴えわたり九州大会 で優勝し、さらにはホームランまで打ってしま ったのでした。

話は変わって、私の干支が兎年というと、大 抵の場合ちょっとびっくりされます。まあ、私 の風貌から無理もないかと思いますが・・・。 私としてももう少しごっつい感じの動物が合っ ている感じがしますが・・・。一方、家族を見 渡すと、私の様な可愛らしい愛くるしい干支は 一人もおらず、妻と双子の息子は辰(たつ)、 娘たちはそれぞれ酉(とり)亥(いのしし)寅 (とら)とかなり勇ましい動物ばかり。しかし、 愛すべき私の子供達は良く知っているもので、 「そうだよね〜お父さんって兎そのものだよね 〜寂しがり屋だしね〜一人じゃいられないし〜 兎年ってかんじだよね〜」とのこと。自分では そんなつもりは全然ないのですが・・・。

さて、新年のご挨拶の話がそれてしまいまし た。実は、今年は年男というだけでなく、仕事 の上でも特別な年となります。縁あって長年お 世話になった与那原中央病院を離れ独立する年 となるからです。と言いましても、完全にお別 れするわけではなく、今後も連携させていただ きながら、手術も今までと同じように行う形で の開業となりますので、引き続き皆さまのご指 導、ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上 げます。