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72 歳にむかって

湧田森明

わくさん内科 湧田 森明

突っ走って、年を忘れ60 歳にならんとする 今年は6 回目のうさぎ年です。生まれてから60 年も経過すると言うのに、たかだか6 回目の生 まれ年、うさぎ年は何回も繰り返し来たと思っ ていたけどこんなもんなんだ。過ぎ去った年の 重みを感じずに生きてきた気がします。誰もが このように感じている・・・?そうではないか も。「60 年の年月を感じ生きていたら、今の自 分はどのような者でいたのだろうか」ふと考え ます。

私の趣味は18 歳からの硬式テニスと45 歳頃 からの泡盛の甕収集(熟成古酒作りにもなります)。テニスは大学時代からのながれ、一時ブ ランク期間はあったものの57 歳頃までは身体 の衰えを感じずに楽しんでいた気がします。そ の後からは膝、肩、手首、足首と、かばいなが らのテニス練習。普通に楽しめたテニスが60 歳に近ずくにつれ老化を感じるようになってき ています。諸先輩の方々からは「還暦ごときで これくらいなんだ」と活をいれられそうです が・・・。何とか薬で治らないものかと考えた りも・・・しかし、加齢による障害と同居しな がらのテニスはただ楽しんでいた時とは少し違 った気もします。一球の重み、テニスを楽しむ 1 分1 時間の重みが僅かに感じられる?。

老化現象の始まりは筋力の衰えと私は考えて いますが、時間の重みを少しでも感じられたら それもOK かも。病気の症状は、薬や処置でな んとか軽減はできても老化はそれではダメ。内 科医の私は薬とムンテラで治し癒す事が仕事。 老化現象の始まりである筋力低下からくる症状 は薬でもムンテラでも改善効果は薄いでしょう。

老化の予防には筋力(体力)維持が必要で す。筋力をつける為には気力の充実が必要です。

気力を常に高め維持し、体力増強をはかる。 元気で長生きの方法と考えます。

ちなみに最近の私の筋力といったら鉄棒に ぶらさがるのも、小さい塀をよじ登るのも大変 です。懸垂、とんでもありませーん。脚立なし で塀を越えようとすると手足がこむら返りで す。それでもテニスが続けられているから不思 議です。

泡盛甕収集の始まりは、ある患者さんのご家 族から、その年の干支のかわいい小さい甕を頂 いてからです。その後からは毎年干支甕を手に 入れて飾り、見応えのある泡盛甕やさらには気 に入った甕を購入、購入した甕には泡盛を詰め て床の間に陳列。我が家には床の間がなくなり ました。

この熟成古酒を機会ある毎にテニス仲間、友 人、家族と飲む。「旨くなっているかな〜」と 想像しながら甕を開け、香りを感じ、味見し、 そのひと時の流れる時間がまた甕を集めるだけ でなく楽しい。気力も高まる気がします。(酒 飲みの文章になっていますが私は決して大酒の みではありません。一言付け加えておきます。) 床の間もなくなってどこに置くかと妻は反対し 続けていますが、これからも記念甕やら、ほれ 込んだ甕を集め続けそうです。

老化の始まりを受け入れ、それに対処する。 私にはテニスをなんとか続ける事と泡盛甕収集 を続ける事が対処法になるのでしょう。趣味を 持つことで気力充実、運動をすることで筋力 (体力)維持だ。

「60 歳何するものぞ!!」

今年も、おいしい泡盛をそだて、甕を見て楽 しみ、美味しくなっているかと想像し楽しみ、 皆で楽しく飲み、気力を萎えさせない、むしろ 高めるようにする。トレーニングを行い体力を 維持、むしろ増強させるようにする。今までの うさぎの様な優しいテニスから持久力のある力 強いテニスを目指すぞ!この依頼原稿文章を書 きながら72 歳が楽しみになってきました。