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卯年に因んで
〜今後の抱負・近況報告

平良朝秀

平良クリニック 平良 朝秀

新春干支随筆の寄稿依頼が県医師会広報委員 会から届いた時は、一瞬、躊躇したが、筆不精 な私ではあるが、折角の機会であるので引き受 けることにした。卯年に因んで、今後の抱負と 近況報告を拙文になると思うが、笑読いただけ れば幸甚である。

古代インドでは「四往期」という考え方が生 まれ、そして人々の間に広がった。紀元前2 世 紀あたりのことである。これは人生を四つの時 期に区切って、それぞれの生き方を示唆する興 味深い思想である。最近では日本でも、よく知 られるようになった。学生がくしょう期、家住かじゅう 期、林住りんじゅう期、遊行ゆうぎょう期という考え方である。

私は、今年、卯年で還暦を迎えるから五十歳 から七十五歳の林住期であり、すでに十年は経 ってはいるが、あと十五年ということになる。 遊行期を向かえる前に、何をしておくべきか、 自分の進む道を捜さねばならない。開業してか ら十六年になる。段々と患者さんの数も減り、 毎日が同じ時刻に始まり、同じ時刻に終わる。 毎日が怠惰であり、何ら変わりなく過ぎて行 く。平凡な生活のリズムも、また、それは一つ の幸せであり、毎日を坦々と生きて診察してい くしかないであろうと諦めることにした。明ら かに究めることにした。

御陰で、新聞、雑誌、小説、文献などを読む 時間も増え、自分の記憶力、読解力の低下に驚 き、今では繰り返し読むか、解からない言葉、 書けそうで書けない漢字などはメモ帳に、その 場で書き取り、すぐに辞書で引くようにしてい る。単語力の乏しい私でも少しずつ知識が豊か になっていく気がしている。が、すぐに忘れる ので、繰り返し、そのメモ帳を読み返すことに している。遅ればせながら、日本語の表現や漢 字の素晴らしさを学んでいる。

二年前の四月から、下の娘も内地の大学へと 進学し、それ以来、夫婦二人きりの生活が続い ている、恋人でも妻でもない、一人の人間とし て、今は向き合うようにしている。お互いに必 要以上に干渉しないようにしている。妻は週に 何回かは趣味と健康のために外に出ている、私 も、毎週日曜日に趣味のゴルフをしている。私 は食べる事と飲む事が好きで、リーズナブルな 値段で美味な所を捜し回っている。何軒かは私 が思う店を捜し当てた。無論、妻と二人で。

五木寛之の本に腹八分のすすめというのがあ る。六十歳をこえたら腹五分、七十代に達した ときは腹四分が適当だそうだ。メタボ予備軍で ある私は、“メタボの医者にメタボと言われて ……。”と揶揄されないように、まず、腹八分 を実践し、腹五分で満足するように精進して行 きたいと考えている。

私の趣味は、今の所は、ゴルフが1 番で、2番目が三味線である。三味線は習い始めてか ら、まだ、1 年たらずであり趣味とは言えない かも知れないが、週に1 回は個人レッスンを受 けている。焦らず淡々とやって行きたいと考え ている。ゴルフは大学を卒業してから、やり始 めて、早や、30 年になる。初めてスコア71 を 平成22 年9 月26 日(日)にだした。今までは 73 が2 回あったが、1 アンダーは、正直、嬉し かった。今後は60 台を目標にしたいが、ゴル フは飽くまでも趣味程度なのでスコアに拘らず 楽しくプレーしたい。そうすれば、そういう日 が来ることを信じたい。

2 〜 3 年前から講習会や講演会、産業医の更 新のための講習会にも、よく参加し、産業医の 更新単位もあと数年を残し、すでに取得した。 (平成20 年は産業医の更新単位が、間一髪、滑 り込みセーフであったことを反省して)。講演 会の出席も去年は100 単位を超えるようになっ た。妻も私の知人も、私の豹変ぶりには驚天動 地である。

平成22 年の6 月にロータリークラブに入会 した。ロータリアンの4 つのテストとして、1. 真実かどうか2.みんなに公平か3.好意と 友情を深めるか 4.みんなの為になるかがあ る。言動をおこす前に上の4 つの心構えに照ら して行動していこうと思っている。医師の倫理 綱領に医師は医業にあたって営利を目的としな い。医師は職業の尊厳と責任を自覚し教養を深 め、人格を高めるように心掛けるとある。林住 期に入ったのであるから、これからは奉仕service の心を持つことが必要である。ロータリア ンの標語にservice not self(無私の奉仕)が ある。さらにservice above self(自分のこと より先に他人の為に尽くせ)がある。ロータリ アンの4 つのテスト、医師の倫理綱領、ロータ リアンの標語には、共通する考えがある。奉仕 の心である。大きくは愛といっても良いかも知 れない。凡事を徹底して、背伸びもせず、萎縮 もせず、奉仕の心とゆとりを持って着実に日々 の生活を営んで生きたいと考えている。

文才のない、稚拙な文で恐縮しているが、干支の卯年に因んで、お許し願い一読して下さり 望外の喜びである。