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九州ブロック学校保健・学校医大会関連行事

U.平成22 年度九州各県医師会学校保健担当理事者会
  (日本医師会学校保健担当理事との懇談会)

開催県である鹿児島県医師会の池田哉会 長の挨拶の後、日本医師会の原中会長より概ね 以下の通り挨拶があった。

「少子化、あるいは日本全体の人口減少に歯 止めがかからないような状態の中で、この学校 医の存在は大変重要になってくるだろうと思 う。この会が学校医として十二分な実行力のあ る会議になれば良いと思っている。よろしくお 願いしたい。」

挨拶の後、(1)未成年者への禁煙指導につい て、(2)新型インフルエンザ(A/H1N1)ワク チンの再接種の推進について協議が行われた。 概要は以下の通り。

(1)未成年者への禁煙指導について(沖縄県)

<提案理由>

本県における未成年者への禁煙指導について は、地区医師会単位で取り組みが行われてい る。本会としては、県全体で統一的な活動を行 うことで、より効果的な成果が得られると考え ているが、具体的な方策については模索してい るところである。

各県医師会における未成年者への禁煙指導、 または今後予定している活動等があればご教示 いただきたい。

○各県回答

大分県、福岡県、長崎県、宮崎県、熊本県で は、現在具体的な取り組みは行っていないとの ことであった。

佐賀県では、平成16 年度に健康アクション 佐賀21 推進協議会に対し、学校医や学校歯科 医、学校薬剤師による児童生徒を対象とした防 煙教育を行うよう提言し、現在、全ての小、中 学校で防煙活動が行われていると回答があっ た。また防煙活動を行うための、共通の教材を 佐賀県医師会喫煙防止対策委員会が中心になり 作成していると説明があった。

鹿児島県では、平成15 年に禁煙対策小委員 会を設置し、平成16 年から19 年の3 年連続で 「こどもたちをタバコから守るために」をメイ ンテーマに、全国禁煙指導研究会を開催してい ると回答があった。

各県回答の後、日本医師会の石川常任理事よ り以下の通りコメントが述べられた。

喫煙の害について見聞するというだけでは上 手くいかず、周囲の人たちの禁煙に対する環境 づくりが最も効果的ではないかと考えている。 佐賀県医師会の取り組みのように、学校医がい ろいろなところに出向き、喫煙する人口を周囲 から少しでも減らしていくといった地道な試み が一番大事ではないかと思っている。

(2)新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンの再接種の推進について(福岡県)

<提案理由>

新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチンに ついては、平成21 年10 月より、国が実施主体 となり、順次、対象者への接種が進められてき たが、先般、大阪市立大学の研究により、ワク チン接種後4 カ月で、有効率は半分に低下する との発表がなされた。

新型インフルエンザ(A/H1N1)は、インフ ルエンザとしては特異な性質を持ち、昨年は夏 季にも、特に沖縄県で流行がみられた経緯があ り、今年度もすでに、山梨県と鹿児島県沖永良 部島で、5 月に集団感染が報告されているが、 沖永良部島で発症した児童は、全例、昨シーズ ンにワクチン接種を受けていた。

以上のことから、特に昨シーズンの感染拡大 の核となった児童・生徒に対するワクチン再接 種が必要ではないかと考える。

また、医療機関には、現在、多量のワクチン 在庫があり(福岡県:平成22 年4 月30 日時点 で1 億2 千2 百万円分)、再接種により在庫の解 消にも繋がる。

本件に関し、各県のご意見を伺い、今後の対 応について協議させていただきたい。

○各県回答

大分県、長崎県、熊本県では、再接種は考え ていないとの回答であった。

沖縄県、宮崎県、佐賀県、鹿児島県では、再 接種を行う方向で考えているとの回答であっ た。その中でも宮崎県は県にも申し入れてお り、鹿児島県では在庫の期限が切れても廃棄し ないで保管をして下さいという通達を出すなど の活動を行っているとの報告があった。

各県回答の後、日本医師会の石川常任理事よ り以下の通りコメントが述べられた。

ワクチンの買い取りの問題については既に、 今年の2 月位からいろいろなところで発信があ り、それぞれの県から問い合わせもある。それ を受け、厚労省は買い取りの方向でいった方が 良いだろうと大筋の判断をした。今のところ、 どういう形で卸やメーカーと調整するのかにつ いては未定である。

日本医師会の石川常任理事のコメントの後、 日本医師会の原中会長より以下の通りコメント が述べられた。

ワクチンを国に買い取ってもらうということ は、日医は以前より交渉していた。ところが政 府の中で、それだけ買ったのは厚労省の責任だ ということで財務省が一切お金を出すと言わな かった。総理を含め調整したが、お金がないと いうことがはっきりした。それでも日医として は、2 回接種が1 回接種になったりと、いろい ろな指令を間違ったのはそちらであって、買い 取ることは国の義務だということを話し、厚労 省はメーカーに泣きついたというのが現状であ る。我々としては少なくても、手先になって協 力した人間に損をかけるということが免れたこ とだけは良かったと考えている。

中央情勢について

日本医師会の石川常任理事より、中央情勢に ついて以下の通り報告があった。

先般、学校保健委員会が行われ、その際、会 長から諮問が出された。地域医療の活動の一環 として学校保健を位置付けたいとのことであ り、勤務医の参加を活発にしていきたいとのこ とであった。

実は今季こういうモチベーションがある。文 科省の小中教育局の上の方が医師会を訪れ、地 域で子どもを見守るネットワークというものを 作りたいので、それに参加して欲しいという話 だった。いろいろな業界の方から医者も入って 頂いた方が良いのではないかという意見があり 医師会に話をもちかけたとのことだった。医師 会では学校保健会というものが古くからあり、 学校保健を一生懸命やっているという話をする と、「そうですか」という感じであった。その ことを副会長や常任理事の先輩の先生方に言う と皆激怒していた。縦割りというのはこういう 弊害がある。青少年スポーツ局が学校保健の担 当で、小中教育局は学校保健のことが全く見え ていない。従って、学校保健を市民や国民に見 える形で取り組んでいく必要があるのではない かと思った。そこで今学校医が足りないという こともあるので勤務医の力を借りたいと考えて いる。産婦人科の勤務医の方は内部から性教育 に関わりたいという思いがあり、そういうこと も含め勤務医の参加を求めたい。

学校保健委員会では、ワーキンググループを 作り、HPV や運動器等の問題について議論を 行い、この2 年間で実行あるものにしていきた いと考えている。

その他

福岡 原口宏之理事

2 年後の話ではあるが、福岡県が平成24 年 度の当番になる予定である。協議の結果、平成 24 年8 月4 日(土)、5(日)ホテルニューオー タニ博多にて開催の予定である。よろしくお願 いしたい。