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第23 回全国有床診療所連絡協議会総会

玉城信光

副会長 玉城 信光

7 月31 日から8 月1 日にかけ岡山市にて開催 された。担当県の会長井戸先生のご挨拶の後、 今年から全国有床診療所連絡協議会の会長に就 任した日医常任理事の葉梨会長の挨拶があっ た。日医の歴史の中ではじめて全国有床診療所 連絡協議会の会長が日医常任理事なのでこれか ら有床診療所問題の解決に大きな期待が寄せら れる。

原中日医会長の到着が遅れたので議事を先に 進行し、決算の承認、来年度予算の承認がなさ れた。

原中会長は講演の中で、これまでの日医、全 国有床診療所協議会の活動により今年度の診療 報酬の改定で有床診療所の入院基本料が少しア ップになった。しかしながらまだまだ不十分で 今後の活動の必要性が語られる。有床診療所は 急性期からの退院の受け皿や地域医療連携の中 で重要な役割を担う必要があるなど報告された。

面白い講演は民主党参議院議員の桜井充先生 の講演であった。先生は宮城県で心療内科をし ており、適切な医療費を考える議員連盟の会長 をしている。

日本の医療がOECD で評価されているのは、 1.コスト、2.アクセス、3.クォーリティー の3 つの評価で一位になっている。住宅価格の 暴騰と下落のカーブをみると、日本のバブル崩 壊とアメリカのリーマンショック後のカーブは 15 年遅れだが同じカーブを描いている。すな わちアメリカの経済はすぐには立ち直れない。

自動車や家電業界の業績は低迷し往時の1/10 の税金しか納めていないが、製薬業界は現在の 不況の中でも低迷していない。すなわち製薬や 医療産業は不況に強い産業であり、エコポイン トで自動車産業や家電産業に投資するより、製 薬業界の開発などに資するような戦略が必要で ある。世界の薬のトップ90 %以上は数カ国の製 薬メーカーの薬である。その中でアジアの製薬 メーカーは日本のみである。アジアにおける成長 産業として他の国が真似をすることはできない。

7 対1 看護などで地方においては看護師不足 になるので、看護補助者やクラークも入れた医 療人員を病院の基準として診療報酬に反映させ ることも考えてよいのではないかとユニークな 人材活用法を語った。

現在日本人の資産1,500 兆円の中で201.9 兆 円を75 歳以上の高齢者が保有している。この 原因として老後の心配があるので保有している とのアンケート調査がある。医療や介護など老 後の安全、安心が確保されるとこれらの資金が 世の中に回るようになる。国家予算の2 年分以 上である。民主党の適切な医療費を考える議員 連盟に140 名以上参加していただいているの で、あらゆる医療分野で現在検討をすすめ医 療、介護を産業にすることを考えている。

国立大学の債務が9,000 億円ある。建築資金 などを含むが、これらを国が肩代わりをすると 大学病院が虫垂炎の手術をして利益を上げるよ うなことがなくなり、高度な医療に対する投資 ができるようになる。これらは大学の医療をさ らに向上させることになるので、これらも検討 対象にしている。

桜井先生の話は具体的で大変面白いものであ った。民主党にもしっかりとした考えを持って いる人がいるものだと感心した。

また、医療審議会委員を務める渡辺俊介さん の話も民主党が考えている成長戦略と有床診療 所の役割、医療界のすすむべき道に示唆を与え てくれた。