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都道府県医師会産業保健担当理事連絡協議会

理事 金城 忠雄

平成22 年7 月28 日(水)、日本医師医会館 において標記連絡協議会が開催されたので、そ の概要を次のとおり報告する。

この協議会は、平成22 年2 月12 日にも同様 な協議題で開催され1、「地域産業保健センター 事業の見直しについて」改めて、厚生労働省か ら説明を求めると共に、さらに今回の見直しに ついて各県医師会に依頼をした「アンケート調 査結果」を報告することを目的に開催された。


開 会

定刻となったので、今村聡日本医師会常任理 事司会のもとさっそく会議が開始された。


挨 拶

原中勝征日本医師会長

都道府県の地域産業保健センターが非常に問 題となっている。ご周知のとおりこの4 月に産 業保健センターも仕訳になった。いろんな変更 が迫られている中で、37 の都道府県医師会に おいては地域産業保健センターを引き受けてい ただき、残りの10 の県医師会については、推 進センターが引き受けていただいた。

日本医師会の先生方と一緒になって地域の中 小企業の事業所の労働者を守ろうと一生懸命に 努力している現状を知らないままに事業仕訳の 中で、予算の削減が行われておりまして、大変 なところである。

さっそくいろんな貴重なアンケートに回答をい ただきまして、この結果を厚労省、労働局あるい は政務三役を含めて、是非国民のために適正な 政策を実現するために、強い要望書を出した。

いろいろと問題はあると思うが、国民を守る という観点から、我々役員もみなさんの要望を 受けて一生懸命努力するのでよろしくお願いし たい。


議 事

(1)地域産業保健センター事業並びに産業保健推進センター事業に関するアンケート調査報告結果(今村聡常任理事)

今村常任理事から資料に基づいて、アンケー ト調査結果が報告された。この調査は、この度 の地域産業保健センター事業の見直しが充分な 準備期間のない中、実施されたことを受けて、 各都道府県医師会においてどのような問題が発 生しているのかを日医として適切に把握して、 調査から得られた結果について政府や与党はじ め関係団体に要望する際の資料として活用する ことを目的として実施された。

今村常任理事からは、アンケート調査結果を まとめ7 月15 ・16 日の両日に亘って、厚生労 働大臣、両副大臣、政務官、労働基準局長等に 対して要望書を提出したとして報告がなされ た。以下、アンケート調査の結果について、報 告がなされた。

■地域産業保健センター事業(地産保)の実施について

平成22 年度より、地域産業保健センター事 業が都道府県単位での実施となったが、貴会で は、地域産業保健センター事業を実施すること になったかについては、各県の回答は以下のと おりである。

実施するが、79 %、37 県。実施しないが 21 %、10 県。実施しないとした10 県について は、「労働者健康福祉機構」の方で対応するこ とになった。

■労働局との契約締結について(以下、受託していない10 県除く)

労働局と契約を結ぶにあたって、どのような 点が問題となったかについては、先ずはじめに

■委託費用について

1) 十分と言えない16%、6県、2) 不十分62%、 23 県、3) どちらとも言えない22 %、8 県。

具体的意見な意見はつぎのとおりであった。

  • 運営事務費が不十分で、医師会の持ち出し。
  • 消費税が医師会の持ち出しとなっており、大きな負担。
  • 従来の事業内容を維持しつつ、事業継続していくには、不十分。
  • 従来の地産保センターごとに実施方法が異なり意見集約が困難。
  • 相談医の謝金が低い。交通費算定も厳しく、実情にあわないなど意見があった。

■予算執行の柔軟性について

1) の柔軟性があるには4 県の11 %。2)柔軟 性がないは16 県の43 %。3) どちらとも言えな いが17 県の46 %とであった。

<その他の意見>

  • 謝金の支払いが、給与所得扱いであったり、雑所得扱いなど、見解が統一されていない。
    厚労省が、国税局と交渉し、統一見解を出すべき。
  • 従来、監督署単位で契約されてきたので、地産保センターの運用法が統一されておらず、対応が困難。
  • 事務所の賃貸料に関し、標準的な例を示すべき。
  • 旅費が公的交通機関を利用することを前提に算定されているが、公的交通機関が乏しいところもある。
    地域の実情に即した柔軟な対応が必要である。
  • 謝金・交通費の支払いに関し、コーディネーター個人のロ座を開設することになっているが、
    税務署から個人所得と指摘される危険性があり、郡市区医師会、団体の名義で管理できるようにしてもらいたい。

■総括コーディネーターの確保はどのようになっているのか

1) 容易が33 %で12 県。2) 困難が38 %で14 県。3) わからないが28 %で、10 県。未回答 3 %で1 県となっている。

<主な意見>

  • 県医師会や郡市区医師会をよく理解しているなど、経験や条件にあう人材確保が困難。
  • 総括コーディネーターの確保に当たっては、その職務や職責が不明瞭なため、選択が困難。
  • 地区医師会職員が、地産保のコーディネーターを兼務している。
  • 総括コーディネーターは月2 回の手当で何の仕事ができるのか、安い報酬で優秀な人材は確保できない。

■郡市区医師会の協力を得るにあたり、問題点となった点について

  • 都道府県医師会と地区医師会の間では再委託になるため、業務委託契約を結べない。
    地区医師会は、今年度はどことも契約がないため、地産保事業の運営根拠がなくなっている。
  • 事務処理等業務量が非常に多い。
  • 郡市区医師会にとっては、梯子をはずされた印象をもっており、意欲喪失の感は否めない。
  • 地域独自の特色ある事業があり、それが画一により失われる。
  • 地産保の業務軽減にならない。また、メリットは少ない。

■労働局との連携については以下のとおりであった。

1) 協力的76 %で28 県。2) 非協力的5 %で2 県。3) どちらと言えない19 %で7 県となって いる。

<その他の意見>

  • 労働局レベルでの理解が不十分で、対応が困難なこともあった。
  • 労働局が実態を把握しておらず、労働局の曖昧な対応に各地産保センターの不満が大きかった。
  • 労働局の対応は、協力的で、意見交換を重ねている。
  • 労働局としての今回の件に関する対応には限界があった。

■地域産業保健センター事業を産業保健推進センターが受託したことについて、
 産業保健推進センターとの連絡は(県医師会が受託してない10 県に確認)

1) とっている90 %で9 県。2) とっていない 10 %で1 県となっている。

■地域産業保健センター事業を受託しなかった理由(複数回答)
 (県医師会が受託してない10 県に確認)

1) 準備期間不足10 県。2) 協力得られず3 県。 3) 事務負担大10 県。4) 事業効果疑問2 県。5) その他3 県であった。

■平成23 年度(来年度)の地域産業保健センター事業について

厚生労働省内事業仕分けにおいて、平成25 年度までに、産業保健推進センターと新たな地 域産業保健事業(現在の地域産業保健センター 事業)について、全体として財政支出を約3 割 削減という案が出さた。予算が削減された場 合、地域産業保健センター事業に応募する可能 性は。(以下、47 都道府県回答)

1) 可能性は大2%、1県。2) 可能性は小26%、 13 県。3) 可能性はなし26 %、11 県。4) わから ない46 %、22 県。

■行政刷新会議の事業仕分けの結果について

産業保健推進センターの1/3 程度への集約化 と予算を3 割に縮減することに対して

1) 反対76 %、36 県2) 止むを得ない13 %、6 県3) どちらとも言えない11 %、5 県となった。 主な意見はつぎのとおりであった。

<反対理由>

  • 産業保健活動が大きく後退する。事業そのものが形骸化する可能性がある。
  • 産業保健サービスの地域格差が拡大する。
  • 事業への意欲が低下。
  • 推進センターの事業を地産保センターへ丸投げしようという意図が明らかである。
    逆に推進センターに地産保センター事業を担わせ、存在意義を示すべき。
  • 研修、情報提供、物品貸与、産業医からの相談対応に支障が出る。
  • メンタルヘルス対策など社会的ニーズが高い事業の実施が困難になる。

■集約化により、貴県に推進センターがなくなった場合、地産保センター事業への影響は

1) 大きい66 %、31 県、2) 小さい11 %、5 県、3) わからない23 %、11 県となっている。

■集約化により、貴県に推進センターがなくなった場合、産業医研修事業への影響

1) 大きい85 %、40 県、2) 小さい11 %、5 県、3) わからない4 %、2 県である。

■集約化により、貴県に推進センターがなくなった場合、会員である産業医への影響

1) 大きい72 %、34 県、2) 小さい13 %、6 県、3) わからない15 %、7 県である。

■集約化により、貴県に推進センターがなくなった場合、メンタルヘルス対策支援センターへの影響

回答は以下のとおり、1) 大きい70 %、33 県、2) 小さい9 %、4 県、3) わからない21 %、 10 県。であった。

■産業医共同選任助成金が廃止された場合、会員である産業医への影響は

1) 大きい40 %、19 県、2) 小さい28 %、13 県、3) わからない32 %、15 県であった。

■小規模事業場の産業保健活動に関する医師会の関わり方について

<意見>

  • 地域に密着した地区医師会が、地域の小規模事業場の産業保健活動に関与することが望ましい。
    地区医師会が活動しやすい環境を整備してもらいたい。
  • 小規模事業の産業保健に関する理解が乏しく、定期健康診断の受診率も極めて低い。
    医師会としては、地産保センターの周知を図り、健康相談や個別訪問により積極的に関与すべき。
  • 産業医選任義務がある事業所の労働者の人数を50 人から30 人に引き下げるべき。
  • 小規模事業に対して、研修会や相談事業を行いながら、労働者の健康を守ることは医師会の責務である。
    等の意見があった。

■厚生労働省に対する意見・要望等について

<意見>

  • 地産保センター、推進センターの役割を踏まえた上で、国としての労働行政に関するしっかりとした考えを示してほしい。
  • 早急に制度改革を進めすぎる。
  • 労働者の健康管理は国の根幹であり、もっと手当てすべき。
  • 事業の経費削減、効率化のみの理論で予算の縮減や集約化については、怒り心頭であり、大きな挫折感でいっぱいである。
  • 理念には賛同するが、今後もこの方式を続けるのか。今回を機会に、制度を抜本的に見直してはどうか。

以上、資料に基づいて今村常任理事からアン ケート調査結果について報告があった。


(2)地域産業保健センター事業並びに産業保健推進センター事業について(質疑応答含む)(厚生労働省労働衛生課 鈴木課長)

つづいて、厚生労働省労働衛生課鈴木課長か ら、この度の地域産業保健センター事業の見直 し等について、つぎのとおり説明があった。

平成22 年度の見直しについて、2 つほど大き な流れがあった。きっかけは一つしかないのだ が、平成19 年度の予算について、会計検査院 の指摘で、不適正経理が発見された。全国均一 に事業を展開しているつもりであるが、謝金や 交通費の支払いにおいて、若干の伝達の不徹底 等があり裁量権も持たしているというようなこ とがどうも、裁量権が拡大的に解釈されている こともあった。いずれにしても、労働局と会計 検査院の見解の差はあったとしても、結果的に は、不正経理であるとして指摘された。これ は、厚生労働省、基準局に限らず様々な契約が あって、特にその年度に多くの指摘があったと して参議院本会議で決議があって、契約の適正 化が求められた。

これを受けて、当時長妻大臣の方から不適正 経理の再発防止を図るようにと求められて、具 体的には一部の監督署単位で起こった話しであ っても、やはり運営上の脆弱性とか、地域産保 センターが347 に分かれていることから、いろ んな解釈の不整合が起こるであろうということ で、どうしたものかということで、それを解釈 するには従来どおりでは、大臣に納得いく回答 にならないということで、当時行政の検討会で いろんな、同じ県内でもデコボコがあって、予 算を流用する際に、その手続きが煩雑過ぎると いうことで、それを可決するには少し大きな単 位で、場合によっては都道府県単位で運営し て、もう少し柔軟に傾斜配分できるのではない かどうかということで検討していた。

それと地区医師会にも要素があったとして、 事実として産業保健委員会でもいずれ将来的に は都道府県単位で運用すべきであるとありまし て、昨年末かなり押し迫ってからであったの で、従来どおり347 箇所の産保センターのまま でやりますとなると、ただ、不正経理にこれだ けの対策を講じますというだけでは、なかなか 納得はいただけないのではないかという要素 と、もし従来どおりの提言の方法で一つ一つの 面で改善していきますと言ってそれで駄目と言 われたら、いよいよその後で、さらに別の案を 提示した方で了解をいただいて手続きに入る と、4 月から一定期間産業保健センター事業は とまることが容易に予測できたので、その時の 判断しかないが、非常に拙速というか、時間の ない中でいきなりやるのかというご意見で、 重々承知の上で医師会に来年度から、都道府県 単位ということを検討させていただきたいとい うことで連絡をした。

もちろん、非常に困難を伴うことは事実であ るが、年末で特に予算がきまりつつある中で、 表現が正しいかどうか練らないが、とにかく4 月にぎりぎり間に合うよう、大臣に納得いただ ける方式として、これしかないのではないかと いう、可能性に賭けてみた。

その後の経緯は、みなさんご存知のとおり だ。さんざんご迷惑をお掛けした。また、347 から都道府県単位になると、競争性も発生する のではないかということで、19 年にあれだけ議 論があって都道府県方式に落ち着いたのを、ま た、競争入札という要素も入れなくてはならな くなった。47 の単位になったのは、そのような 理由だ。

不適正再発防止のためには、そのときに可能 性のあった47 というまだ十分に熟してない理 論の途中経過であったが、可能性に賭けるとい うことと、今年から企画競争ということである が、企画競争の書き方について、都道府県に十 分に指導をさせていただくことで、何とか重い 宿題にかえたいということで、本年度の都道府 県単位の契約に大変おさわがせしたという経緯 がある。

その外に、我々としてはなかなか想定外のこ とがあって、行政刷新会議が行われた。厚生大 臣の肝いりで、内閣府の行政刷新会議に対応 するため省内事業仕分けを策定して、省内自 ら改革を目指して8 つの原則を掲げて行ったと ころだ。

今回の事業仕訳第二弾の中で、独立行政法人 及び政府系の公益法人が行う事業の徹底見直し ということで、産業保健推進センターが対象と なり、これに関連して類似の事業の横断的な見 直しも含まれ、その中の地域産業保健産業セン ターそのものは仕訳の対象にはならなかった が、統合すべきではないのか、廃止すべきでは ないのかが、省内仕分けの中でも議論となった ところだ。

以上、これまでの経緯について厚生労働省の 鈴木課長から説明があった。この後、これまで の経緯も踏まえて、厚生労働省側との質疑に入 った。

【質疑応答】

☆埼玉県:地域産業保健センターに会計検査院 の監査が入った。謝金と交通費について、見解 の相違があり過去に遡って返還するよう指摘が あったので、統一した見解を出してもらいたい。

●厚労省:解釈の違いから、ご迷惑をお掛けし ている。少なくとも、同じような指摘を受けな いように検査院とも調整を図りながら対応をし ていきたい。

☆京都府:産業保健推進センターが、平成25 年度までに、47 センターを1/3 程度に削減し ようとしている。医師会の先生方が努力してこ れ発展させてきた。このようなことは是非撤回 してもらいたい。

●厚労省:事業仕訳の中で厚生大臣からも、事 業を一本化するようとのことでこのような形に なってしまった。さらに、本部である労働者健 康福祉機構の方も人員の削減などが求められて いる。医師会からの要望については、優先的に 対応しなければならないと考えている。

○日医:推進センターの仕訳については、所長 会議でも議論になった。日医はこれを容認して いるわけではない。党・大臣等にもこういうこ とでは困ると言っている。現時点ではまだはっ きりしたことは言えない。

☆秋田県:産業保健推進センターが1/3 にな り、秋田県から推進センターがなくなった場 合、地域産業保健センター事業はできなくな る。その場合どのようになるのか。
また、50 人以上の事業所は地域産業保健セン ターが担当するのか。

●厚労省:事業そのものはなくならない。労働 局で対応することも考慮しなければならない。 したがって、引き続き医師会の協力をお願いし たい。25 年度までに、廃止された場合に、連 絡事務所を設置するのかなど、従来の水準を維 持できるよう検討しているとこである。

☆群馬県:障害保険については、県医師会で対 応してくれとのことだが。

●厚労省:このことについては、想定してなか ったので課題としたい。

○日医:日医の委員会でも協議されている。ど のようなものに使えるということで検討してい る。改善できるものは改善したい。個別で対応 できるものは、改善していただきたい。

☆東京都:再委託契約について、都にある18 の産保センターに事業契約を結ぶことは再委託 契約になるのか。

○日医:アンケートの回答にもあったが、問題 となっている。一番大事なところなので、ここ は適切に対応していただいて後日文書で回答を いただく。

☆埼玉県:相談者がいなくても、謝金は払って もらっている。これは本部の労働者健康福祉機 構から回答をいただいている。ここは統一して もらいたい。

○日医:現場が混乱しないよう、統一してもら う。厚労省で検討してもらう。

☆東京都:受託金の使用範囲が非常に狭い。そ のため、医師会からの持ち出しになる可能性が ある。今回、都道府県医師会が受けたが持ち出 しにならないよう、はっきりさせていただきた い。文書を出していただきたい。

●厚労省:予算は年々増やしている。それでも ニーズの多いところには傾斜配分をしている。 来年度の予算で増やしますということはこの場 で言えない。

☆東京都:消費税についても、何等かの負担が 発生しているので、どの時点で負担をするのか なども含めて回答してもらいたい。

日医:今村常任理事まとめ

今回、事前に早急に始めた予算なので、こう いったことも含めて厚労省に認識していただく ためにアンケート調査を行った。今後、このよ うな問題を指摘していきたい。

ただ、日医もきょう説明したから終わりでな く、元々郡市医師会が担当されていた事業の中 にいろんな問題があった。今回、急遽都道府県 医師会になったために、さらに問題が上積みさ れている。この度の推進センターの削減問題も ある。原中会長から産業委員会に対する諮問が 地域産業保健センターのあり方など、どういう ふうに関わってくるのか、もう一度見直してく れとの諮問となっている。このような会議を頻 回に開催することは難しいので、今後は産業委 員会の先生方はブロックから出ているので、ブ ロック単位でどのような問題が発生しているの かなどを集約して委員会で議論をしていただい たいと思っている。日医も、新年度予算の推移 も見ながら、先生方の意見を伺いながら産業保 健のあり方を新たに提案していきたいと考えて いる。是非ブロックの先生方にご意見を出して いただきたい。


1 詳報「沖縄県医師会報」H22 ・4 月号P32 〜 38 参照。議題は「地域産業保健センター事業の見直しにいて」日本医師会から経過報告と説明が行われた。




印象記

金城忠雄

理事 金城 忠雄

この協議会の目的は、新政権が労働基準監督署単位に郡市地区医師会347 か所に設置していた 事業を、都道府県医師会単位に47 か所に集約した状況を把握することにある。

平成22 年度新規事業の「産業医選任義務のない労働者50 人未満の小規模事業所の地域産業保 健センター事業見直し」について、はじめての協議会が開催された。

当初医師会としては、見直しが拙速すぎるので拒否する意見もあったが「国民の生命と健康を 守るのは医師会の使命である」として小規模事業所労働者の健康管理が後退することは極力避け ねばならないと引き受けた。

沖縄県も、各地区医師会の強い要望により「地域産業保健センター5 事業所」を県医師会が統 括して「平成22 年度からの新規事業」に参入することになった。

日本医師会は、今回のアンケートの結果を今後の「地域産業保健センター事業」の参考にした い意向のようだ。

都道府県医師会には、この事業を統括しているために、早急な制度変更に加え、新たな費用や 事務作業の負担増になるとの不満がある。しかも、国の事業仕分けで、産業保健推進センターも 約3 割縮減の改革案が提示されていて労働保健サービスが低下している。

今村常任理事は、国からの委託による産業保健センター事業の継続か撤退かについては、予算 を含めた政府の対応を見て決めたいとしている。


新政権の産業保健医療行政をうまく運用するには、財政事情もあり、まだまだ時間がかかりそ うだ。医師会員間の話題で、民主党政権は、労働組合・連合の支持により成立したからには、労 働者の健康保健については、もっと真剣であって欲しいものだと話していた。もっともな意見だ と思う。