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沖縄県公務員医師会会長 本竹 秀光 先生

本竹秀光先生

次の沖縄県の医療を担う若 手医師の育成が重要。そのた めには沖縄県を臨床研修教育 のメッカにしたい。

Q1.沖縄県公務員医師会長に就任され、約1 年が経ちますが、これまでを振り返っての 感想と、今後の抱負をお聞かせ下さい。

大城清前会長から会長職を引き継いで一年が 経過しました。

平成21 年度は県立病院経営再建計画の初年 度で課題山積みのスタートであったと思いま す。3 年後の平成24 年までに経営再建計画の 達成が困難と見込まれる場合には地方独立行政 法人への移行が検討されるということで、現場 の医師にはかなりのプレッシャーがあり、従っ てこの一年間は病院経営が理事会の話題の中心 になりました。私は会長になって理事を次の県 立病院を支える若手に刷新したわけですが、彼 らはこれまでは、自分たちの役割は日常の診療 であり病院経営は管理者の仕事という認識でし かありませんでした。しかし、病院現場では過 労死が心配されるくらい一生懸命に働いている のに何故赤字が解消されないのかという疑問が 理事一人一人に県立病院経営の状況把握、その ためには経営に関する勉強が必要だという認識 を芽生えさせるきっかけとなりました。

平成22 年1 月に公務員医師会理事会と各県 立病院の医師管理者で県立病院経営についての 勉強会を開きました。90 %以上の管理者が集 まり有意義な勉強会となりました。

また、各県立病院では事業局が委託した経営 アドバイザー達が経営に関する出前講義を行な い、その結果、職員一人一人に経営に対する認 識が芽生え始めました。

平成22 年2 月27 日には知念前病院事業局長 と各県立病院院長が世話人となって第1 回沖縄 県立病院運営研究会が南部医療センターで開催 されました。それぞれの施設から経営に関する 取り組みが発表され、県立病院は六つで一つを 合言葉に研究会は成功裏に終わりました。

これらの意識の変化は平成21 年度の県立病 院決算見込みにも反映されました。経常収支が 31 年ぶりに黒字になったことが新聞報道で報 告されました。これからも更なる経営努力はも ちろんでありますが、今年度は現場の職員が満 足できるような職場環境作りにも努力していき たいと考えています。

Q2.貴会の基本的な活動内容、また、特に力 を入れている取り組みがありましたら教え て下さい。

沖縄県公務員医師会は会員相互の親睦と相互 扶助を図り、沖縄県の医療、公衆衛生の向上お よび県民福祉の増進に寄与することを目的に設 立され、基本的にはこれらを達成することを目 標に事業を行っています。県民に安全、安心の 医療を提供するためには公務員医師の勤務環境 の整備が第1 位と考え、公務員医師労働組合と 協力し事業を展開しています。また、沖縄県医 師会を中心とした地区医師会会議などへの参加 で、お互いのコミュニケーションを良くし、県 民に良い医療を提供することも事業活動の大き な柱であります。医師の生涯教育は重要課題と 位置づけ、県立病院間での交流、県外、国外へ の留学などのサポートなどを行っています。

Q3.医師不足と医師の過重労働が全国で取り ざたされる中、沖縄県も例外ではなく、取 り分け離島、僻地医療を担う医師の不足の 問題は深刻ですが、その解消に向けた貴会 からの提案や展望をお聞かせ下さい。

現在、沖縄県の離島、僻地医療は県立病院、 琉球大学病院が中心を担っていますが、最近は 民間病院からの応援も始まっています。沖縄県 の医療従事者が皆で離島、僻地医療を支えよう と言う意識の表れであり、非常に喜ばしいこと でありさらに発展させたいものです。離島、へ き地医療の担い手は若手医師が中心ですが、彼 らが安心して医療に従事するためにはそれぞれ の派遣病院のバックアップは不可欠です。彼ら が離島、へき地診療従事期間中でもキャリアア ップが図れるように学会や研修会への参加をバ ックアップすること、過重労働にならないよう に充分な休暇を考慮することは最低限必要と考 えています。ちなみに県立病院では中部病院を 中心にネット回線を使って早朝カンフアレン ス、コアレクチャーなどを離島病院、僻地診療 所に配信しています。

Q4.本会または日本医師会へのご意見・ご要 望がありましたらお聞かせ下さい。

沖縄県医学会総会についての要望がありま す。現在の学会発表の形式は専門分科にカテゴ ライズされすぎていると思います。自分の専門 分野の発表が終わると学会は終了と帰宅してし まう会員がほとんどだと思います。沖縄県医学 会は年2 回ありますので、其のうち一回は以前 のように、内科系、外科系、産婦人科系、小児 科系の大枠で口演形式に戻したらどうでしょう か。先輩、後輩の先生方を知るきっかけが作れ るし、ひいては診療面での連携が取りやすくな るのではないでしょうか。学会終了後の懇親会 も必要かもしれません。

Q5.最後に日頃の健康法、ご趣味、座右の銘 等がございましたらお聞かせ下さい。

私は大学卒業後中部病院で外科研修を受け研 修終了後は外科スタッフとして臨床研修教育に 携わってきました。若い先生方と接する機会が 多いのは役得で精神的な若さを保つ秘訣かなと 思っています。心臓外科医は365 日24 時間オ ンコール状態ですが、時間があれば仲間とゴル フをしたりワインを飲んだりでストレスをため ないように努めています。座右の銘は私の師で ある真栄城優夫先生の実践されてきた(希望あ らば道あり)です。

この度は、インタビューへご回答いただき、 誠に有難うございました。

インタビューアー:広報担当理事 當銘正彦