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不思議の國のアリスと
アリスインワンダーランド

比嘉耕一

ひがハートクリニック 比嘉 耕一

子供(3 〜 5 歳?)の頃、親戚のお兄さんに 連れられて映画見学に行きました。彼は中学生 だったと思います。その時に初めて映画を見た のですが、それが「不思議の國のアリス」でし た。日本での初上映が1953 年だそうです。沖 縄での上映が同時なのか1 〜 2 年遅れだったの か良くわかりません。再上映は1973 年ですの でやはり初演のものを見たということになりま す。内容はまったく覚えていません。吹き替え ではなく、字幕だったようで内容が把握できな かったと思います。この作品はディズニー作品 にしては不評だったようです。

それから55 年以上がたち「アリス イン ワンダーランド」が上映されました。しかも 3D です。初の3D 作品「アバター」に興味はあ りませんでしたが「アリスインワンダーラ ンド」は是非見てみたいと思いました。5 月中 旬の日曜日に見に出かけました。料金は千円+ 指定席四百円+ 3D メガネ百円で合計千五百円 でした。コーラとポップコーンを手に正面右側 の席に座りました。

物語の粗筋は以下の通りです。19 歳のアリ スはガーデンパーティで求婚されます。アリス は返事をする代わりに白ウサギを追ってアンダ ーランドに落ちて行きました。落ちていく途中 で白ウサギの投げた物が飛んでくるのですが、 3D 効果で実際に客席に飛んでくるようで首を すくめてしまいました。アリスは芋虫の予言の 書によればアンダーランド(アリスにはワンダ ーランドと聞こえる)を支配する赤の女王から そこを開放する勇者として伝えられています。 赤の女王は「愛されるよりも恐れられるほうが いい。」と言って、恐怖で人々を支配するマキ アヴェッリ型の統治者です。「首をはねてしま いなさい。」というのが彼女の口癖です。アリ スはその赤の女王から追われる身ですが、マッ ドハッター、三月うさぎ、やまね、ブラッドハ ウンドに助けられ、白の女王に会うことができ ました。ヴォーパルの剣を手に入れジャバオッ キーという恐竜の首を刎ねることで赤の女王の 支配を終らせました。赤の女王は恋人と思って いたハートのジャックからも手ひどい裏切りに あってしまいます。アリスはウサギ穴を出て自 分の気持ちを求婚者に告げるのですが、彼女が 選んだのは結婚ではなく仕事でした。

3D の面白さは別にしてマッドハッターの帽 子がクールでした。帽子には10 / 6 という値 札がついており10 シリング6 ペンスの値段で あることを示しています。羽根飾りやピンがア クセントになっており素敵でした。三月ウサギ の庭でお茶会がおこなわれているのですが、ア リスがやってきた時、ジョニー・デップ扮する マッドハッターが細長いテーブルの上を沢山の ティーカップ、ティーポットを越えてアリスを 迎えにいく場面が印象的でした。キノコの上で 水キセルを吸う芋虫はなんとなく麻薬中毒を思 わせる雰囲気がありました。かわいらしかった のは妻と子供のいるブラッドハウンド犬で、赤 の女王の恋人ハートのジャックからアリスの行 方を追うように命令されていました。有名なチ ェシャ猫はニヤニヤ笑いが特徴で原作どおりの キャラクターでした。

アンダーランドは、発情期で行動が支離滅裂 な三月ウサギ、水銀中毒?のマッドハッターや 首切の好きな赤の女王がいるいかれた世界で す。アリスは現実の世界から離れ自分の心の中 (ワンダーランド)に入って行くことにより成 長し、答え(何らかの解決策)を見つけること ができました。

こんな感じで2 時間弱の時を楽しみました。 アリスが向き合わざるを得なかった現実の世界 も、我々のものと同様に厳しいもので、なかな か自分の思うとおりにいくものではありません。 現実の世界で悩んでいる方はアリスと共にいか れた世界に浸ってみるのも一興かと思います。