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「愛の血液助け合い運動」月間(7/1 〜 7/31)に因んで

宮里朝康

沖縄県理学療法士会理事(事業対策局局長)
医療法人アガペ会 ファミリークリニックきたなかぐすく理学療法士
宮里 朝康

過去2 年の「愛の血液助け合い運動」月間の 行事お知らせコーナーを拝読させて頂きまし た。一昨年、沖縄県赤十字血液センター所長か らは、沖縄県の血液事業の組織的取り組みがな されている現状と、血液製剤を安定的に確保す る需給調整の状況が報告され、昨年は、医師の 立場から、医療現場最前線での救命・延命治療 時の血液製剤の取り扱いについて、細心の注意 を払って使用し、保管・管理している状況など の報告がありました。さて、この流れから行く と、今年は、献血をする側からの報告となりま すから、多くの団体が献血推進活動を行ってい る中、恐縮ではありますが、沖縄県理学療法士 会の献血推進の取り組み状況と今後の展開につ いて報告させて頂きたいと思います。

毎日のように新聞・ラジオで、献血協力の呼 び掛けが行われておりますが、皆さんはどう受 け止めていますか。献血は、健康的な生活を送 っている方であれば、200ml 献血だと16 歳か ら69 歳まで、男女18 歳・男45kg、女40kg 以 上あれば成分献血が出来るようになり、男女体 重50kg 以上からは400ml 献血もできるように なります。しかし、献血に来た全ての方が実施 出来るものではなく、献血者の健康と輸血を受 けられる方の安全性を高めるために様々な基準 が設けられています。

私は、年3 回400ml 献血する月を決めていま す。決めることになってしまいました、が正し いかもしれません。それは、沖縄県理学療法士 会で、7 月・11 月・2 月と年3 回の献血強化月 間を設定しており、その担当者が私だからで す!。今となってはライフワークの一つとして 献血カードの回数が増えていくのも楽しみにし ています。

赤十字血液センターホームページに以下のよ うな言葉が綴られています。“白血病も治せる ようになりました。しかし、治療する過程では 必ず輸血が必要です。献血で助ける命がある。 助かる命があります。”皆さんも勇気を出して 献血ルームに足を運んで見ませんか。

さて、沖縄県理学療法士会の献血推進事業も 5 年目を迎えましたが、会員への周知と献血ル ームに足を向ける動機付けがうまく行かず、数 字が伸びないのが現状です。強化月間の開催方 法もひと工夫が必要ということが分かってき て、学術大会やイベントに合わせて移動献血車 を配置すると、受付者が多くなる傾向が見られ ました。新入会員のオリエンテーションでは、 沖縄県赤十字血液センターから発行して頂いた 『献血紹介カード』を配布し、協力を呼びかけ ています。

私たち理学療法士が現場で関わる為には、ま ず、急性期での生命の危機を脱し、病状を安定 させ、体力・健康を取り戻して頂けなければな りません。私たちが関わることができない領域 (救命・延命の医療現場)でも関わることがで きないか。理学療法士は身体に触れ、体を通し て心に触れ対象者を回復させていきます。これ だけではなく、身体の中からも元気にすること が出来るのではないか。理学療法の場に来て頂 ける為に、理学療法士会ができる社会貢献の一 つとして、献血推進事業をスタートさせました。

血液事業の展望の中で危惧されていること が、迫り来る少子高齢化時代の中で、血液事業をどう支えていくかと言う事で、今後の仕組み 作りの必要性を感じ、多くの方々が尽力されて います。沖縄県理学療法士会の取り組みは、今 は点としての活動で、それが少し大きくなって いるものの需給状況を好転させるまでには程遠 い状況です。

団体毎の活動ではなく、組織的な取り組みに 変えていく『点から線、線から社会全体で支え る面へ取り組み』への発想です。この発想の展 開(夢)を以下に述べてみたいと思います。

〜献血推進ゆいま〜るプロジェクト〜

このプロジェクトは、まず、県民の命を預か る医療従事者でスタートさせたい。沖縄には、 17 の医療保健関連の団体で構成されている沖 縄県医療保健連合(なごみ会)があり、県民の 健康推進等に寄与することを目的に活動してい る組織があります。この構成団体で1 年12 ヶ 月を献血推進月間として埋め、スタートさせ る。献血推進月間の団体は、次の団体へ意志を 繋ぎバトンタッチして行く。一度回り始めたら 永遠に回り続ける。各団体が、このプロジェク トに参加することで、『点が線』となり、各団 体の構成員が組織的献血という輪の中に自分達 の団体があることを確認し、県民の救命・延命 に関わっているのだという役割を認識すること が期待できると思います。

次に、社会全体で支える『面』への取り組み としては、スタートさせた『献血推進ゆいま〜 るプロジェクト』の趣旨に賛同して頂いた全て の団体・会社・個人にも役割を担ってもらい、 徐々に広げ、幅広い年齢層で支えることが出来 れば、社会全体で支える『面』が出来ると思い ます。

理想とする社会としては、新聞・ラジオから は、血液不足の広報が無くなり献血月間となっ ている団体・会社・個人の名称が紹介される。 いつでも十分な血液が確保され、救命率が上が り、安心して生活できる社会になるという状況 です。

少し欲張りますが、この活動を沖縄だけに留 めることなく、各団体の上部団体に広げ、九 州・全国・世界へと献血の輪を沖縄から発信す ることが出来ればと思います。

この『献血推進ゆいま〜るプロジェクト』は、 この寄稿文が掲載される7 月の、「愛の血液助 け合い運動」月間からスタートを切れるように 調整を進めております。

沖縄県理学療法士会は、今後も微力ではあり ますが、社会貢献の一つとして献血推進に努め て行きたいと思います。皆様のご指導・ご協力 よろしくお願いします。

最後に、このような機会を与えて下さいまし た、沖縄県医師会広報担当理事當銘正彦様に 感謝申し上げます。