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第1 回地区医師会長会議

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る5月20日(木)、県医師会館において標記会 議が開催されたのでその概要について報告する。

冒頭、宮城信雄会長から下記のとおり挨拶が あった。

挨 拶

沖縄県医師会長 宮城信雄

皆さん今晩は。今年 度第1 回目の地区医師 会長会議を開催しまし たところ、非常にお忙 しい中、又お疲れのと ころをご参加頂き感謝 申し上げます。

現在の国の状況はと 言いますと、新政権が誕生して様々なことが期 待されましたが迷走したものが多く、特に普天 間基地の問題については、訓練は県外へ一部移 転し、残念ながら基地そのものは前政権が合意 をした辺野古沖の埋め立て地に決まりそうであ ります。そういう意味では、この6 ヵ月間はな んだったのだろうか気がしております。本来、 この普天間基地のあり方、あるいは安全保障の あり方というのは国全体で考えないといけない 問題であり、それを行う非常にいいチャンスで あったわけですが、そこのところはどうも話し 合われておらず、非常に残念なことであります。

また、新政権が誕生したと同時に4 月1 日よ り日本医師会の会長も新たに原中先生に変わり ました。原中会長からは、政府与党と医師会の 連絡協議会を作るとしてその準備を進めている との報告がありましたし、医療の政策を国に対 して対等な立場で提言できると日医ニュースに も出ておりました。そういった強い医師会を運 営していきたいとして、そのためには会員の結 束、団結が大事であると話しておりますし、会 員の声を聴くために目安箱を設けて会員が直接 原中会長に意見が言えるようなシステムをすで に作り上げているとのことです。そういう意味 では、新執行部には期待すると同時に九州ブロ ックは連携をとりながら、日本医師会の事業推 進に協力していきたいと考えております。

それから、本会でも今年度の事業方針が決ま って推進しているところですが、各地区医師会のご協力により各種委員会がすでに発足をして おります。代議員会でもお話をしましたが、平 成22 年度については地域医療再生を目指すと いうことで琉大と連携しながらシミュレーショ ンセンターの立ち上げに努力しているところで あります。また、県下には三つの臨床研修グル ープがあり、相互乗り入れを図っていく事業を 展開していきたいと考えておりますが、そのた めには各地区医師会のご協力が不可欠でござい ますので、宜しくお願いいたします。

本日の議事については、本会、那覇市医師 会、南部地区医師会からそれぞれ1 題出てお り、各地区のご意見を伺いながら進めて参りた いと思いますので、忌憚の無いご意見を賜りま すようお願いいたします。

議 題

1)地区医師会役員、本会役員のメーリング リスト作成の件(沖縄県医師会)

本会宮城会長より以下のとおり説明があった。

会員に対して迅速な情報伝達が必要である が、会員から医師会が現在どのような活動をし ているのか分かりづらいという意見がある。特 に新型インフルエンザの流行の際に声が多かっ た。医師会も種々活動を行っているが、中々会 員に情報が伝わらないことから、迅速に情報が 伝わるようなシステムを作り上げていきたいと 考えている。しかしながら全会員を対象にする には直ぐに対応出来ないことから、先ず各地区 医師会役員との間で連絡網を作るべく、E メー ルを利用したシステムを作っていきたいと考え ているためご意見を賜りたい。

各地区医師会における役員間の情報伝達状況に ついて

○北部地区医師会

大城修会長

大城修会長

携帯もしくは各医療 機関に直接連絡をして いる。



○中部地区医師会

中田安彦副会長

中田安彦副会長

数年前からインター ネットを利用して情報 を共有化している。

ご提案の件について は問題が無ければ非常 に良いことだと思う。

今回の新型インフル エンザが流行した際に、 非常に情報量が多すぎたと感じた。E メールで は情報の提供が簡単に行える反面、情報が多す ぎて収拾がつかないことにもなりかねないの で、整理も行いながら運用してもらいたい。

○浦添市医師会

山内英樹会長

山内英樹会長

十数年前より病診連 携事業の際に各医療施 設間にイントラネット を構築して、お互いに やりとりをしていた。 ただ、数年前に医師会 のホームページを作り 替え、現在はそのペー ジ上あるいはお互いのホームページを利用して 通信している。中には中々馴染めない先生もい るが原則的にはインターネットを利用している。

ご提案の件については大賛成である。

○那覇市医師会

4 年前より理事者間のメーリングリストを作 成し軌道に乗せている。

会員に対しては任意加入のメーリングリスト を作成して情報交換を行っている。しかしなが ら緊急連絡については、各施設にファックスを 送信している。

○南部地区医師会

役員の半数がメールによって情報交換を行っ ている。

ご提案の件については、本会の理事会に諮っ たところ進めて良いとの結論であった。

○宮古地区医師会

池村眞会長

池村眞会長

大賛成である。是非 進めて頂きたい。

ただ、本会では約半 数がE メールを利用し ていない状況であるが、 利用者に対しては事務 局からE メールにて情 報伝達を行っている。

○八重山地区医師会

上原秀政会長

上原秀政会長

賛成である。しかし ながら、本会ではE メ ールを利用している者 は約半数と考えている。



○国療沖縄公務員医師会

石川清司会長

石川清司会長

国立病院機構では全 国の医療機関にE メー ルを用いた情報システ ムが構築されている。 県内では4 施設のため、 主にファックスを用い ている。

ご提案の件について は全く問題ない。

○那覇市立病院医師会

喜屋武幸男会長

喜屋武幸男会長

市立病院では全員メ ールアドレスを持って いるため問題ない。



以上の意見を受けて協議した結果、E メール を利用していない役員への対応については今後 検討を行うとして、当メーリングリストの作成 を進めることになった。

2)地域医療貢献加算算定基準について (那覇市医師会)
真栄田篤彦会長

真栄田篤彦会長

地域医療貢献加算の 算定基準が不明確で現 場に戸惑いがある。そ の明確な基準について 提示していただきたい。

又、県としては地域 医療貢献加算に関して は積極的に進める方向 で考えているのか、県の考え方についてお示し 頂きたい。

補足事項

同点については24 時間いつでも連絡が取れ る体制が必要であり、やむを得ない事情がある 場合に2、3 の医療機関の連携による対応も可 能となっている。しかしながら同加算はわずか 3 点であり、24 時間対応が必要となるともたな いのではないか。また院内には対応者、緊急時 の連絡体制、連絡先等について院内掲示または これらを記載した文書の配布、診察券への記載 が必要となった。今後、時間外の対応も必要と なってくると、コンビニ受診をますます刺激す ることになりかねないか懸念される。

本県としては、同加算について積極的に進め るのか、または暫く様子を見ながらとするの か。他の都道府県の中には、同加算について非 常に問題があるとして医師会レベルで申請しな いようにしているところもあるようだが、本県 の対応は如何か。

<県医師会の回答>

平安明理事

平安明理事

九州厚生局沖縄事務 所へ届け出ている医療 機関は4 月の時点で90 医療機関となっている。

この加算は元々、薬 価関係の見直しで捻出 された300 億円を財務 省に戻さずに医療費に 使うべきだとのことで、中医協で決定される数 日前に出てきたものである。

本来であればその財源で再診料をもとに戻す のが妥当であろうが、病院・診療所の再診料を 統一するという大前提があり69 点に統一で決 定しており動かせなかった。そこで再診料に加 算をつけ、手挙げ方式で「やります」といえば そのまま加算できるようにするつもりでこの加 算が出てきた。

しかし、厚労省側から算定要件について強い 縛りが出され、対応時間についても準夜帯だけ の話であったのが、いつのまにか24 時間対応 ということになったようである。中医協の安達 委員は、24 時間対応について「当初と話が違 う」として、コアが準夜帯ということにして、 24 時間の縛りを外す方向でQ&A を作っている とのことであったが、疑義解釈その(1)では、 「電話等の対応が求められるのは夜間の数時間 のみで良いのか」との問いに対し、「コアとな る時間は夜間の数時間(いわゆる準夜帯)にな ると思われるが、他の職員の協力も得ながら、 原則、標榜時間外でも連絡が取れる体制を確保 すること」との答えになっており、コアな時間 の記載はあるものの、24 時間の縛りが外れる 記載とはなっていない。

算定基準に関して、365 日24 時間患者からの 問い合わせや相談に対応することを原則とされ ているが、疑義解釈その(1)では、「できるだ け速やかに対応する体制」があればよいとなっ ている。また、原則自院で対応することとなっ ているが、疑義解釈その(3)では、「やむを得 ない事情がある場合は例外的に病院又は休日・ 夜間診療所との連携でもよい」となっている。

主にこの2 点の解釈で医療機関は判断に困っ ているところもあろうかと思われるが、これま でに3 回の疑義解釈が出されており、だいぶ整 理されてきたようであるが、まだ十分とはいえ ずしばらくは運用面での混乱が続きそうである。

これまで述べた通り、そもそも十分な議論を 尽くしたうえで設けられた診療報酬ではなく、 建前は別にして、医療側は診療所の再診料を補 完する意味合いで持ってきたものの、ふたを開 けてみると官僚に縛りをつけられただけでなく、 地域医療を担ってきた医療機関に対し、差別的 な発想を盛り込んだものとなってしまっている。

現時点では、利用者である患者等の認識が十 分には広まっていないため、それほど利用され ていないと思われるが、今後この加算のことが 周知されるに伴い、場合によっては通常診療に 大きな支障が出てくることが予想される。ま た、対応如何では医療機関に対するクレームや 厚生局の保険指導でも問題が生じてくることが 予想される。

県医師会としては、この加算は当初医療側が 提案した内容と異なっていることや、医師に 高々3 点の加算で24 時間対応を迫り、そのこ とをもって地域貢献であるとか勤務医の負担軽 減であるとか、見当違いの方向で地域医療をさ らに疲弊させるようなあり方は看過できないも のと考えている。

一方で、現に体制を整え、施設基準を満たし たものとして申請している医療機関もあり、それ を制限したり否定したりすることも問題がある。

会員の先生方には、当該加算が前述のように 様々な問題のある経緯を持って出てきたもので あり、日医新執行部としても不本意な内容に対 しては運用上の改善が図れるように取り組んで いかなければならない、といった認識を持って いるという現状をご理解いただきたい。

現時点では、県医師会はこの加算に関しては 積極的に進めるものではなく、各医療機関にあ っては今後の動向を見ながら慎重に判断してい ただきたい。

○宮城会長

厚生局の調査では全国で25 %近くの申請が されているようである。県内については、先ほ ど平安理事からご報告いただいたが14 %とま だまだ少ない状況のようである。

理事会でも同加算について議論した結果、申 請については医師会が制限するのではなく、各 会員が同加算の算定要件を十分理解したうえ で、慎重に対応していただくことになった。

各地区からほかに何か意見はないか。那覇市 としてはいかが。

○真栄田会長(那覇市)

了解した。その対応で良いと思う。

3)新型インフルエンザワクチン余剰在庫の 取り扱いについて(南部地区医師会)
名嘉勝男会長

名嘉勝男会長

ご承知のとおり、当 該ワクチン接種に協力 した受託医療機関の殆 どが余剰在庫を抱えて おります。

今回の余剰在庫が生 じた原因には、余剰在 庫の責任を自己責任と して簡単に受託医療機関に押しつけることの出 来ない特殊事情がありました。当初国産ワクチ ンの需要量が供給量をはるかに上回っているこ とが予想されたため、優先接種者および接種ス ケジュールが国によって規定され、短時間での 履行を余儀なくされました。そこで受託医療機 関は予約のための十分な時間的余裕がとれなか ったので、各々で接種予定者数を割り出し、ワ クチンを傾斜配分方式で配給してもらいまし た。年が明けると重複予約や罹患によるキャン セルが相次ぎ、さらに2 回目接種予定の幼小 児、中・高生、一般の接種希望者が極端に減少 したのは周知の事実です。

このような自由裁量の制限された接種方式お よび予測不能の事態が、医療機関における余剰 在庫の抱え込みという結果を招いたと考えられ ます。

そこで本会と致しましては、余剰在庫を国が 引き取ってくれることを要望すべく、別紙のと おり、沖縄県知事及び沖縄県医師会長宛てに要 請文をお送りしたところですが、各地区の状況 についてご教示賜りたくお願い申し上げます。

また、沖縄県医師会におかれましては、本件 の対応を協議すべく各地区担当理事による協議 会の開催についてご検討いただければ幸甚に存 じます。

<沖縄県医師会回答>

本件につきましては、九州医師会連合会の連 名で「医療機関における新型インフルエンザワ クチンの在庫の取扱いについて(要望)」を、 日本医師会長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、 民主党県連、自民党県連、九州厚生局長、九州 各県知事に対し平成22 年3 月17 日付、送付い たしました。

本会といたしましては、現状を放置すること は今後の協力体制にも影響を及ぼしかねないと 認識しており、現在全力を傾注して医療機関の 在庫の返品を実現すべく努力しております。

<各地区医師会その他意見>

(県医師会)各地区医師会は、在庫数の調査等 行っているのか。

(北部・中部地区)調査はしていない。

(浦添地区)担当理事が把握していると思う。 当件については、今後、県医師会の対応によ り、判断したいと考えている。

(南部地区)担当理事が把握していると思う。

(宮古地区)調査はしていないが、6 〜 7 医療機 関から苦情があった。県医師会では、在庫数の 調査は行っているのか。

(八重山地区)八重山地区医師会では、会長で ある私のクリニックで集団接種を行った。現在 のところ1ml が100 数本余っている状況であ る。何とか返品したい。

長嶺信夫副議長

長嶺信夫副議長

(長嶺副議長)ワクチン の在庫数については、 県より依頼があり回答 した。在庫数は県が把 握していると思うので、 県に確認し情報提供し ていただきたい。

(県医師会)本会では、在庫数の調査は行って いない。県に確認し回答する。

国の政策により実施した結果、このように問 題が起こっている。

日医の原中会長は、政権与党との連絡協議会 を実施したいと発言された、今後も国にワクチ ンを買い取ってもらうよう日医に強く要望して いきたい。