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「未成年者飲酒防止強調月間」に因んで

前泊清隆

沖縄県警察本部少年課少年サポートセンター所長
前泊 清隆

沖縄県医師会の皆様には、平素から少年警察 活動をはじめ警察業務各般に格別な御理解と御 協力を賜っているところであり、誌面をお借り して厚く御礼を申し上げます。

この度は、折角の機会を得ましたので、県内 における少年非行等の概況や未成年者の飲酒実 態等をご説明致します。

1.沖縄県の少年非行等の概況について (平成21 年中)

平成21 年中、県内で盗み、傷害等の刑法犯 で補導されたいわゆる刑法犯少年は、1,610 人 で前年に比べ125 人(7.2 %)減少、一方、非 行の入り口と言われる深夜はいかい、飲酒、喫 煙等で補導された不良行為少年は、34,000 人 で前年に比べ、6,773 人(16.6 %)減少してい ます。

※刑法犯少年、不良行為少年の検挙・補導状況

本県の刑法犯少年の特徴は、全体の約6 割を 中学生が占め、その比率は全国平均の1.5 倍で あり、共犯率、再犯者率も全国に比べて高い水 準にあるなど、非行内容が低年齢化、集団化、 悪質化しているのが特徴であります。

また、不良行為少年の特徴は、本県の夜型社 会等を反映して、全体の約73.7 %が深夜(午 後10 時〜午前4 時)補導であることや飲酒補 導等が全国に比べて高い水準にあるのが特徴で あります。

2.沖縄県における飲酒補導等の実態

(1)不良行為少年及び飲酒補導の実態

県民総ぐるみによる未成年飲酒防止対策の推 進により、平成16 年以降、飲酒補導は減少傾 向にありますが、少年人口千人当たりで見ます と、平成20 年中は17.3 人で全国平均の6.6 倍 となっており、不良行為少年に占める割合も全 国平均の約2.6 倍(全国1.4 %)と依然として未 成年者による飲酒が多いのが実態であります。

※不良行為少年及び飲酒補導状況の推移と割合(平成21 年中は暫定値)

(2)飲酒補導の学職別、集団飲酒補導状況

飲酒補導の学職別状況、集団飲酒補導状況を みますと、下表のとおり、飲酒補導全体の約 42 %、女子少年の約58 %が中・高校生で小学 生3 人も補導されており、3 人以上の集団飲酒 で412 人(74 件)が補導されるなど、飲酒も低 年齢化、集団化しているのが実態であります。

※飲酒の学職別及び集団飲酒補導状況(平成21 年暫定値)

(3)刑法犯少年に占める飲酒割合

未成年者による飲酒が多いため、飲酒絡みの 事件・事故等は跡を絶たず、刑法犯少年の51 人(3.2 %)は飲酒絡みとなっております。

※刑法犯少年に占める飲酒の割合

3.おわりに

本県の未成年者の飲酒問題は極めて深刻な実 態にあるため、県警察におきましても学校等関 係機関・団体と連携しながら、小・中・高校生 等を対象に飲酒の危険性等を周知する非行防止 教室や未成年者飲酒防止キャンペーン等各種対 策を推進しているところでありますが、未成年 者の飲酒防止を図るためには、家庭、学校、地 域社会が一体となった取り組みが必要不可欠で ありますので、今後とも沖縄県医師会の皆様の ご協力をお願い申し上げます。