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北部地区医師会病院 院長 諸喜田 林 先生

諸喜田林先生

北部の医療体制の充実に向けて頑張ろう!

Q1.北部地区医師会病院 院長として就任さ れ、約2 年近くが経ちますが、これまでを振 り返っての感想と、今後の抱負をお聞かせ ください。

振り返ると、あっという間でしたが、荒波の 中で過ぎ去った、大変濃い2 年であったと思い ます。もちろん、そう感じたのは、私だけでは なく、病院職員、医師会の理事を始めとする会 員の先生方も同様であったと思います。おかげ さまで病院も少し落ち着きを取り戻してきてい ますが、当時は突然の人事でしたので、十分な プランを練る時間も無いまま、次から次へと押 し寄せる難題にただひたすら追われていたよう にも思います。

北部地区医師会病院は、入院病床数236 床、 職員数500 名を越える大企業です。北部にこれ だけの人員規模を抱える民間企業は他にありま せん。その舵取りをするわけですから毎日が緊張 の連続でした。まだまだやることが山積していま すが、おかげさまで病院運営も軌道に乗り出して きています。それに協力していただいた職員、医 師会員のみならず、病院を影で支えていただいた 多くの皆さんに対する感謝の気持ちを忘れてはい けないと思っています。今後の抱負としては、私 自身やんばる出身ということもあると思います が、北部全体の医療を視野に入れていきたいと思います。医師会病院を発展させることはもちろ ん大事なことですが、地域の中核病院である県 立北部病院と連携を深めていくことがとても重 要であると考えています。2 年前から、北部福祉 保健所と県立北部病院そして医師会、当院のト ップが集まる意見交換会も毎月行っており、み んなで北部の医療を考えようという機運が高まっ ていると思います。今後は、行政ともリンクして さらに発展していくと思います。

Q2.北部地区医師会病院は、「地域医療支援病 院」、さらに北部循環器センター(仮称)設 立予定と北部の中核病院として大きな役割 を担っておられますが、北部の地域医療に 対する先生の構想をお聞かせいただけます でしょうか。また、新設される北部循環器 センター(仮称)の概要について、お答え いただける範囲でお聞かせください。

広域な面積に10 万強の人口を持つ北部です が、急性期病院は名護市内に県立北部病院と北 部地区医師会病院の二箇所のみであり、地域医 療の崩壊を防ぐ重要な任務を担っていると認識 しております。北部地区医師会病院では、病院 診療のみならず、健診部門を広くカバーしてお り、その一翼も担っております。生活習慣病の疾 病予防や健診受診者の視点に立った工夫を凝らし、独自の健康管理サービスの確立が必要であ ると考えています。そうしたことからも私たち地 域にとってかけがえのない存在であることは間違 いありません。医師会病院の健全経営の維持に 努めながら、職員の質の向上に取り組み、ひいて はこれが患者さんの満足にもつながると考えてお ります。また、かねてより準備を進めていました 心臓血管センターも4 月5 日より開院いたしま す。循環器系部門において、北部地区は中南部 に比し、死亡率が高く、これは一刻を争う循環 器系疾患を中南部に搬送するのに時間がかかる からでもあり、当院は平成18 年10 月に心臓血管 外科を開設し、循環器内科と協力し合い、定期 手術の他にも緊急症例にも対応し、北部の住民 が安心して暮らせるよう取り組んでおります。

Q3.北部地区は特殊な環境にあり、他地区よ りも医師・看護師確保等が難しいと考えら れますが、これらの困難な問題への取り組 みについてお聞かせください。

医師・看護師の確保は恒常的な課題です。看 護師については北部地区医師会が運営する北部 看護学校がありますが、学生は県内中南部や県 外出身者といった方も多く、卒業後の進路は地 元に戻りたいという傾向があります。このため医 師会病院に多くの看護師の就職が約束されてい る訳ではなく、それでも定期的な確保が見込め るため、自前の学校の存在が成果を幾分挙げて います。また、新たな取り組みとしては、「奨学 金制度」の内容を改正して施行を始めた所です。

医師の確保については、一朝一夕では解決さ れないものであり、採用にも慎重姿勢を敷くこ とも大切な要素だと思います。そして、地道な 医師確保活動を続けながら、医療スタッフ間の 信頼関係を大切にする病院体制を築くことも、 肝要であると思っています。

Q4.昨年の健保組合のデータで沖縄の健康問 題の危機的状況が浮き彫りになりましたが、 北部地区の健康問題についてご意見をお願 いします。

健康問題に関しては、北部に限らず、沖縄県 全体が厳しい状況になっていると思います。北 部地区でも、医師会と保健所が中心となり、北 部地区医療連携委員会を立ち上げました。その 中に糖尿病やCKD などの連携パス委員会を機 能させて、疾病予防や治療の標準化に取り組ん でいます。しかし、病気が起こる前の生活習慣 に対する取り組みがもっと重要であると思いま すので、検診をうまく活用してそのような啓蒙 活動を行っていきたいと思います。

Q5.本会または日本医師会へのご意見・ご要 望などがありましたらお聞かせ下さい。

いつも大変お世話になり感謝いたしており ます。

県内の郡市区医師会の中で唯一医師会が運営 している病院です。県医師会には当院が地域に おける役割の重要性をご理解いただき、今後と も変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますようお願 い申し上げます。

Q6.最後に日頃の健康法、ご趣味、座右の銘 等がございましたらお聞かせください。

以前はゴルフをよくしていましたが、最近は短 時間でできるテニスをすることが多いです。ま た、好きな言葉は、一心精進です。これからも地 域医療のために精進していきたいと思います。

この度は、インタビューへご回答いただき、 誠にありがとうございました。

インタビューアー:広報委員 石川清和