理事 金城 忠雄
平成21 年6 月に沖縄県医師会労災部会総会 が開催された。
労災部会関連の現状について報告しようと、 「労災・自賠責の担当理事」として過去の部会 活動を確認のため医師会報を当たったが、県医 師会報の労災部会関連の報告資料が少なく、詳 しいことが良く分からない。
しかも、労災保険診療審査時に復帰前の米軍 統治時代の労災指導医の苦労話を時々耳にす る。「沖縄県医師会労災部会の歴史」について 知りたくなり、久場長毅部会長に投稿をお願い したら快く承諾して下さった。当時の労災医師 会員の苦労や努力には感動する。
沖縄県医師会労災部会について
現在、「沖縄県の労災指定医療機関」は379 機関が登録されている。(沖縄県労働局労働基 準部労災補償課)
レセプト審議を行う労災保険診療指導委員 は、表1 にある部会長、副部会長、監事、会 計、指導理事、県医師会理事と労働局地方医員 の大城徹医師の7 名で構成している。
労災保険とは、正しくは「労働者災害補償保 険」と言い、日本本土では、1947 年(昭22) に発足し、政府(厚生労働省)が保険者であ り、事業主から納付される保険料収入によって 運営されている。
沖縄では、1964 年(昭和39)に労働者災害 補償保険法が施行されたが、米軍統治時代でも あり、運用は不安定であった。1972 年(昭47) 復帰以後は、完全に日本法律が適応されている。
表1
1.沖縄県医師会労災部会役員は、労災指定医 療機関から選出する。
2.沖縄労働局長は、沖縄県医師会長と労災部 会長に、保険請求書の審査・指定医療機関に 対する指導医として労災保険診療指導委員を委嘱している。
3.労災保険診療指導委員は、医師会担当理事 及び労災部会会員より推薦された会員と地方 労災委員医師に委嘱されている。
労災保険診療指導委員の役割は、財団法人労 災保険情報センター(RIC)が一次審査した労 災診療報酬請求書レセプトを「労災診療費算定 基準」にてらし問題項目を「照会・返戻・不適 等」に分類し再審査している。
労災保険も、時代と共に適用事業の拡大、 「業務災害」「通勤災害」はもちろん、現在は、 疾病予防を目的に設けられた脳・心臓血管疾患 に予防給付「労災二次健康診断等給付」が導入 されてきた。アスベストによる建築物解体時の 暴露防止、過重労働による健康障害防止にメン タルヘルス対策を推進している。
「平成21 年度沖縄労働局のあらまし」の業 務概要の資料によると、平成21 年の死傷災害 は、死者13 名を含む休業4 日以上の災害者数 は、764 人になっている。
労災保険給付支払い状況は、保険給付件数が 2 万8,711 件、保険給付金額が34 億5,914 万 1,802 円にもなる。
労災二次健康診断等給付費用のレセプトは、 3,856 件で、他府県に比べ沖縄県は、労災二次 健診活動が活発である。
「沖縄県医師会の労災保険に関する事業計 画」には、労災保険の運営を円滑に推進するた め、沖縄県労働局並びにRIC 沖縄事務所との 連携を図ることになっている。
労災保険情報センター(RIC)沖縄事務所 は、労災保険制度を労働者、事業主、医療機関 に労災保険に関する相談業務や情報の提供を行 うと共に、労災医療の充実・発展のために各種 の支援を行っている。本部は東京にあり、また 各都道府県に地方事務所を設けている。
それでは早速、久場長毅部会長の「沖縄県医 師会労災部会の歩み」を拝読しよう。