常任理事 真栄田 篤彦
去る1 月9 日(土)沖縄ハーバービューホテ ルクラウンプラザにおいて、平成22 年沖縄県医 師会新年祝賀会が開催された。会員91 名、家 族44 名、来賓等60 名が参加し大いに賑わった。
初めに玉城信光副会長から開会の辞が述べら れ、その後引き続き宮城信雄会長から次のとお りご挨拶を述べた。
宮城会長挨拶
「新年あけましてお めでとうございます。 本日は、2010 年の新春 を寿ぐ沖縄県医師会新 年祝賀会を開催いたし ましたところ、仲井眞 弘多知事をはじめ、ご 来賓の方々、会員並び にご家族の皆様方多数ご参加いただきまして衷 心より感謝申し上げる次第であります。
昨年は、8 月の総選挙において民主党が歴史的 な大勝をし、わが国で選挙による初めての政権 交代が行われました。後期高齢者医療制度の問 題、消えた年金問題、社会保障費の機械的削減、 二代にわたる政権の投げ出し等長年続いた政治 に対する国民の不信・不満が高まり政権交代へ と大きなうねりとなっていったと思われます。
ご高承のとおり長年に亘る医療費抑制策によ り、医療現場は疲弊し、全国的に地域医療の崩 壊がはじまりつつあります。民主党はマニフェ ストにおいて、社会保障費の削減の見直しや医 療費のOECD 加盟国並の増額を掲げており、 その実現に国民並びに私ども医療関係者も大き く期待するところであります。
しかし、昨年末、診療報酬改定率が公表され ましたが、10 年ぶりの診療報酬全体のプラス 改定とは言え、診療報酬全体で0.19 %、本体 1.55 %という小幅な改定にとどまりました。こ れは、薬剤や医療材料等の引き下げで捻出した 財源の医療費本体への振り替えによるもので、 新たな財源を投入し、診療報酬の大幅かつ全体 的な引き上げを求めている医療現場の期待と大 きくかけ離れております。
民主党はマニフェストにおいて、医療費を4 年間でOECD 国並に引き上げると言っており ましたが、そのためには医療費を毎年3 %ずつ 上げなければなりません。そういう意味では、 約束どおり是非実行していただきたいと思いま すが、予算編成の課程の中で明らかになった様 に、財務省は最初から3 %カットと言っており ました。新政権による医療政策も財政の視点か ら考えているのではないかと危惧しているとこ ろです。
社会保障の充実は国民全体が最も望んでいる 事であり、社会保障は平時の安全保障と言われ ております。国民の健康・福祉の充実があって こそ、国家の発展が望めるものであります。医 療費の財源確保を具現化するために、我々が力 を一つにして事に臨むことが最も肝要でありま す。沖縄県医師会といたしましても、日本医師 会や関係機関と連携して地域医療再生に向けて 誠心誠意頑張って参る所存であります。
昨年5 月にメキシコで発生した新型インフル エンザは、瞬く間に世界中に流行し、8 月15 日 には、残念ながら日本で初めての死者が本県で 出ました。医師会は行政当局と密接に連携を取 りながら対応して参りました。会員並びに医療 関係者の皆様のおかげを持ちまして第一波の流 行を抑えることが出来ましたが、皆様ご存じの ように、年が明けて第二波の流行が始まってお り、第一波より大きな流行になるかと思われま す。会員の先生方には、是非今以上にご協力を お願い申し上げる次第であります。
一方経済面においては、一昨年のリーマンシ ョック、昨年のドバイショックが重なり、円高 が進行し、我が国はデフレスパイラル状態に陥 り、経済状況はますます悪化の様相を呈してお ります。
かかる状況の中、社会情勢は一層厳しくな り、医療を取り巻く環境も今後困難な状況が予 想されますが、我々に与えられた崇高な使命で ある、『県民のための良質な医療提供』が全う 出来るよう、会員並びに関係各位のより一層の ご協力をお願いすると共に、平成22 年がご参 会の皆様にとって明るく希望に満ちた一年にな るよう心から祈念致しまして、私の年頭の挨拶 と致します。」
続いて、来賓を代表して仲井眞弘多知事が祝 辞を述べられた。
仲井眞知事挨拶
「あけましておめで とうございます。ご紹 介いただきました県知 事の仲井眞です。医師 会の先生方のお力を得 て県知事に当選して3 年が経ちました。県知 事として先生方へきち んとしたことが出来ないもどかしさというもの を感じながら日々の仕事をやっております。基 地の問題や産業の問題、社会保障、医療の問題 等なかなか一筋縄ではいかなというのが分かっ ていながらも我々の持つ力が今ひとつというも どかしさを感じながら日々過ごしている訳であ りますが、是非とも医師会の先生方のお力を結 集して、沖縄の医療問題の解決、そして日々の お仕事に邁進していただきますよう切にお願い 申し上げる次第であります。
また、新型インフルエンザにつきましても先 生方にあらゆる方面で力を注いでいただき、県 民生活の安心・安全にご貢献いただいておりま すことに心から感謝申し上げます。
本日は、先程の宮城会長のお話を伺って、 我々ももっと自らを戒めて日々の行政の仕事に 邁進して参りたいと思っております。
宮城会長には私の後援会長として日々ご指導 を受け承っておりますが、十分にお返しが出来 ないことを心苦しく思っております。今後とも 是非あらゆる面でご指導賜りますようお願いを 申し上げる次第であります。
今年も先生方のお話しを伺いながら、我々も 県庁全職員あげて一生懸命仕事をして参ります ので、是非忌憚のないご批判、ご要望をいただ きたいと思います。
今年が厳しい中にも良い年になりますことを 祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。」
引き続いて、宮城会長、新垣代議員会議長他 7 名の来賓による鏡開きが賑々しく行われ、来 賓を代表して佐藤琉球大学医学部長が下記のと おり挨拶された後、乾杯の音頭をとられた。
佐藤琉球大学医学部長乾杯挨拶
「新年おめでとうご ざいます。沖縄県医師 会の先生方におかれま しては、輝かしい2010 年をお迎えになったも のと心よりお慶び申し 上げます。
先程、宮城会長のお 話しにもありましたように、昨年は医療界にと りましては、いろいろな問題がありました。新 型インフルエンザの問題、政権交代に伴うこれ からの医療のあり方の問題等、これらの問題は 引き続き本年度におきましても非常に大きな問 題として我々がきちんと対応していかなければ ならないと考えております。
医学教育の現場におきましても昨今の医学・ 医療の社会的な課題に対応するために、昨年琉 球大学医学部では県の多大なご支援もいただき ながら7 名の地域枠の学生を増員して受け入れ ました。更に今年は5 名の定員増を計画してお り、地域枠の学生は全部で12 名になってまい ります。我々は、これから地域枠の学生が地域 医療のために貢献するような医療人となるよう 育てていく義務があると思っております。医師 会の先生方におかれましては、引き続き地域医 療に関する教育でも多々ご支援いただければあ りがたいと思っております。
新たに地域医療再生事業ということで、県と 医師会と大学が連携して新しい事業が始まるこ とが決まったようであります。大学にはシミュ レーションセンターを設立するということにな っておりまして、この事業におきましても今 後、県、医師会、大学との連携というものが 益々充実、発展するものと期待しております。
沖縄県医師会並びに会員の皆様の益々のご発 展を祈念して乾杯をとらせて頂きます」
その後、名城沙英乃さん、根路銘明子さんに よるエレクトーンとヴァイオリンのコラボ演奏 と高良愛さんのピアノ伴奏でオペラ歌手の川満 美紀子さんによる歌を披露していただき、祝宴 が和やかに行われた。
福引きで幸運を射止めた方は、22 名おられ たが、1 等賞(液晶テレビ)は山城千秋先生、 2 等賞(コンポ)は吉田洋史沖縄県薬剤師会副 会長、3 等賞(自転車)は大浦孝先生ご子息の 大浦宏さんであった。
最後に小渡副会長より2010 年が明るい年にな るよう祈念する旨の挨拶があり、閉会となった。
乾杯
余興:エレクトーン&ヴァイオリン、オペラ
会員の方々
1等を当てた山城千秋先生とご家族
2等を当てた吉田洋史沖縄県薬剤師会副会長
3等を当てた大浦孝先生ご子息大浦宏さん