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漫画考

幸地賢治

眼科クリニック幸地 幸地 賢治

このコーナーの依頼文書にはためになる本の 紹介という風に書かれているように感じたの で、小生としてはいささか気が引ける思いであ る。が、漫画を紹介したい。特に愛読している のは諸星大二郎の「孔子暗黒伝」(全2 巻)で ある。たかが漫画されど漫画。何回読んだか分 からない。

中国の少年・セキ とインドの少年・アスラ(ス トーリーでは赤は光、アスラは赤の陰の部分と される。)を主人公にした物語である。古代の 中国、インド、東南アジアを経て、日本へと至 る訳だが、どうも琉球を辿った跡があるのも面 白い。その部分を引用すると「天地のひらけし シル の世より、このアハイル の世を・・・やがてオールー の世 となり、クル の世となりて時果つるまで・・・」 とあり、これは沖縄方言で表したものだと分か る。さてストーリーは、孔子によって周王の墓 墳の中から赤が発見される所から始まる。赤は 孔子のもとで少年となるが老子によってインド に導かれ、自分の陰であるアスラと出会う。仏 陀の入寂に立ち会った二人は仏陀によって合一 され、ハリハラとなる。梵天の塔(御柱)の前 で宇宙の変遷(成劫、住劫、壊劫、空劫)を知 り、彼がブラフマンとなる未来を示される。や がて東南アジアをへて縄文時代の日本に辿り着 く。出雲から諏訪へ移動し、御柱と出会う。

これがあらすじである。最後には宇宙船と麒 麟が衝突し、麒麟の角に宇宙船の磁気テープが 引っかかる。これが過去の孔子が手に入れる。 時空が入り乱れ、荒唐無稽な物語が展開され る。この作者は大変な勉強家(何でも屋かも知 れないが。)で随所に論語、リグ・ヴェーダ、 東南アジアの言い伝え、前述した沖縄が方言ち りばめられ、物語の進行に彩りを与えている。

私が諸星大二郎の作品と最初に出会ったのは 1978 年で、今回紹介した「孔子暗黒伝」と共 に「暗黒神話」(全1 巻)を前後して購入した。 どちらが先だったかは覚えていない。面白くて 1 〜 2 年毎に繰り返し読んでいたら、驚愕する 事実に気がついた。「孔子暗黒伝」の最後のペ ージは「暗黒神話」の最初のページに繋がって いた。しかし調べてみると「暗黒神話」の方が 1977 年(孔子暗黒伝は1978 年初版)初版なの で順序が逆になるが、両方読むと色々な繋がり が見えてとても面白い。「暗黒神話」もかなり の秀作で、完成度も高い作品です。

そのほかにも紹介したい作家がある。小山ゆ うの「がんばれ元気」(全28 巻)も良いですね。 早くに母親を亡くし、プロボクサーである父親 に育てられる。熾烈な試合を繰り返しながら成 長して行き、やがて世界チャンピオンに挑戦す る。ある試合で激しい殴り合いが続く。いわゆ る我慢比べ。そのときのセコンドの「背負い込 んだ物の大きさで決まる。」と言う言葉が感動 的でした。結局元気が勝つのですが、負けた方 が「ジョソイカンペオン」と叫んで、抗し切れ なかった者の悲しさをにじませながら崩れ落ち ていく様を描いています。殴り合いが続くスト ーリーですので、とても文科省推薦とは行かな いでしょうが、清涼感漂う漫画である。終章: 今まで元気のボクシング試合の度に心を痛めて いた祖父母の元に元気が帰ってゆく場面。私は 何時もここで泣いてしまうのです。漫画風情 (こういう使い方は合っていますか。気持ちだけ 受けて下さい。)に泣かされる自分が悔しい。

星野之宣氏はSF ものを主に発表している。最近は宗像教授伝奇考(8 巻・続刊?)、宗像 教授異考録(12 巻・続刊?)にはまっている。 両者とも考古学教授である主人公が過去の言い 伝えや歴史を解き明かしていく物語である。そ の他にも海の物から山の物までと言うと失礼だ が、多作で、ジャンルは広い。彼の作品はフラ ンスでも紹介されている。岩明均の「寄生獣」 (全10 巻)は凄い。ハリウッドで映画化の話が 出ている。「七夕の国」(全4 巻)も良かった。 最近はヒストリエが刊行中、次の巻が発行され るのが待ち遠しい。その他には、西岸良平氏の 鎌倉ものがたり(26 巻・続巻中)、三丁目の夕 日(56 巻続巻中)ほんのりとして楽しい。ゴ ルゴ13(155 巻・続刊中)はあまりにも有名、 色々ホットな政治的社会的問題を取り上げる事 もあるので、某国大使館の講義により欠番にな っている物もあるとの事。まだまだ紹介したい のはありますが、あまりに冗長になってもいけ ませんのでこの辺で終わります。最後まで読ん で頂いて有り難うございます。




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