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アレルギー週間(2/17 〜 23)に因んで
〜アレルギー性結膜炎〜

石川修作

おもろ眼科 石川 修作

アレルギーとは1905 年オーストラリアの医 師Von Pirquet が「変化した反応」という意 味でその言葉を初めて用いました。ラテン語の allos(変化)とergon(反応)の合成語が allergy(アレルギー)の語源となっています。

我々は、外敵から自己を守る防衛反応として 免疫(immunity)という機能を有しています が、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こ ることで自己に障害を与える状態を、現在では アレルギーと表現されています。

免疫学は1796 年にジェンナーが牛の乳搾り をして牛痘に感染した人たちは、天然痘に感染 しないという事に気付き、予防接種を行ったこ とに始まります。一度感染を経験することで同 じ病気には二度とかからない現象を疫(病気) を免れるという意味で免疫と表現され、麻疹・ 結核・インフルエンザという種々の疾患に対す るワクチン接種が免疫獲得につながっています。

免疫は体液性免疫と細胞性免疫に区別され、 生体では相互が互いに関連し生体を防衛してい ます。外部から細菌、ウィルス、花粉といった 異種蛋白(抗原)の侵入により免疫応答が生 じ、通常は生体防衛として機能しています。

アレルギーでは、前述したように過剰な免疫 反応により、組織障害を起こしています。アレ ルギー疾患には、アトピー性皮膚炎・アレルギ ー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・アレルギー性 胃腸炎・気管支喘息・食物アレルギー・薬物ア レルギー・蕁麻疹があげられます。

これらのアレルギーは発症機序により、クー ムスによりT〜X型に分類されています。

アレルギー性結膜炎の原因物質(アレルゲ ン)としては、春先の花粉がよく知られていま すが、家ダニやその死骸、ほこり、ペットやそ の毛もアレルゲンとして重要です。沖縄の場 合、杉花粉の影響はなく、上記のハウスダスト がほとんどで一年中あるわけですから、いつ感 作されてアレルギーを発症してもおかしくあり ません。このようなアレルギーを“通年制アレ ルギー”と呼び、季節に関係なく、眼がかゆ い、赤い、腫れたと症状を訴える患者さんが眼 科外来を受診しています。

アレルギー性結膜炎は、多くはT型アレルギ ーでIgE というタイプの免疫グロブリンが肥満 細胞や好塩基球という白血球に結合するとこれ らの細胞がヒスタミン、セロトニンといった生 理活性物質を放出します。これにより血管透過 性亢進、血管拡張などが生じ、眼瞼結膜浮腫や 掻痒などの症状が出現してきます。アレルギー 性結膜炎が重症化した病態を春季カタルとい い、眼瞼結膜が石敷状に増殖し(図1)、角膜と でこぼこに増殖した結膜がこすれるため、角膜 に潰瘍を形成し、視力低下の原因となります。

図1

図1

アレルギー性結膜炎の治療には、抗アレルギ ー薬の点眼が使われ、ヒスタミンH1 拮抗薬、 メディエーター遊離抑制薬の2 種類が主に使用 されています。

重症化した患者さんには、副腎皮質ホルモン 点眼薬が使用されますが、副作用を考慮する と、小児や重症化した角膜潰瘍を伴う春季カタ ルには、適切な投与方法を悩むことが多々あり ます。

最後にアレルギー性疾患の基本的治療は原因 抗原の回避と除去であると考えられますが、こ れは不可能であります。RAST やブリックテス ト、パッチテストで抗原を同定できたなら、原 因抗原を軽減させる方向へ患者さんを啓蒙して いく事が重要ではないのでしょうか。