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新年にあたって

金城忠嗣

沖縄県立北部病院産婦人科
金城 忠嗣

あけましておめでとうございます。県立北部 病院産婦人科の金城忠嗣と申します。

今年の干支は「寅」。県医師会広報委員会よ り、新春の会報に恒例の年男にちなんでの抱 負、近況報告を、とのことで原稿を依頼されま した。

私は、平成11 年に自治医科大学を卒業し、3 年間初期研修を受け、2 年間南大東診療所にお り、それから産婦人科を専攻しました。北部病 院に勤務する前は4 年間県立八重山病院におりました。

趣味はバスケットボールです。八重山病院勤 務の時にイカとかんぱちの釣りもおぼえました。

北部病院のある名護は、歴史のある街並み、 きれいに整備された公園、少し足をのばせば緑豊 かな自然があり、とても素晴らしいところです。

私は平成21 年4 月に北部病院に着任いたし ました。北部病院は、産婦人科医不在で平成 17 年4 月以降産婦人科を休止していましたが、 平成20 年11 月から4 人体制となり、分娩、救 急も再開しました。しかし、平成21 年4 月に2 人、10 月に1 人退職され、現在は産婦人科2 人 体制です。

北部医療圏には2 つの産科開業医があり、正 常分娩はほとんどすべてそちらで扱ってくれて おり、正直申しましてとても助かっています。

北部病院には合併症妊娠などハイリスク症例 だけとなりますが、小児科をはじめ、麻酔科、 外科、内科、皆さんに支えてもらっています。 他科の先生方も過酷な状況にありながら、いつ も気持ち良く協力していただき、頭が下がる思 いです。

まずは、今日、この日を病気もなく、日々忙 しく元気で仕事をさせていただいていることに 感謝したいと思います。またこれからも、自分 に与えられた役割を全うできるよう、頑張りた いと思います。

あらためて新年を迎えるにあたり思うこと、 というのは実はとくにないのですが、常に意識 していることはあります。それは、自分を見つ めなおすことです。

私が影響を受けた本があります。渡部昇一著 “「人間らしさ」の構造”です。家に置いてあっ たのを何気なく拾って読みました。

「機能快」という概念があります。自分の中 にそなわった能力を発揮させることは快感であ る、というのです。潜在している能力は使われ ることを欲していて、そしてその要求が満たさ れると快感が生ずる。たとえば、スポーツをし て汗をかくと何とも爽快な気持ちになるのは筋 肉や臓器が元来持っている機能のために用いら れるからであり、スポーツをやりたいと思うの は内なる声である。潜在している能力を発揮す るのは自己実現である、というのです。

ほかにも、精神的機能快としては美しさを認 識する力、おかしなことを笑う力、遊びを楽し む力などいろいろある。美しいものに感心し、 おかしいことを笑い、楽しく遊ぶということは 精神の本来の能力を機能させていることなので あって、それは人間の心を正常に保ち、また成 長させるもととなるものなのであるそうです。

「機能快」という概念から得たものは、自分 が「快」である、と感じることの中に自分の成 長、能力を発揮するヒントがあるのではない か、ということです。

今後の成長、自己実現のために、じっくり内 なる声に耳を傾け、何が自分に鋭い喜びを与え るか、を内省することから始め、日々の診療に 生かし、今後の人生の指針にしようと思います。