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今年の抱負

金城渚

琉球大学医学部附属病院
光学医療診療部 金城 渚

今年の予定としては、前半は学会一色となり そうです。学会事務局担当となりましたので、 先ずは学会の案内をいたします。

消化器系の総会では、沖縄初となる第49 回 日本消化器がん検診学会総会(会長:琉球大学 医学部附属病院光学医療診療部部長金城福則) を2010 年6 月11 日(金)12 日(土)に沖縄 コンベンションセンターにて開催します。現 在、鋭意準備を進めているところです。

本総会のテーマを「適切な消化器がん検診の 更なる向上のために」としました。近年、わが 国において格差社会が問題となっています。わ が国であればどこに住んでいても「消化器がん 検診」を受ける機会が平等にあることを願い、 会長自ら打ち出しました。

科学的根拠に基づいた医療の実践は重要なこ とですが、経験のみに基づいた医療を必要とし ている地域があることも忘れてはならず、がん 検診を実施する行政や検診機関の立場からだけ ではなく、国民の立場からがん検診についても 考えて頂きたいという思いです。

がんで苦しむ方々を少しでも減らせるよう に、地域に即したがん検診を多くの人たちに受 けて頂くことを目指しています。そのための討 議の場をワークショップ、シンポジウム等で取 り上げました。

また、発症予防から治療にいたるがん診療の 全過程を念頭においた検診となるよう、特別講 演2 題、教育講演3 題を組み入れました。がん 検診の普及に関しては市民公開講座を開催し、 多くの市民にがん検診の重要性を理解して頂 き、受診を呼びかけたいと考えています。医師 会会員の多くの先生方、ならびにコメディカル の方々の参加をお待ちしております。

学会ホームページ(http://www.okinawacongre.co.jp/49jsgcs)に詳細がございますの でアクセス頂けましたら幸いです。

もう一つの計画は、ラオス訪問です。

われわれが携ってきたラオス国セタティラー ト病院改善プロジェクト(L-J SHIP)につい て説明します。プロジェクトの超上位目標にラ オスにおける消化管内視鏡検査を一般化し、医 療の資質向上による死亡率の減少を掲げ、プロ ジェクト目標のセタティラート病院(SH)の 消化管内視鏡検査業務およびその研修機能を向 上させることで、患者が適切な医療サービスを 受け入れることを上位目標としました。

01 年度にSH 内視鏡部門を立ち上げ、ラオス における医療・教育機関としてのモデルとする ことを当面の目的としました。プロジェクト以 前には、内視鏡検査が可能な施設はラオス全土 で2 施設のみでした。内視鏡機材・周辺機器・ 処置具・薬品は無く、正に“0 ゼロ”からのス タートでした。内視鏡従事者(医師3 名、看護 師3 名)へは内視鏡の構造解説、基本的な取り 扱い法、消毒法、咽頭麻酔法、救急時対応のレ クチャー、内視鏡教材作成、検査マニュアル作 成、検査記録用紙作成、検査記録・管理、病理 標本簡易固定法の伝授、検査料金の設定、医師 に対しては上部消化管の食道挿入法を、まさに 二人羽織状態で指導しました。

02 年度に電子内視鏡が導入され、内視鏡画 像を供覧可能となり、より細かい指導ができる ようになり、03 年度には、ビエンチャン近郊 の医療従事者を集い消化器内視鏡セミナーの開 催を行ないました。04 年2 月には、ラオス国ル アンプラバン県立病院での出張内視鏡検査も実 施しました。プロジェクトは04 年9 月で終了 しましたが、05 年2 月には琉球・アジア太平洋 医学交流協会の研究基金によりSH を再訪問 し、内視鏡技術の指導を行いました。

09 年9 月の時点でこれまでに、上部消化管 内視鏡を5,000 件以上、下部内視鏡を900 件以 上、ラオス人医師3 名のみで行ってきました。現地へ出向き今後も彼らへの技術支援を続けて いきたいと考えています。