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今年の抱負

嘉手川淳

沖縄赤十字病院 嘉手川 淳

昨年5 月に入会しました嘉手川淳と申しま す。ご存じない会員の先生方も居られると思い ますので、まずは自己紹介をさせていただきま す。私は昭和37 年生まれの47 歳で、那覇市松 川で生を受け、松川小学校および真和志中学校 に通い、中学時代には屋宜英学塾(当時)にお 世話になりました。屋宜塾の同期には五十音順 で、循環器科の上地洋一先生や泌尿器科の嘉川 春生先生、小児科の知名耕一郎先生、消化器内 科の仲吉朝邦先生、外科の西原実先生、脊椎外 科の宮里剛成先生が居ります。私自身はラサー ル高校から大阪大学医学部へ進学し、大学卒業 後は神経内科医として大阪大学および関連病院 で約20 年勤務しました。この間、大阪大学医 学博士号を取得し、神経内科専門医およびリハ ビリテーション科専門医の資格を得ました。昨 年4 月に帰沖し、縁あって沖縄赤十字病院の新 設科である神経内科部長を拝命しました。

この度、新年号の新春干支随筆の一環とし て、「今年の抱負」というテーマで若干の紙面 をいただきました。ご存知かもしれませんが、 わが沖縄赤十字病院は那覇市古波蔵での30 年 余りの歴史に幕を引き、今年の5 月に那覇市与 儀へ新築移転します。神経内科はそれに先駆け て去年の4 月に開設されたわけですが、新設で あること以前の問題として、神経内科が何かを 知っていただくことが重要であると感じました ので、これを今年の抱負としたいと思います。

神経内科はなにを扱っているの、とお感じに なっている先生方も、もしかしたら居られるの かも知れません。そう申し上げる理由のひとつ には、本県の神経内科専門医の少なさが挙げら れるかと思います。全国には神経内科専門医が 3,000 名居りますが、沖縄県は22 名で平均に 届きません。また、関連する他科の脳神経外科 や整形外科、精神科、心療内科との重複領域の ため、地域によってはその存在意義が薄れてい るのかもしれません。

神経内科はなにを扱っているの、という問い に関しては次のように答えるようにしていま す。まず症状としては、頭痛やめまい、痙攣発 作、しびれ感、麻痺などがあります。次に疾患 としては、脳梗塞や脳出血、アルツハイマー病 とその他の認知症、てんかん、パーキンソン 病、脊椎症によるしびれ感や麻痺などがありま す。さらに神経難病もその対象で、絶対数は多 くありませんが、神経内科が専門性を発揮する 重要な病気です。神経難病には筋萎縮性側索硬 化症や様々な原因のパーキンソン症候群、脊髄 小脳変性症、舞踏病、多発性硬化症、重症筋無 力症、進行性筋ジストロフィー症、多発筋炎な どがあります。

全国の患者数から見ると、頭痛や脳卒中、認 知症、てんかんなどはそれぞれ100 万人以上 の、いわゆるcommon disease であり、パーキ ンソン病やニューロパチーなどは5 万人以上の 中間群、神経難病などは5 万人未満のrare disease です。

神経内科では、上記症状や疾患に対して画像 診断や神経生理学的検査を行い、診断や治療に 役立てていきます。また必要に応じて関連する 脳神経外科や整形外科、精神科、心療内科など へご紹介します。

沖縄赤十字病院神経内科は前述の通り、平成 21 年4 月に開設された最も新しい科です。現在 は一名の常勤の専門医のみですが、脳神経外科 と共同で診療に当たることを目的とした脳卒中 センターも同時に新設されました。脳卒中セン ターは脳血管疾患を超急性期から診療すること を目的に設立されました。また脳血管疾患以外 にも、てんかん発作や髄膜脳炎、脊髄炎、ギラ ンバレー症候群、血管炎による神経障害などの 急性発症脳神経疾患に対応しています。

以上、自己紹介と施設紹介、神経内科の紹介 をさせていただきましたが、地域医療機関の先生 方からの患者さんのご紹介をお待ちしています。