沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

第40 回全国学校保健・学校医大会

理事 宮里 善次

去る11 月14 日(土)、10 : 00 より、広島市 においてみだし大会が開催されたので報告する。 メインテーマは『地域ぐるみで支えあおう 子 どもの健康と安全』で、午前の部は、5 分科会 が開催され、各県医師会から応募のあった演題 について発表と活発な質疑応答が行われた。午 後の部は、都道府県医師会連絡会議・開会式・ 表彰式・シンポジウム・特別講演が行われた。

シンポジウムでは、「学校現場における救急体 制−学校で子供が突然倒れたら−」をテーマと して、養護教諭・学校医・消防署救急担当・大 学からそれぞれ発表があった。特別講演は、 「乱世が生んだ美―桃山の武将茶人上田宗箇」 と題して、茶道上田宗箇流家元上田宗冏氏より 講演があった。参加者は、全国医師会の学校医 等学校保健関係者約500 名であった。以下は、 その概要。

第1 分科会 「からだ・こころ」生活習慣病 10 題

1.地域の食育活動に健康教育を組み入れた生 活習慣病予防の試み−校医は地域の健康プロ モーター−(兵庫県医師会)

2.東京都医師会における健康教育への取り組 み−児童生徒の生活習慣改善健康教育マニュ アル作成について−(東京都医師会)

3.給食の摂食状況から推定する健康状態の把 握第2 報毎日の健康観察への取り組み−(愛 知県医師会)

4.各務原市の小児生活習慣病に対する2008 年度の取り組み(岐阜県医師会)

5.群馬県子どもの生活習慣病予防対策事業 (第1 報)(群馬県医師会)

6.広島県安佐地区小学校6 年生の30 年間、6 回目の定点観測による2008 年度の健康状態 について(広島県医師会)

7.札幌市学校医協議会の肥満症児童・生徒へ の取り組み(北海道医師会)

8.生活習慣チェックシートを用いた児童・生 徒の生活習慣病予防対策(三重県医師会)

9.非肥満高校生におけるインスリン抵抗性と 循環器疾患危険因子の関係(愛知県医師会)

10.徳島県における生活習慣病予防対策委員 会の試み8(徳島県医師会)

第2 分科会 「からだ・こころ」学校健診・ 実態調査 10 題

1.学校腎臓病検診の広域標準化に向けた九州 沖縄の取組み(鹿児島県医師会)

2.運動負荷が腎臓病児の尿所見に与える影響 (京都府医師会)

3.学校検尿25 年間の軌跡(茨城県医師会)

4.愛知県の小児慢性腎臓病(CKD)対策−愛 知県腎臓病学校健診マニュアルの発刊にあた って(愛知県医師会)

5.愛知県の学校心臓検診での問題点と解決策 (愛知県医師会)

6.東京都立高等学校における学校心臓検診21 年のまとめと考察(東京都医師会)

7.学校における運動器検診の実施について (宮崎県医師会)

8.小児科医のたからもの−医学生を学校健診 に連れて行こう−(岩手県医師会)

9.小児生活習慣病予防検診を利用した小学5 年生アレルギー疾患実態調査(滋賀県医師会)

10.大阪府におけるアレルギー疾患を有する児 童生徒の実態調査(大阪府医師会)

第3 分科会 「からだ・こころ」こころ・健 康教育 11 題

1.飲酒・禁煙に対しての意識調査(続報)(山 梨県医師会)

2.佐賀県における学校医による小・中学校で の防煙教育(佐賀県医師会)

3.地域医師会による学校における喫煙防止対 策について−学校医による喫煙防止出前授業 を中心に(和歌山県医師会)

4.広島市学校医部会の歩みと取り組み(広島 県医師会)

5.就学時健診における発達生涯スクリーニン グの試み−東広島市での3 年間の取り組み− (広島県医師会)

6.発達障害を抱える子どもたちへの外来での 社会生活訓練(埼玉県医師会)

7.小中学生におけるメディア環境がコミュニ ケーション能力や睡眠障害、肥満へ及ぼす影 響について(秋田県医師会)

8.小学校時代に仲間関係が崩壊した学年(男 児)の中学校での人間関係の再構築(三重県 医師会)

9.学校欠席者迅速把握サーベイランスの構 築−学校現場と学校医の連携システムの紹 介−(島根県医師会)

10.周産期からの子ども虐待予防(一次予防) の全県的取り組み(徳島県医師会)

11.小学生両親の10 代の性教育についてのア ンケート調査(山形県医師会)

第4 分科会 「耳鼻咽喉科」10 題

1.日耳鼻新潟県地方部会学校保健研修会の歩 み(新潟県医師会)

2.福岡県における耳鼻咽喉科学校医研修会の 10 年のあゆみ(福岡県医師会)

3.横浜市における耳鼻咽喉科学校医活動の現 状と問題点(第2 報)−耳鼻咽喉科学校医に 対するアンケート調査結果から−(神奈川県 医師会)

4.広島県における選別聴力検査に関する実態 調査と広島市におけるオージオメータの実態 調査について(広島県医師会)

5.静岡県における学校検診統一化の試み(静 岡県医師会)

6.川崎市における耳鼻咽喉科定期健康診断の 疾患別統計(神奈川県医師会)

7.東京都の公立小・中・高等学校におけるス ギ花粉症QOL アンケート調査結果(東京都 医師会)

8.大阪府におけるアレルギー疾患を有する児 童生徒の実態調査−アレルギー性鼻炎・花粉 症を中心に(大阪府医師会)

9.前庭水管拡大症児への対応(徳島県医師会)

10.中学生の「乗り物酔い」の訴えについて (千葉県医師会)

第5 分科会 「眼科」9 題

1.広島県眼科医会が行った眼科学校健診に 関するアンケート調査について(広島県医 師会)

2.眼科の3 歳児健診充実に向けての広島県眼 科医会の取り組み(広島県医師会)

3.弱視予防に向けての試み−幼稚園・保育園 での視力検査(東京都医師会)

4.子どもたちのメガネが危ない(岩手県医師会)

5.CL 装用生徒の結膜嚢内細菌汚染状況とCL ケース内細菌環境(神奈川県医師会)

6.大阪府におけるアレルギー疾患を有する児 童生徒の実態調査−アレルギー性結膜炎− (大阪府医師会)

7.眼科医が出来る視覚障害児の支援について (愛知県医師会)

8.学校医における色覚バリアフリー推進のた めに(大阪府医師会)

9.眼科校医に望まれる「こころの問題」への 理解と対応(神奈川県医師会)

都道府県医師会連絡会議

第41 回大会(平成22 年度)の担当都道府県 医師会について協議を行い、協議の結果、群馬 県医師会と決定した。

開会式・表彰式

1.開会 広島県医師会副会長より開会の辞が 述べられた。

2.挨拶 広島県医師会碓井静照長より担当県 として挨拶があった

「ご多忙の中、全国の学校医並びに学校保 健関係者がお集まりいただき、誠に感謝申し あげます。今大会のメインテーマは『地域ぐ るみで支えあおう子どもの健康と安全』とし ました。今大会が、ご参加の皆様方のご協力 により、実り多いものとなりますよう祈念い たします。

続いて、日本医師会唐澤祥人会長から主催 者挨拶があった。

「本日ご参集の皆様方におかれましても、 地域医療の一環としての学校医活動の重要性 を再認識していただき、児童生徒の健康管理 の充実のために、なお一層ご活躍されるよう ご期待申しあげます。」

3.表彰 学校医9 名・養護教諭9 名・学校関 係栄養士7 名に、日本医師会唐澤会長より表 彰状が手渡された。続いて、広島県医師会碓 井会長より記念品が手渡された。

4.謝辞 受賞者を代表して、広島県医師会学 校医田中義人氏からお礼の言葉が述べられた。

5.祝辞 文部科学大臣(代読)・広島県知事 (代読)・広島市長(代読)・日本学校保健 会会長(代読)・広島県教育委員会教育長よ り祝辞をいただいた。

シンポジウム

テーマ「学校現場における救急体制」 −学校で子供が突然倒れたら−

座 長 広島大学大学院保健学研究科長 田中義人

基調講演
「学校生活における事故と事故防止対策」
広島大学大学院医歯薬学総合研究科
小児科学教授 小林正夫

◇平成21 年4 月から「学校保健法」から「学 校保健安全法」に改正された。学校医は、学 校保健だけでなく学校安全にも係わりをもっ て活動する必要がある。

◇小児の疾病による死亡は激減しているが、事 故による死亡数の減少は全死因の減少の状 況に比べて鈍く、事故が全死因に占める割 合は小児期では大きな割合を占めていること になる。

◇学校における事故は、昭和50 年代をピーク に減少しているが、命にかかわる事故も依然 として続いている。学校管理下の死因の1 位 は心臓性突発死34 %で、2 位は中枢神経系 突然死25 %である。

◇学校における事故の種類としては、転落事故・衝突事故・転倒事故・挟まれ事故・落下 物による事故・遊具における事故がある。

◇学校保健安全法に改称されたことにより、 「学校保健計画」「学校安全計画」を立案する ことになった。学校医は改正のポイントを理 解し、助言する必要がある。

◇食中毒や食物アレルギーも注意が必要。病 原性中毒・ウィルス性中毒・アレルギー性 中毒等。

◇新型インフルエンザについて

・学校の危機管理体制が問われる典型的な状 況を提供している。

・合併症へは充分に配慮しなくてはならな い。肺炎(呼吸器症状)、脳炎・脳症が増 える可能性が充分ある。

・学校(学級)閉鎖の基準・学校医との緊密 な連携・正確な流行状況の把握・予防接種 の徹底が必要となる。

・学校(学級)閉鎖には、「積極的」と「消 極的」がある。積極的臨時休業は、1 名あ るいは少数の患者が発生した段階で学級レ ベルのみならず、学年・学校閉鎖、近隣の 学校閉鎖まで行えばかなりの感染防止の防 疫上の効果はみられると考えられている。 消極的臨時休業は、感染が拡大してから地 域の実情に合わせて判断されるので、その 効果は薄い。

1.「学校における救急体制と養護教諭の役割」
東広島市立志和中学校養護教諭保健主事
沖西紀代子

◇勤務していた学校の前で起こった交通事故 は、学校安全や救急体制を考える原点となっ ている。

◇どの学校も児童生徒が安心して学校生活がお くれるようさまざまな取り組みが展開されて いる

◇日々の積み重ねが児童生徒の安全につなが り、自分の命は自分で守る力を育てることに つながっている。

◇事故後の取り組み

・安全な環境整備…安全指導、点検活動、街 頭交通指導、通学路の危険箇所の点検と児 童への指導

・事故後の児童の心のケア…健康観察の徹 底、保健室における個別の対応

◇救急体制づくりの実際(現任校での取り組み)

・救急体制を確立するためには、全職員の共 通認識と役割分担が重要である。

・危機管理マニュアルを作成し、年度始めに 全職員に配布して確認する。

◇職員研修を行う。学校安全計画の周知のため の研修や地域の消防署による救急法研修など。

◇日常的な教職員間による情報交換が、一番の ポイントだと思う。ヒヤリ・ハットした経験 を職員全体が共有し、改善点を明らかにし、 具体策を導く。

◇内容の充実とは、実際の場面でより機能する よう、具体的な行動を示したものに進化させ ていくことであり、職員への周知徹底とは、 全職員の共通理解のもとに、危機に直面した ときに確実に動ける集団を組織していくこと ととらえている。

2.「学校医ができること」
呉市医師会副会長 渡辺弘司

◇学校で子どもが倒れたら学校医は何をする必 要があるのか、学校における救急医療につい て、学校医の意識と認識、学校現場の現状と 要望を参考にして、救急に対する学校医の行 うべき課題を考える。

◇学校保健安全法によると、学校医は救急医療 に直接対応する義務はなく、予防的対応をと ることが求められている。

◇学校医に対して、救急医療へのスタンスを、 養護教諭には、救急医療に関して学校医に期 待することをアンケートした。二つのアンケ ート結果を纏めると

・学校医はある程度救急医療を行う心構えは あるが、実際には対応し難いという認識を 持っている。

・外科系医師の多くは、救急医療に習熟しているが、内科系医師は外科系医師に比べ救 急医療に対する自信が乏しい傾向にある。 ・実際の学校医活動において、救急医療に関 する活動は盛んでない。 ・ハイリスクの子どもの情報は、学校側も積 極的に提供せず、学校医は充分把握できて いない。 ・養護教諭は、学校医に対して実際の救急現 場における活動に対する期待は少なく、平 時における学校職員に対する指導・教育・ 啓発活動を希望している。

◇結論として、学校医が出来ること

・救急医療に関してある程度対応できる能力 を有しつつ、現実的に可能な範囲を保護者 や学校再度に明示しておくこと。

・しかし、対応できる範囲でハイリスクの子 どもの管理体制の充実や救急時における日 頃の対策、つまり救急蘇生の研修会の実施 や学校保健委員会での情報の共有化する努 力は行うべきである。

・緊急時の関係先への連絡方法なども確保・ 指導しておくべきである。

3.「学校における救急搬送状況について」
広島市消防局警防部救急担当部長
山下 聰

◇平成20 年度中の学校における出動件数は 5 1 4 件(搬送5 1 8 人)で、総出動件数の 1.1 %。急病190 人(36.7 %)運動競技171 人(33.0 %)一般負傷140 人(27.0 %)で、 3 種類で全体の96.7 %を占めている。

◇傷病程度では、軽症64.5 %、中等症32.6 %、 重症2.9 %で、重篤以上の患者の搬送はなか った。性別では、男性が64.5 %で多く、年齢 別では、7 〜 12 歳が23.4 %で最も多かった。

◇時間帯では、12 〜 15 時が34.5 %で最も多 い。発生場所では、グラウンドが37.8 %で 最も多かった。

◇救急隊が到着するまでの間、応急手当が実施 されていたのは、17.6 %であった。処置の内 訳では、外傷が多いことから、固定処置・止 血処置・創傷処置の3 つで54.9 %であった。

◇今回の分析結果を踏まえ、教職員等学校関 係者に対する応急手当の指導に加え、重症化 につながる熱中症・アナフィラキシーショッ クなどの対応を含めるとともに、統計資料の 提供を含め、学校と消防機関の連携強化を図 る必要がある。エピペンは、症状が悪くて本 人が打てないときには消防も打てることにな った。

◇一番近くにいるのは生徒であり、中学生以上 には手当のやり方を教えていく必要がある。

4.「地域でつくるセイフティーネット;救急 医療の現場から」
広島大学救急医学教授 谷川攻一

◇学校で発生している疾患は、外因性疾患と内 因性疾患に分けることが出来る。

◇致死的な外因性疾患としては、高所転落・墜 落や衝突・遊具などによる外傷・異物による 窒息・溺水・熱中症などがある。内因性疾患 としては、不整脈・心筋疾患などの心疾患、 脳出血などの中枢神経疾患がある。

◇対策

・事前対策(予防)としては、外因性疾患に ついては、安全設備の改善・安全規則の徹 底・安全教育を行う。内因性疾患について は、心臓疾患や中枢神経系疾患をもつ児童 の把握、検診でスクリーニングし、危険因 子をもつ児童に対する重点的な観察と事前 対策の策定、予測される急変時への対応と 関係者への周知などがあげられる。

・緊急時対応計画を策定する。連絡体制・指 揮系統・初期医療対応・応急手当教育な どをあらかじめ決めておく。

・職員応急手当教育では、生命に危機的状況 を生み出す疾病への対応として教職員への 心肺蘇生法が最優先される。

◇緊急時対応

・事故が発生したら119 番への通報や応急手 当の必要か、必要でないかを判断すること が必要。

・119 番通報してから救急隊が到着するまで 平均で7 分必要とされる。救急隊に引き継 ぐまでは教職員は蘇生処置やファーストエ イドを実施する。救急隊には、アレルギー の有無、児童の既往歴、処方薬の有無、最 終食事時刻、事故発生時の状況、実施され た応急手当の内容、校医への連絡の有無な どを正確に引き継ぐ。これらの情報は救急 隊による応急処置のみでなく、搬送先救急 医療機関における初期医療においても極め て有用なものとなる。

◇集団災害発生時の対応

・多数の傷病者に対して救助者の数が限られ ているため、最も重症でかつ救命の期待が 持てる傷病者への対応を優先せざるを得な い。そのため、救急隊や医療関係者がトリ アージを行うが、学校現場でも基本的な概 念についての理解が必要。

・児童を安全な場所への移動させ、必要に応 じて救急処置を行う。

特別講演

「乱世が生んだ美―桃山の武将茶人上田宗 箇」と題して、茶道上田宗箇流家元上田宗冏氏 より講演があった。

次期担当都道府県医師会長挨拶

群馬県医師会鶴谷嘉武会長より、「先程開催 された都道府県医師会連絡協議会で、次期第 41 回大会の担当は、群馬県医師会と決定いた だいた。平成22 年11 月20 日(土)群馬市に て開催するので、多くの学校医の先生方のご来 県をお待ちしています」との挨拶があった。

閉会

広島県医師会副会長より、閉会の辞が述べら れ閉会となった。

閉会後、懇親会が盛大に開催された。

印象記

宮里善次

理事 宮里 善次

平成21 年11 月14 日、広島県のリーガロイヤルホテル広島において、第40 回全国学校保健・学 校医大会が『地域ぐるみで支え合おう 子どもの健康と安全』をテーマに開催された。

初日は唐澤日本医師会会長の挨拶に始まり、午前中は5 つの分科会に別れて発表があり、午後 は『学校現場における救急体制』をテーマにしたシンポジウムと特別講演『乱世が生んだ美・桃山 の武将茶人、上田宗箇』があった。

分科会は第3 分科会『からだ・こころ』こころ・健康教育部門を拝聴した。

中でも興味深く聞いたのは喫煙防止対策である。

山梨県から小学校5 年生と中学2 年生に的を絞ってアンケート調査の結果発表があった。禁煙・ 禁酒教育が効果をだしている一方で、喫煙児(1,958 人)に対してはこの一年間で禁煙に成功し た割合が28 %であり、非ニコチン依存症で48 %、ニコチン依存症で23 %であった。子どもの場 合ニコチン依存症になりやすいことを考えると、予防対策は重要であることを痛感させられた。

たばこに興味をもつ理由として(かっこいい)、(ストレスがとれそう)、(吸ってみたい)が最 も多く、いわゆるイメージするような不良的な動機は少ない。

和歌山県では学校医による喫煙防止出前授業をしており、その結果報告があった。

教材は和歌山禁煙教育ボランティアの会作成のCD − ROM を使用。

小学校5 年生または6 年生を対象に、原則学校医が喫煙防止授業を行う。

さて、すでに喫煙している子供達をみてみると、たばこの入手経路は多い順に、「家にあったか ら」が最も多く、次に「親から、兄から、おじいちゃんから、親戚から」、3 番目として「友人から」 となっている。

喫煙をしている保護者らが、子どもにおよぼす喫煙の害を理解していないのではないかと思わ せる結果となっている。

授業前後のアンケート結果は本文を参考にして頂くとして、出前授業は喫煙防止につながる意 識を形成する結果となっている。

授業に参加した学校医の感想が興味深い。

「すがすがしい気分になった」、「楽しかった」、「生徒のためより自分のためになった(授業を機 会に禁煙した)」、「授業で児童の真剣な眼差しに感動をおぼえた」、「児童の感想文を読んで、来 年も是非授業をしたいと思った」など前向きな意見が多い。

一方、子供達の意見で印象に残ったのは、「こんなに体に悪いものをなぜつくる」、「家に帰っ て、父親にたばこの害を教えた」等々。

午後の『学校現場における救急体制』をテーマにしたシンポジウムでは、まず養護教諭、学校 医、消防隊から報告がなされた。

興味を引いたのは広島市消防局から発表されたデータである。平成20 年度の搬送人員518 名 中、急病が36.7 %と最も多く、運動競技中の事故が33 %、一般負傷が27 %でこの3 つで96.7 % を占めた。結果、軽症は64.5 %、中等症32.6 %、重症2.9 %、重篤0 %であった。

事故がおきた場所はグラウンド37.8 %で、フロアーとホールが続いている。外傷が58.1 %と 最も多く、応急処置で実施率が高いのは固定処置、止血、創傷処置で3 つの処置で54.9 %となっ ている。

学校現場における救急医療では、学校医がでてゆく場面はほとんどないに等しい。学校側と近 くの消防隊で救急訓練をしておくことが最善かと思う。

『地域ぐるみで支え合おう 子どもの健康と安全』を実感した大会であった。