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「新型インフルエンザ大流行に伴う 那覇市立病院への診療応援」について

友利博朗

那覇市医師会感染症・予防接種担当理事
友利 博朗

8 月17 日(月)PM6 時頃に那覇市立病院外 科総括部長の川野先生より救急部門がインフル エンザの患者でパンク状態であり、出来れば那 覇市医師会に応援医師の派遣をお願いしたいと の依頼がありました。本来であれば平理事の私 が回答できない重要な案件ですが、かなり喫緊 な状況であることが電話口からもすぐに感じ取 れたので「了解しました。会長にお伝えして早 急に段取りします」と返事しました。翌朝18 日(火)午前中に友寄会長に状況報告を行い、 19 日(水)夜に緊急理事会の開催となりまし た。川野先生から那覇市立病院の救急体制の現 況報告をして頂き、8 月15 日(土)16 日(日) で約300 人のインフルエンザ疑い患者が殺到し 3 時間待ちの診療を余儀なくされており、担当 医師を始め職員も疲労困憊な状況であることが 良くわかりました。幾つかの質問、確認事項の 後に救急医療における協力要請であり那覇市医 師会としては応召義務として協力する事が理事 会一致で決まりました。

(緊急理事会における那覇市立病院との確認事項)

  • 1.日常診療で季節性インフルエンザを診療し ている医師なら誰でも参加できる。
  • 2.紙カルテ、紙処方箋で診療する。
  • 3.救急診療所で問診によるトリアージを行い、 重症でない発熱患者(15 才以上)を2 階の 病院外来で派遣医師に診察してもらう。
  • 4.診察して重症と判断したら、患者を救急診 療所に戻してもらう。
  • 5.市立病院における約事処方、マニュアルを 用意する。
  • 6.白衣、マスク(N95)、聴診器、予防用の タミフル6C を用意する。
  • 7.9月中の応援になっているが状況により延 長することも十分ありえる。

上記の内容を基に早速8 月21 日(金)那覇 市医師会員へ「那覇市立病院への診療応援(医 師派遣)についてのご協力お願い」の文書を送 りました。

那覇市立病院の応援体制は土曜日の1) 16 : 00 〜 20 : 00 日曜日の2) 12 : 00 〜 16 : 00 3) 16 : 00 〜 20 : 00 の3 コマです。当面は9 月一杯の土、日、祝祭日を医師会員に募ってお り8 月29 日現在で7 割程埋まっておりますが、 最初の土、日の応援医師募集が間に合わないの で理事4 人で担当しました。

私は8 月23 日(日)16 : 00 〜 20 : 00 の担 当応援に行きました。1F 奥の皮膚科外来を臨 時発熱外来として設けてあり、私(内科)、真 栄田副会長(小児科)の2 診で行いました。

救急受付でトリアージ(軽症、重症)がなさ れ、比較的軽症な患者の問診、インフルエンザ 迅速検査結果が添付された紙カルテが診察室に 廻ってきます。あとは日頃の診療と同様であり 特に戸惑い、不都合は一切ありませんでした。 しいて言えばN95 マスクに慣れてないので息苦 しさが多少ある位でした。私は4 時間で22 人 の診察を行いました。時間帯によるバラツキも あると思いますが特にストレスを感じる人数で はありませんでした。

日常診療で大変忙しい中、多数の医師会員か ら手挙げがあることは、会員の先生方が市立病 院の救急外来の存在意義を十分に理解されか つ、日頃からお世話になっている事の気持ちの 表れであろうと思います。今回の診療応援は地 区医師のマンパワーの見せどころであるし、こ の様な連携が持てることが今後の病診連携にさ らに役立つと思われました。