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錆ついた頭と生涯教育コーナー

森本哲也

森本産婦人科 森本 哲也

産婦人科を専攻研修して、更に開業してから 25 星霜、他科の知識は古びて錆ついている現 在です。生涯教育コーナーを読むことにより昨 今の他科の流れの一部が垣間見られ、刺激にな り、また患者さん紹介の一助ともなっていま す。これまでの多数の著者の先生方の御執筆に 感謝するとともに、できるだけ沢山の会員にも このコーナーの意義を理解し、さらなる利用を 訴えていきたいものです。これからも、いまま で同様、各方面の現場の診療・治療内容を紹介 して戴きたいと思います。更に従来の医学常識 が、現在見直され手が加えられている点も数々 見受けられています(例えば、一般診療におけ る抗生物質の使い方、消毒・滅菌法、皮膚科疾 患の治療法等々に、従来と考え方が場合によっ ては180 °異なる)。挙げればきりがないし、 これからも更に変遷していくでしょう。そんな 一般的疾患などを含め、各科の変貌なども御紹 介お願いします。

ここ数年来の医師の不足・地域&診療科偏在 問題、女性医師(勤務環境)支援策の模索、勤 務医と開業医の対立構造持ち込み方への疑義等 次々気になるここ数年です。特に産科、小児 科、麻酔科等は喫緊の問題で閉塞状態にありま す。それでも、以前は台風並みの逆風であった のに比べ、現在は現状を把握しつつあるのか、 世論・マスコミも若干ニューアンスが変化して いる様(?)です。

今年は更に医療事故調査委員会問題の成り行 きも気になります。昨今のILI(インフルエン ザ様疾患)の推移、政局の変動等々。どうなる 事やら?

蒼蝿驥尾そうようきびそうふして万里を渡り 碧薙松頭しょうとうかかりて 千尋せんじんぶ』(史記)

『意』小さな青バエも駿馬の尾につかまって 万里を行くことができ、 かずら は大きな松の木にかかって千尋に伸びることができる。

生涯研修コーナーで様々な科の診療内容に触 れる度に、前述の諺を思いながら自己研修の励 みにしています。

来年( 2 0 1 0 年)、私も、いつの問にか還 暦。− 60 年で再び生まれた年の干支に還る−。 還るということから、自分が今まで、そして現 在行っている医療をふり返って整理してみたい 今日この頃です。

多くの良書と先輩諸氏の助言・指導を得な がら。