去る6 月25 日(木)、午後7 時30 分より本 会館において第189 回沖縄県医師会臨時代議員 会が開催された。
はじめに新垣善一議長より定数の確認が行わ れ、定数57 名に対し、44 名が出席し定款34 条に定める過半数に達しており、本代議員会は 有効に成立する旨宣言された。
続いて、宮城会長より次のとおり挨拶があ った。
挨 拶
○宮城会長
皆さんこんばんは。本 日は、平成20 年度の会 務、諸決算などについ てご審議していただくた め、第189 回臨時代議 員会の開催についてご 案内申し上げましたと ころ、日常診療で非常にお疲れのところ、多数 の代議員にご出席賜り厚く御礼申し上げます。
おかげを持ちまして平成20 年度の会務も代 議員の諸先生方、会員各位のご協力により予定 いたしておりました諸事業も滞りなく推進する ことができました。
平成20 年度の特筆事項は、会員待望の会館が 完成したことであります。会館建設が実現に至 ったのは、県当局が建設用地の等価交換にご尽 力をくださったこと、それから、諸先輩方が多 額の浄財を拠出して浦添市当山の用地を取得し ていたこと、また、当用地取得の残金2 億円を 建設資金に充当できたことに加えて、会員の先 生方が会館建設にご理解を示され、会館建設負 担金及び会館維持費の負担に応じてくださった ことが大きな原動力になったものであり、ここ に改めて深く感謝の意を表する次第であります。
さて、今春メキシコで初めて新型の豚インフ ルエンザの感染者が確認されて以来、世界的に感染が広がり、日本での感染者数も本日1,000 人を超えたとの発表がありました。幸い本県で は感染者は発生しておりませんが、発生という のはおそらく時間の問題であろうと考えられて おります。
今回の新型インフルエンザで本会の対応とい たしましては、県当局と連絡を取りながら、各 地区医師会に対し発熱外来の体制整備等具体的 な対応をお願い申し上げました。各地区医師会 におかれましては、迅速かつ協力的に対応して いただき、大変有り難く思っております。た だ、県行政と本会との連絡体制が不十分な面も あって、地区医師会や会員に戸惑いもあったと 伺っております。本会といたしましては、秋以 降に予想される第二波に備え、万全の体制を整 備すべく努めてまいりたいと考えておりますの で、引き続き会員のご協力を切にお願い申し上 げる次第であります。
6 月2 3 日の慰霊の日の夕方に「基本方針 2009」が閣議で決定をされました。2,200 億円 の社会保障費を削減するという方針は変更され ました。しかし、「基本方針2006」等を踏まえ るという文言が残っておりますため、完全撤廃 という保障はありません。来年度の予算編成に 向けて運動を強化していく必要があると考えて おります。
県内では、先日、仲井眞弘多知事が「県立病 院のあり方に関する基本方針」を発表いたしま した。向こう3 年間、病院事業局の再建計画で 再建が見込まれる場合は、現行の全適継続を検 討する。達成困難な場合に備えて独法化の準備 も同時に進めるという内容になっております。 沖縄の医療を考えるときに、県立病院の継続発 展は不可欠であります。私ども医師会といたし ましても、経営の再建並びに経営安定へ向け全 面的に支援をしていく所存であります。
政府は今回、景気対策として15 兆円の補正 予算を組んでおります。非常に場当たり的でば らまきだという批判もありますが、地域医療再 生というものに対して3,100 億円の予算をつけ ております。これの二次医療圏ごとに1 カ所 100 億円、これが10 カ所。それから二次医療圏に30 億円。これが70 カ所ということで、80 カ所で合計3,100 億円の予算がついているとい うことですから、各都道府県、約2 カ所の予算 がつくということです。沖縄県でいえば100 億 円か、あるいは30 億円の2 カ所という予算が ついている。これは10 月の中旬までに計画を 立てて国に申請をして認められた場合に予算が 執行されるということで、5 年間でその予算、 基金を積み立てて使うということになっており ますので、10 月中旬までには沖縄県、それか ら沖縄県医師会、大学等含めて早急に計画をつ くり、それを国に提出する必要があると考えて おります。
代議員各位におかれましても県立病院のあり 方を含めてご意見・ご要望等を賜りますようお 願いを申し上げる次第であります。
本日は、お手元の資料にお示ししてあります ように、報告2 件、議事6 件を上程しておりま す。詳細につきましては、各担当理事よりご説 明申し上げますので、慎重にご審議の上、ご承 認賜りますようお願い申し上げまして挨拶とい たします。
その後、報告・議事に移り、報告事項は玉城 副会長から平成20 年度沖縄県医師会会務につ いて、名嘉監事より平成20 年度沖縄県医師会 会計監査について報告があった。
議事は以下の議案について各担当理事から説 明が行われ、全て原案どおり承認可決された。
なお、第6 号議案「沖縄県医師会代議員及び 予備代議員選出規程」並びに「沖縄県医師会役 員選任規程」の改正(案)の件の内容について は以下のとおりである。
現行規程では、3 月に任期満了となる代議員 がその年の2 月に開催する代議員会において、 新年度の役員を選出すると共に、3 月の代議員 会で新年度の事業・予算の承認を行うことにな っており、新役員体制への取り組みや新年度事 業への対応のあり方として若干不合理な面が生 じていた。
これを改善する措置として、九州各県で採ら れている代議員(予備代議員)の任期をずらすことについて当代議員会に諮られ了承された。
これにより、代議員(予備代議員)の任期は 2 月から1 月までの2 年間となり、2 月にスター トする代議員(予備代議員)が、2 月の代議員 会で次期役員を選出し、3 月に開催する代議員 会で新年度の事業計画並びに予算を承認するこ とになった。なお、上記の理由により現代議員 (予備代議員)の任期は平成22 年1 月末日をも って任期満了となることも併せて承認された。
なお、当代議員会における質疑応答の主な内 容は次のとおり。
質疑応答(要旨掲載)
1.議事に関する質疑
○名嘉勝男代議員
県の代議員を各地区から推薦する場合に、各 地区医師会では1 月までに決めないといけない わけだが、医師会の執行部の事業というのは、 前執行部がやったことを踏襲するということが 多くて、会長が変わったから新しい事業をする ということは少ないのではないかと思う。例え ば政治家のようにいろんな県の予算の配分、執 行に対していろいろ新しい執行部が自分の力を入れたいところをやりたいとか、そういうこと が出てくると思うが、最終的な修正に反対とい うわけではないが、九州各県では途中で変えた のか、最初からそうなっていたのか、その説明 をお願いしたい。
回答(真栄田常任理事) 九州各県でも最初 は沖縄県医師会のような形でやっていたが、ど うも会務運営の段階で新代議員が新執行部及び 新しい予算を計画したいという形で、暫時、他 府県にならって変えてきている。もともとから1 月に決めるというわけではなかったようである。
○中田安彦代議員
2 月にスタートする代議員が代議員会で次期 役員を選出し、3 月の代議員会で、事業計画を 承認するとある。例年は2 回代議員会をしてい ると思うが、ということは、この2 年間にトー タルで5 回ぐらい代議員会をするということな のか。1 回余分に代議員会は増えるのか。
回答(真栄田常任理事) 開催回数はこれま でと同様、通常は2 年間に5 回開催となる。
3 月に次年度の事業計画、6 月に事業報告を 諮ることになるが、選挙がある年は2 月に役員 選挙を行うことになる。
2.代表・個人質問
○大城修代議員
新型インフルエンザ については、補償の問 題について県はどうい う見解をもっておられ るのか、お伺いしたい。
回答(宮里理事) 今回の豚型新型インフル エンザは不意打ちをくらう形で発症し、なおか つ国内侵入してきたために、あらゆる対策が後 手後手にまわったことは否めない。補償関係に しても同様だと思っている。
沖縄県医師会はメキシコ発症の一報が入った 数日後に、県の担当官を交えて第1 回感染症予防接種委員会を開催し、二次医療圏ごとに体制 の構築を図ってきた。
補償に関する件は、5 月15 日に唐澤日本医 師会長が厚生労働省大臣に「新型インフルエン ザ診療にかかる補償等」を提案している。
沖縄県医師会ではそれに先立って5 月9 日に 宮城会長名で仲井眞知事に「新型インフルエン ザへの対応策について」という要望書をすでに 提出していた。
6 月1 日付けで厚生労働省から県に「地域活 性化、経済対策臨時交付金の新型インフルエン ザ対策への活用等について」という通達がなさ れているが、補正予算という性質上、通達日と 締め切り日の間が数日ぐらいしかなく、非常に 短すぎて今回どこの県も対応はできなかったよ うである。
しかしながら、国は当初はそういう補償はし ないといっていた姿勢から、補償するという態 度に変わってきている。
沖縄県医師会では、6 月17 日に秋口の第2 波 対策として第2 回の感染症委員会を開催した が、その席で県の担当官から補償は国策として 必ずなされるとの発言があった。6 月19 日に厚 生労働省から新型インフルエンザの新しい指針 が発表された。弱毒性で秋の第2 波は大流行が 予想されるため、季節性並に原則全医療機関で 対応するように求められている。
季節性並の扱いになった場合に、今回の補償 に関する件は棚上げになることも推察される が、今後、ウイルスの強毒性への変異、あるい は鳥インフルエンザの流行も念頭に入れながら 交渉を行っていきたいと思う。
それから、県と国とどの比率で補償するの か、あるいはどういう計算をして補償するのか ということは、まだ具体的には決まっていない ようである。
○大城修代議員 補償するという確約はない のか。
回答(宮里理事) 文書ではない。口頭だけ である。
○名嘉勝男代議員
最初に玉城信光副会 長にお礼を申し上げた い。去る3 月29 日、第 120 回日本医師会定例 代議員会で九州ブロッ クを代表して、玉城先 生が日医に代表質問を されている。先生の報告が6 月号の県医師会報 に載っていたので目を通したが、消費税につい ての問題はこれまでも何度か取り上げられて、 いろいろ日医からの回答も聞いてはきている が、一番問題にしているのは、消費税が近いう ちに上がるのは間違いないだろうということで ある。
現在でも消費税が医療機関に損税を与えてい るのはご承知のとおりである。医療費が非課税 になっているために、仕入れた商品に関しての 控除ができないということで損税という形にな って、医療機関は被害を被っているわけだが、 病院の規模が大きくなればなるほど、消費税の 被害が大きいと言われている。会員の中には普 通の取り引きのように課税の対象にしたほうが いいんじゃないかという方もいるが、消費税が 低所得者の方に与える影響等を考えると、今 回、消費税を上げることになってしまうと、ま すます消費税の逆進性というのはご承知のとお りだが、所得の低い人ほど負担率が高くなって 厳しくなる。医療界は消費税を目的税にして財 源確保をしようという動きがあるが、手放しで 消費税が上がるのを喜んでいるわけにはいかな い。現状のままだと、自分で自分の首を絞める ような形になるのではないかと思う。
玉城先生が日医で質問されて、最終的に日医 が目指すのはゼロ税率の適用、あるいは軽減税 率の適用と言っているが、以前からそういう話 も出ているが、なかなか進展しないというのが現 状である。最終的には政治的な決着があると思 うが、各医師会でも、もう少し歩調を合わせて、 選挙も近いことから、もう少し具体的な行動を起こせないものかと思い質問をせていただいた。
回答(玉城副会長) 名嘉会長がご指摘のよ うに、今年の3 月に日本医師会の代議員会で九 州ブロックを代表して質問をさせていただいた。
先生方皆さんご承知のとおり、消費税は医療 機関にかかってきて、エンドユーザーである患 者さんにはかからないようになっている。実は この質問をしたときに調べたら、消費税がかか って20 年になっている。当初は診療報酬で補 てんするということだったが、この数年間、診 療報酬がどんどん下げられているので、診療報 酬の中に消費税分を含むことはなくなって、か えっておかしい状態になっている。日本医師会 の医業税制検討委員会にも私は2 年ほど参加さ せていただいた。毎年ゼロ税率でいきたいとし て、患者さん負担はゼロにするが、医療機関に かかった消費税は還付してほしいと日医は要望 しているが、消費税論議がまだ本格的にならな いため、そこまでに至っていない。また、今、 社会保障の財源として消費税を上げたら診療報 酬に全くこないで、ほかの分野にいってしまう。 日医に対する私の質問にもあったように、隙間 ということで消費税だけでは社会保障、基礎年 金と後期高齢者医療と介護の国庫負担、それだ けも今の5 %では埋めきれない。だからそうい うことで、消費税問題というのは税制の大きな ものにかかわるので、日医としては目的税化に すると、診療報酬のほうに全くまわってこない のではないかという心配をしていて、いろんな 検討はされている。昔の国税の偉い先生方と一 緒になって協議をして、税制検討委員会でいろ いろ要請している。損税は解消するというの は、日本全国の医師の全体の共通項であるが、 日本医師会から言い出していいのかという議論 で、今、少し悩んでいるところはある。日本医 師会がゼロ税率ということだったら声高に言え るが、消費税をかけて診療報酬で患者さんから 3 %でも、1.5 %でも取るということを医師会か ら声を出していいのかどうかというのが、今悩 みのところである。医師会が声を出すと、議員 は喜んで医師会が言い出したからやると言いか ねないところがあり、少し心配しているところはある。名嘉先生が言われたように、とにかく 次回の税制改正のときには、ゼロ税率ないしは 軽減税率でかけていくというのは日医の方針で もあるし、各地区医師会から出されていること も全く同じ方向に歩んでいるとは思う。
○中田安彦代議員
小泉内閣のときに経 済財政諮問会議が組織 され、「骨太2006 年」が 計画された。そのとき に社会保障費を5 年間 で1 兆1,000 億円削減、 年間で2,200 億円削減 するとなったが、当時、一般会員は、本当にこ んなことが実行されるとはあまり思わなかった と思う。そのような状況の中で、医師会が強く なればこういうことも覆せると思ったが、今ま で政策を見れば現実に年間2,200 億円を削減さ れ続けている。
そして、平成の医師会はいつも打つ手が遅れ ているように私には見えていた。今回、麻生総 理は厚生労働省分割案を出して撤回したという 話ではあるが、朝日新聞の報道によると、まだ 社会保障会議ではこの分割案は生きているとい う話があった。
今、経済財政諮問会議が力を失いつつある が、今後は社会保障会議というのが経済財政 諮問会議ととって変わるような状況になっては いけないという思いでこの提案をさせていただ いた。
麻生総理は、医療・年金を担当する省と、保 育・労働環境を担当する省への分割案を示して いたが、今後自民党から政権が変わってしまえ ば、もしかしたら関係ないかもしれないが、た だ現実に新たに生き残ってきたときに、確かに 厚生労働省は大きすぎると思うので、分割する のは妥当だとは思うが、日医として適切な提案、 あるいは日医総研などが適切な提案を出したり、 あるいは会員の皆さんに広報したらいいのではないかと思い、私案を書かせていただいた。
これは執行部の皆さんが回答すべき問題では ないかもしれないが、沖縄県医師会の代表であ る宮城会長に一言、ご意見を言っていただけれ ば有難い。
回答(宮城会長) 先生のご質問、ご意見に ついては十分理解ができる。
小泉改革で小さな政府ということで、行革の 中で省を統合してきたという経過がある。現在 はどうなっているかというと、先生が指摘する ように元厚生省と労働省の膨大な分野を厚生労 働省の大臣1 人でやっている。非常に忙しいと いうことはよくわかるが、その経過の中で小さ な政府ということで、行革の中で一本化したも のを再度また分割するには、それなりの理由が 必要になってくると思う。
いろいろ日医にも問い合わせをしたが、分割 案が出てきて、それが引き込まれた時点で日医 としては検討する予定だったが、その検討を一 時凍結したということで、今、日医としても意 見は集約していないということである。
先生の意見はそういう状況の中でも、きちっ とした意見を日医も言うべきだし、それ以上に 沖縄県医師会としても日医に提言をすべきだと いう意見だが、私自身、残念ながら先生のご意 見には今のところ、すぐに答えることはできな いところである。
医師会の中でもその問題については検討して いきたいし、それから皆さんの意見も十分聞い た上で医師会の態度を決めていきたいと思う。 また、日医が決める前に、あるいは医師会とし て前もって意見を言うということが必要になる かもしれない。そういう時期がきたら、先生の 意見もぜひご提案いただき、沖縄県医師会とし て提案していきたいと考えている。
ただ、先生が言うように、今、日医に何か提 言するということは残念ながら考えていない。
○中田代議員 決して日医にすぐ提言しなさ いというつもりではない。ただ、今、時代の流 れが非常に速いため、常在戦場というか、臨機 応変にやっていかないといけないだろうという 意味で出させていただいた。