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第1 回地区医師会長会議

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る5 月26 日(火)、県医師会館において標 記会議が開催されたのでその概要について報告 する。

冒頭、宮城信雄会長から下記のとおり挨拶が あった。

挨 拶

沖縄県医師会長 宮城信雄

平成21 年度第1 回地区医師会長会議を開催 いたしましたところ、日常診療で非常にお忙し い中お集まり頂きましてありがとうございます。

この地区医師会長会議は基本的には議決機関 では無く、現在地区医師会で問題となっている ことや、県医師会が今どのようなことをしてい るのか等、意見交換を行いお互いに情報を共有 し、県との交渉など円滑に行うために開催して おります。

本日は執行部の選出あるいは代議員の選出に ついて矛盾が生じているため議題を上程してい る他、新型インフルエンザ関連の質問等5 議題 上程されておりますので、忌憚の無いご意見を 賜りますようお願いいたします。

議 事

1)「沖縄県医師会代議員及び予備代議員選 出規程」並びに「沖縄県医師会役員選任 規程」の改正(案)の件(沖縄県医師会)

<提案要旨説明>

真栄田常任理事

現在、沖縄県医師会役員の選出については、 その年の3 月に任期満了となる代議員によって 行われており、新役員体制への取り組みや新年 度事業への対応のあり方としては若干不合理な 面が生じている。

そのため九州各県医師会にて行われている、 新代議員によって県医師会の新役員を選出する 方法を採用するため、沖縄県医師会代議員及び 予備代議員選出規定並びに沖縄県医師会役員選 任規定を別紙のとおり変更したいのでご協議頂 きたい。

なお、本日ご了解を得られれば、来る6 月25 日 (木)開催の第189 回臨時代議員会に上程したい。

以上の説明の後、協議した結果、来る6 月 25 日(木)開催の第189 回臨時代議員会にお いて上程することが了承された。

2)「新型インフルエンザ(豚インフルエンザH1N1)に係る医師の補償について」の件 (中部地区医師会)
3)「新型インフルエンザパンデミック時の発熱外来応援医師に対する補償について」 の件(宮古地区医師会)

<提案要旨説明>

中部地区医師会 川平稔副会長

新型インフルエンザに係る発熱外来の設置時 において、県は医師・看護師に派遣協力を求め ているが、協力時の「補償」について看護師へ は労災適用が認められているが、「医師」につ いては補償がないとなっていることについて は、県や国に対し、補償するよう要請する必要 がある。

宮古地区医師会(当日欠席のため紙面のみ)

県立病院などに勤務する公務員医師は発熱外 来応援時、新型インフルエンザに感染し入院を 余儀なくされたり、感染により死亡した場合な どは労災などの補償が適応されると思う。しかしわれわれ医師会員がそうなった場合の補償は 現在のパンデミック感染が起こった場合、はた して発熱外来への応援にいく医師会員が何名い るか疑問である。医師としての使命感や善意だ けで解決できる問題ではないと考える。

われわれ医師会員は開業医がほとんどで、も しもの場合は診療所閉鎖となり、家族、職員、 職員の家族の死活問題にもつながる。この問題 を日本医師会、沖縄県医師会はどう考えている のか是非教えていただきたい。

<県医師会回答>

◆宮里理事

発熱外来にご協力いただく医療機関の医療ス タッフや発熱外来に出務いただく医療スタッフ が、職務上新型インフルエンザに感染した際の 補償制度の整備については、本会においても喫 緊かつ非常に重要な案件と認識している。

これまでに開催された沖縄県新型インフルエ ンザ対策連絡協議会や本会の感染症・予防接種 委員会の席において当該主旨を再三申し入れる とともに、新型インフルエンザ疑い例が成田空 港で確認された5 月9 日時点で、沖縄県新型イ ンフルエンザ対策本部長(仲井眞知事)宛、当 該主旨を記した要望書を提出している。

また、日本医師会においても本件を重要事項 として捉え、5 月15 日に厚生労働大臣宛に要 望書を提出している。

マスコミの報道を見ると、厚労省では労災の 適用等についての検討が行われているようであ り、また県関係者の発言によると県内部でも議 論されているようである。

<意見交換>

◆県医師会 野原理事

宮古地区医師会の提案事項は休業補償のこと も含まれていると考えるが、この点はどうか。

◆県医師会 宮里理事

沖縄県医師会としては、休業補償については 県に対して特に要望は行っていないが、5 月21 日付の毎日新聞によると、休業補償を検討する 動きが各自治体に広がっているとした旨が記さ れている。

◆県医師会 宮城会長

今後、具体的な補償について検討していく必 要があると考える。

◆県医師会 宮里理事

政府は、新型インフルエンザの発生は今年の 冬を想定していたため、新型インフルエンザの ガイドラインを11 月に策定したばかりである。 今回の新型インフルエンザ(H1N1)は不意を 突かれた形であるが、幸いにも弱毒性であった ためいろいろと考える余裕があった。鳥インフ ルエンザを見据え、今後も補償制度等も含めた 検討を行っていきたい。

◆県医師会 小渡副会長

補償の問題については、一つを認めると他の 団体も全て補償という話になる。日医や各都道 府県の状況を確認しつつ慎重に検討を行う必要 があると考える。

◆県医師会 宮城会長

休業補償等の要請については、日医等の動き を見ながら考えたい。

4)「各地区における新型インフルエンザ対 策について」の件(南部地区医師会)

<提案要旨説明>

南部地区医師会 照屋副会長

南部地区医師会では、これまでに4 回、感染 症危機管理対策会議を開催し、新型インフルエ ンザ拡大期には管内の6 病院に発熱外来を設置 し、まん延期には一般の医療機関においても診 療を行うという方向で検討を進めている。また 医師並びにコメディカルを対象としたPPE の 取り扱いに関する講習会の開催も予定している ところである。

各地区の現状や問題点等についてお伺いし たい。

<県医師会・各地区医師会回答>

◆県医師会 宮里理事

本会では、去る4 月28 日に厚生労働省が新型インフルエンザの発生を宣言したことを受 け、同日に平成21 年度第1 回感染症・予防接 種委員会を開催し、県の担当者と各地区医師会 の感染症担当理事にお集まりいただき、各発生 段階(フェーズ)にあわせた対応等について協 議を行った。結果、基本的には国や県が定めた ガイドラインに沿って医療体制を整備するとと もに、具体的な医療体制の整備内容については 二次医療圏毎に検討していくことを決定した。

中部地区医師会では、5 月1 日に中部保健所 との会議を行い、中部管内の4 救急病院に発熱 外来を設置する旨を決定し、その翌日の5 月2 日には中部保健所より発熱外来設置の4 病院に PPE が届けられている。5 月11 日には中部保 健所と4 救急病院の実務者会議を行い、新型イ ンフルエンザ患者への具体的な医療提供体制等 について意見交換を行っている。

○那覇市医師会 友寄会長

那覇市医師会では、発熱外来等の対応につい て、5 月11 日に県の担当者を招聘し会員向け の説明会を開催した。また、発熱外来へ出務い ただける医師について調査を行ったところ12 名の会員から手上げがあった。また、会員の中 には、現時点においても発熱がある方のチェッ クを医療施設の外で行っている所もある。

◆県医師会 真栄田常任理事

那覇市医師会の対応に係る補足として、4 月 30 日に関係委員会を開催し新型インフルエンザ の対応等について協議を行った。5 月1 日に三役 会を開催し、那覇市で発熱外来を設置する沖縄 赤十字病院と那覇市立病院への医療スタッフの 派遣について協力する旨を決定した。

○北部地区医師会 鍛常任理事

北部地区医師会では、新型インフルエンザの 対応について、これまでに保健所との会議、三 役会、理事会の計3 回協議を行っている。

北部では、感染早期は県立北部病院が発熱外 来を設置し対応を行い、感染拡大期では北部地 区医師会病院にて対応することを検討してい る。発熱外来への医療スタッフの応援やまん延 期における一般会員の対応については、現時点 で検討には至っていない。

○中部地区医師会 川平副会長

中部地区医師会では、開業医の応援は現実的 ではないと考えている。出務するよりも自院で 対応した方が効率的と考える。

また、中部地区では米軍基地におけるチェ ック体制等について以前から問題が提起され ている。

◆県医師会 宮里理事

米軍基地の対応について県の医務課に確認し たところ、県の中に基地対策本部があり、そこ から米軍基地に対して新型インフルエンザのチ ェック体制について要望しているとのことであ る。なおCDC のガイドラインに基づいたチェ ック体制が整えられているとのことである。

○浦添市医師会 山内会長

浦添市医師会では、鳥インフルエンザまでを 想定し、各行政、各団体に声をかけ、今のうち から市全体での対策を検討する必要があると考 えているが、行政が動かない状況にある。

発熱外来については、感染拡大期において浦 添総合病院に発熱外来を設置することを検討し ており、会員8 施設が発熱外来への出務につい て手を上げていただいている。

○国療沖縄公務員医師会 石川会長

国立病院機構沖縄病院では、発熱外来の要請 があれば発熱外来を設置する準備を整えてい る。またそのための訓練も行っている。

○琉球大学医師会 須加原会長

4 月30 日に対策本部を開催し新型インフル エンザ対策について協議した。また文科省から 大学として4 月30 日までに対策マニュアルを 作成するよう指示を受けていたところであった ため、当マニュアルに基づき対応しているとこ ろである。

なお、琉大では、発熱外来の設置は行わず、 重症患者の入院の受け入れのみ対応する予定で ある。

◆県医師会 宮城会長

宮古地区医師会からの報告では、本日 (5/26)宮古保健所と新型インフルエンザに関する会議を行うとのことである。宮古地区では トライアスロン大会において構築された医療連 携体制があるので、それを応用した取り組みが 行われると考えられる。

八重山地区医師会については、新聞による報 道では、市が積極的な対策を講じているため、 それに基づいた医療体制が整えられると考えら れる。

今回の新型インフルエンザは幸いにも弱毒性 であったが、強毒性も必ず発生すると考えられ るため、今後とも引き続き警戒する必要があ る。本県では新型インフルエンザが発生すると 観光としても大きなダメージを受ける。そうい う意味では流行の拡大を阻止することが非常に 重要であり、我々に与えられた役目も大きいと 考える。今後も万全の態勢をとっていきたい。

5)「在宅医療支援システム・ネットワークの 構築に向けて」の件(沖縄県公務員医師会)

<提案要旨>

沖縄県公務員医師会 大城会長

障害児の在宅ケア以外に浦添市医師会は動き 出しているようだが、総じて沖縄は取り組みが遅 れている印象がある。行政が在宅への移行を推 進しているなかで、沖縄の現状に不安を覚える。 県立北部病院では、90 日以上入院している患 者が3 割を超えている。急性期病院でこんなこ とでよいのかと思っている。一方では国は在宅 にシフトしていっている中で、沖縄県は大丈夫 なのか。医師会で何とか対応できないかと考え 提案した。

<県医師会回答>

◆小渡副会長

ご提案のとおり、沖縄県においては、行政をは じめ医師会や関係団体により在宅医療の推進が 取り組まれているが、まだ十分な状況にはない。

国の施策として在宅への移行が推進されてい る状況にあっては、医師にとっても患者・家族 にとっても、在宅医療を充実させていくことが 望まれており、行政をはじめ、医師会や関係団 体も含めて、ネットワークの構築に向けて検討 していく必要があると考える。

また、浦添市医師会が今年1 月に発足させた 「浦添市在宅医療ネットワーク」は、安心して 在宅医療を受けたいという要望を持ちながら在 宅主治医を探すことが困難な患者や家族に在宅 主治医を紹介するシステムを構築することによ り、地域における在宅医療の環境を整え、在宅 医療の受け皿、相談窓口の機能を果たし、地域 社会における質の高い在宅医療を市民に提供す ることを目的としている。

既に、主治医不在時にサポートする医師の紹 介や、退院時に主治医の紹介などが実施されて いるとのことであり、沖縄県での在宅医療を推 進・検討していくうえでモデルとなる事業であ ると考える。

また、沖縄県は、在宅医療が進まない土壌が ある。全国一というくらい往診をしない県であ る。医師の数は多いが、診療所の数は人口比で は九州で一番少なく、総合病院などに医師が多 く勤務している。そのため救急医療が充実して おり、県民は安心できる。主治医が往診に行く より患者自身が自分で救急に行くほうが早いと いう状況にある。

続いて、浦添市医師会山内会長より「浦添市 在宅医療ネットワーク」について紹介があった。

浦添市医師会 山内会長

まだ立ち上がったばかりである。沖縄の方 は、家に人を入れたがらないという特性がある が、在宅を知らない。市民公開講座でも在宅医 療をテーマに取り上げて行ったところ、市民か らかなり反響あった。

浦添市医師会で立ちあげられた理由は、数年 前から在宅医療に情熱がある先生がいて、個人 だけでは無理だということで組織として立ち上 げたいとの情熱があった。数年前から浦添市メ ディカルインフォメーションがあったこともよ かった。

2 年前から検討会を行い、今年1 月に立ち上 げた。浦添市医師会の事業としてではなく、「浦添市在宅医療ネットワーク」という団体を 立ち上げて実施している。事務局を浦添市医師 会に置いている。ネットワークに参加したい会 員を募集して年会費を徴収して運営する。みん なでやろうとするとなかなか進まないので、会 費を出してでもやりたいという情熱のある先生 方を募ってやっている。

現状は、年間でやっている患者は10 名程度 であるが、以前からやっている先生方を中心に して作り上げて、これから充実していこうとし ているところである。強化していきたいと考え ている。

6)「医療安全調査委員会設置法案(仮称)」 に関するアンケート調査の件(報告) (沖縄県医師会)

< 報告内容>

◆県医師会 稲田理事

平成21 年4 月21 日付、日医発第69 号(医 安3)により、日本医師会唐澤会長から県医師 会長宛てに別紙のとおり「医療安全調査委員会 設置法案(仮称)に関するアンケート調査」の 依頼があった。

内容は平成18 年2 月に起こった福島県立大 野病院の事件以来、日本医師会では善意の医師 が安心して医療を行えるように、法的環境を整 える為に、医師法第21 条の改正と、警察に代 わる届出先として、医師を中心とした第三者機 関の設立を目指してきた。その間、厚労省と、 刑事司法に直接関係する警察庁、法務省などの 関係省庁と粘り強く交渉を続けてきた。

その結果、医療界の強い要望に応えて、関係 省庁が合意して出来たものが、平成20 年6 月 に発表された医療安全調査委員会設置法案(仮 称)大綱案であった。

しかし、その後も医療界の一部から、心配等 様々な意見が出てきた。

今回、日本医師会としてはこの大綱案を更に 前に進める為に都道府県医師会へのアンケート 調査を行なう事になったものである。この問題 のアンケート調査は昨年に引き続き2 回目で、 昨年は他府県において地区医師会の意見を聞く ことなく、回答をし、地区医師会から大きな反 発の意見が起きたと聞いている。

その意味も踏まえ、沖縄県医師会では今回、 事前に地区医師会へアンケート調査を行ない、 7 地区からの回答をいただいた。県医師会では この回答を基に5 月19 日の第4 回理事会で慎 重に審議し、県医師会の意見を取りまとめ、日 本医師会へ回答した。また、同時に地区医師会 の回答も送付し、日本医師会へ検討を依頼した 事を報告する。

この報告、説明に関しての各地区医師会から の質問等は特になかった。