理事 金城 忠雄
平成21 年3 月6 日(金)ハーバービューホテ ルにおいて、標記協議会が開催されたのでその 概要を報告する。(資料1.協議会委員名簿)
資料1.平成20 年度沖縄県自動車保険医療連 絡協議会委員名簿
挨 拶
宮城信雄県医師会長
沖縄県自動車保険医療連絡協議会は、原則年 1 回の開催でしたが、平成16 年から2 年に1 回 に改めた。沖縄県は平成13 年6 月から導入の 「自賠責保険診療費の新算定基準」、いわゆる日 本医師会ガイドラインに示された中において、 改善すべき点が生じた場合等必要に応じて、三 者(医師会、損保協会、保険料率算出機構)の 実務者会議を開催し、話し合うことになってい る。今日まで県下の交通事故医療の給付に関す る事項については、円滑に運営されている。
現在、45 都道府県が同基準を実施している。 未実施県は山梨と岡山県の2 県だが両県とも実 施予定である。
世界的な経済不況の中、国内では医師不足等 医療環境は、最も厳しくなっている。県民医療 を充実させ、最善の医療を提供するのが私ども の責務と思う。
日本損害保険協会沖縄支部 呉屋信一委員長
損害保険は社会全般のリスクを引き受け、事 故の際には適時適切に支払う保険金により、社 会の安定や経済の発展に寄与して、広く社会に 貢献しているものと自負している。
しかし、損害保険協会が、保険金支払いの漏 れ、保険料の取りすぎ問題等により、社会からの 信頼を失墜し、危機的状況にあった。これを受 けて、損害保険各社及び損害保険協会は、信頼 回復に取り組み、一時期の危機的状況を脱した。
一方、米国のサブプライムローン問題に端を 発した金融危機が、全世界に拡大し、米国最大 の保険会社AIG(America International Group) に対する公的資金の注入の事態が発生した。株 式市場の低迷、円高の進行により、国内経済の 深刻な状況となっている。昨年12 月に発表した 損害保険各社の2008 年中間決算において、大 幅な減益になっている。損害保険各社の経営は 厳しく業界再編の動きもある。このような状況 にあっても、社会的役割を果たすために、社会 の安全、安心への貢献に継続実行している。
損害保険協会は、適正な保険金支払いを図る ために、各都道府県に自動車保険医療協議会を 設置している。
議 題
日本損害保険協会沖縄支部の石川邦夫事務 局長から、資料に基づいて次のような説明がな された。
1.交通事故および損害保険概況について
・交通事故件数は、全国的には着実に減少して おり、5 年間の推移では20 %近く減少してい る。一方、沖縄県は6,500 件台で、ほぼ横ば いの状況で減少していない。
・死亡者数は、全国的には7,000 人台から 5,100 人台へ。沖縄県でも、60 人台から40 人台へとこの5 年間に約30 %へと大幅の減少 である。
・負傷者数は、全国的には110 万人台から90 万人台へと着実に減少しているが、沖縄県 は、7,700 人台とほぼ横ばいの状況が続いて いる。(資料1)
2.交通事故による経済的損失
交通事故による経済的損失は、全国では、年 間3 兆2,225 億円(人身損失額1 兆5,112 億円、 物的損失額1 兆7,113 億円)。沖縄県は、年間 222 億円(人身損失額69 億円、物的損失額 153 億円)となっている。(資料2)
3.被害者の年齢・人身喪失額
年齢層別では、被害者数が最も多いのは20 〜 24 歳の層で、130,671 人。人身損失額が最も 多いのは55 〜 59 歳の層で、1,102 億円となっ ている。(資料3)
4.死亡者・後遺障害者の年齢・人身喪失額
死亡者数をみると、高年齢ほど高く、後遺障 害者数は55 〜 59 歳が最多である。(資料4)
5.被害者の受傷部位
被害者の受傷部位は、頚部の受傷が圧倒的 に多い。被害者総数の47 %を占めている。(資 料5)
6.高額人身損害
最も高い認定総損害額は名古屋地裁の3 億 8,281 万円で、被害態様は後遺障害である。
高額事例をみると、自賠責保険の支払限度額 をはるかに超える症例である。(資料6)
7.自動車保険(任意保険)加入率
国内における交通事故補償は自賠責保険(強 制保険)と任意保険がある。
沖縄県における任意保険加入率は、2008 年 3 月末現在、対人賠償では52 %と成っている。 全国平均が72.2 %で、沖縄県は20 ポイント程 低く、過去5 年間を見ても加入率は最下位の実 態である。対物賠償も同様な状況である。
沖縄県の場合、3 台に1 台は無保険(任意保 険)という状態がここ何十年も推移している。
任意保険に加入していないため、補償できな い者がいる。被害者の方はもちろん悲惨であ り、加害者も一生をかけて償うことになる。
保険会社としては、こういう現状について、 沖縄県の皆さんにお知らせして、是非、任意保 険への加入をお願いしたいと啓発活動を行って いる。沖縄県は、車社会の現状があり、任意保 険は必要保険ということの認識を持っていただ こうという取り組みを行っている。(資料7)
損保料率算出機構沖縄自賠責損害調査事務所 の當眞嗣津雄所長から、次の通り説明が在った。
自賠責保険請求受付件数は、表の通り。
自賠責保険診療費算定基準導入の経緯は、表 の通り。
沖縄県では、平成13 年3 月に自動車保険医 療連絡協議会において、同基準の実施を決定 し、平成13 年6 月からスタートしている。
自賠責保険の支払いの算定には、治療内容、 治療日数が大変重要であり、そのためにも経過 診断書、診療報酬明細書および後遺障害診断書 は算定になくてはならない資料である。一部に同資料の提出を拒否される医療機関があるの で、被害者保護の観点から、是非ご協力をお願 いしたい。
文書料について、過去に高額変更を通知され てきた医療機関があるので、自賠責保険の立法 趣旨を理解していただき、ご協力をお願いした いとの説明があった。(資料8)
<医師会としてのコメント>
従業員の事故により、交通事故賠償額が高額 のあまり、支払いが出来ず、管理者の責任が問 われた判例が出ているようである。
管理者は、自施設の従業員には「無保険車の 不幸な事故」にならぬよう、安心のためにも我 が職員に自動車保険任意加入を確認したいもの である。
診療費算定基準について、沖縄県医師会が平 成13 年6 月に「自動車保険診療費算定基準の 手引き」を発行して現在に至っている。「手引 き」には診療費算定基準の設定について、次の とおり示されており、未導入の医療機関につい ては、この機会に導入されることを、この場を お借りしてお願いしたい。
1.自動車保険の診療費については、現行労災 保険診療費算定基準に準拠し、薬剤等「モ ノ」についてはその単価を12 円とし、その 他の技術料についてはこれに20 %を加算し た額を上限とする。
2.ただし、これは個々の医療機関が現に請求 し、支払を受けている診療費の水準を引き上 げる主旨のものではない。
第19回沖縄県医師会県民公開講座
「ゆらぐ健康長寿おきなわ」
健診受けてちゃーがんじゅう
- 日 時:平成21年7月25日(土)13:30〜15:30
- 場 所:パシフィックホテル沖縄(万座の間)
- 司 会:玉井 修(沖縄県医師会理事)
講 演
座 長 沖縄県医師会理事 玉井 修
本県における健康の現状
〜健診受診への一歩は、あなたの健康への大きな一歩〜
沖縄県福祉保健部医療制度改革専門監 平 順寧「健康」の判断を何でしていますか?
〜沖縄県の特定健診は、慢性腎臓病の判断もできます〜
沖縄県国民健康保険団体連合会事業課長補佐 新里 成美特定健診で生活改善
那覇市医師会生活習慣病検診センター所長 崎原 永辰早期発見・早期治療のための「がん検診」
国立病院機構沖縄病院長 石川 清司