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研修にあたって

大宜見由奈

豊見城中央病院初期研修医 2年目
大宜見 由奈

豊見城中央病院の研修の理念は、友愛の心 で、人間性豊かな職場環境をつくり、健康づく りに寄与すること、また、地域医療に貢献する ことである。また、当院が参加する群星プログ ラムの目的は、2 ヶ年の研修期間で救急医療と プライマリ・ケアを基礎とした総合診療方式の 初期臨床研修を行なうことである。

研修にあたって目標とする大枠は上記のよう なものであるが、1 年の研修を終えた今では、 医師として理念を成し遂げる以前に、医師とし ての根底に必要な、大きなことを学んだと考え ている。

医師としての根底に必要で、2 年間の研修を 大きく左右するもの、それは「出会い」である。

「出会い」には様々なものがある。患者さん との「出会い」、同期との「出会い」、尊敬すべ き先輩医師との「出会い」である。

患者さんとの「出会い」。自分が医師として 向き合う初めての患者さん、研修医1 年目は特 に、この1 年間に出会った患者さんは、どの方 も印象に残っているのではないだろうか。まだ 学生気分が抜けないままで、「先生」と呼ばれ ることのプレッシャー、病室に足を頻繁に運ぶ ことでもらった患者さんの笑顔、自信のなさか ら患者さんに与えてしまった不信感など、患者 さんとの出会いで日々成長する自分が存在して いたのではないだろうか。その中でも、前日ま で元気だった患者さんの急変は、私にとっては 忘れられない。何もできない無力感、どうにか できなかったのかという罪悪感、しかしそのよ うなことがあっても、日々進まなければいけな いのが医師という職業であることを痛感した。 しかし、その患者さんとの「出会い」は私の中 で一生生き続けるもので、その「出会い」を胸 に持ち続け、次につなげていくことが、私の使 命であると考えている。

同期との「出会い」。初めて社会人として、 医師として働くにあたっての同期の医師(友 人)たちの存在はとても大きなものである。同 じ時期に同じ経験をし、共に喜び、苦しみ、す べてのことを乗り越えてきた同志の存在があっ てこそ、2 年間の研修は成り立つと考えている。 幸いにも私の同期は、お互いがお互いを支えあ い、苦しい時には誰でも手を差し伸べてくれる ような人ばかりであり、本当に温かいメンバー に巡り合えたと思っている。

最後に、先輩医師との「出会い」。これこそ、 今後の医師人生を左右すると言っても過言では ない、「医師像」を確立する上で大きく影響し てくるものと考える。

初期研修の2 年間で、身近に尊敬すべき、目 標とすべき医師を見つけることができたら、幸 せなことであると思う。豊見城中央病院では、 チューター制度を取り入れており、研修医と上 級医がペアとなり、常に何でも相談できるよう な仕組みができている。その制度が最低限の枠 組みとしてありながら、チューターの先生でな くとも、すべての医師が研修医を育てようとい う熱意があるのが、当院の最も魅力的なところ であると考える。

研修にあたって、研修医が上級医に求めてい ること、それは、病院全体での統一した研修理 念に沿って研修を行ってもらうことはもちろ ん、勉学に関して気軽に上級医と議論できる環境作り、そして、病院の枠を取り払って、勉学 以外でも腹を割って話せるような関係性がある ことである。患者さんとの関わり方から始ま り、上級医自身の描く理想の医師像、現在に至 るまでの紆余曲折のあった経験についてなどを 含め、研修医と同じ目線での会話を、研修医は 上級医に望んでいると考える。この2 年間で の、精神的にも中身のある研修が、今後の医師 人生に大きく関わってくるのではないだろう か。上級医と研修医では研修のあり方に若干の 考え方の違いは出てくると思うが、お互いの歩 み寄りが最も研修に必要な要素であると考えて いる。

2 年間の様々な「出会い」、そのすべてを肥や しにして、患者さん、同僚、上級医との関係を 大事に大事にしながら、身のある濃い研修を行 うことが現在の私の目標である。




お知らせ

第108 回沖縄県医師会医学会総会

  • 期 日:平成21 年6 月14 日(日)
  • 会 場:沖縄県医師会館

第108 回沖縄県医師会医学会総会会頭 嶺井 進 先生

研修医企画ミニシンポジウム(11 : 00 〜 13 : 00)
「よりよい後期研修をめざして 〜なぜ沖縄を選んだのか?〜」

特別講演(13 : 25 〜 14 : 25)
「医療の質を測り改善する:聖路加国際病院の試み」
聖路加国際病院院長  福井 次矢 先生

一般講演【126 題】(8 : 45 〜 10 : 51)