国立療養所沖縄愛楽園園長 山内 和雄
本年4 月1 日に「ハンセン病問題の解決の促進 に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が施行 され、これまでの「らい予防法の廃止に関する 法律」が廃止されました。この法律は、ハンセ ン病療養所の入所者数が減少するなか、ハンセ ン病療養所の将来のあり方に危機感を抱いた入 所者が、「全国国立ハンセン病療養所入所者協議 会」(全療協)を中心とした市民運動のなかで法 律の原案を出し、昨年6 月に議員立法で成立し ました。ハンセン病問題基本法の特徴は、1,ハ ンセン病療養所に入所歴のない元ハンセン病患 者が、療養所に入所できること、2,国は、入所 者の生活環境が地域社会から孤立することのな いようにする等入所者の良好な生活環境の確保 をはかるため、国立ハンセン病療養所の土地、 建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の 利用に供する等必用な措置を講ずることができ る。3,地方公共団体の責務として、国と協力し つつ、その地域の実情をふまえ、ハンセン病の 患者であったもの等の福祉の増進等を図るため の施策を策定し、及び実施する責務を有するこ と。地方公共団体は、医師、看護師及び介護員 の確保等国立ハンセン病療養所における医療及 び介護の体制の整備のために必要な措置を講ず るよう努めるものとする。となっております。
2,の為、厚生労働省省令が改正されました。 国立ハンセン病療養所長は、土地、建物、設備 等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供す るための指針(指針)を定めることになってお ります。指針の策定では、各療養所で入所者の 意見を聴いて、利用方針を公表し利用者を公 募、入所者の意見を聴いて利用者を選定、基準 に違反する場合に改善を勧告することになって います。利用の基準としては、利用方針に適合 しないとき、入所者に対する医療の提供に支障 を及ぼすおそれがあるとき、入所者の同意が得 られないとき、利用計画と著しく異なるとき、 特定の者を不当に差別的に取り扱うおそれがあ るとき、法令の規定又は公の秩序若しくは善良 の風俗に反するおそれがあるとき、不正の行為 により利益を得、又は得ようとした事実その他 公益に反する事実があるときには利用ができま せん。沖縄愛楽園では、当面の間園北西地区の 未利用地を提供することとしております。詳細 は、沖縄愛楽園のホームページ(http://www.hosp.go.jp/~airakuen/site/top.html)で御 覧頂けます。
3,に関しては、名護市が国立療養所沖縄愛 楽園将来構想をまとめ3 月31 日に市長に対し て答申しております。名護市の将来構想では、 初期段階から各種情報の提供、普及啓発活動の 充実に取り組むことを位置付けており、今後愛 楽園、名護市、沖縄県および関係機関・団体等 が連携しつつ、その具体的な取り組み内容を検 討し、推進していくことで、交流の促進、施設 利用の拡充等につなげていくこととしていま す。土地等の利用に関しては、ホスピス等の医 療機関の整備、ハンセン病交流会館の整備、老 人ホーム等高齢者施設・障害者施設の整備、長 期滞在型健康保健保養施設の整備、市民農園と の整備や愛楽園の自然を利用した公園整備など があげられています。沖縄県とは、愛楽園の医 師採用への協力をお願いしています。医師採用 に関しては、県立北部病院、北部地区医師会病 院で研修しながら沖縄愛楽園で医療に従事して もらう取り組みを行っています。北部地区で医 療に従事することを希望する医師がおりました ら是非愛楽園までお問い合わせ下さい。