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平成21 年度琉球大学医学部附属病院および
RyuMIC 研修医との懇親会

理事 玉井 修

去る4 月3 日(金)午後6 時から琉球大学医 学部・がじゅまる会館(1 階・ホール)に於い て、平成21 年度琉球大学医学部附属病院およ びRyuMIC 研修医との懇親会が行われた。

毎年、琉球大学医学部に於いて行われている 新臨床研修医のためのオリエンテーションのな かで、医療を取り巻く現況や医師会の組織、活 動内容について紹介し理解を深めてもらうとい う主旨で、宮城信雄沖縄県医師会長から「地域 医療について」、真栄田常任理事から「医師会 の事業と医賠責」の講演を行い、終了後に、本 会主催の懇親会を行っている。

懇親会では、はじめに玉城副会長から開会の 挨拶があり、続いて、宮城会長から「難関の国 家試験を見事突破し、 合格の日を迎えられた 皆さん、おめでとうご ざいます。これからは 学生時代と違い、責任 を伴うことを決して忘れないで下さい。そういう意味では、今までと は全く違った立場に立つことをご理解いただき たいと思います。医師としては、患者の気持ち が分かる医師に育っていって欲しい。また、し っかりとした知識や技術を身につけ、きっちと した臨床が出来るように是非頑張っていただき たい」と激励の挨拶を行った。






次に、須加原一博琉 球大学医学部附属病院 長から「先ほどは、宮 城会長、真栄田常任理 事から非常に分かり易 く講話頂き、新研修医 もドクターになったこ とを再認識し、社会的な責任を感じていること だろうと思います。そして、患者から学ぶこと の大切さや患者中心の医療について身の引き締 まる思いをしたのではないかと考えています。 また、4 月24 日には、県医師会主催による群星 沖縄、RyuMIC、県立病院群の3 グループ合同 の歓迎会を企画していただけると伺っています。 こういう会を催していただけることは、これか らの大学病院、あるいは沖縄の医療にとって貴 重な画期的なことではないかと考えています。 お互いに連携を深め強くし、沖縄の医療の向 上、日本の医療の向上に貢献できればと考えて おり、そう云う医師を育てることが出来ればと 期待しているところであります」と述べられた。




その後、研修医を代 表し下浦広之先生から 「本日は、新研修医のた めに、このような席を 設けていただいたこと に、そして先輩方の温 かい激励のことばに感 謝しています。社会の複雑な環境変化と共に、 医師不足など医療を取り巻く環境は厳しいもの があります。そして、今、医療は大きな変化を 迫られてきているものと考えます。さらに、地 域と密着した医療サービスの充実など与えられ た課題を考えると、大きな想いでいっぱいにな ったりもします。しかし、僕たちがこの道を目 指した時に持っていた期待や希望を失わずに、 新たなに立ち向かっていこうという想いでいっ ぱいです。未熟な僕たちではありますが、先輩 方の的確な指導と、時には叱責をいただき、い ち早く一任前の医師になれるよう努力したいと 思います」と決意の言葉があった。




続いて、新研修医の 活躍を期待し乾杯の挨 拶に立った佐藤良也琉 球大学医学部長から 「今、医学医療は社会的 にたくさんの課題を抱 えています。沖縄でも 今後、徐々に問題が深刻化することを覚悟しな ければなりません。こういった社会的な問題に どう対応していくか、私共の医学部でも今年か ら地域枠を設置し、7 名の入学定員増を地元の 高等学校出身者の中から選抜しました。しか し、この学生が卒業をし、実際に地域医療の現 場で活躍するには、相当の時間を要することに なるので、この間はやはり今年卒業をした研修 生の皆さんを含め、社会的な課題に対して、し っかり使命感を持ち対応していただくことが重 要だと思います。そう言う気持ちで、これから の研修に入っていただきたいと思います。

では、研修医の皆さんの研修が実り多いもの になるよう、また、それを指導する先生方にと ってもこの研修が実効性のある良い研修になる ことを祈念し乾杯したいと思います。乾杯!」 と挨拶し、懇親に入った。

懇親会では、新研修医や指導医の先生、本会 並びに地区医師会役員が多数参加し、終始和や かな雰囲気で親睦を深めていた。参加者は100 名であった。

印象記

玉井修

理事 玉井 修

琉球大学医学部附属病院で初期研修をする若い医師たちとの懇親会が琉球大学医学部のがじゅ まる会館で開催された。今回医科の研修医は22 名で昨年よりやや増加した印象である。フレッシ ュマン達はそれぞれに期待に胸を膨らませ、笑顔に一点の曇りも無いように見える。無事国家試験を終え、晴れやかに先輩達に祝福されている彼らには前途洋々たる未来が開けている様に感じ られるのだと思う。しかし、医師としてのスタートラインに立ったばかりの彼らには今後医療と いう重責を担うべく、厳しい自己鍛錬と、崇高な人格形成が求められてくる。ウイリアム・オス ラー博士の『平静の心』を約20 年ぶりに読み返してみた。まだ駆け出しの医師だった頃の自分は この『平静の心』を教訓集として読んだ記憶がある。医師としてどの様に生きるべきかをこの本 を読んで、学び取ろうとしていた。20 年経った今読み返してみると、ウイリアム・オスラーの言 葉が実は人としてどう生きるべきかを語っている事に気がつく。人の心はどの様にあるべきか、人 の成長とは何なのか、生きることはどういう事なのか。20 年前、姿勢を正して読んだ『平静の心』 は退屈な金言集の様な印象であったが、今は友達と人生について語り合っている様な温かく穏や かな居心地の良さを覚える。難しい事ではなく、むしろ温かく語り、多くの事を許容する事の大 切さを今更ながら考えさせられる本である。研修医の皆さんも、もし良かったら読んでいただき たい本の1 冊である。

懇親会の司会を終えて、久しぶりに学舎である琉球大学医学部を散策した。友人達とよく無駄 話をしていたベンチ、お昼休みにバレーボールをしていた中庭、疲れ切った体を引きずるように 歩いていた病棟の廊下など全てが懐かしかった。昔のままの様子を止めているものも多いが、す っかり変わってしまったものも多い。気がつけば自分自身の髪も白くなり、注射薬のアンプルに 書かれている文字もよく読めないほど老眼が入ってきている。これからの時間をかけて、私自身 があの若い世代に何を残せるのだろうか、何を語ってあげれば良いのだろうか、果たして自分に それだけのものがあるのだろうか、大きながじゅまるの木の下でそんな事を考えていると大学の 職員が声をかけてくれた。「先生、2 年ほど前、この木からハブが落ちてきた事があるそうですよ、 気をつけてくださいね!」いっぺんに現実に返り、恐怖感と我が身可愛さにその木から遠ざかる 自分をみつめ、まだまだ修行が足りないと反省しきりであった。