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Harvard School of Public Health and
Boston University School of Public Health in Nakijin

石川清和

北部地区医師会副会長 石川 清和

それは1 通のメールから始まった。仲介者が いたとはいえ、世界トップクラスのハーバード 大、ボストン大学の公衆大学院生が今帰仁に来 るなんて、「半信半疑」で私のJapan Trip は始 まった。そう、「ただ単に空間を移動することだ けが旅でなく、非日常との出会いが旅である」 とするなら、まさしく「旅」の始まりであった。

彼らの今年の目的が「健康長寿の秘訣」であ り、その要因としていろんなことを指摘してい たので、できるだけ多くの体験をしてもらおう と考えていた。例年は30 人前後であったが、 沖縄の魅力のせいか、最終的には世界9 カ国の 外国人学生45 名、日本人留学生8 名の大きな ツアーとなった。

3 月22 日〜 28 日の1 週間は天気があまりよ くなかったが、25 日、26 日だけは天気に恵ま れ絶好のField work 日和となった。わずか2 日 間ではあったが、模合い見学、潮干狩り、御獄 めぐり、アグー豚舎の見学、野菜畑、調理実 習、保健師の活動、そして高齢者との触れ合い といろんな体験を組み込んだタイトなスケジュ ールを無事にこなすことが出来た。

初日は模合いの見学で、資金集めの一口30 万円の模合いと、20 代から60 代までが参加す る、バドミントンクラブの交流模合いを見学し た。日本人留学生の通訳のもとで、模合いの特 殊性を理解してもらえた。コロンビアにも同様 のシステムがあると参加者のひとりが話してい た。バドミントンの模合いは練習後夜10 時か ら始まる夜型社会沖縄ならではの模合いであっ たが、世代間の交流を感じていたようである。

翌26 日は6 つのグループに分かれいろんな体 験をしてもらった。昼食を中央公民館でお年寄 りと摂りながら、健康長寿についての一生懸命 聞き取りしていた。その日は天気に恵まれ快晴 になったため、急遽一部予定を変更し海水浴に 行った。ボストンの海を見慣れた彼らにとっ て、色鮮やかな沖縄の海は忘れられない思い出 になった様である。発表会でも一番拍手を浴び ていたのは、水着姿で海水浴をし、ポーズをと っていたスライドであった。

短い時間ではあったが、彼らが健康長寿の要 因とした魚、野菜、海草を中心とした食生活、 生活習慣、仏教や文化など伝統的な考え方、環 境等を体験してもらえたと思う。

懇親会は商工会の女性部の持ち込んだご馳走 やベジタリアン用の寿司などを囲みながら、子 供たちを含めた民謡クラブの三味線を幕開け に、94 歳の渡名喜長栄氏の三味線、踊り、最 後はほとんどのジャパントリップのメンバーが カチャーシーに参加してお開きとなった。

多くの村民、北部地区医師会の理事の先生 方、医療関係者の皆様の力強い協力のおかげで、 大成功に終わったことを心から感謝しています。