那覇市立病院初期研修医2年目
喜瀬 高庸
早いもので医師となって2 年が過ぎました。
これまでの研修期間を振り返ると表現できな いくらい濃厚な2 年でした。
平成19 年の4 月に医師としての生活がスタ ートし、社会人1 年目でまず感じたのは、働い て給料を頂くわけで、学生の時みたいな妥協は 許されない事。私は内科研修からスタートした のですが、初日の仕事が終わったのがいきなり 24 時を超え、噂には聞いていたけれど研修医 の過酷な環境は真実であったのかと愕然としま した。そして来る日も来る日も早々朝採血の 日々。眠気と緊張と低血糖と闘う日々でした。 学生生活とはひっくり返るほどの生活パターン で、自然と早寝・早起きの習慣が身につきまし た。医学ではなく、まず医業に慣れろとは良く いったものです。研修のローテーションで、大 学病院でも研修をさせて頂きました。病院が変 われば学ぶべき事もまたいろいろあり、慣れる のに一苦労しましたが、多くの友人、先輩、諸 先生方にお会いする事ができました。
辛い事だけではなく楽しい事や充実した事も もちろんたくさんありました。実際に検査や治 療を自分で計画し、治療が実際にうまくいくと 患者さんから感謝されました。様々な職種の人 たちと話ができるのはとても興味深いものでし た。臨床現場においては、初めて行う手技ばか りで、日々自分の力になっているような気がし ました。またビーチパーティーをしたり飲みに いったりして、同期、レジデントやスタッフの 諸先輩方に日々の悩みを相談したり、時には? 騒いだりもしました。1 週間だけ休暇を頂き、 台湾で一人旅をしました。長崎ハウステンボス で初めての「学会発表」というものも経験しま した。気分転換のため、少しでも時間があれ ば、大学に部活に顔を出し後輩の顔をみて彼ら から元気をもらいました。
振り返ってみると、この2 年は人生の中で最 も濃密で早く過ぎていった2 年でした。あと少 しで研修を修了する?予定ですが、これまでの 経験を踏まえて、研修する環境はどういったも のがよいのか自分なりに考えてみました。まず 症例が豊富である事。1 年目というのは医師免 許取得後ではありますが、何も知らないといっ ても過言ではありません。その中で多科に渡り 多種多様な病態に触れる事ができるのは長い医 師人生の中で研修医の時しかないのかもしれま せん。指導医の先生方に質問しやすい環境も大 切だと思います。もちろん自分で予習したうえ で質問をするという姿勢が大切かなと思いま す。また研修医というのは、必然的に雑務は多 いものです。その中でフィードバックを得る事 ができるのも重要だと思います。具体的には、 入院時の診察、入院時指示、検査のオーダー、 ムンテラの時間調整や診療情報提供書の作成な どなど日々の業務をこなす中で、指導医の先生 方から医学的な知識やアドバイスが得られれ ば、雑務に負われつつも充実した日々が送れる でしょう。その他に図書館やup to date といっ た文献検索設備が整っている事も重要だと思い ます。その点那覇市立病院は以上に述べたよう な環境が整っており、研修するにはおすすめの 病院です。
長くなりましたが、初期研修というのは医学 部を卒業後皆に与えられる2 年間です。積極的 に行動しなければ、たかが2 年、されど2 年で 雲泥の差がつくと思います。理想的な研修環境 であってもそれを生かすも殺すもその人次第で す。この2 年の経験を通して、豊富な知識を習 得するのはもちろん大切ですが、患者さんの訴 えを全人的にくみ取れる医師でありたいと思う ようになりました。研修終了後も初心忘るべか らず、今の気持ちを大切に医学・医療に取り組 んでいきたいと思います。