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沖縄県医師会医学会産婦人科学会会長 青木 陽一 先生

青木陽一先生
P R O F I L E
学  歴
昭和59 年3 月31 日
新潟大学医学部医学科卒業
昭和59 年5 月26 日 第77 回医師国家試験合格
平成3 年10月1 日 医学博士取得
職  歴
昭和59 年5 月26 日
新潟大学医学部産婦人科
昭和60 年4 月1 日 秋田赤十字病院−産婦人科
昭和61 年4 月1 日 新潟市民病院−産婦人科
昭和63 年4 月1 日 新潟大学医学部産婦人科
平成2 年5 月1 日 新潟大学医学部産婦人科助手
平成3 年11月1 日 米国ハーバード大学マサチューセッツ総合病院
MGH Cancer center 留学
平成6 年11月1 日 新潟大学医学部産婦人科助手
平成9 年8 月1 日 新潟大学医学部産婦人科講師
平成13 年4 月1 日 新潟大学大学院医歯学総合
研究科 講師
平成18 年4 月1 日 琉球大学医学部女性・生殖
医学分野教授(現職)
所属学会・研究会 等
日本産科婦人科学会(代議員)、日本癌治療学会、日本婦人科腫瘍学会(評議員)、婦人科悪性腫瘍化
学療法研究機構(JGOG)(理事)、日本臨床細胞学会、日本癌学会、日本絨毛性疾患研究会(世話人)、
婦人科骨粗鬆症研究会(理事)、日本免疫学会、American Society of Clinical Oncology (ASCO),
active member Inernational Gynecological Cancer Society (IGCS)、日本生殖医学会(九州支部評議
員)、日本周産期・新生児医学学会、日本産婦人科手術学会、日本産婦人科内視鏡学会、日本内視鏡外科学会
専門分野
婦人科腫瘍学、婦人科手術学、分子腫瘍学

沖縄の産婦人科が ますます元気に なりますように



Q1.新潟県から沖縄県へと赴任されて4 年目 になると思いますが、いかがでしょうか。 気候や文化・人情の違いに驚くこともある かと思いますが。

まず、冬暖かいことは、人間のストレスの一 つがなくなり、すばらしいと思います。とにか く、寒いところにしか住んだことがないもの で。沖縄にきて驚いたこと:エメラルドグリー ンとコバルトブルーのきれいな海、今も飽きま せん。一年じゅう咲き誇るブーゲンビリア。台 風の風の強さと台風が来た時、周りの皆が的確 な進路予測をし、気象予報士のように見えたこ と。真夏の石焼いも。沖縄の人:ゆったりして いて、とても不思議なのですが、クラクション の音をほとんど聞かない。追い越し車線をゆっ くーり走っている車。沖縄アクセントの話しぶ り:いまだに「・・・・・しましょうーねぇ。」 の表現はすんなり入って来ません。好きな沖縄 の食べ物:アップルマンゴー、甘くておいしい パイナップル、ヒラヤチ、グルクンの唐揚げ、 県産牛、紅豚、沖縄すば、石垣島のミススバ、 豆腐よう、そして泡盛。

沖縄になくて残念なもの:紅葉をみながらの 露天風呂。最初の頃は、ソメイヨシノの桜の花 見もそうだったのですが、最近は見慣れたせい か寒緋桜もとても華やかで、ピンクの色が濃く て桃の花のようなのですが、これが桜だと、春が来たと思えるようになってきました。

Q2.琉球大学医学部教授としてご多忙の傍ら、 沖縄県医師会医学会産婦人科学会長や日本 産科婦人科学会沖縄地方部会長等を務めら れており、また日本産婦人科医会沖縄県支 部との連携も活発に行われている様ですが、 それぞれの活動内容をご紹介いただけます でしょうか。

日本産科婦人科学会沖縄地方部会の活動内 容としては、年1 回の地方部会学術集会の開催 と地方部会誌の発行です。その他、産婦人科専 門医取得・維持のための定例研修会を1 か月に 1 回のペースで開催しています。これにより会 員の活発な論文執筆、学会発表という学術活動 への参加、沖縄県の産婦人科の学術向上の一助 としています。登録事業として、婦人科悪性腫 瘍登録、絨毛性疾患登録を県内の先生のご協力 により行っています。婦人科悪性腫瘍登録は一 昨年から開始しましたが、今後は非常に貴重な 統計となると思います。日本産婦人科医会沖縄 県支部との連携に関しては、先程の定例研修会 は医会との共催ですし、宮古・八重山地区、北 部地区の先生に対しては、研修会の内容を DVD 撮影し、DVD 研修会も行っています。産 婦人科事業の運営において、医会と学会はその 駆動のための大きな両輪です。医会・学会の合 同理事会、合同講演会等、密に連絡を取り合 い、沖縄県の産婦人科医療がますます発展・向 上するよう活発に連携しています。

Q3.分娩では病診・病病連携、小児科との連 携などが特に重要になってくると思います が、沖縄県ではどのようなシステムを構築 されていますか。

沖縄県は県立病院2 か所に設置された総合周 産期母子医療センターを中心に当院を含め、本 島内の5 施設のNICU を有する病院が沖縄県周 産期ネットワーク協議会を形成し、母体搬送・ 新生児搬送を円滑に行っています。毎日、空床 状況報告を行い、必要な時は県立病院に設置さ れているセンターへ連絡すると、搬送先が決定 されるシステムが出来上がっています。現在の 所、受け入れ拒否などは無く極めてスムースに 母体および新生児搬送が行われ、機能している と思います。また、各施設に専門性があり、搬 送先決定の際、非常に参考になっています。こ のように、沖縄県全体の周産期医療は連携が非 常に上手く行われていると思います。

Q4.全国的に産婦人科医不足が問題となって おりますが、本県の現状と先生のお考えを お聞かせいただけますか?

また、産婦人科医を増やしたり、女性医師 の登用について、工夫されていることがあり ましたら教えてください。

依然、産婦人科医不足は問題となっています が、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会各 本部の尽力により、状況は明るい方向に向かい つつあると思います。医師の充足状態、安定感 等まだ不十分ではありますが、沖縄という魅力 的な地の利、離島をかかえるものの面積として は狭い、産婦人科学会沖縄地方部会の会員数の 増加等の点で、他県に比べると沖縄県は恵まれ ていると思います。今後より安定した産婦人科 医師の充足を満たすためには、新たな産婦人科 医の育成、女性医師の継続就労、復帰支援は非 常に大切なことだと考えています。新たな産婦 人科医の育成には、やり甲斐のある診療科であ ることのアピール、さらに現役の産婦人科医が 元気で楽しそうに働いていること、そして、親 身で本気の教育体制、これらが大切です。女性 医師の継続就労、復帰支援に関して大学病院で 可能となったことは、短時間医員採用です。産 休、育休期間の女性医師が、かなりの自由度を 持って就労時間を選択し、医員として病院勤務 ができ、就労継続・復帰のサポートにしてもら うシステムです。また、現在は県内の病院、診 療所のご協力により、当該女性医師への非常勤 職の提案等を行っております。

Q5.沖縄県は全国的にみて子宮頸癌が多いと お聞きしますが、どのような取り組みをさ れていますか。

全国統計と比較すると、沖縄県の子宮頸癌罹 患率は明らかに高いことがわかっています。沖 縄県の浸潤子宮頸癌の80 〜 90 %を琉球大学で 治療していますが、治療症例数はこの20 年間、 決して減っていません。そして進行例の割合が 高く、ヒトパピローマウイルスの陽性率も他県 と比べると、40 才代以降で高率で、検出され るHPV の型も少し異なるようです。子宮頸癌 患者さんの話を聞くと、全くの子宮癌検診を受 けたことがない人や5 年以上受けたことがない 人が70 %を占めています。

沖縄県の子宮頸癌を減らすための戦略として は、検診の啓発、とくに20 〜 50 歳代の検診率 を向上させることが最も大切です。昨年からの 妊婦健診公費負担により、妊婦さんのほぼ全員 に子宮がん検診が出来るようになりました。こ れはとてもすばらしいことで、大きな第一歩だ と思います。市町村がん検診、離島がん検診に は大学病院医師を派遣し、また、検診率向上の ために、医師会や産婦人科医会、ならびに県や 各市町村に協力する形で、公開講座を開いた り、メディア、ポスター等を通じた宣伝など、 様々な方策による啓発活動を行っています。今 後も各地域の啓発活動にどんどん協力していき たいと考えます。さらに今後は、近々日本でも 使用可能となる、HPV ワクチンの積極的な導 入を視野に入れた活動が必要と考えます。この 点に関しても医師会のご協力をお願いしたいと 思います。

Q6.県医師会に対するご意見、ご要望があり ましたらお聞かせください。

医師会分科会として産婦人科学会を常日頃よ り、多大なるご支援を賜りこの場をお借りし て、感謝申し上げます。

産婦人科医師不足の問題に関しても、平成 18 年度の県開催の沖縄県産科医療連携等検討 会での産婦人科医療の集約化及び連携について の報告書作成に対して、医師会から貴重なご意 見を賜ったこと、また平成19 年度には医師会 開催の産婦人科医師確保に関する懇談会でも、 親身にまた真剣にご討論いただいたこと、ここ ろより感謝いたします。今後ともご指導を賜り ますよう、よろしくお願いいたします。

Q7.最後に日頃の健康法やご趣味等について お聞かせください。

健康法は、良い眠りを貪ることと適量の泡盛 です。新潟ではガーデニングが好きで、土と親 しんでおりました。こちら沖縄では庭の都合 と、観葉植物が非常に育てやすいことで、部屋 の中の植物と戯れています。冬、寒さにやられ ることを全く心配しなくて驚きです。パキラも こっちでは飼育が簡単で、どんどん大きくな る。新潟にいた時分、一度枯らしたことがあ り、こちらでは野生のように、いきいきと大き くなるパキラを見てこれも驚きです。今、部屋 にコーヒーの木を置いて成長を眺めています。 新潟にいるときもコーヒーの木をと考えていた のですが、「冬」が気になり、あきらめていま した。どんどん成長し、昨年9 月植え替えを し、今150cm 位です。もう1、2 年で実をつけ ると予想しているのですが。おいしいコーヒー が飲めますように。

この度は、インタビューへご回答いただき、 誠にありがとうございました。

インタビューアー:広報委員 鈴木幹男