副会長 小渡 敬
開 会
熊本県医師会の緒方俊一郎理事の司会によ り、平成20 年度第2 回各種協議会介護保険対 策協議会が開かれた。
挨 拶
熊本県医師会の村上幹彦副会長より、概ね以 下のとおり挨拶があった。
ご承知のとおり、今年4 月から介護報酬が改 定される予定であり、改定率は全体でプラス 3 %となっている。平成12 年度からスタートし た介護保険制度で初めてのプラス改定である が、日医も私共も納得いくアップ率ではないと 考える。このことについては、本日の議題とし ても提案されているので、十分にご議論いただ き、日医の施策に反映させていただきたいと考 える。その他にも、要介護認定制度の改定や、 介護サービス、介護従事者等について12 の議 題が提出されている。ご協議賜りたい。
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり挨拶があった。
ご存じのとおり、12 月26 日の介護給付費分 科会において今回の介護報酬改定が決まった。 非常に急いで決定されたということで、解釈通 知等についての交渉はまだまだこれからであ る。現在出されている介護報酬についても絵に 描いた餅というか、これをどのように通知の中 で活用していくかということはこれからであ る。本日、各県のご意見を伺いそれを参考にし ながら、通知交渉について臨みたいと考える。 その他にも、要介護認定の問題、介護サービス 公表の問題等、様々な問題があるかと思うが、 各県のご意見をこれからの日医の活動に反映さ せていただきたいと考える。
協 議
<提案要旨>
政府の緊急経済対策によって介護報酬3 % (約2,300 億円)引き上げが決まったが、喫緊 の課題とされる介護従事者の処遇改善をはじめ、介護療養病床や介護療養型老健施設の報酬 引き上げを行うに十分なものではない。介護保 険制度を維持しようと考えるなら、10 %程度 の引き上げがなければ制度が崩壊してしまう可 能性がある。
世界経済がいかに不況とはいえ、社会保障と いうのは、憲法第25 条に掲げるように、国家 の社会的使命であって、絶対に守らなければな らないものである。
各県のご意見並びに日医の見解について、お 伺いしたい。
<提案要旨>
介護職員不足が深刻な問題となっているが、 介護報酬3 %の引き上げでは焼け石に水でしか ない、これでは過去の引き下げ分を補うだけに しかならず、決して満足出来るものではない。 しかしこれでも疲弊しきった介護現場には歓迎 すべき決定である。
これまで介護施設では、厳しい予算の中必要 な出費を削って、まさに爪に火を灯す思いで介 護職員の給与をやりくりしてきた。しかし犠牲 になったのは介護職員の給与だけではない。光 熱費や職員の研修・その他利用者の生活向上に 直接かかわる費用など全てが犠牲になっている。
ところで、この3 %の引き上げ分はどのよう に支払われるのかは明らかになっていない。 「必ず介護職員の給与に支払われる事を担保す べし」という意見も有り、またはいろいろ条件 (介護福祉士の割合など)をつけてそれを満た す施設に厚く配分すると言う案が出ないとも限 らない。
しかし介護の現場では、介護職員が集まらな いことに苦慮して前倒して昇給している所もあ る。もちろん、他の職員の給与や事業費等は少 なからず犠牲になっておりこれ等を総合的に是 正する必要に迫られている。「3 %引き上げ」が 有ってもその全てを介護職員の待遇改善にのみ 使用するのは難しい状況である、従ってこの 3 %の使途はいろいろ条件をつけず無条件に施 設の裁量に任せるべきである。
<提案要旨>
介護職員不足等により、次期、介護報酬改定 では3 %を引き上げるとしているが、その介護 報酬改定に関する情報について具体的にご教示 いただきたい。
(1)(2)(3)は一括協議
<提案要旨追加補足>
佐賀県、宮崎県より、提案事項(1)(2)に ついて以下のとおり補足説明があった。
次回介護報酬改定は、介護従事者のなり手が いないということで3 %増となっているとのこ とだが、改定の経緯や実態が不透明であり、ま た一部の報道では3 %増分の全てが介護従事者 の人件費に充てられると誤解を招く内容もあり (一人当たり2 万円の給料増等)、実際は報酬増 分の全てを人件費に充てることができないとす る現場との乖離を感じる。介護従事者の処遇改 善は非常に重要な問題と考えるが、人件費の扱 いについては施設の裁量に任せるべきと考える。
小渡副会長より、提案事項(3)について以 下のとおり補足説明があった。
沖縄県の施設が次回介護報酬改定についてシ ミュレーションを行ったところ、実際には 1.5 %位の増にしかならないという例もある。 加算減算という厚労省のやり方にあって3 %ア ップは何を意味するのか検証する必要がある。 また、日医としても、今後も報酬内容について 議論の余地があるのであればきちっと議論して いただきたい。
<各県回答>
各県ともに、世界的金融恐慌の現状にあって 介護報酬3 %の増は一応の評価はできるとしな がらも、3 %決定のプロセスに強い疑問を感じるとの見解が示された。また3 %増は過去2 回 のマイナス改定分(2003 年度マイナス2.3 %、 2006 年度マイナス2.4 %)も取り戻せない不十 分な改定率であるとして、介護サービス事業者 の経営安定化ひいては介護従事者の処遇改善を 図るためにも、より現場に即した根拠ある報酬 改定とするよう、今後も厚労省に強く主張すべ きであると意見された。
また小渡副会長より、「介護従事者の減少等 については国の施策の失敗と言える。過去2 回 のマイナス改定については全国の経営実態調査 に基づいたものとしていたが、結果として介護 事業者が疲弊し介護従事者の減少を引き起こし た。こういった場当たり的な国の施策について 日医として強く意見すべきである。」と発言が あった。
次期介護報酬の加算減算の考え方について も、各県より、特養に常勤の医師を配置するこ とで25 %の加算となる等の具体的な改定内容を 例として挙げ、特養に常勤の医師を配置するこ とは稀であり、逆に考えると別のところが大き く減算されているということであり、実際の現 場とかけ離れた改定内容であると意見された。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
3 %のプラス改定については経緯が非常に不 透明である。また、これまでの報酬改定とのプ ロセスと全く違っており、今後このようなこと がないよう申し入れている。しかし、世界的な 金融恐慌という状況を考えればプラス改定は一 定の評価はできる。
3 %の根拠については、はっきりした内容は 示されていない。厚労省の宮島俊彦老健局長 は、2006 年度の改定率マイナス2.4 %のうち、 利用者の自己負担とした食費居住費に当たる部 分を除くと、全体の費用の部分のマイナス改定 幅は0.5 %となり、2003 年度の改定率マイナ ス2.3 %との合計ではマイナス2.8 %の引き下 げになるとして、今回の3 %の引き上げは過去 2 回の合計を上回り取り戻しているとしている が、日医としては納得しておらず、3 %増では 全く足りないと主張している。
また、報酬改定の根拠となる経営実態調査は 定点調査ではなく、かつ調査数も少ない状況で ある。次回以降は定点調査を行うよう申し入 れ、厚労省からはそのように行うという話を聞 いている。
介護従事者の人件費増についても、3 %がこ れに全て使われるはずがない。介護給付費分科 会の中でもプラス改定が人件費のみに使われる 訳ではないと主張しているが、一部のマスコミ がそのように報道している。
3 %のプラス改定はサービス内容によって濃 淡があり、サービスの組み合わせによっては 3 %以上のプラスになることもあると考える。 具体的な加算の条件については、これから解釈 の議論が始まるので、各県のご意見を持ち帰り 議論したい。
厚労省等より、人件費アップの検証を行うよ う強い要望があるが、処遇改善ということで給 料を上げるという文言ではない。検証のための 調査は行われるが、具体的な施設名等の情報が 示される訳ではない。
<提案要旨>
平成21 年4 月より要介護認定制度の見直し が行われ、新しい一次判定ソフトが導入される。
見直しの概要としては、認定調査項目等の変 更、現行の1 次判定の「要介護1 相当」に代わ って、「要支援2」又は「要介護1」の審査判定 を1 次判定で実施されること、また、運動機能 が低下していない認知症高齢者に対する重度変 更の方式の変更等である。
特に、「要支援2」及び「要介護1」の判定を 1 次判定で実施することについては、1 次判定 後、介護の手間に係る判定をもとに、要介護認 定等基準時間が32 分以上50 分未満に相当する と認められる状態にある者について審査判定す るようになっており、従来の分離判定が審査の後方へシフトしただけのように感じられる。
要介護認定審査の流れが実質的にかわるの か、日医の見解をお伺いしたい。
<提案要旨>
平成21 年度より、再度、要介護認定の一次 判定の調査項目やロジックが変更されることに なった。一次判定ソフトの精度を高め、二次判 定の平準化を進めることによって、申請者の不 公平感をなくすと共に、認定審査会委員の負担 を軽減することを謳い文句にしているが、はた してそうであろうか。
の5 点が挙げられている。
5 項目全てに異論があるが、特に以下の2 項 目は大きな問題を抱えている。
3)「要支援2」および「要介護1」の判定を一次 判定で実施
現在、介護認定審査会で二次判定として行っ ている要支援2 と要介護1 の割り振りを一次判 定ですることにより、「認定審査会委員の負担 を減らすと共に、審査結果のばらつきの低減が 期待される」とのことだが、現行では主治医意 見書の疾患、状態等の記載内容による「心身の 状態不安定」を理由に要介護1 にできている が、これができなくなる。
5)二次判定で一次判定を変更する場合に実施す る参考指標の見直し
特に問題だが、一次判定を二次判定で変更す る場合の参考指標を現行の4 つから1 つだけに する、というものである。すなわち、変更理由にしている「要介護認定等基準時間の行為の区 分ごとの時間」、「日常生活自立度の組合せによ る要介護度別分布」、「要介護度変更の指標」、 「状態像の例」のうちよく利用されている後半 の3 つがなくなり、ほとんど使われていない 「要介護認定等基準時間の行為の区分ごとの時 間」だけになる。基本調査のチェック・特記事 項と主治医意見書の内容を付き合わせ、不整合 があれば、基本調査のチェックを修正し、「基 準時間を積み足すまたは変更する方式」のみで 二次判定を行うようである。
結局、現行よりも1 段階低い一次判定結果を 出す→現行であれば、審査会委員が専門性を発 揮して妥当な二次判定に上げるはずだが、その 変更理由をなくした→すなわち、「二次判定は 一次判定通りにせよ」と言っているに等しい。
申請者の状態をイメージし、どの程度の手間 を要するかを判定する専門家としての最も重要 な役割を認定審査会委員が奪われたと言っても よい。
日医の見解及び各県のご意見を伺いたい。
(4)(5)は一括協議
<提案要旨追加補足>
福岡県、大分県より、以下のとおり補足説明 があった。
1 次判定と主治医意見書の整合性をチェック するだけの認定審査会は無意味であり、認定審 査会においては医師として専門的な判断を行っ ていくべきである。また、主治医意見書がなお ざりにされる場合があり、毎年、主治医意見書 の研修会を行っているが、その意見書が参考に されないのであれば、今後どう研修していけば 良いのか疑問に感じる。
<各県回答>
各県ともに、新しい一次判定ソフトを使用し たモデル事業の結果において、要介護5 の判定 がこれまでよりも軽く判定されるという報告が あることから、ソフトの導入によって利用者に不利益が出ないよう、より慎重に検証する必要 があると提起され、今年4 月からの本格導入は 時期尚早であると意見された。また、いずれに せよ、一次判定の結果の変更及び要介護認定を 行う際の重要な資料として主治医意見書が扱わ れるよう、今後も厚労省等に申し入れていくべ きであるとの見解が示された。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
一次判定のロジック変更の経緯は不透明であ る。介護給付費分科会において突然当件が出さ れた。変更については、各団体の意見を聞くべ きであると主張したが、法律の中で検討する場 が設けられておらず検証しなくても良いことに なっている。日医として、早急に検討する場を 設けるよう強く意見している。
変更後の1 次判定ロジックに基づく新しいソ フトでは、これまで要支援2 としていた例の多 くが要介護1 として判定されるようになるが、 要介護5 が少なくなるという結果もある。主治 医意見書の扱いについては、2006 年3 月17 日 の老健局長通知「介護認定審査会の運営につい て」の中で、「認定審査会での個別の審査判定 において、特記事項及び主治医意見書の内容か ら、通常の例に比べてより長い時間を介護に要 すると判断される場合には、1 次判定の結果を 変更する」ということが記載されており、つま り主治医意見書の記載により1 次判定の変更は 可能となっているのでご理解いただきたい。
ロジック変更の問題、検討する場の設置等に ついては、今後も引き続き交渉していきたい。
<提案要旨>
平成20 年11 月厚労省開催の「第2 回全国 「介護サービス情報の公表」制度担当者会議」 資料によると、情報公表制度における事業者の 事務負担軽減として、(1)訪問調査体制を一律 に調査員2 名以上を規則上1 名以上に変更し弾 力的に対応、(2)調査方法の簡素化では、マニ ュアルや規程の面接調査は初年度に確認されれ ば次年度以降は特段の事情がない限り現物確認 は行わない、(3)同一所在地複数サービス提供 の事業所の手数料軽減のため旅費の重複分を勘 案する等の創意工夫した手数料設定等を行うこ とが示されている。
平成20 年度には九州各県とも手数料の減額 がなされているが、それでも各事業所には大き な負担となっていることに変わりない。
本県では、調査機関の運営状況等を調査中で 来年度以降の減額は検討中とのことだが、各県 の状況についてお伺いしたい。
また、日医では三上常任理事が、社会保障審 議会・介護給付費分科会で手数料廃止も見据え た議論を求めたとのことだが、現状について日 医にお伺いしたい。
<提案要旨>
介護サービス利用実績について、全国的に計 画値を下回っているのではないかとの報道がな された。福岡県介護保険広域連合では平成18、 19 年度ともに標準給付費は計画値の87.8 %、 85.3 %と大幅に下回っている。特に居宅サービ スの内、訪問介護、福祉用具貸与、通所リハ、 訪問看護の利用実績減少が著しい。この原因と して、サービス利用の抑制や予防給付導入など によるサービス単価の低下などが考えられる。 各県の現状およびご意見をお伺いしたい。
(6)(7)は一括協議
<各県回答>
介護サービス情報の公表については、各県と もに、平成20 年度において手数料の減額がな されているが、それでも介護事業所の経営が不 安定な状況にあっては大きな負担となっている ことには変わりないと意見され、そもそも不合 理な制度であり、制度自体を廃止するべきであるとの見解が示された。
介護サービス利用実績については、各県とも に計画値を下回っていることが報告され、その 要因として介護予防サービスが全般的に低調で あったこと等が示された。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
介護サービス情報の制度についても非常に不 透明な決まり方をしている。医療については行 政が負担しているが、介護は事業者負担となっ ている。これは平成16 年3 月に社団法人シル バーサービス振興会が出した「利用者による介 護サービス(事業者)の適切な選択に資する情 報開示の標準化について(中間報告書)」の中 で、費用は事業者負担が望ましいとしているこ とによるものである。しかし、当件については 介護給付費分科会では検討されていない。シル バーマークのように事業者が差別化されメリッ トを受ける訳でもなく義務化ということであれ ば、その費用は行政負担が望ましいと考える。 また、当サービスの利用者も高齢者が利用する とは考え難いため、この辺りも含め今後検討し なければならないと考える。
<提案要旨>
介護従事者不足の問題は、介護の現場におい て切実な問題である。
今般、本会において、県下の介護福祉士養成 所(24 箇所)を対象に、平成17 年〜平成20 年の入学者数及び卒業者数を調査した。
調査結果によると、需要(入学希望者)の低 下により、定員割れが著しく、入学者・卒業者 ともに、減少の一途をたどっている。
また、平成18 年から平成19 年の間に2 校、 平成20 年度に3 校が、募集停止や閉鎖された。
さらに、介護福祉士養成所を卒業後の進路 が、介護職とは限らないため、介護従事者不足 問題は、喫緊の課題といえる。
今後、高齢化が進み、より手厚い介護サービ スが要求されることは、容易に予想されるた め、一時的な対策ではなく、介護従事者養成支 援が必要と思われる。
このことについて、日医の見解及び各県の現 状・ご意見をお伺いしたい。
<提案要旨>
介護報酬の算定基準として、人件費比率につ いて1)60 %のサービス(訪問介護、通所介護) 2)40 %のサービス(施設系サービス、訪問看 護、訪問リハビリテーション)の2 分類を設定 している。しかし例えば、特養の人件費比率は すでに60 %を超えている。人件費比率を40 % に抑え込むことなど不可能な話である。このひ ずみを改善するため施設系サービスは60 %以 上に改めるべきである。この点について各県の ご意見を伺いたい。
<提案要旨>
厚労省は11 月12 日に開催した「安心と希望 の介護ビジョン会議」において「安心と希望の 介護ビジョン」のたたき台を提出し、経管栄養 やたんの吸引など一定の医療行為を行う「療養 介護士(仮称)」を創設するとしている。その 後、11 月26 日に開催された同会議で示された 「同ビジョン」案では、「療養介護士(仮称)」 という文言は削除されているが、「必要な知 識・技術に関する研修を受けた介護従事者が、 医師や看護師との連携の下に、医療的なケアの ニーズが高まっている施設において、経管栄養 や喀痰吸引を安全性が確保される範囲内で行う ことができる仕組みの整備に取り組む」として おり、基本的な考えに変化はないものと考えら れる。
具体的な内容が示されている段階ではない が、介護を受ける方の安全性が担保できるのか大いに疑問である。
各県の考え及び本件の状況について日医にお 伺いしたい。
(8)(9)(10)は一括協議
<各県回答>
(8)の介護福祉士の養成については、各県 ともに、介護福祉士養成所における定員割れが 深刻化していると報告され、今回の介護報酬改 定に留まらず、継続した長期的な介護従事者へ の支援策は必須であると意見された。
(9)の人件費率については、施設系サービ スの40 %という数字は現実性がないとの共通 認識が示され、訪問・通所サービス並みの比率 まで引き上げるべきと意見された。
(10)の療養介護士の創設については、各県 ともに反対の意が示され、経管栄養や喀痰吸引 等の医療行為については、看護職等の配置に対 する評価等、別の方策を講じるべきと意見が出 された。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
(8)については、介護職に希望がもてない ということが実態としてあり、厚労省では、今 般、介護の未経験者を雇用した介護事業者に対 し年間50 万円、年長フリーター等を雇い入れ 6 か月以上定着させた介護事業者に対し年間 100 万円の助成施策を設けている。また、新た に介護サービスに従事した者に対する巡回相談 や、実習受け入れ施設のレベル向上のための講 習会等についての予算も計上している。
(9)については、今回、訪問介護、訪問入 浴介護、夜間対応型訪問介護、居宅介護支援は 70 %、訪問看護、訪問リハ、通所リハ、認知 章対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護 は55 %、その他は45 %という形に変わってい る。相当上がった部分(サービス)もあるが、 逆に下がった部分(サービス)もある。地域比 率は特別区15 %、特甲地10 %、甲地6 %、乙 地5 %、その他0 %となっている。
(10)については、案が示されたがすぐに消 えた。今後出されたとしても反対の方向を考え ている。
<提案要旨>
介護療養病床は平成23 年度末に廃止される ことが決まっているが、平成20 年5 月に実施 した療養病床の転換意向調査で「未定」と回答 した医療機関が14.2 %であり、現在も転換の 方向性を決めかねている医療機関がある。
しかし一方で、転換支援策として出された市 町村や国から助成される交付金等は、介護療養 型医療施設は平成23 年度末までの支援措置と なっているが(医療型療養病床は24 年度末ま で)、申請期間を考えると来年度早々には申請 手続きしなければならず、早く方向性を決めな ければ医療機関によっては交付金を受けられな い事態も懸念される。
また、交付金も全ての医療機関が受けられる ものではなく、例えば市町村交付金は、市町村 が策定する「介護療養型医療施設転換整備計 画」を基に転換整備が進められ、整備計画に合 致しなければ交付金を受けられない状況も考え られる。
現在、介護療養型老健施設などについて議論 がなされているが、平成23 年度末の介護療養 病床の廃止時期、交付金等の問題などを考慮す るとあまり猶予がない状況である。
次期介護報酬改定を踏まえての現在の状況と 療養病床転換の動向についての日医の見解と各 県の転換の進捗状況並びに転換先を「未定」と している会員医療機関に対する取組み(説明会 の開催等)についてお伺いしたい。
<各県回答>
各県ともに、療養病床再編の見通しが立たない状況が説明され、現時点でも転換先を「未 定」としている施設への対応については、福岡 県では県及び県医師会が相談窓口を設け対応、 宮崎県、長崎県、熊本県では説明会にて対応し ている旨報告があった。本県においては、介護 報酬や診療報酬の改定を待つべきか、交付金等 の兼ね合いから早急な対応を図るべきか苦慮し ている状況にあると報告した。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
療養病床再編については、医療療養の話もあ り、基本的には次回の診療報酬改定を見定めて から検討すべきと考える。介護療養のまま後1 年辛抱していただき、1 年後に判断していただ きたい。
<提案要旨>
介護保険運用上、かかりつけ医(主治医)が ケアプラン作成や介護サービスの提供に関して 深くかかわっているものと考えられる。現場の かかりつけ医のアンケート調査で、色々の課題 をもったままの状態と思われる。特にケアマネ ジャーとの連携はほとんどない場合が多いよう に思われる。今後、特にケアプラン作成におけ るかかりつけ医の関わりをより強くする必要が ある。具体的取組みについて色々の方法があり ましたらお教え願いたい。
<各県回答>
各県ともに、主治医とケアマネジャーの連携 は非常に重要であると考えているが、実際には 必ずしも連携が上手くいっていない現状となっ ている旨が報告された。主治医とケアマネジャ ーとの連携の場に位置付けられるサービス担当 者会議について、大分県より、「要介護3」以 下の軽〜中等度の場合は、大きな変化やサービ ス提供者の変更がなければサービス担当者会議 は行わず、「要介護4 ・5」の重度の場合は、サ ービス担当者会議を義務付け、その際には交通 費等を考慮するという方向に変更することで、 力を分散するのではなく集中する方向に転換す べきであるとの考え方が提案された。
<日医回答>
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり説明があった。
福岡県において、主治医とケアマネジャーと の交流会を行っているという話を伺っている。 各地域でこのような事例を取り組んでいただく ことが重要と考える。
中央情勢報告(総括)
日本医師会の三上裕司常任理事より、概ね以 下のとおり総括があった。
介護報酬改定の決まり方について納得いかな い部分が多々ある。3 %の決まり方、認定の決 まり方、あるいは介護サービス情報の公表等、 手続きの上でも非常に問題があるということで、 今後も厚労省に申し入れていきたいと考える。
介護報酬改定3 %、これがどのように活用さ れるかということはこれからの通知の問題もあ り、改定の中身を先生方がどのように活用され るかということにもなると思う。活用しやすい よう交渉していきたいと考えているので、是非 ご意見を日医にお寄せいただきたい。
介護職の処遇改善の問題については、我々と しても当然取り組むということを前面に押し出 す訳だが、給与だけでなく、研修や環境整備等 その他いろいろな面を含めて改善に取り組むべ きという姿勢を示していきたい。
今後もご理解ご協力をお願いしたい。
印象記
副会長 小渡 敬
九州医師会連合会の平成20 年度の第2 回各種協議会が1 月24 日に熊本県で開催されました。 介護保険対策協議会おいては、今回は各県より12 の議題が提出されました。
今年は3 年に一度の介護報酬の改定の年にあたるため、これに関する議題が多く提出されてい ました。介護報酬については、これまでに2 度にわたって引き下げられており、そのために介護 施設等での介護者離れや介護人材の不足が大きな社会問題となりました。このような状況から介 護報酬の引き上げは当然のことと予想されておりましたが。3 %引き上げに対して、各県から不 満の声が多く聞かれました。これは過去2 回のマイナス改定(2003 年マイナス2.3 %、2006 年 マイナス2.4 %)を考えると不充分な改定率であるからです。しかし日医の説明は3 %の引き上 げに対して、不満はあるものの肯定的である事に驚かされました。介護施設の現場では介護従事 者の社会的地位の向上や介護職に対する誇り、経済基盤の安定に取り組んでいますが、この程度 の改定率ではこれらは望めそうにありません。医療だけでなく介護分野においても、国の抜本的 な改革が必要であると思われます。