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九州医師会連合会平成20年度 第2回各種協議会

去る1 月24 日(土)、ホテル日航熊本において開催された標記協議会(医 療保険対策協議会、介護保険対策協議会、医療制度対策協議会)について、 以下の通り報告する。

T.医療保険対策協議会

理事 平安 明

挨 拶

熊本県医師会 前田利為副会長

先に開催された次期診療報酬改定に対する要 望事項の検討協議会は御協力いただき感謝申し 上げる。引き続き本協議会においても診療報酬 関係や九州厚生局の指導監査等の項目につい て、慎重にご協議いただきたい。

協 議

(1)外来管理加算の「5 分要件」の廃止につ いて(佐賀県)

【要旨】

平成20 年度診療報酬改定における、外来管 理加算の「5 分要件」導入については、診療所 から病院への財源支援のため、日医としても止 む無く了承したものであるが、日医レセプト調 査による影響額の試算では、減収幅は805 億円 となり、当初の240 億円を大幅に上回る見込み となった。

また、TKC データによる損益分岐点比率で は、病院、診療所ともに悪化したものの、診療 所については前回の96.2 %から今回は98.9 %に なり、100 %(利益± 0)に限りなく近づいてお り、外来管理加算の「5 分要件」が診療所の経 営悪化の一因となっているものと考えられる。

医療の内容・質は、時間で決められるものではない。外来管理加算の「5 分要件」は、早急 に廃止し、従来の算定要件に戻し、存続させる など緊急の対応策が必要である。

各県のご意見並びに日医の見解について、お 伺いしたい。

各県の回答状況

各県とも提案県と同様、医療の質・内容は時 間で決められるものではないとして、外来管理 加算の時間要件の撤廃を求める意見が相次いで 出された。

<追加・補足意見>

◇宮崎県:今回の外来管理加算の要件の問題 と、基本診療料については同時に検討するのか。

○日医 中川常任理事コメント

先ほどの宮崎県からのご質問についてである が、今回は外来管理加算の期中改正を要望し、 基本診療料については次回改定以降に検討した いと考えている。

これまでに期中改定が行われたのは平成15 年の再診料の逓減制、平成19 年のリハビリ日 数制限、平成20 年の後期高齢者終末期相談支 援料の3 回行われている。1 号側からは患者の 視点になってないとの意見が出されたが、TKC 全国会の医業経営指標では診療所の損益分岐点 が前年同期の96.2 %から98.9 %と大幅に悪化 し、健全な経営ではなくなっている。今回の期 中改定については新たな財源を必要とするもの でないことから、支払側の負担となるはずだっ た旧政管健保の国庫負担1,000 億円を肩代わり する法案が廃止になったことと併せて、診療側 の負担も見直すべきとして強く申し入れたい。

(2)外来管理加算の個別指導時の取扱いに ついて(長崎県)

【要旨】

本県の個別指導において、外来管理加算では カルテに指導内容の記載が不十分なものについて は、本年4 月診療分から返還を求められている。

カルテ記載が算定根拠となることは十分承知 しているが、詳細な指導内容を記載することは 困難である。

各県の外来管理加算に対する指導内容、返還 例等についてご教示頂きたい。

各県の回答状況

各県とも提案県のような返還事例はまだない が、時間要件並びに指導内容の記載は外来管理 加算の算定要件であることから、記載するよう 会員へ指導しているとのことであった。

もし他県で返還が発生した場合は、その事例 をもとに九州各県の指導に影響を与えないか危 惧されるとの意見が出された。

○日医 中川常任理事コメント

全国を確認したところ、提案県である長崎県 が一番厳しい取り扱いのようである。青本には 「概ね5 分」「診療内容の記載」等が規定されて いる以上、指導及び返還は否定できない。診療 録の記載は医師法、療養担当規則に明記されて おり医療の根拠となるため、できるだけ記載し ていただきたい。

(3)維持期リハビリテーションの見直しに ついて(鹿児島県)

【要旨】

国は、現在、平成21 年度介護報酬改定に向 け、これまで医療保険のリハビリ標準的算定日 数を超えた患者、いわゆる維持期リハビリの患 者について、通所リハビリに移行すべく議論を 行っている。

しかし、介護保険制度の対象者は、65 歳以 上の高齢者、40 〜 64 歳の特定疾病に該当する 者であり、介護認定に該当しない患者や若年層 などは、介護保険制度には当てはまらず、維持 期リハビリが継続できない「リハ難民」となる 恐れがある。

また、介護保険では認定区分によって支給限 度額が決定され、その限度額内でリハビリを行 うことになり、それ以上は患者が全額手出しとなる。このような医学的な関知もないままに金 銭的な理由でリハビリを止めざるを得ない状況 は、患者にとっても不幸なことであります。

維持期リハビリの重要性を再度認識していた だき、医療保険でも継続して維持期リハビリが 行えるよう日医から国に対し強く要望していた だきたい。

各県の回答状況

各県からは提案県と同様、介護保険に該当し ない患者や若年層が「リハ難民」になりえる恐 れがあることから、医療保険においても維持期 リハビリが継続できるよう見直しを求めていた だきたいとの意見であった。

○日医 中川常任理事コメント

平成18 年度にリハビリの日数制限が実施さ れたが、平成19 年に期中改定された。現在維 持期リハビリについては厚労省と交渉中であ る。また今回の介護報酬改定では短時間・個別 リハビリ報酬が新設され、通所リハビリとして 診療報酬で脳血管疾患リハビリを算定している 医療機関は通所リハビリ事業所の指定があった とみなし、介護報酬を算定できるようになって いる。十分ではないと思うが、改善されるので はないか。

<質疑応答>

◇熊本県:介護のみなし指定を受けた場合に は、介護事業所としての外部評価の負担、介護 報酬請求ソフトの負担等の発生が危惧されるこ とから是非、医療保険で対応できるよう検討し ていただきたい。

○日医 中川常任理事コメント

ご指摘の通り、みなし指定とはいえ、除外規 定に該当しない場合には、情報の公表制度の対 象になり得る。請求に関してはご指摘の通りだ と思われる。

(4)内科系技術料の評価の確立について (宮崎県)

【要旨】

産婦人科や小児科の医療崩壊が話題となって いるが、高齢者医療需要の増加から病院内科の 医療崩壊はより深刻である。そのひとつの要因 として、診療報酬上、手術等を要しない場合の 内科系の技術料が確立されておらず、収入があ がらないことがあげられる。以前は大きな薬価 差が技術料を補っていたが、現在、技術料への 振り替えがうまくいっていない。

特に循環器や消化管以外の内科分野では、手 術や高額の検査・処置がなく、またDPC にお いてもほとんど包括部分となり出来高の部分が ない。今のままでは、病院勤務の内科医のモチ ベーションが低下し、地方の病院内科の医療崩 壊がさらに進行すると思われる。

日医および各県のご意見を伺いたい。

各県の回答状況

各県からは、内科系の判断技術を適正に評価 することは難しく、また他科とのバランスも考 慮しなければならず診療報酬に反映させること は容易ではないが、しかしながら根本的な医師 技術料の全体的な見直しと適正な評価について は永年の課題であり、日医には各関係団体並び に政府・厚労省からコンセンサンスが得られる よう努力いただきたいとの意見が出された。

<追加・補足意見>

◇鹿児島県:内科医会では診療報酬に技術料が 無いとして内保連に要望を出してはいるが、現 実問題として診療報酬上、算定は難しい。一つ の解決方法として、特定疾患管理料の対象疾患 の拡大と、月2 回を限度として225 点の算定し ているが、月1 回の受診の場合でも450 点を算 定できる等の対応を取っていただきたい。

◇佐賀県:総合医等、全体を診ることになると 内科系、外科系の区分はますます難しくなると 思われるため充分な検討が必要ではないか。

○日医 中川常任理事コメント

ドクターフィーは日本の診療報酬体系へ導入 しづらいものになっている。医療機関全体に診 療報酬を手当し、その利潤から医療従事者の給 与を出している状況であるため、なかなか区分 けが難しいところである。しかし内科再診料に 戻すと、今度は外科の技術料について問題が出 るため、全体的な見直しが必要だと思う。まず は外来管理加算の見直しが必要であり、緊急事 態であると考えている。

(5)診療報酬の特例について(宮崎県)

【要旨】

平成20 年に医療費適正化計画が策定され都 道府県毎の目標値が設定された。

法律では、平成22 年度に進捗状況に関する 評価が行われ、県は診療報酬に対する意見を厚 労大臣に提出することができ、平成25 年度に は実績評価が行われ、他の都道府県と異なる診 療報酬を定めることができるとされている。

実現不可能と思われる条項だが、もし都道府 県間で異なる診療報酬体系が現実となれば、日 本の医療制度そのものを崩壊に導く由々しき問 題と考える。

政治情勢が混乱し、先が見えない状況ではあ るが、法律で定められている以上可能である。 日医および各県のご意見を伺いたい。

各県の回答状況

各県からは、都道府県毎に診療報酬体系が異 なることになれば、医療保険制度の崩壊に繋が り早急な見直しが必要であるとして、提案県と 同様の意見が出された。

○日医 中川常任理事コメント

診療報酬の特例の件は「高齢者医療の確保 に関する法律」の中に定められているものであ る(第1 4 条)。日医ではグランドデザイン 2007 の中にも記載しているが、決して認める ことはしない。もしこれが実施されれば、国民 皆保険制度の崩壊に繋がる。現時点では特にそ のような動きは見られない。医療費適正化は本 音で言うと財務省対策的なものではないか。し かしながら今後も注意していかなければならな いと考える。

(6)施設基準の未届け算定について(福岡県)

【要旨】

施設基準が定められた点数については、九州 厚生局への届出を要することは、周知の事実で ある。

しかし、年々その構造は、複雑化し、わかり にくい点が多く、未届について、一概に医療機 関の責任を問うのは、安易な判断ではないか。

現に、改定等によって基準の見直しが行われ たことを見落とし、要件を満たしているのにも 関わらず、届け出ていなかった場合などの相談 が本会に寄せられている。

来年の診療報酬改定において、より、わかり やすい施設基準要件の見直しが必要だと思わ れる。

日医の見解と各県のご意見をお伺いしたい。

各県の回答状況

各県からは、提案県と同様、診療報酬改定並 びに施設基準については年々複雑化しており、 理解し易い仕組みを検討する必要があるとの意 見が出された。

<追加・補足発言>

◇長崎県:診療報酬改定してすぐに施行となる タイミングを改善していただきたいと思う。

◇大分県:施設基準の届出をオンライン化し、 提出の有無をすぐにチェックできる等、オンラ イン化のメリットを検討してみてはどうか。

○日医 中川常任理事コメント

年末に改定率が決まり2 月中医協に答申さ れ、3 月始めに告示、それから日医をはじめ各 団体に説明が行われることから、先生方に伝わ るのがどうしても3 月中旬以降となってしま う。非常に御迷惑をお掛けしていると思う。施設基準については、前回から届出・非届出のチ ェック欄を設けた一覧表を作成しているので是 非ご活用いただきたい。

またオンラインでの施設基準については検討 してみたいが、あまりその辺を強調すると誤解 を招きかねないので慎重に対応したい。

(7)「後期高齢者医療制度」に対する日医の 取り組みについて(沖縄県)

【要旨】

後期高齢者医療制度については、公的年金か らの保険料の天引きなどが高齢者の不評を買っ ていることから、政府では厚労相直属に「高齢 者医療制度に関する検討会」を設置し、(1)年 齢だけによる区分、(2)年金からの保険料の天 引き、(3)世代間の反目を助長しないという三 点を中心に見直す方針を表明し、多面的に検討 されているところである。

日医の考える高齢者のための医療制度では、 「保険原理ではなく、保障の理念で国が手厚く 支えるべきもの」として提案されているが、政 府において制度の見直しが検討されているな か、日医案の実現のため、どのような活動をさ れていくのか、日医の考えをお伺いしたい。

<追加・補足発言>

◇宮崎県:75歳以上は社会保障として公費負 担で対応するとのことであるが、65 〜 74 歳の 前期高齢者についてはどのように考えられてい るか、お聞かせ願いたい。

○日医 中川常任理事コメント

今回のグランドデザイン2009 では、高齢者 に対する医療制度を進化させた形とした。医療 費の1 割を保険料と窓口負担としていたもの を、「保険料なし」に変えようと考えている。 医療の9 割を公費負担とした場合、先ほど議論 された都道府県毎の診療報酬の特例は必要なく なるものと考えている。また将来の消費税の受 け皿となることや、今般の経済状況から高齢者 の受診抑制は外来のみならず入院にも波及して きているため、75 歳からは国が面倒をみると いう安心感を強くアピールしていきたい。日医 の高齢者制度は、政府与党に対するロビー活動 では反応は良いが、舛添厚生労働大臣の私的な 会議には医師会は全く呼ばれない。「高齢者医 療制度に関する検討会」の中で意見を述べるこ とは出来ないが、また別の方法で理解を深めて いただけるよう努力したいと考えている。

前期高齢者については確かに大きな問題であ る。保険者では前期高齢者の拠出金額が予想以 上に大きいことから苦悩しているようである。 前期高齢者の財政調整等については、財務省と 厚労省との間でよく検討していただきたいと考 える。

(8)レセプトオンライン請求について (佐賀県)

【要旨】

レセプトのオンライン請求の義務化について は、平成18 年厚生労働省令第111 号により施 行され、平成20 年度から病床規模等に応じて 順次義務化されることになっている。

一方で、日医調査では、完全義務化された 場合8.6 %の医療機関が廃院を検討しているこ ともあり、平成20 年10 月22 日には、三師会 合同で「レセプトオンライン請求の完全義務 化撤廃を求める共同声明」を表明したところ である。

このように種々の問題はあるものの、近い将 来義務化されることを見据えれば、廉価に機器 を導入し、オンライン請求化に対応できるよう 備えることが必要ではないか。

例えば、日医の政策につながるよう強力に ORCA の普及に向けた機器購入の勧奨等も考 えられる。

各県のご意見並びに日医の見解について、お 伺いしたい。

(9)レセプトオンライン請求に関して会員 への情報伝達につき各県の取り組み(説 明会、相談窓口)などは如何でしょうか (大分県)

【要旨】

レセプトオンライン請求については、三師会 がその義務化について厚労省に見直しを要求し ているものの、情勢は不透明である。施行期限 が迫ってくる中で、支払基金などの問い合わせ 窓口もなかなかつながりにくい状態で、会員の 中に不安が拡がる可能性がある。医師会として は説明会の開催、相談窓口の設置など情報提供 と共に行う必要があると思われる。

また、説明会の際に支払基金が同時に説明す るケースが多いと思われるが、特定の回線業者 (NTT など)が同行して説明することも考えら れる。

各県の現状及び取り組みについて、ご意見を お伺いしたい。

(10)レセプトオンライン請求義務化とレセ プトデータの保険者による直接審査等に ついて(大分県)

【要旨】

レセプトオンライン請求義務化にともない膨 大なレセプトデータが集約されることになる が、規制改革会議などでは自動審査や保険者に よる直接審査に電子レセプトデータを用いるこ とが提言されている。既にトヨタ・NEC 健保 組合では調剤レセプトの直接審査が現実のもの となってきており、今後この動きが進めば、以 前から懸念されていた保険者の直接審査による 医療内容への介入も懸念される。

医療費請求の電子化については、IT 化の流 れの中である程度やむを得ない面もあるが、保 険者による自動審査や機械的診査、特定健診結 果との照合などがおこなわれないよう担保する ように求めるべきだと考えるが、各県のご意見 及び日医の見解をうかがいたい。

なお、支払基金は規制改革会議への反論の中 で「医学的判断をシステムプログラムに置き換 え『自動化』することはできない」と述べてお り我々の考えとほぼ一致すると考える。

(8)(9)(10)は関連している為、一括協議さ れた。

各県の回答状況

各県からは、レセオンライン請求義務化につ いて基本的には反対であるが、現実的には省令 に基づき期日が迫っていることから実施に向け て準備を進めていかなくてはならず、現在の取 組みとしてはORCA 導入の推進や、県・郡市 医師会でのレセオンライン説明会の実施並びに 相談窓口の設置等により対応しているとの報告 があった。また保険者によるレセプトデータの 直接審査については、医療への介入、診療制限 等が懸念され、断固防ぐべきであるとの意見が 出された。

<追加・補足意見>

◇福岡県:レセオンライン義務化によりシステ ム導入、回線維持費用等の大きな負担が医療機 関に生じるため、何らかの財源、手当て等が必 要である。日医にはもう少し目に見える形で方 針を示していただきたい。

○日医 中川常任理事コメント

まだオフレコの段階であるが、レセオンライ ン義務化についてはかなり交渉が進んでいる。 代行請求が審査支払基金で可能となる見通しが ついた。省令111 号では医師会が代行請求を行 うことが出来るとされているが、県医師会、郡 市医師会での代行請求は事務的負担が大きい 為、考えていない。月間平均請求件数100 件以 下の医療機関についても大幅に緩和される見込 みで、代行請求の手上げ方式まで可能になりそ うである。代行請求については1 件当たりの単 価も安くなり、何らかの補助もつきそうであ る。また電子媒体による提出についても交渉中 である。いずれにせよ日医はIT 化宣言をして おり、IT 自体については推進する立場であるので、オンライン請求ができる医療機関には取 り組んでいただき、それが出来ない医療機関は 守っていくという方針である。

また、オンライン請求になると保険審査が厳 しくなると危機感を持っていると思うが、昭和 55 年に出された「薬理作用に基づいた処方を 認める」とする通知はまだ生きているのと、適 用外処方の事例集も出来上がってきている。 2007 年には支払基金が規制改革推進3 ヵ年計 画の閣議決定に対して、「審査は、審査委員の 臨床経験や専門的知識に基づき医学的判断を行 うことから、システムプログラムに置き換え、 自動化はできない」として反論していることか ら、保険審査が急に強化される心配は無いと思 うが、今後も注視していかなければならない。

またナショナルデータベースができた場合、 その活用目的、目的外使用、営利企業に活用さ れないか等、様々なご心配があるのは当然であ る。レセプトデータの活用に対する研究会にお いてチェックを行い、しっかりと予防線を張っ ていきたいと考えている。

<質疑応答>

◇宮崎県:医学管理料に関して、厚労省では 「主病は1 つ」との考え方をしめていたが、電子 化された場合にはどのような扱いとなるのか。

○日医・中川常任理事

電子化になってもこれまでと変わらないよう な仕組みにしたいと思う。

(11)レセプトオンライン請求の完全義務化 撤廃を求める九州医師会連合会及び各県 からの要望書提出について(長崎県)

【要旨】

日本医師会では日本歯科医師会、日本薬剤師 会と合同でレセプトオンライン請求の完全義務 化撤廃を求める共同声明を厚生労働大臣に手渡 したが、この声明文に加えて全国各地域におい ても撤廃実現のため、例えば、先ずブロック単 位として九州医師会連合会で要望書を提出し、 その後、更に各県からも三師会共同で要望書を 提出する等、地域の声を二重、三重に燎原の火 の如く発していくべきではないかと考える。

各県のお考え、又、要望等について取り組ま れた実例があればお聞かせ頂きたい。

各県の回答状況並びに日医・中川常任理事コメ ント

各県ともレセプトオンライン請求義務化撤廃 を求める要望書は提出していないが、九医連と しては反対の意思表示は必要との意見が出され た。座長より要望書の提出について中川常任理 事に確認したところ、中川常任理事からはレセ オンライン請求義務化については交渉がだいぶ 進んでおり、要望書の件については後日返答し たいとのことであった。

(12)厚生局による指導・監査について (福岡県)

【要旨】

社会保険庁の再編に伴う、地方厚生局への新 たな事務の移管により、平成20 年10 月以降、 地方厚生局に指導・監査部門を移転し、保険医 療機関等に対する指導・監査や、取り消し等行 なうこととなっている。

移管後の指導・監査等の実施方法などや、各 県支部での業務内容分担について日本医師会に ご教示願いたい。

また、各県の現状についてお伺いしたい。

(13)指導・監査について(鹿児島県)

【要旨】

社会保険庁の再編に伴い、10 月1 日から地 方厚生局による保険医療機関の指導・監査がス タートした。

本県では、従前どおりの指導が実施されてお り、特段問題などはないが、今後は、各県の情 報を共有しながら、地方厚生局に申し入れるべ き事項など一緒になって取り組んでいかなけれ ばならないと考える。

各県の10 月1 日以降の指導・監査の対応等の現状についてお伺いしたい。

(14)保険医療機関の個別指導の在り方につ いて(沖縄県)

【要旨】

平成20 年10 月より、保険医療機関の指導・ 監査業務が各県社会保険事務局から九州厚生局 に移管されたところである。

次年度からは、集団的個別指導の在り方や個 別指導の選定基準を各県平準化したものに見直 していく必要があると思われるが、特に集団的 個別指導の妥当性については様々な疑問がある。

診療区分けが医療機関に正確に伝わっている のか。基準となる平均点をこれまで通り各県別 で出すのか、全国平均あるいは九州の平均を基 準とするのか。また、集団的個別指導そのもの を行っていないところもあり、今後九医連とし てどのような方向で考えていくのか等、九医連 の意見を取り纏め、主導権を持って厚生局に示 していく必要があると思われるが、各県のご意 見を伺いたい。

新規個別指導についても各県毎に実情がかな り異なっているようであり、今後均一にしてい く必要があると思われるが、各県の実情やご意 見を伺いたい。当県では個別面談方式で行い、 返還金が生じることもあり医療機関には心理的 負担が大きく、新規個別指導の在り方に疑問を 持っているところである。

(12)(13)(14)は関連している為、一括協議 された。

各県の回答状況

各県とも九州厚生局が行う指導・内容等につ いては従前と特に変わりなく実施されている が、今後は各県統一された指導方法が取られる ことが充分に考えられることから、九州各県と の情報交換が重要であるとの意見が出された。

また、個別指導については各県ともほぼ同様 に実施されているが、新規個別指導について は、集団、個別と各県により違いが見受けられ た。次年度の対応としては年度当初に、各県の 個別指導の状況の把握と情報交換を行い、九医 連協議会としての九州厚生局の対応について検 討してはどうかとの意見が出された。

<追加・補足意見>

◇沖縄県・長崎県:九州厚生局は指導が厳しい ところに平準化していくことが危惧される。九 州連合会として足並みを揃える必要があるので はないか。

◇福岡県:各県毎で行うのか、各県で統一でき るのかは、今後の状況を見ながら対応を決めて はどうか。九医連全体として取り上げるところ があれば、検討してみてはどうか。

○日医 中川常任理事コメント

ブロックでの違いもあると思うが、あるブロ ックでは「審査委員は指導医になれない」と言 われたとのことだったので撤回させている。

また指導大綱の見直しの意見もあるが、さら に厳しくなる可能性があることから慎重に対応 したいと考えている。

(15)身体障害者福祉法における認定基準に ついて(鹿児島県)

【要旨】

身体障害者認定基準は、身体障害者福祉法の 「身体障害者障害程度等級表」により各障害の 障害等級区分が決められていますが、県によっ ては、その判定法に差異があり、例えば、症例 によっては左膝関節を中心とした1 下肢の障害 を持つ患者であれば、1 下肢に障害があると判 断すべきところを膝関節の1 関節の障害として 判定し、低く評価され、患者が困っている例が ある。

認定に関しては、身体障害者を総体的に見る べきものであり、県によって差異があることは 身体障害者にとっても不幸なことであります。

本件に関し、各県のご意見をお伺いしたい。

各県の回答状況

各県とも身体障害の認定は身体障害者福祉法 に基づく認定基準等を用いて行っていることか ら、ほぼ同様である。認定については身体障害 者を総体的に見るべきものであり、県毎で判定 方法に差異が生じる等の問題があることは好ま しくないとの意見が出された。

(16)行政による後発医薬品安心使用・啓発 協議会の設置について(熊本県)

【要旨】

厚労省は「平成24 年度までに、後発医薬品 の数量シェアを30 %以上」という政府目標に 向け、患者及び医療関係者が安心して後発品を 使用出来るよう「安心使用促進アクションプロ グラム」を作成、都道府県レベルでの協議会の 設置を呼びかけている。

熊本県でも12 月初めに設置され、今後の活 動状況について協議された。

日医の見解及び各県の状況とご意見をお伺い したい。

各県の回答状況

本県と宮崎県を除いて各県とも既に設置済 み、もしくは設置に向け準備中であるとのこと であった。

○日医 中川常任理事コメント

現場の先生の対応によるが、ダメならダメと はっきり言うべきである。患者さんに対しても そのようにご説明いただきたい。日医のスタン スも後発医薬品を促進することは考えていない が、先生方が自信をもって使える後発品のみ使 用していただきたい。

印象記

平安明

理事 平安 明

平成21 年1 月24 日、ホテル日航熊本にて九州医師会連合会平成20 年度第2 回各種協議会医療 保険対策協議会が開催された。

昨年9 月に開催された第1 回医療保険対策協議会に引き続き、外来管理加算、レセプトオンラ イン請求、厚生局による指導・監査などについて話し合われた。

外来管理加算算定要件の見直しについては、九医連の次期診療報酬改定に対する最重点要望事 項として挙げており、日医も期中改定のため努力しているところである。しかし現状としては「概 ね5 分」「診療内容の記載」は必要とされており、記載がない場合等には指導や返還となる可能性 があるため、先生方にはできるだけ記載していただいたほうが無難と考えている。

レセプトオンライン請求については2011 年までに完全義務化が謳われているが、その場合 8.6 %の医療機関が廃院を考えているとの調査結果もあり、地域医療崩壊に一層の拍車がかかる と危惧されている。日医は基本的に完全義務化には断固反対の姿勢であるが、一方でIT 化宣言を していることもあり、レセプト電算化やオンライン請求に対応するための会員への説明会や2011 年までに対応が困難な医療機関に対する負担軽減のための交渉を続けているところである。日医 中川常任理事によると、代行請求が審査支払基金で可能となる見通し、月平均請求件数100 件以 下の医療機関についても大幅に緩和される見込みなど、レセプトオンライン義務化についてはかなり緩和策の交渉が進んでいるとの報告であった。まだ正式に決定したわけではないが、2011 年 に向けて少し安心できる情報であり、今後も日医には交渉を有利に進めていくよう頑張っていた だきたい。

医療機関の指導・監査については、昨年10 月より社会保険事務局から九州厚生局に業務移管さ れたところであるが、現在のところ各県とも指導内容に大きな変化はないようである。但し、各 県毎に指導の実情に相違があり、次年度からの指導がどうなるかは依然不透明である。中川常任 理事は、従来のローカルルールも場合によっては認め、ブロック内で差異が大きい場合は、地方 厚生局長の判断で前進させることもありうると述べており、厚生局と各県医師会の交渉は国も否 定していないようである。今後も、個別指導の選定基準や指導内容等について九医連で情報を密 にし、厚生局との折衝に備えないといけない。

この会議には今回で2 回目の参加であるが、今年度は4 月の後期高齢者医療制度の混乱に始ま り、診療所の医療経営に深刻な影響を与えている外来管理加算の問題など地域医療にとってかな り厳しい状況になっている。病診連携、かかりつけ医など地域医療を核とした医療機能分化が進 められてきたはずだが、ここ数年の医療政策は財政主導で理念が感じられない。保険診療は財源 に限りがあり、全てを認めることは現実的に困難なことは重々承知しているが、やはり現場で求 められている医療行為が単に「青本に記載がない」とか「保険診療では認めてない」との理由で 否定されるのは納得できないというのが多くの先生方の意見ではないだろうか。現場の意見を出 来るだけ厚生局の指導の在り方や診療報酬に反映できるように、会員の先生方からも是非多くの ご意見を頂ければと考えている。