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第107回沖縄県医師会医学会総会

2 日目(1 月18 日)

鈴木幹男

琉球大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学
鈴木 幹男

第1 日目に引き続き、第2 日目はポスターで の一般講演とミニレクチャーがおこなわれた。 本年は医師会館が完成して初めての医学会総会 ということもあるのか通常より多い242 題の一 般講演が行われた。発表者には初期研修医や専 門科で研修をスタートした後期研修医も多く、 朝早くから活発な討議がおこなわれていた。沖 縄県は研修制度の先進県の一つとして知られて いるが、各研修システムで学会発表を研修の一 環として取り入れていることが垣間見えた。本 会が登竜門的な役割を持つようになれば、さら に充実してゆくと思われる。発表者には若手医 師が多かったが、質問をおこなう若手が少なか ったのは残念である。ポスター発表は比較的質 問しやすい雰囲気であるので、是非大いに質問 して活発な議論をして頂きたいものである。初 期臨床研修医を含む若手医師の諸君にとっては ローテートしない診療科のことや教えてもらっ た以外の異なった治療方法など得るところが多 いと思う。

ポスターは4 つの会議室を使用し8 会場に分 かれておこなわれた。新しい会館で新鮮な気持 ちになるが、残念なことは一部の会場で同じ部 屋を利用する他の会場の発表が聞こえるため、 音声が聞き取りにくくなっていたことである。 新医師会館は素晴らしい建物であるだけに、会 場設営に関しては今後再検討する必要があると 思われた。

恒例のミニレクチャーは友利先生(八重洲ク リニック)の司会で金城先生(中部病院神経内 科)から味覚障害について、徳山先生(徳山ク リニック)から関節リウマチ治療の進歩につい て、ご講演いただいた。味覚障害では亜鉛欠乏 症が多く、血中亜鉛濃度が正常でも潜在的な亜 鉛欠乏の状態に陥っている患者があること、薬 剤性が多いことなどが強調された。治療としては保険適用のある薬剤はなく、亜鉛を含んだ胃 潰瘍治療薬(ポラプレジンク)を代用すること が多いことを述べられた。関節リウマチ患者の 生命予後は健常人と比較すると約10 年短く、 これまで関節破壊は発症から長期経過後生じる と考えられていたが、発症2 年以内に急速に進 行することが解ってきた。関節リウマチの病態 にはサイトカインが密接に関連しているため、 炎症性サイトカインを標的とする薬剤が最近用 いられるようになり、これまでの関節リウマチ の治療が大きく変わっているようである。いず れのご講演もわかりやすいスライドで、診察・ 診断・治療のポイントを的確に教えて頂いて参 考になった。

昼食時には、多くの若い先生が輪になって研 修状況や近況を話し合っている光景が各所でみ られた。前日の卒後研修システムに関するシン ポジウムに研修医の参加が少なかったようであ るが、彼らはこのようにして情報を得ているの かもしれない。18 日おこなわれた分科会長会 議では次回の第108 回医学会総会ではミニレク チャーに替わって、研修システムについてのシ ンポジウムが多くの研修医が参加できる形で再 度開かれることになった。午前中から熱心に発 表していた先生方が多数参加し、大いに盛り上 がることを期待している。

昼食を挟むと聴衆が減少するかと思われた が、午後の群も多くの聴衆が残り午前に引き続 き熱心な討議がおこなわれ盛会であった。

一般講演演題・演者一覧