理事 玉井 修
去る12 月23 日(火・祝)、日本医師会館に おいて標記の連絡協議会が開催されたので、報 告する。
挨 拶
唐澤人日本医師会長より、概ね以下のとお り挨拶があった。
今年4 月より開始された特定健診・特定保健 指導については、制度が拙速に施行されたこと により、様々な問題が現場で発生し大きな負担 が掛かっていることを深く認識している。皆様 においては、本制度の円滑な実施を確保する為 に日々実施者への説明や保険者への問い合わせ 等を始め、種々ご対応にご尽力賜っていること について厚く感謝申し上げる。
本日は、今年11 月に「保険者による健診・ 保健指導の円滑な実施方策に関する検討会」の 下に設置されている「決済及びデータ送受信に 関するワーキンググループ」が再開され、これ までに5 回に亘り特定健診・特定保健指導の実 施に関する様々な課題について協議が行われた ことから、このワーキンググループでの協議内 容についてご説明申し上げる予定となってい る。また、契約と電子化の対応についてもご説 明することとしている。
本日の協議会が、平成21 年度の特定健診・ 特定保健指導の契約締結に向け有意義な情報交 換の場となることを期待している。保険者を実 施主体とする予防重視の健診・保健指導へと制 度は変わったが、地域住民の疾病予防から治療 まで一貫して関わることにより、住民の健康を 守るというかかりつけの医師や地域医師会の使 命は何ら変わっていない。本日お集りの皆様が 地域における特定健診・特定保健指導の実施に あたり主導的役割を果たしていただき、引き続 きご尽力賜ることを切にお願い申し上げる。
説明
日本医師会の内田健夫常任理事より、特定健 診の課題と対応について説明がった。
始めに、特定健診の制度開始後、「1.制度に ついて国民への周知不足」、「2.特定健診の受 診率低下」、「3.特定保健指導の実施率低下」、 「4.特定健診の健診項目と契約交渉の問題」、 「5.特定健診等データの電子化に関する取扱 い」、という大きく分けて5 つの課題が挙げら れていると提起され、日医として、これらの課 題解決に向け、厚労省内における「特定健診・ 特定保健指導に関わる検討会」を早急に設置し ていただくよう各関係団体とともに要望を行っ た等、これまでの経緯について報告があった。
厚労省ではこれらの要望を受け、「保険者に よる健診・保健指導の円滑な実施方策に関する 検討会」の下に位置付けられている「決済及び データ送受信に関するワーキンググループ」を 再開させ、上記課題を含む計8 項目の解決に向 けた協議を開始させ、今年度においてこれまで に5 回の検討会が持たれていると説明があっ た。(各検討課題における日医の改善提案は以 下のとおり)
1)対象者に対する制度の周知が不足している ことについて
国・保険者が中心となって周知をすべきである。受診券と同時に制度周知のリーフレット等 を同封すべきである。また、WG では整理され ない課題があるため協議、すなわち検討会の開 催が必要である。
2)受診券記載内容・記載方法の誤りが多いこ とへの対応について
集合契約Bタイプに「医師会」と明記すること。
3)受診者への結果・通知の拒否・遅れについて
委託業務であれば「内容表」に通知方法(対 面・郵送)を明記し、併せて「内訳書」に費用 を明記する。国のQ&A において、電子化や結 果通知等の共通経費は「内訳書」に示されてい る、とあるが示されていない。
4)標準単価等の設定について
法改正なしには、標準等を示すべきではな い。中医協と同様協議会の設置が必要。また、 健診等単価は各地域等の事情、実施方法等によ り違いがあり、そういう点の考慮なしに平均単 価を示すべきではない。
5)電子化費用を考慮した単価設定について
「内訳書」に、事務費や電子化費用を明示。 従来の基本健康診査における国の交付基準単価 内訳に準じる記載方法が有効。成果物である 「結果通知」、「電磁的記録媒体」等の単価が反 映されること。国のQ&A において、電子化や 結果通知等の共通経費は「内訳書」に示されて いる、とあるが示されていない。
6)実施条件が大きく異なる場合の解釈の整理 について
単価の考え方は各地域等の事情、実施方法等 により違いがあることを前提に、内容表に健診 結果通知に関すルールを明示することで対応で きる。
7)自己負担金の返還方法について
利用券及び添付案内に自己負担金は返還しな いことを明記する。また、特定保健指導実施者 が6 か月間実施することが重要である点から、 保険者への請求も含めて、初回一括請求とする。
8)生活機能評価の同時実施の請求審査について
<提案1>
生活機能評価については、電子化は求められ ていないので、電子化への対応をやめるよう市 町村等を指導すべきものと考える。
<提案2>
本WG で検討すべき課題。厚労省の責任によ り決済・データ送受信の円滑化と関係者による 情報の共有が必要。このように制度運営しなが らの軌道修正を続けていては、開発ベンダーの みならず全てのプレーヤーが疲弊し、共倒れに なる危険がある。電磁的なデータ提出に関して は、今後は改めて一定の調整機関をとってはど うか。
また、ワーキンググループでは「標準的な契 約書の例」についても併せて協議されたと報告 があり、標準契約書の第11 条部分(事故及び 損害の責任)については、一見すると実施機関 が全責任を負うような誤解を招きかねないとこ ろであり、誤解が生じないようより妥当な書き ぶりへと改める必要があるとして意見したが、 関係者間の実施体制のあり方の認識に差があ り、今後も継続して、一致した認識に基づく修 正に合意が得られるよう努めていきたいと説明 があった。(平成21 年度の標準契約例について は現行条文のまま。)
その他、平成21 年度の標準契約例について、 以下の内容等が変更追加されている旨説明があ った。
○契約書ひな形についての注釈として「〜必ず しもこのひな型にとらわれる必要はなく、当 事者間で自由に定められたい。」という文言 が追加された。
○眼底検査において判断も含めて医療機関へ再 委託を行うことができることが明記された。
○質問票は必須ではなく、実施機関が服薬歴等 の把握において質問票を使用する場合には当 該機関で質問票を準備する点。等々
日本医師会総合政策研究機構の吉田澄人主 任研究員より、日本医師会が去る7 月に実施した「平成20 年度特定健診・特定保健指導の契 約状況等の調査」の結果概要の報告、並びに各 都道府県または各郡市区医師会における契約状 況等の内容について説明があった。
調査の結果概要として、基本健診の金額は、 市町村国保、被用者保険の契約ともに7,000 円 台が最も多いが、電子化・結果通知、情報提供 等の費用が含まれているかどうかは不明であ り、詳細健診のうち眼底検査の金額は、片眼も しくは両眼に相当する費用として500 〜 1,499 円で契約している医師会が多いと報告された。 市町村国保と郡市区医師会における契約におい ては、眼科専門医への再委託と思われる金額 (2,000 円以上)で契約している医師会(26 医 師会)があることも報告された。特定健診等の 実施に係る事務関連費用については、保険者や 決済代行機関に提出するデータを電子化する必 要があるが、制度開始の今年は健診実施機関側 の入力ソフトや代行入力業者の整備が遅れたた め、電子化の方法や費用の算出に大きな混乱が みられ、契約締結に際して電子化費用が明示で きなかった医師会が多かったのではないかと推 察されると説明された。
委託契約書の内容については、「標準的な契 約書の例」の第11 条(事故及び損害の責任) について、各委託契約書にどのように記載され ているかを区分した結果、「標準的な契約書の 例」と同文の契約締結が5 割以上あり、実質的 に同じ考えで書きぶりが異なるもの及び三者協 議を前面に出しているものを合せると7 割近く が契約書の例と同様の考え方によるものである と報告があった。日医としては、上記の点から、 基本的な考え方について大幅な変更を加えるよ うな状況にはないと考えるが、「標準的な契約 書の例」は、一見すると実施機関が全責任を負 うような誤解を招きかねない書き方であるとし、 以下の改定案を提言していると説明があった。
<「事故及び損害の責任」に関する条項の改定案趣旨>
『「原則= 三者協議」として、原則を明確にする』
○実施機関が、業務の実施中に生じた事故及び その業務により生じた事故及び損害について は、関係者が協議して処理するものとするこ と。ただし、それぞれに故意又は重大な過失 がある場合にはこの限りではないこと。
○上記取り決めについては、乙と実施機関との 契約等において両者遵守するものとすること。
<特定保健指導の自己負担額の算出方法等について>
『現行』
初回の「自己負担額」の記述は算定金額(積 極的支援は4/10)を超えることはできない。
この差額は最終評価の請求時に「自己負担 額」として記述する。
『見直し後』
初回の「自己負担額」の記述は徴収額をその まま記述する。
その上で、自己負担額を差し引いた額の 40 %を初回保険者請求とし、60 %を最終評価 時請求とする。
日本医師会総合政策研究機構の上野智明主 任研究員より、電子化の対応について説明があ った。
特定健診・特定保健指導の電子化の課題につ いては、「決済及びデータ送受信に関するワー キンググループ」の下に設置されている「電子 的な標準様式の仕様に関する作業部会」にて検 討が行われていると説明があり、当部会では、 標準様式に関する資料の整理や各保険者のチェ ック仕様やサンプルファイルの公開、フリーソ フトに関する取り組み等について検討が行われ ていると報告された。
各検討事項の概要として、今年度の電子的な 標準様式の仕様訂正については、システムの改 修が発生しない範囲で行われる予定であるこ と、フリーソフトの利用率は約24 %となって いること、平成21 年度から提供が中止される フリーソフトがあるので注意が必要であること、厚労省フリーソフトの利用者は平成21 年 4 月から新しいフリーソフトへの変更が必要で あること等が説明された。
質疑応答
○北海道医師会
質問 医療保険者によっては受診券の表記が微 妙に異なっており、健診実施機関の窓口で混乱 が生じるケースがあるため、受診券の表記統一 が必要ではないでしょうか。(例えば、詳細健 診の「自己負担」の欄に『−』『/』が記載され ている場合、「自己負担」が発生するのかどう かの判断が難しいケースがあります。また『%』 については現場での無用な混乱を避けるために もできるだけ金額を記載することが望ましいと 思われます。
<日本医師会内田常任理事>
集合契約に参加する保険者が発行する受診券 は共通様式となっており、不要な欄については欄 を削除するか横棒あるいは斜線で欄を埋めるとい うことになっている。従って、その場合には自己 負担無しということを意味する。自己負担額に ついては、率で設定している保険者が少なくない と聞いているが、ご指摘のとおり金額で記載する ことが望ましいと考えるので、金額での設定を保 険者側にお願いしているところである。
○福島県医師会
質問 制度など
(1)健診制度が変わったことがうまく住民に伝 わらず、窓口において説明をしなくては行けな いので窓口がとても大変。制度について周知徹 底してほしい。
(2)保険者によって自己負担額がまちまちで、 窓口負担が複雑(請求・料金の徴収)で時間・ 手間がかかるので、料金を一本化して誰でもが できるようにしてほしい。また、A ・B どちら のタイプの受診券かはっきりせず窓口業務が複 雑。また、健診受診対象者なのかの確認作業も 大変である。
(3)がん検診においても特定健診制度の説明不 足により受診率が減少傾向にあるので、がん検 診制度についても周知徹底してほしい。
質問 受診券など
(1)被扶養者は申込をしてから受診券発行とな るが、受診券の受取り方が分からない等、患者 から訴えられる。
(2)受診券発行の遅れにより、住民が受診希望 しても受診できなかった(集団健診が終わって しまったなど)人が多くいた。
(3)集合契約において、受診券発行の仕方がバ ラバラで、受診券と保険証表示の仕方が違うの でどうしたらいいかの問合せが多い。受診券と 保険証表示の表示方法を統一してほしい。
(4)特定健診は義務化なのに希望者に受診券の 発行。誰でもどこでも受診できないのでは平等 でないし、義務化としておかしい。年齢別に健 診体制がかわり、面倒なので行かないという意 見もある。
質問 健診内容など
(1)詳細健診の眼底・心電図検査が受診できず 受診者の不満が大きい。医療機関に対して苦情 を訴えられる。次年度での制度改正を望む。ま た、クレアチニン・尿酸検査を追加してほしい。 健診内容を今以上に充実させる必要がある。
(2)生活機能評価と同時実施の場合に対象者 を分けるのが大変。医療現場では大変混乱して いる。
(3)後期高齢者が健診(がん検診等)に行って も今までどおりの健診をしてもらえず、今まで どおり検査してほしいと医療機関にくるので、 かえって費用負担になるのではないか。また、 来年から受診しないと言っている。
質問 データの入力や請求など
(1)政管健保と事業主健診とがかみ合わない。 事業主健診の中からのデータ化について上手く いっていない。
(2)請求代行事務が非効率で繁雑。代行業務を 考慮したシステムを入れられないか。
(3)フリーソフト利用者以外は代行入力を依頼 しており別途料金がかかると不満が出ている。
(4)医師会が請求の事務代行等を行う場合の支 払基金における支払関係帳票等に連名等の様式 を追加していただきたい。
<日本医師会内田常任理事>
制度については、特定健診・特定保健指導の 制度が拙速に実施され、健診実施率の低下が各 地で現実化している。厚生労働省保険局の「決 済及びデータ送受信に関するワーキンググルー プ」においても、実施率向上に向け、特定健 診・特定保健指導の通年実施、保険者による受 診勧奨、受診券の発行を申請ではなく対象者全 員に発券すること等を提案している。その結 果、制度の周知は国が責任を持って行うこと、 保険者は正しく受診券を発券すること等が盛り 込まれた。また協会けんぽに対しても、申請し てからではなく全員に受診券を発券するように 強く求め、協会けんぽからもその方向で検討す るという回答をいただいている。
健診項目については、血糖検査は空腹時血糖 とHbA1c の同時実施、貧血検査及び心電図を 基本健診項目に含めるべきと考えている。今 後、学会の考え方を踏まえ検討会で検討すべき 事項として厚労省に申し入れている。
自己負担額の統一については、市町村が実施 主体であった住民健診においても従来バラバラ であり、統一はかなり困難ではないかと考えて いる。
被用者保険における被扶養者の集合契約で は、全国統一の健診項目を原則としていること から、基本健診項目以外の項目については一般 衛生部門における地域保健事業として実施して いただきたいと考えている。
後期高齢者への健診については、特定健診の 対象者ではなく後期高齢者医療広域連合による 努力義務となっている。これを実施していく働 きかけを是非都道府県医師会、郡市区医師会で 積極的にしていただきたいと考えている。
がん検診との整合性については、これも非常 に重要なことだと考えており、現在、日本医師 会の公衆衛生委員会の中で検討させていただい ている。
<厚生労働省保険局>
受診券の発券時期や方法については、各保険 者がそれぞれの考えで最適な時期・方法で発券 することになっている。20 年度は集合契約が年 度当初に全て成立しなかったため、保険者でも 発券のタイミングをだいぶ悩まれたと聞いてい る。保険者は実施率の向上が求められており、 それとの兼ね合いで発券時期・方法を試行錯誤 していくことになると考える。特にご指摘のあ る協会けんぽについても、次年度の発券方法に ついて検討しているということを聞いている。 先般、保険者協議会中央連絡会が開催され、そ こでも本年度同様にならないよう年度当初に速 やかに契約が成立するよう意思の共有が図られ たと伺っている。是非今後の契約交渉において 理解の共有を深めていただければと考える。
<厚生労働省健康局>
検査項目決定の経緯については、今般の制度 成立にあたり厚労省において有識者による検討 会を設け検討を行い、生活習慣病の発症と重症 化を予防することを目的とした項目ということ で設定したものである。その過程で特定健診の 項目からクレアチニン等の検査項目が外れたと いう経緯で本日に至っている。一方で学会の議 論でもそうであり、実施する先生方のご意見と いうこともある。特定健診の検査項目について は、今後、特に学会レベルでのデータの蓄積、 医学的知見が集積していく中で、必要に応じて 検討を行いたいと考えている。
<厚生労働省保険局>
事業主健診のデータを保険者としてスムーズ に受け取り次に繋いでいくことは重要なことで あるが、そのデータ化を行う為には事業主健診 の結果をなるべく特定健診のファイル様式で受 領することが重要となる。その上で、事業主健 診の委託契約においては、実施機関において特 定健診のファイル形式を作成していただくよう 保険者が事業主にお願いする等の全体的な協力 関係を構築していく必要がある。
<日医総研上野主任研究員>
代行業務を考慮したシステムということに関 しては、先ず小規模な代行入力ということであ れば、日医総研の特定健康診査システムが利用 できると思う。ただ、請求に関する部分となる ので、パソコンに精通したエンジニアによるサポ ートを受けることをお勧めする。また他の健診 との同時実施等の決済ルールで使えるかどうか ということも事前に十分に確かめてからお使い いただければと思う。代行入力の別途料金につ いては、電子化に係る費用は健診項目に加えて 請求するという形で交渉いただければと考える。
<支払基金>
支払関係帳票の連名の様式の要望について は、いくつかの支払基金支部を通じて支払基金 本部に上がっている。現在、支払基金のシステ ム改修を行っており、1 月5 日に受け付けた分、 12 月健診実施分となるが、この分からご提供 できるということである。
○茨城県医師会
質問 眼底検査の取扱い方と、医療機関の対応 について
特定健診施設登録届出様式の中で、眼底の委 託先を明記する項目が追加されたことで、眼底 検査の実施できない医療機関は原則、特定健診 に参加できないとの姿勢が強く示される格好と なりました。自院で検査の実施できない医療機 関は、他の施設へ再委託をかけることとされて いますが、おそらく多くの医療機関(診療所) では、再委託への煩雑さから健診へ参加できな い施設が多く出てくる可能性が考えられます。 日本医師会での特定健診における眼底検査の考 え方と、眼底検査の実施できない(再委託ので きない)診療所が健診へ参加する上での策をな にかお考えでしょうか。
<日本医師会内田常任理事>
健診項目の中で、自らの施設内に体制や設備 を保有しない健診機関は、その部分に限って外 部機関に再委託することが可能となっている。 ご指摘の眼底検査については、従来の老人保健 法に基づく基本健診においても医師の判断に基 づき実施されてきたところであるが、眼科医に 再委託する場合の費用については、市町村の保 健事業として、初診料を含めた眼底検査費用ま たは再診料を含めた眼底検査費用、あるいは検 査のみの費用になると認識している。今回、契 約書の例にも、眼科専門医への再委託を念頭に おいた検査と判断という表記がされたところで ある。保険者の財政の問題ということもあり契 約がなかなか困難となることも想定できる。
詳細健診は、前年度の健診結果等において実 施できる基準に該当した者を医師の判断で実施 することになるが、血糖値が高い方あるいは血 圧が高い方については、医療保険で眼科受診を 勧めることも必要ではないかと考える。
○群馬県医師会
質問 特定健診・特定保健指導の集合契約につ いて
群馬県の平成20 年度の集合契約では、市町 村国保の特定健診については、県医師会と市町 村国保の代表である県国民健康保険団体連合会 が契約を結んだ。個別健診を導入している21 市町村のうち、19 市町村が契約に参加し、残 り2 市については、独自に各郡市区医師会と契 約を結んだところである。また、保健指導につ いては、保健指導を委託実施する市町村国保が それぞれ各郡市区医師会と契約を結んでいる。 一方、被用者保険の特定健診については、県医 師会と被用者保険の代表である健康保険組合連 合会群馬県連合会が集合契約を結び、保健指導 については、健康保険組合連合会群馬県連合会 が各郡市区医師会とそれぞれ契約している。上 記の如く平成20 年度の集合契約については、 国保、被用者保険ともに都道府県医師会若しく は郡市区医師会と各国保連合会及び健保組合連 合会が契約を結んでいるが、全国的に健診単価 はまちまちである。平成21 年度以降について は日医が全国の市町村国保の代表や被用者保険 の代表と契約単価等の調整を行い、できれば契 約の窓口として全国統一的な集合契約を結んでいただきたい。
<日本医師会内田常任理事>
従来の老健法に基づく基本健康診査において も各市町村によって価格は一律ではなかった。 全国で単価を統一することについては、これま で高い価格で契約していた郡市区医師会にとっ ては価格の引き下げに繋がることが想定され、 統一価格に反対する意見もある。郡市区医師会 は、健診のみならず予防接種、在宅当番医制度 等、様々な事業を市町村からの委託を受け委託 料金を決めている。従って統一価格については 医師会として十分なコンセンサスを得る必要が あると認識しているので、今後その必要性を含 め検討させていただきたい。
○埼玉県医師会(浦和医師会)
質問 保険者の判断で階層化による対象者以外 の者に対して保健指導を実施した場合、その費 用は基金・連合会を介して支払われるのか、保 険者と直接決済なのか。
<厚生労働省保険局>
個別契約での実施ということになるが、保険 者が集合契約に参加している為に請求先を一本 化したいという希望があれば、支払基金、国保 連合会を介すことになると思うが、契約上特段 そのための定めをしていなければ保険者に直接 請求していただくことになると考える。
<国保中央会>
階層化による対象者以外の方の保健指導につ いては、国保連合会のシステムでは、階層化に より対象者となる場合に取り扱うというシステ ムにさせていただいているので、ご質問の例で あると、利用券自体が作成できないということ になり国保連合会システムでは取り扱うことが できないこととなる。
<支払基金>
支払基金の場合、被用者保険であるが、保険 者の方で健診事業の充実ということで利用券を 発行され、支払代行機関として支払基金を指定 していただければ決済処理は可能というシステ ムにしてある。また健診についても保険者で節 目健診というものをやられているが、こういっ たものについても受診券を発行していただき支 払代行機関として支払基金と書いていただけれ ば支払基金で決済ができるというシステムにし ている。
質問 請求時の資格喪失(特に死亡の場合)は、 基金・連合会システムを通過できないが、費用 はどのように決済するのか。
<国保中央会>
国保連合会では、資格確認についても市町村 から委託を受けて行っているが、健診時に資格 取得がされていれば、請求時に資格喪失であっ ても費用決済を行うことはできる。
<支払基金>
国保中央会が回答したとおりとなっている。
健診実施時に資格があれば請求は可能であ る。例えば、被扶養者を健診した場合、健診し た時点で被保険者が資格喪失をしていたという ケースもあると思うが、このような場合には診 療報酬と同様の取り扱いとさせていただいてい る。つまり健診等実施機関の方で被保険者証と 受診券を確認していれば非は保険者にあるとい うことであり、この場合は保険者と被保険者の 間で清算していただく。健診実施機関の方で確 認していないということであれば、これはやむ を得ないということで健診実施機関と健診受診 者との清算になるという取り扱いにしている。 支払基金の方では資格喪失等のチェックは行っ ていない。保険者にデータが渡った時点で保険 者の方でそういったチェックを行っているとい うことである。
質問 検査項目によって結果上限値が定められ ており(γ− GTP は999)、それを超えた値 は、検査値の形式異常として返戻されてしま う。その対応方法を教えていただきたい。
<厚生労働省健康局>
検査結果が基準範囲外になる場合には、入力 最小値以下の場合はlow のl、入力最大値以上の 場合はhigh のh を入力していただくことになる。
質問 国が決めた制度なのに保険者によっては 被保険者の申請で健診受診券を発行しているよ うだが、いかがなものか。
<厚生労働省保険局>
受診券については、そもそも受診券を必ず発 券するようにという法的な義務付けはない。実 施率の向上は保険者に当然求められるものであ るので、その試行錯誤の過程で厚労省もしっか り指導していく必要があると考えている。ご指 摘の、申請があって初めて受診券を発券すると いうことについても、その有効性や実施状況を 確認し見直されていくべきものと考えている。
○埼玉県医師会(川口市医師会)
質問 事務が煩雑すぎて混乱している。
<厚生労働省保険局>
全国ベースの契約を新しい仕組みとして導 入しスタートしたところである。目的として は、全国ベースでも事務がなるべく簡素化、 省略化され流れていくようにということで全国 共通のルールを設け進めてきたところである。 やはりスタート当初ということで、また周知不 足ということもあり、少なからぬ混乱が生じて いるというのが実態と思う。今回も日本医師 会にご参画いただき、引き続き更なる問題点、 課題等の調整に努めさせていただきたいと考 えている。
質問 貧血、HbA1c 検査も追加していただき たい。
<厚生労働省健康局>
貧血検査、心電図検査等については、制度の 上では従来通り医師の判断で実施するというこ とでご理解いただきたい。HbA1c の取り扱い については、ご案内のとおり空腹血糖が測れな い場合にHbA1c の測定ということになってい るが、これを健診項目として追加した場合、判 断料を含めコスト的には1,750 円位の試算とな る。そういった要因も含めて考えていくことに なるのかと思う。
質問 県医師会と社会保険家族との集合契約に ついて受診資格の確認が困難。本人でも受診券 を持ってくる人がいて驚く。
<厚生労働省保険局>
このケースではないかと思うが、任意継続被 保険者ご本人、特例退職被保険者ご本人の場合 は、被扶養者と同様に受診券が発券され集合契 約で受診されることが基本的な形となるので、 そういう場合もあるということをご理解いただ きたい。
どのようなパターンにしても、受診券を持っ て来られた場合には被保険者証を併せて持っ てきていただき、それを照合していただき問題 が無ければ実施し請求していただいて全く問 題ない。
○千葉県医師会(柏市医師会)
質問 データ入力について
ソフトをなぜ出さないのか。ダウンロードに よる方法は困難。
質問 ソフトを用いて各医療機関がデータ入力 すれば、入力業者への手数料は必要ない。
質問 理想的なのはペン入力が安価ならこの方 法が良い。
<日医総研上野主任研究員>
先ず一つに、ソフトをなぜ出さないのか、ダ ウンロードによる入手方法は困難だということ だが、日医総研の特定健康診査システムの場合 について回答すると、現在CD と印刷したマニ ュアル本とをパッケージとして販売、配布する ことについては、コストがかかるため検討中と させていただいている。ただ、ダウンロードし ていただいた後、CD 等にコピーし配布してい ただくことは自由にできる。
次にソフトを用いて医療機関がデータを入力 すれば入力業者への手数料は必要ないというこ とについては、ご指摘のとおりである。後は医 療機関のIT リテラシーという問題があるかと 思う。
理想的なのはペン入力だということである が、これもその通りだと考える。日医総研のソフトの場合は、ペン入力の機能を有料のオプシ ョンとして開発してもらえるかどうか、いくつ かのメーカーに現在打診中である。
○東京都(足立区医師会)
質問 受診票の一部事前作成について
例えば、自治体が主催するイベント等で医師 会がブースを設け、希望者に受診票を渡して、 基本情報(氏名・性別・生年月日・郵便番 号・住所)、質問票の記入、身体計測(身長・ 体重・BMI ・血圧・腹囲)までを実施し、そ の一部作成した受診表を持って健診実施機関に 行ってもらうというような取り組みは実現可能 でしょうか(足立区医師会で会員向けのアンケ ートをとったところ、特定健診の受診票におい て、特に「質問票」の記入に時間がとられるた め、受診者も医療機関側も負担に感じているこ とが分かりました)。
<厚生労働省保険局>
特に問題無いと思う。むしろ効率的、プラク ティカルなやり方の一つではないかと考える。
質問票自体は、生活習慣病のリスクを評価し 保健指導の階層化や健診結果を通知する際の情 報提供の内容を決定する際、さらに保健指導を 実施する際にも活用が可能なものであるため、 医療機関においても有効にご活用いただければ と考える。厳密に申し上げると、質問票を使う ことは法令上特に義務付けはないので、何らか の方法で服薬歴、喫煙歴、既往歴を聞き取りい ただき、ファイルに記録していただく等、最低 限そういう対応でも構わない。
○神奈川県医師会
質問 特定保健指導は、特定健診の結果が出て、 医療機関で結果の説明を行ったときに直ちに行 うのがもっとも受診者のモチベーションが高く 効果が高いと考える。今のやり方(保険者にデ ータが渡って、結果がまとまってから階層化し て特定保健指導の利用券を受け取ってから)で は、検査が終わって既に数ヶ月過ぎているとい う例もあり、これでは保健指導の能率が非常に 悪いと考えるが、いかがか。
<厚生労働省保険局>
健診から保健指導の間がなるべく空かないよ うにという問題主旨はご指摘のとおりである。健 診結果の速やかな保険者への送付ということが 契約上謳われており、保険者として迅速に結果 を把握し階層化をする。そのために電子的にやり 取りをするということで全体が組み立てられてい る訳だが、現状必ずしも狙い通りに進んでいない 部分があることも確かかと考える。円滑に決済デ ータの送受信がなされることは非常に重要な部 分であり、関係者一同が会し円滑な取り組みのた めの努力がなされているところである。
質問 特定健診と、がん検診を合わせてやれば、 昨年度までの老人保健法に基づく基本健診に近 いことができて、継続受診者の混乱がなくてベ ターだと考える(ベストではない)。しかし、 昨年度までの基本健診であれば、すべて検査を 行っても500 円から1,000 円で行えたものが、 今回の組み合わせでは一つずつの単価の合計 (例、特定健診1,200 円、胸部レントゲン900 円、胃透視検査2,500 円、便鮮血反応700 円) が5,000 円を超えてしまう。しかしこれでも昨 年多項目の異常がなければ心電図検査、眼底検 査、貧血検査も行えず、全く健診の体をなして いない。疾病予防、早期発見のための健診のタ ーゲットは生活習慣病に限定したものではな い。昨年6 月にがん対策基本法が成立した。そ の中で、がん検診受診率の向上が謳われてお り、精度管理の向上や受診勧奨の方策について も課題として挙げられている。しかし、がん検 診は従来どおり、市町村の単独事業となってお り、特定健診と実施主体が異なる為に、受診者 の利便性や受診費用等に関する自治体、保険 者、健診実施機関での調整が重要になる。この 点も、都道府県医師会、郡市区医師会が中心と なって調整することが求められるとされるが、 神奈川県の例を取っていえば、県予算の10 % シーリングもあって全く実現の可能性がない。 昨年度までの基本健診と同レベルで、もっと安価にできるようにしないと国民のためにならず さらに特定健診そのものも受診率は下がってい くと思うが、いかがか。
<厚生労働省保険局>
他の健診との同時実施については、昨年の夏 に都道府県、市町村、関係団体に要請を申し上 げているところである。
実施単価については、実施主体の保険者と実 施機関との契約交渉で決めていただくものであ る。その関係で、なるべく高い方が良いとか安 い方が良いとかそれぞれの考えがあるかと思う が、実施状況等をそれぞれの契約当事者が見て いただく中で、より適正な契約単価になってい くことを期待している。併せて保険者で設定す る自己負担額等をどう設定するのかということ も、保険財政の兼ね合いがあるが、なるべく受 診率を上げる方向で考えていただくということ も一つの方向性かと考える。厚労省において も、保険者に対する補助金等、必要な予算の確 保に今後とも努めたいと考えている。
質問 内科学会などで本年は慢性腎臓病(CKD) を予防することが肝要ということでキャンペー ンが張られてクレアチニンの測定がもっとも大 事であるといわれているのに、特定健診の検査 項目にないのは不自然ではないか。これ以外に も、心電図、血清、尿酸、クレアチニンなどは 一般検査で行えるようにすぐ改正すべきである。
<厚生労働省健康局>
厚生労働省の理解しているところでは、日本 腎臓病学会のCKD の診療ガイドの中で、血清 クレアチニン検査はCKD の患者さんを専門医 に紹介するタイミングを見計らう上で重要な項 目であると位置付けられている。またCKD の 早期発見においては検尿が簡便で有効であると いう記述があると理解している。厚労省として 有識者による検討を行った際、この中の意見と しても、血清クレアチニン検査はある程度進ん だ腎機能障害を把握するために有効であると位 置付けられ、その一方で腎機能障害を早期に発 見するためには尿蛋白検査が効果的であるとい うことがあり、血糖検査、血圧検査等を含んで いる特定健診の中で血清クレアチニン検査につ いては検査項目として位置付けられていないと いう実態である。今後、科学的知見が集積され た場合に必要に応じて見直しを検討することと なる。その他の検査項目についても同様である。
質問 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症 候群)の診断基準が国際的に統一されることに なった。今回の改訂で腹囲が診断の必須条件か ら外れることになり、年内にも暫定基準が公表 され、世界のメタボ診断や治療・研究は、統一 基準に基づいて行われるが、世界では複数のメ タボ診断基準があり、混乱が生じており、国際 糖尿病連合(IDF)と、米国コレステロール教 育プログラム(NCEP)が中心となって、診断 基準の統一を呼び掛け今年2 月から協議を進め てきた。国際的に診断基準が統一されることに よって、日本の腹囲測定が疑問視されることに なるだろう。メタボリックシンドロームの基準 が、他の東アジア、東南アジアと同様に、腹囲 は男性90cm、女性80cm に改正する、あるい は腹囲測定は不要となった場合、特定健診の診 断基準もこれに合わせて変更するのか。その場 合、本年度、来年度で判断基準が異なるがどう 整合性を保つのか。そもそも、症例数の少ない 臍断面CT と内蔵脂肪によるあやふやなデータ に基づく腹囲の基準を、このように大がかりな 特定健診の基準に用いたことが重大な誤りであ ったことへの反省はあるのか。
<厚生労働省健康局>
腹囲の問題については国際的にも非常に熱の 入った議論がなされている。厚労省としては情 報収集に努め一定程度喫緊の情報を有している つもりである。特に国際糖尿病連合(IDF)あ るいは全米コレステロール教育プログラム等の 検討が、現に存在している基準の見直しも含め かなり活発に国際的な場での議論を行っている と承知しているが、厚労省の理解するところで は、現時点で各団体から正式な発表がなされる ところまでは至っていない。
一方で我が国の取り組みについては、やはり 日本人の方々から得られたデータに即してい く、あるいは日本における学術会でのご議論を 踏まえていくということが重要という点もある かと思う。平成17 年4 月に日本内科学会と8 学会が定めたメタボリックシンドロームの診断 基準が、我が国の日本人の特徴を含めて定めら れたということもあり、この診断基準を踏まえ 様々な準備作業を経て、今回の特定保健指導の 対象者選定のための基準というものに至ってい る。これは現時点での科学的根拠を踏まえたも のということは申し上げられるのではないかと 思っている。
質問 特定健診は、メタボリックシンドローム に対する保健指導の為だけの健診と考えられ る。その為に、腹囲とBMI がカウントされな い受診者は、血圧・血液検査で異常値でも保健 指導の対象者とはならない。言い換えると、全 受診者の生活習慣病の為の健診ではない。本来 健診は受診者の疾病の発見と予防の為にある。 今後も特定健診を継続されるなら、従来の基本 健診のような必要な各種検査を受診したうえ で、メタボリック特定保健指導に必要な検査値 だけを取り入れて指導したら如何か。熟年で発 症する生活習慣病の予防のためには、特定健診 のような限られた検査では不十分である。早期 に健診自体の改善を望む。
<厚生労働省健康局>
特定健診・特定保健指導は、健診により生活 習慣の改善が必要な者を、効果的、効率的に保 健指導の対象者として選定し保健指導を実施し ていくものであり、リスクに対応することで生 活習慣病の発症重症化を予防するものである。 専門家による検討会での検討を経て今日の基準 を策定している。
繰り返しになるが、貧血検査、心電図検査等 については、医師の判断により実施される項目 として従来通りの位置付けがなされている。
○神奈川県医師会(座間綾瀬医師会)
質問 特定健診審査票について
データを収集するためには良いかもしれない が、受診者への説明という点からは極めて説明 しづらい、不親切なものである。改善の余地は ないか。この審査票を作成した当事者が自分で 健診に参加してみれば判ると思う。
<日医総研吉田主任研究員>
電子化をしていただくための入力票等の調査票 については、これは代行入力事業者等の一つの帳 票の種類だと思うので、先ずは医師会を通じて代 行入力事業者と相談いただければと考える。
質問 昨年まで地域行政が行っていた基本健診 制度と比較すると、保険家族の受診数は低下し ているのは確かであり、保険者によっては健診 制度の通知が全く不十分であるが、どのように 徹底しているのか。
<厚生労働省保険局>
今年度は制度開始初年度ということで全体の 進行が遅れている。その関係もありピークが後 ろにずれていると考えている。周知不十分とい うご指摘については、ワーキンググループの成 果も踏まえ関係者の皆様と努力を重ねていきた いと考える。
○新潟県医師会(上越医師会)
質問 地域の疾病構造には特徴があり、各市町 村ではそれをもとに、基本健康診査に各種の必 要な項目を付加して健診を実施し、保健指導を してきましたが、保険者に義務付けられた「特 定健康診査」では、同一地域、同一家族であっ ても異なる健診項目、保健指導を実施されるこ とになり、公衆衛生に寄与する事業として大変 疑問に感じます。従来どおり、地域の住民全員 が必要な健診項目・保健指導が受けられ、健診 データも各市町村に確実に届けられ、各市町村 は住民の健康状態を把握し、地域全体の評価、 施策ができるようにすべきではないでしょう か。さらに、望むべくは労働者に対しても労働 安全衛生法に定められた項目だけではなく、地域住民として必要な項目を追加して実施できる 体制を要望します。
質問 また、受診対象者には健康診査を受診し なければならないという意識を持ってもらう働 きかけが必要ではないでしょうか。
<日本医師会内田常任理事>
ご指摘については、その通りと考える。従来 の老健事業において各市町村でいわゆる上乗せ 健診として行われてきたものについては、市町 村の衛生部門の負担で行っていただければと考 えている。ご要望も踏まえ、厚労省の検討会で も検討させていただきたいと考える。
<厚生労働省保険局>
今回、生活習慣病対策を充実させるというこ とで、特に健診の結果をなるべく保健指導に繋 いでいくことが大事だということで、また従来 の住民健診よりも医療保険者の方が対象者把握 を行い易いとして、医療保険者が加入者に対し 実施をするという仕立て直しとなった。従来手 薄であった被扶養者に対する健診の充実、現時 点でそこが十分かというご指摘はあるが、そう いう部分も期待できると考えており、従来の地 域保健という概念に加え、新たに保険者が行う 保健事業として、加入者に対し様々な事業展開 がなされることは保険者機能の強化の観点から も意義深いことかと考えている。
<厚生労働省健康局>
今回の保険者による取り組みについては、各 地域で行われてきた従来からの市町村による 様々な健康増進対策(ポピュレーションアプロ ーチ)とも相成り、全体として国民の健康状態 を高めていく取り組みの一環と考えている。市 町村が実施する住民の健康増進の施策というこ とで、保健指導の対象となった方々の運動や食 生活習慣を改善していくための取り組みを支え る様々な環境づくり等についても取り組んでい るところもある。
○富山県医師会
質問 詳細な健診を行う場合、前年度の健診結 果が必要となりますが、健診機関にどのような 方法で前年度の結果を連絡するのでしょうか。
<日本医師会内田常任理事>
この件については、受診者が受診時に前年度 の健診結果を持参していただくということを想 定している。前年度と同じ健診機関で受診する ということであれば持参する必要はないかと思 うが、それがしっかり周知されているかと言え ばそうでもないということが現状ではないかと 思うので、今後周知の必要があるかと思う。
日医としては、詳細な健診ということではな く、受診者全員に実施する体制が望ましいと考 えており、厚労省の検討会ではそういう形で主 張していきたいと考えている。
○大阪府医師会
質問 特定健診・特定保健指導は国の施策で医 療保険者に義務付けられたものである。医療保 険者も支払基金・国保連合会も中央からの指示 に従って事業を進めている。医師会にあっては 日医からの指示が皆無である。日医は中央で関 係機関と協議し、都道府県を指導してほしい。 例えば特定健診登録医療機関の新規届出を9 月 末で締切る通知についても、健保連・国保連合 会などは中央からの延長の説明があったようだ が、日医がもっと早く中央の情報を通知してく れると会員指導しやすい。
<日本医師会内田常任理事>
特定健診・特定保健指導については、都道府 県医師会宛の文書での連絡、日本医師会のホー ムページ等での情報提供に努めている。ご指摘 の点については、地域医師会からの要望を受け 日医から厚労省等に働きかけをしているところ である。電話等で寄せられる地域からの照会、 要望等についても、それぞれ関係部署に問い合 わせ等を行い対応している。今後とも様々なご 質問、ご要望等があるかと思うが、それにも適 時、適正に対応させていただくということで今 後とも努力していきたい。
○兵庫県医師会
質問 一部負担金の軽減あるいは無料化が必要。 (特に協会けんぽは負担大。本来は、全ての特 定健診受診者の一部負担金は同じ金額または無 料とすることが望ましい。)
<厚生労働省保険局>
自己負担額をどう設定するかについては、こ れまでの受診状況、保険者の財源状況等も含 め、保険者が判断設定するところである。一律 に一定の形は難しいと考える。
質問 受診券の有効期限内であれば、保険者移 行後も健診受診可とする措置が必要。
<厚生労働省保険局>
保険者の異動後も使用可能にするということ は、加入者でなくなった人の費用を保険者が請 求されるということで、これはなかなか困難で はないかと考える。仮に異動後の保険者が請求 を受けるためには自己負担額が異なる可能性も 高いため、異動後の保険者が受診券を発券しな ければならないといった問題や、受診券と被保 険者証を照合し間違いないことを確認した上で 実施することになっている訳だが、異動後に前 の保険者の被保険者証を本来持っていてはいけ ないということもあり、事務ルール上も費用負 担の観点からも困難ではないかと考えている。
質問 同様に保健指導の間に保険者の異動があっ ても、中断せずに指導が継続できる措置が必要。
<厚生労働省保険局>
これについても基本的には先の質問と同様の 考え方となる。
保健事業の実効性を高める観点で、異動後の 保険者が自主的に異動前の保険者と連携し継続 的に実施しても良いとする場合や、対象者自身 が自主的に自費で継続いただくことは差し支え ないと考えている。
○奈良県医師会
質問 健診項目・内容について
(1)加入の健保組合により健診内容や負担金の 格差が大きく、不公平感が高い。国の義務付け た健診においてこの格差は許されないと思うが。
(2)結果通知を受け取った受診者は従前の基本 健診と比較して項目の少なさに幻滅している。 来年から受診しないという人も多数出ている。 来年度以降は項目を増やせないか。
(3)特に心電図は特定保健指導での事故等を防 ぐための重要な情報である。特定健診が特定保 健指導の実施のためならば、心電図は必須項目 とするべきではないか。
(4)心電図・眼底が前年度の状態をもって制限 される。一般社会では1 年前の診断書は無効で ある。健康診断書の有効期限は長くても3 ヶ 月。就職活動等の発病が少ない青年期の診断書 でさえこの短さ。特定健診対象の中高年世代は 数ヶ月で身体状態が激変することも多いのに、 なぜ前年データを使うのか。
(5)後期高齢者はメタボ健診を基本とするべき ではない。65 歳以上の生活機能評価健診では BMI が18.5 以下を問題視しているように、高 齢者は肥満より栄養不足を探すべきではないか。
(6)メタボ健診と生活機能評価では異常の捉え 方が全く異なるのに、同時実施を認めるのは不 自然ではないか。
<日本医師会内田常任理事>
特定健診の健診項目は統一されている。組合 健保等により上乗せがあるために差が生じてい る。また市町村国保においても、従来市町村が 行ってきた健診項目との兼ね合いで差が生じて いる。日医としては誰もが同じ健診を受けられ るようにした方が良いと考えている。また既に 回答したが、心電図等は必須にした方が良いと 考えている。メタボ健診の在り方については、 メタボにターゲットを絞るということも含め、 今後学会の見解も踏まえ厚生労働省の検討会で の検討が必要と考えている。
<厚生労働省健康局>
(4)のいつの時点のデータを使うかという ことについて申し上げると、特に追加的な検 査、心電図検査等の場合については、前年度の 健診データあるいはそれより以前のデータとい うこともあるが、一方で健診当日における自覚 症状、他覚症状に基づいて検査を行い、その結果を含めての医師の判断となるので、そういっ た意味では前年度だけに極めて厳密に限定して いるという意味合いではない。
(5)の生活機能評価について一言追加する と、生活機能評価は65 歳以上の者に対して行 われているが、基本的に対象者は該当年齢の 方々全員となっており、その範囲において痩せ に対する評価も行われるという位置付けとな る。そういった意味で特定健診の検査項目と重 複しないよう調整したということである。ゆえ に特定健診での痩せの評価は行っていない。
質問 質問票様式(国保連様式)
(1)「生活習慣改善の保健指導を受ける気があ りますか(問22)」は、ほぼ全員が「いいえ」 となっている。このことは、保健指導を目的と して考案された特定健診の存続に関わる大問題 だ。如何に国民の理解が得られていない健診か を顕著に示している。この健診・制度に対して 国民の理解を得るためにどんなことを検討して いるか。
<厚生労働省健康局保健指導室>
質問票の配布・記入の際には特定保健指導の イメージが湧かないために低率になっているの ではないかと考えている。
特定保健指導の現在の実施率の非常に高いと ころの状況を聞いてみると、健診時に特定健 診・特定保健指導の概要について理解しやすい リーフレットを用いて説明したり、あるいは健 診結果をできるだけ早く返却し保健指導の意識 を高めたり、健診結果説明会の開催や市町村の 保健師による家庭訪問等で保健指導の必要性に ついて説明していると聞いている。今後重要な ことが、特定健診・特定保健指導の制度や必要 性について、組織の広報紙やケーブルテレビ 等、多様な媒体を活用して一層広く普及啓発を 行っていただくことで、特に衛生部門の保健師 が地域と職域連携推進協議会等を活用しポピュ レーションアプローチに積極的に取り組んでい ただくことが必要ではないかと考えている。
質問 健診結果報告(媒体・オンライン)・処 理・決済
(1)医療機関はCD で提出する場合の暗号化は 不要ではないか。もっと個人情報レベルが高い レセプト情報でさえ暗号化していない。暗号化 は普段からレセプトのような高次元の個人情報 を扱うことがない民間健診施設が提出する場合 に限定する方が現状に即していると思うが。
(2)決済システムに関しては、国の基準に従っ て作成したXML データ形式に対して、基金や 連合会などの代行支払機関での審査や保険者の 審査で返戻対象とするケースが起きている。 色々なパターンがあるが一例としては、国保中 央会のホームページの11/19 付け「特定健診・ 特定保健指導システム情報」の中に“国保連合 会提出情報作成における留意事項”がある。そ この「事象5 番」では受診券情報の窓口負担金 額と実際に徴収した負担金額(決済情報)に差 額が生じると「返戻コード03 :データ相関エ ラー」とする様だ。具体的には受診券情報で詳 細項目負担金額380 円(心電図330 円、貧血 50 円の合計)がある場合、心電図だけ実施す れば決済情報は330 円となり、受診券情報とは 差額50 円が生じる。詳細項目は受診者次第で 実施差が生じるため、負担金差額は生じるもの である。日医・基金に問い合わせるとその場合 は受診券情報と決済情報に差があって当然で、 エラーにはならないとのこと。ところが連合会 は問題ありとし受診券情報の金額を330 円に打 ち直す必要ありと答えた。どちらが正しいの か。それぞれに問い合わせたが、他所のことは わからないとの回答だけで、結局どうすればい いのか。バラバラな判断基準では、プログラム 修正もかけられない。
(3)保健指導では唯一のフリーソフトもサポー ト・問合せがメールのみで、使用に関しては全 くの自己責任で、かつ不具合が生じても責任を 負わないと宣言する業者が作成したものしかな い。来年度以降はサポートが続くかどうかも判 らないようだ。国家プロジェクトで多額の研究 費(税金?)を注ぎ込んで作り上げたものにしては、無責任すぎないか。しかも完成度が低く 使い勝手が悪いので審査エラー率も高いとのこ と。今後改良されてくるだろうが請求方法は確 保されていないが事業だけ先に実施しろ、その うち支払う方法も見つかるだろう」との強引な 理論により、見切り発車で特定保健指導は始ま った。保健指導代行入力システムも来年1 月に ようやくNTT データにより運用開始されるだ けで、システム信頼度も未知数だが選択の余地 さえない。
(4)本制度の基幹であるべき報告・請求処理シ ステムは、国が責任を持って開発し全実施関係 者に無料配布し、請求側・審査側・支払側の全 員が同一ソフトを使用するべきではないか。
(5)各自がバラバラに構築する今のやり方は、 時間と金の無駄遣いでしかないと思うが。
<厚生労働省健康局>
ご指摘のフリーソフトについては、推察であ るがKIS が提供しているソフトのことかと思う が、このソフトについては研究班が開発したも のではなく会社の方である意味協力していただ いて開発したものである。ソフトウエアのシェ アライセンスを研究班で購入し、小規模健診機 関において自己責任でご使用いただくことがで きるような環境整備ということを目的として公 開しているものである。一方で研究班において 委託開発した特定健診・特定保健指導簡易入力 システムについては、保健指導に関しての請求 決済を行うことは可能である。研究班で開発し たものについては、保険者での確認テストは終 えているので、適切に作動させた場合の動作に ついては保証されていると考えている。
ソフトの統一については、実際問題として実 施機関や保険者等、自前でシステムを保有して いるケースもあるので、一括提供ということは現 実として困難ではないかと思っている。国の役 割として、関係者間での円滑なデータ送受信が できるよう様式を規定するという環境整備を重 視しており、保険者がどのようにデータを分析、 蓄積し管理するかという組織の中でのシステム の仕様についてまで公的な位置付けでもって規 定するということは現実として困難だと考える。
<国保中央会>
(2)について、国民健康保険における詳細健 診の各項目については、それぞれ窓口負担額を 設定して出すような受診券様式にしている。ご 質問の点については、該当する詳細健診の検査 の受診券と実施した詳細健診項目、実施した詳 細健診の決済情報の記録をお願いしているとこ ろである。受診券が連合会で作成する場合と市 町村が個別で作成する場合があるので、一度地 域の連合会に確認させていただきたいと考える。
<支払基金>
支払基金では、健診等機関から提出していた だいたデータは極力返戻しないという扱いで、 エラーが発生している場合は、健診等機関に連 絡し再請求をしていただくか支払基金で補正処 理ができるものは補正するという対応をさせて いただいている。やむを得ない場合は医療機関 のご了解を得て返戻させていただいている。
ご指摘の事例については、手引きの方で詳細 な健診項目の窓口負担額は、詳細な健診項目の 単価の合計に対する負担額という前提で設定し 受診券に記載するとなっている。支払基金のシ ステムもそういったチェックをしているが、そ れぞれの項目ごとに窓口負担額が設定され、支 払基金に登録している窓口負担額と合わないと いう場合には、支払基金で警告エラーという形 になるが、支払基金ではそういったエラーが発 生した場合、健診機関等へ照会確認し、これで 正しいということであればそのまま処理をする という取り扱いをさせていただいている。
質問 健診契約内容、契約書、保険者について
(1)社保グループの集合契約相手の代表者「協 会けんぽ」が全く代表の責務を果たしていな い。各保険者が自由に健診を進めており、集合 契約の意味がない。集合契約B の保険者にも関 わらず項目・料金や請求方法など契約内容に従 わず独自の料金・項目を要求する保険者がい る。要するに受診券情報が全く当てにならな い。「集合契約」とは名ばかり。集合契約から脱退したという保険者もいるが、保険者一覧リ ストからは削除されてない。これではその保険 者が健診実施可能かどうかを確実に判断するも のが何もない。保険者に電話連絡しても担当者 によって回答がバラバラ。保険者に連絡取れな い時間帯もあり、そもそも毎回電話確認するの は異常である。ハイリスク者の特定保健指導に 医師連絡票なるものの使用を勧めているが、無 料で発行して欲しいと要求する保険者もいる。
(2)医療機関にばかり設備投資を求めないで、 保険者への教育監督をもっと徹底するべきで は。保険者の監督責任はどこにあるのか。現行 では誰がどのように管理しているのか。
<厚生労働省保険局>
集合契約における契約代表者は単なる契約の 代表者となり、傘下に入る保険者を全て統率す るような事務ルールにはならない。ただし参加 した個々の保険者は自らの意思で参加し契約し ている訳なので、その契約内容に個々の保険者 が従っていないということであれば、それは誤 りであるので、周知を徹底し必要に応じ指導し ていきたいと考える。
(2)の監督責任、監督者はどこなのかとい うことについては、国保については都道府県、 健保については地方厚生局がブロック単位で設 けられており、そちらが直接管理監督する関係 になっている。
○福岡県医師会(福岡市医師会)
質問 空腹時血糖の値が100mg/dl 未満の場合、 HbA1c の値が5.2 %以上の高い値であっても階 層化のリスク要因として反映されないが、これ は適当であるのか厚労省の見解を伺いたい。
<厚生労働省健康局>
特定健診における血糖検査については、内科 学会等8 学会が定めた診断基準において空腹時 血糖を原則としていること等を踏まえ、有識者 による検討を行った結果、空腹時血糖の結果を 優先することとして、空腹時に採血が行えなか った場合にHbA1c 検査の結果を用いることと している。
質問 集合契約A、B のいずれにも登録がある 保険者であるにも関わらず、「集合A のみ」と 印字された受診券を発行している例がある。 「集合A のみ」と印字するならば、国保ベース の集合B に登録があるのは矛盾があるのではな いか。また、その場合、B 契約にのみ登録があ る健診機関での健診実施及びB 契約単価に基づ く請求は可能か。
<厚生労働省保険局>
受診券の発券ルールを順守していない保険者 が見られるということで、今般、ワーキンググ ループにおいて改めて指摘されたところであ り、その主旨徹底の意味から、保険者団体を通 じて各保険者に改めて発券ルールを順守するよ うに周知することとしている。またA 契約、B 契約両方の契約に参加している保険者は受診券 にその両方を印字していただく必要があるが、 万が一印字されていなくても契約に基づき実施 された場合は勿論請求可能であるので、その点 も改めて申し上げておきたい。
○長崎県医師会
質問 対象年齢による取扱いについて
年度内に75 歳の誕生日を迎える方のうち、 誕生日前に受ける健診については、今後どのよ うな取扱いになるのか。
<厚生労働省保険局>
これまで75 歳に到達する年度は特定健診の 対象者ではないという整理になっていたが、誕 生日が年度の前の方、後ろの方で、かなりの期 間、健診の機会が得られない場合が生じるとい うご指摘があり、この11 月に省令改定を行い、 ご指摘のような方も特定健診の対象として位置 付け直しを行い、平成21 年4 月1 日施行とし て来年度からそのような形で健診の機会がより 多く確保されるよう、後期高齢者医療広域連合 の行う健診との連携を徹底していきたいと考え ている。
質問 生活機能評価について
特定健診との同時実施は今後も引き続き行うのか。
<厚生労働省保険局>
先ほども出ていたが、生活機能評価のみなら ず、がん検診等の市町村で実施される各種健診 と特定健診を同時実施することについては、実 施率向上のためには、また利便性向上という観 点からも可能な限り取り組んでいただく必要が あり、その方が望ましと考えている。
○熊本県医師会
本県では、15 郡市ある中で、9 郡市の特定健 診を代行しております。請求データに関しまし ては、日本医師会よりご紹介がありました 「NTT データ」を活用しており、入力用紙を利 用しております。入力用紙は3 枚複写を用意 し、実施期間保存用、本県医師会保存用、代行 入力機関提出用1 枚を「NTT データ」に提出 します。その際に、実施機関番号・保険者番 号・必須項目をチェックしていますが、様々な 問題点が出ていますので、まとめてご質問させ ていただきます。
質問 保険者が契約しているかどうか、簡易な データベースを作成する際に、保険者マスタが 必要になるが、紙でしか情報がこない。医師会 には保険者情報をデータで渡すことができない かお尋ねしたい。また、政管健保の保険者情報 は、支払基金もデータでは持たないとして、教 えていただけないし、また、いろいろな話を聞 けば、政管健保の保険者情報は買わなければい けないと聞く。なぜ、政管健保の保険者情報だ けが売買されているのかもお尋ねしたい。
<日医総研吉田主任研究員>
集合契約の契約書の添付資料として委託元保 険者一覧というものがあるが、次年度はエクセ ルファイルでの添付ファイルということになっ たので、これを代表保険者から入手しご活用い ただきたい。
<支払基金>
健診機関側でのシステムに保険者マスタが必 要であるという認識が今までなかったが、質問 では政管健保の保険者情報は支払基金もデータ は持たないという情報になっているが、私ども は保険者の契約書の内容全てを情報化してい る。契約情報をご提供するということも可能で あると思っているので、日医総研と調整させて いただき、現在支払基金のホームページで健診 機関の基本情報を公表しており誰でもダウンロ ードできるような取り扱いにしているが、そう いったところで交渉できるかどうかも併せて調 整させていただきたいと思う。
○大分県医師会
質問 特定保健指導の中途脱落者における自己 負担金の返還について
特定保健指導受診者は初回面接時に自己負担 金を一括して支払うことになっている。しか し、特定保健指導機関から保険者への保健指導 料の初回面接時の請求額は、「動機付け支援」8 割、「積極的支援」4 割で、残りは保健指導終 了後に請求することになっている。以前から、 途中脱落者がかなり出るのではないかと懸念さ れているが、途中脱落者に対する自己負担額の 返還方法については明確ではないようだ。特定 保健指導機関は領収書を発行し、その領収書が 確定申告の医療費控除に使われることになって おり、早めにルールを決めておかないと混乱の 元になるのではないか。
<日本医師会内田常任理事>
自己負担額は初回面接時の費用として、中途 脱落の場合も返還しないということで、私から も吉田研究員からも報告させていただいたとお りである。
○岩手県医師国民健康保険組合
質問 生活機能評価の満年齢と特定健診の年度 末年齢の違いで混乱します。
<厚生労働省保険局>
特定健診と生活機能評価を同時実施で行おう とする場合には、生活機能評価は年度中何度で も実施できることになっているので、65 歳到 達後に両健診を実施していただくことが望まし いと考えている。特定健診・特定保健指導は1回で完結するものではなく完了までに一定期間 を要するということもある。また年度単位で実 施率も算定し把握・管理していく必要もあるの で、対象者を定義する年齢要件については、ど うしても年度単位とせざるを得ないところがあ るご理解いただきたい。
印象記
理事 玉井 修
12 月23 日天皇誕生日の休日を利用して東京駒込にある日本医師会館において開催された都道 府県医師会特定健診・特定保健指導連絡協議会に日帰りで参加してきました。13 時から16 時ま でという時間設定からも、この協議会がいかに多くの問題、協議事項を含んでいるかが推察され ます。日本医師会館に入った時には、すでに各県からやって来た特定健診担当理事の皆さんが詰 めかけ、少々騒然としたムードの中協議会が開催されました。まず驚いたのは配布資料の多さで す。各県から提出された質疑事項が余りに多すぎて収拾がつかなくなり、配付資料として流しな がら補足説明のために様々な添付資料が付けられたため膨大な資料となっていました。私と一緒 に参加した大山常任理事も少々困惑気味に分厚い資料に目を通しておられました。日医からの詳 細な解説も、詳細であればあるほど何だか煙に巻かれたような気になり、顧問弁護士や日医総研 の解説になるとフロアからの直接のやり取りはほとんど不可能で、壇上からの一方的な解説に終 止せざるを得ない状況となりました。単価設定やデータ処理など実務運営上の問題はもちろんで すが、特定健診の意義そのものに対する根本的な疑問が各県から寄せられ、これに対する明確な 回答が出来ない現実は特定健診のこの一年間の迷走を象徴する様でした。もとの基本健康診査に 戻して欲しいというフロアからの訴えに、期せずして起こった会場全体の拍手はいったい何だっ たのでしょうか。特定健診は後年時代の遺物として語られるものになってしまうのか、そんな感 慨を抱きながら長い長い会議を終えて、疲労感を覚えながら帰路につきました。帰りの飛行場ま での途中、大山常任理事の奢りでお蕎麦を食べながらビールを一杯ご馳走になりました。今でき ることをやっていくしかないですね、そんな事を言いながら師走の東京を歩いていました。クリ スマスソングを合唱する団体を遠巻きに眺めながら、コートを着ていても寒さが身に染みてきま した。