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アレルギー性鼻炎 
アレルギー週間(2/17 〜 2/23)に因んで
〜アレルギー性鼻炎の有病率は40 %台〜

長谷川昌宏

琉球大学医学部耳鼻咽喉・頭頸外科学
長谷川 昌宏

アレルギー性鼻炎は、鼻粘膜で起こるアレル ギー反応が原因となって発作性、反復性にくし ゃみ、鼻水、鼻閉などの鼻炎症状がおきる病気です。最近では、アレルギー性鼻炎の有病率は 40 %台という報告があります。10 年前は30 % 台でしたので、この10 年でさらに増加してき ているのです1・2)

表1 アレルギー性鼻炎症状の重症度分類

表1

【原因】アレルゲンとしては、ハウスダスト (ダニ)が最も多く、次にスギ花粉、そしてカ モガヤ、ブタクサ、ヨモギ花粉や真菌等があり ます。

【症状】くしゃみ、水性鼻汁、鼻閉が3 主徴で す。通年性と季節性とがあります。症状の重症 度はくしゃみ、鼻汁、鼻閉の程度をスコアで表 現し、それらの組み合わせにより軽症、中等症、 重症、最重症の4 段階に分類されます(表1)。 また、病型はくしゃみ、鼻漏は強く関係するの で、両者をまとめてくしゃみ・鼻漏型とし、鼻 閉が主症状の場合は鼻閉型とします。3 主徴が 全てそろっている場合は充全型とします。

【検査法】典型的な症状を示す症例では、詳細 な問診を行い、鼻鏡検査・鼻内視鏡検査・副鼻 腔レントゲン検査で所見をとり、鼻汁スメア採 取により好酸球の有無を検鏡し、抗原特異的血 清IgE 抗体定量または皮内テストあるいは抗原 誘発試験を行います4)

【治療法】
(抗原回避)理論的には、アレルゲンの回避が 出来ればアレルギー性鼻炎は発症しないはずで すので、ハウスダスト(ダニ)の場合は、掃除 を徹底し、絨毯等をやめる、空気清浄機を使う 等で、できるだけアレルゲンを減らします。環 境整備をするだけでもかなり症状が軽減する患 者さんがいます。

(薬物療法)最も一般的で、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬(ヒスタミン等の化学物質遊離 抑制薬)、ステロイド点鼻薬等が主に使用され ます。抗ヒスタミン薬はくしゃみ・鼻汁に速効 性が有りますが、眠気等の副作用がありえま す。抗アレルギー薬は即効性ではややおとりま すが、くしゃみ・鼻汁に加えて鼻閉にも効果が あり、副作用は比較的軽微です。現在、治療の 主力は抗アレルギー剤といえます。ステロイド 点鼻薬は効果発現がやや早く、鼻閉にも比較的 有効で全身的な副作用はほとんどありません。 これらの薬剤を組み合わせて使用しますが、重 症の場合には短期間、経口ステロイドを併用す ることもあります。鼻閉が主症状の場合は抗ロ イコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2 ・ト ロンボキサンA2 薬を使用することもあります。

(局所療法)主に、耳鼻咽喉科診療所で行われ ていますが、鼻処置や鼻洗浄、ネブライザー吸 入で症状を軽減出来ます。効果が長期間持続す るわけではありませんが、症状が強い時期には 大変有効です。

(減感作療法)原因アレルゲンを、少量から 徐々に増量して皮下注射を続ける方法です。こ の治療の作用機序についてはまだ充分には解明 されていません。長期(2 〜 3 年)にわたる通 院(1 週〜 1 ヶ月おき)が必要で、稀にアナフ ィラキシーショックが生じることもあり、あま り普及していません。有効率は60 〜 80 %とさ れ、治癒が期待できる唯一の治療(原因療法) です。

(手術療法)薬物療法等では鼻閉の改善がみら れない場合に手術を行うことがあります。この 場合は粘膜焼灼手術、粘膜切除手術等が行われ ています。粘膜焼灼手術は外来で施術可能で、 疼痛、出血等の合併症もほとんどみられませ ん。ただ、手術療法はあくまで対症療法の一つ であるため、免疫療法や内服薬などの併用も大 切です。また、アレルギー性鼻炎の3 主徴はい ずれも生体防御機能として重要な反応であり、 これら全てを失う様な手術は避けなければなり ません。

参考
1)中村昭彦,浅井忠雄,吉田博一ほか:アレルギー性鼻炎 の全国疫学調査-全国耳鼻咽喉科医および家族を対象 にして-.日耳鼻  2002;105 : 215-224
2)馬場廣太郎,中江公裕:鼻アレルギーの全国疫学調査 2008(1998 年との比較)-全国耳鼻咽喉科医および家 族を対象にして- P r o g r e s s i n M e d i c i n e 2008;28 : 2001-2012
3)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会(奥田 稔, 他):鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻 炎と花粉症-2005 年版(改訂第6 版).ライフ・サイエ ンス,東京,2008.
4)日本臨床検査医学会ホームページ (http://www.jscp.org/)アレルギー性鼻炎 沼田勉, 今野昭義