ここ数年は夏休みに妻とヨーロッパを旅することが恒例になっている。この写真は2 年前ロマンチック 街道を旅した時に撮った。残念ながら場所がどこか特定できない。ドイツかオーストリアあるいはスイス かも知れない。バス移動の途中で、日本流に言えば高速道路の休憩所にあたる施設で撮影した。バスから 降りてみると、有名な観光地でもないのに周りに広がる田園風景はまるで絵のように美しかった。ヨーロ ッパの人々の美意識の高さに脱帽する思いであった。
ここをモチーフに絵を描きたいと思い写真を撮りまくって建物に入ると、疲れた旅人を出迎える様に並 べられた案山子の群れに出くわした。所変われば品変わるで、日本の案山子とは材料もだいぶ違うが、そ れぞれがユーモラスで愛嬌があって、誰彼に見せたくなってシャッターを切った。燃料チャージ代が高騰 しているので、我が家の恒例行事は今年は中止になった。
公立久米島病院 村田 謙二
写真家新報カルチャーセンター講師 新嘉喜 祐司
手前の案山子がユーモアがあって温かみを感じ、 大人や子どもがみても楽しめる写真である。
また、写真に奥行きがあり、全体的なバランス がとれている。
右端のネクタイを締めたお父さん案山子の家族 かな?
編集委員長 當銘正彦
沖縄県医師会報の表紙を飾る写真の中から、 2008 年のbest picture 賞は公立久米島病院院長・村 田謙二先生の「所変われば・・・」と決定しまし た。本賞は広報委員会の審査だけでは心許ないとこ ろもあり、プロ写真家の新嘉喜祐司先生にも選考を お手伝いして頂き、最終決定となりました。村田先 生、おめでとうございます。
ロマンチック街道の田園風景との紹介ですが、 ヨーロッパの案山子の醸し出す風情に、日本では 感じられない“ユーモアと癒し”を感じてシャッ ターを切ったとのこと。本来、案山子は害鳥を嚇 かすための仕掛けですが、所変われば旅愁をそそ るモニュメントにもなるのかと、タイトルからも 十分に納得できる作品かと思います。南部医療セ ンターの回廊には、村田先生の油絵の風景画が何 点か展示されていますが、絵心がある者にして許 された写真の出来映えかと感心するばかりです。