沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 2月号

平成20 年度第4 回沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

常任理事 安里 哲好

去る11 月20 日(木)、県庁3 階第2 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する。

議題

1.各市町村国保及び医師国保の特定健診受 診率について(福祉保健部)

<提案要旨>

平成20 年10 月20 日現在の市町村国保及び 医師国保の特定健診受診率について、調査した ので、その結果について報告する。

平成20 年度目標値は32 %であるが、現在ま だ14.8 %であり、目標値にはかなり遠い。特 に市で低いのが特徴である。医師国保も4.3 % なのでアップを図っていただきたい。

なお、集団健診は31,919 人、個別健診が 10,312 人であったので、これから医療機関で の健診も増やして行きたいと考えており、医師 会とも調整して26 日に受診率アップに向けて 調整会議を開くことにしている。

また、ポスターを作って広報を徹底していき たいと考えている。

<主な意見等>

□医師国保は人間ドックをやっている(県医 師会)。

■人間ドックをやったデータも特定健診と看做 せるのでそのデータをいれていただきたい (福祉保健部)。

□那覇市では、特定健診の受診率だけでなくが ん検診の受診率も相当落ちている。診療所で も、特定健診とがん検診を分けて実施するこ とが難しい(県医師会)。

□大きい市は受診率が低い。市行政の意識が低 いのか、住民の意識が低いのか(県医師会)。

■石垣市は、33 %で市でも受診率高い。総合 保健協会と調整して、集団検診の回数を多く するなど工夫している。沖縄市も、今後集団 健診が増えてくれば上がってくると思われ る。また、住民の方が、どの医療機関が特定 健診を実施しているのかわからないようなの で、対応を検討したい(福祉保健部)。

□住民健診のように、期間限定でも何度も広報 する必要がある。どこの医療機関が特定健診 をやっているのかもっと広報が必要である (県医師会)。

■集団健診は限界がある。特定健診は住民に親 しみがない(福祉保健部)。

□市町村の住民への広報にかかっている。市町 村におけるしくみづくりが重要(県医師会)。

□沖縄市の受診率が4.1 %ととても低い。中部 地区医師会で何かできることはないか(県医 師会)

■沖縄市が一番低いので気になっている。沖縄 市と那覇市はとても低いので、受診率が上が ってきている市町村もあるのでそれを参考に していただきたい(福祉保健部)。

2.各医療機関の療養病床転換希望の状況に ついて(福祉保健部)

<提案要旨>

今年度実施した保険医療機関に対する「療養 病床から介護保険施設等への転換希望床数」に ついて取りまとめたので、参考までに提供する。

医療療養病床と介護療養病床3,610 床(病 院+診療所)のうち、1,228 床が転換を予定しているとの結果であった。今後、この数字は変 わると思われるので、毎年調査していきたい。

転換年度別に見ると、66 医療機関の内、21 年度が4 件、22 年度が8 件、23 年度が13 件に それぞれ転換したいと考えている。23 年度に 多くの医療機関が転換すると、国の補助金支給 が厳しくなるので、できるだけ集中しないよう に調整していきたい(平専門監)。

<主な意見等>

□有床診療所がどうなっていくのか、厚労省も あまり考えていない。有床診療所は対応が難 しい。拙速にならないように調整をお願いし たい(県医師会)。

■経営的に大丈夫か、時間をかけてやっていく ことにしている(福祉保健部)。

3.「うちなぁ医療ネット」の一斉入力情報 の活用による、沖縄県保健医療計画の各 医療機能を担う医療機関名の更新への協 力について(県医師会)

<提案要旨>

沖縄県保健医療計画では、がん、糖尿病、脳 卒中及び急性心筋梗塞の4 疾病に関して、各医 療機能を担う医療機関名を毎年度更新すること としており、今年度については、医療法に基づ き、病院・診療所が入力した「うちなぁ医療ネ ット」の医療機能情報(法定項目及び保健医療 計画のための追加調査項目)を基礎情報とし て、更新作業を進めていくこととしている。

ついては、各医療機関において、正確かつ記 載漏れのない適切な入力が行われるよう、周知 方をお願いしたい。

なお、一斉入力期間は平成20 年11 月10 日〜 30 日となっており、平成20 年10 月1 日現在の 医療機能方法を入力いただくこととしている。

また、10 月現在の入力状況は、病院89 % (94 施設中84 施設)、診療所33 %(855 施設中 279 施設)となっている。(異議なく了承)

4.「ドクターヘリの運航開始」について (福祉保健部)

<提案要旨>

今年12 月1 日から運航を開始するドクター ヘリについて説明するので、関係機関への周知 方よろしくお願いしたい。運航開始式は、11 月29 日(土)に行う。

  • 運航範囲:沖縄本島全域及び本島周辺離島で 半径100km。県内人口カバー率は 92 %。
           鹿児島県の一部(与論島〜徳之島) も予定
  • 運航時間:午前9 時〜午後5 時までの365 日。 夜間・長距離は、自衛隊による搬 送を行う。
           宮古・八重山地域では、海上保安 庁により24 時間搬送も行う。
  • 運航主体:浦添総合病院(救命救急センター)
  • 特記事項:日本航空医療学会のドクターヘリ 統一の塗装に変更する。

<主な意見等>

□患者搬送だけにならないようにきちんとお願 いしたい(県医師会)。

5.南部地区保健医療圏における「脳卒中」 の医療連携モデル(統一した様式の連携 パスも含め)の構築について(県医師会)

<提案要旨>

脳卒中は予防、急性期、回復期、在宅期と切 れ目ない長期の管理を要する。各々の時期にお いて、専門的あるいは適切に対応する医療機関 が機能分化しながら医療連携をしていく地域完 結型医療の代表的疾患である。厚生労働省は平 成19 年度4 疾病5 事業ごとの医療体制の中で も、脳卒中を重点的に取り上げている。

一方、9 月の福祉保健部・県医師会との連絡 会の中でも、南部地区保健医療圏の脳外科領域 の救急医療における医療連携の必要性について の提案がなされた。この様な背景を鑑み、那覇 市医師会・南部地区医師会・浦添市医師会の3医師会を中心に、南部地区保健医療圏における 「脳卒中」の医療連携モデル(統一した様式の パスも含め)を構築する方向性で進めていく予 定である。

福岡県では、県行政の要請を受け、県医師会 より福岡市医師会に依頼し、福岡市医師会方式 の脳血管障害地域連携パスを作成している。佐 賀県では、全県下共通の脳卒中・地域連携パス を作成し本年4 月より運用しているとの事であ る。その際にも、今後継続していくには、行政 において地域連携パスセンター等の組織を設置 する必要があると述べている。

上記「脳卒中」の医療連携モデルの構築の際 に、県行政(福祉保健部)が中心的に或いは積 極的に関わっていただきたく検討の程、お願い したい。

<福祉保健部の回答>

医療連携の構築については、各保健医療圏で 保健所を中心に「圏域連携会議」を地区医師会 との連携のもとに開催し、当該圏域における連 携のテーマや取り組み方等について協議するこ ととしている。

今後の具体的な取り組みについては、脳卒中 等4 疾病の医療連携パス等を構築する際に、地 区医師会への委託事業として活用できる「地域 医療連携推進事業」(国庫1/2、県1/2)を拡 充することとしており、平成21 年度予算編成 において事業費の増額を要求している。

当該事業の実施に当たっては、地区医師会と 保健所が連携して事業計画を策定し、推進に取 り組むとともに、各地区のモデル的な取り組み 事例については、研修会等を開催し各地区関係 機関へ紹介することにより、全県的に普及して いきたいと考えている。

<主な意見等>

■糖尿病の場合は診療所の連携が中心になる。 脳卒中の場合は施設同士の連携が中心となっ てくるので比較的実行しやすいと考えている (福祉保健部)。

■次年度、「地域医療連携推進事業」を5 か所、 3 年を目途にモデルを作ることを予定してお り予算計画している(福祉保健部)。

□本会では、3 医師会(浦添、那覇、南部)と 大学、市立病院(既に連携パス作成済み)が 前向きに検討していくことになっているので、 県も積極的に関与いただきたい(県医師会)。

■医師会の提案は医療機関の連携パスなのか (福祉保健部)。

□急性期からリハビリまで一連した連携パスを 想定している(県医師会)。

6.沖縄県の「がん対策推進計画」のについ て<琉球大学医師会より>(県医師会)

<提案要旨>

ご存知のように、日本医療政策機構理事(沖 縄県がん診療連携拠点病院協議会委員)が、沖 縄県の「がん対策推進計画」は20 点満点の3 点という厳しい評価をしているが、このことに ついて早急に対策、改善を図る計画があるかお 伺いしたい。

なお、大学病院も、がん診療連携拠点病院と して積極的に協力していきたい、協力すべきと 考えている。

<主な意見等>

■正直なところ、どのような基準で評価をいた だいたのか分からないところである(福祉保 健部)。

□国の計画より上回った計画が盛り込まれてい るか。それにより加算されることになってい る(県医師会)。

■県では、琉大のがん診療連携協議会の作業部 会へ保健所の医師を推薦し、全体の底上げを 図ることとしている(福祉保健部)。

■事務方では医療を知らないために、保健所で は医師に入っていただくことにしている(福 祉保健部)。

□がんは、検診の受診率UP が大事である。行 政を中心に詰めていただければ幸いである (県医師会)。

■本県ではがん登録がうまくいっておらず、デ ータベース化されていない状況である。それ らも含めて対応していきたい(福祉保健部)。

印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

メタボリック症候群の改善が沖縄県長寿復活の一つとしても期待された特定健診だが、現 時点的には厳しいものがある。特定健診の受診率が14.8 %と平成19 年度(23.4 %)より低 く、特に沖縄市(4.1 %)、那覇市(5.0 %)が著しく低い。諸問題点が検討され、対策を練 っているようだが、平成21 年3 月末までには改善したいものだ。一方、集団健診をする側も 受診者の減で悲鳴を上げている現状がある。

療養病床の転換に関しては、行政は各医療機関が方針を決め早い時期に転換して欲しいと 望んでいるも(国の補助金支給の適正化も含め)、各医療機関としては国の方針がどのように 変わるか、ぎりぎりまで見極めたい気持ちもある。「うちなぁ医療ネット」の一斉入力に関し ては診療所が33 %と低く、改善が望まれる。「ドクターヘリ」の運航が平成20 年12 月1 日 から行われる。久米島や与論島まで30 分の飛行時間とのこと。国・県の支援下における新し い救急医療の幕開けで、患者搬送だけにならないよう充実させて行きたいものだ。一方、一 つのヘリを複数の医療機関で使用することは可能なのかを模索する必要もあると思われる。

南部地区保健医療圏における「脳卒中」の医療連携モデルの構築については、県福祉保健 部、中央保健所そして南部保健所も一緒に協力していきたいし、平成21 年度予算編成におい ても、「地域医療連携推進事業」の事業費の増額を要求しているとのこと。南部地区保健医療 圏等における医療機関の協力、3 医師会等の協力を切に希望する。来年早々に、委員会を立 ち上げ、積極的に行動したいものだ。

沖縄県の「がん対策推進計画」における目標の見直しに加え、都道府県がん診療連携拠点 病院(琉大病院)と地域がん診療連携拠点病院との密なる連携、がん検診受診率の向上とが ん登録の充実が望まれる。

今年も多岐にわたって、多くの課題が協議された。来年はその一つ一つを目に見える形で 具現化して行きたいものだ。県民のために、地域の方々のために、そして我々医療従事者の ために、会員諸氏の尚一層のご協力をいただきたい。