琉球大学大学院医学研究科
感染制御医科学専攻3 年生
第一内科 古堅 誠
私の医師としての生活がスタートして、早い もので10 年の月日が経過してしまいました。 同期で卒業した先生方が各診療科・各病院へす すみ活躍している姿を、喜ばしい、また、誇ら しいような思いで拝見しております。
これまで、私は、大学卒業後、第一内科に入 局、約2 年間の研修生活を経験し、悩んだ末、 呼吸器内科としての道を選択しました。呼吸器 内科を選んだ理由は、以前より胸部画像診断に 興味をもっていたこと、呼吸器症状を呈する患 者さんの身体所見からその鑑別診断をあげて診 断・治療を行っていくその過程が純粋に楽しく 感じたということがあります。また、(私がも ともと県北部の田舎出身で、お年寄りの中で育 ってきたこともあり)高齢の患者さんを診るこ とにあまり抵抗を感じなかったことも一因だっ たかも知れません。大学病院での研修生活の後 に、中頭病院で1 年、北部地区医師会病院で2 年半、再度大学病院に戻り2 年間臨床の現場で 仕事をさせて頂きました。当初から自分の興味 を持てる専門分野を意識し高い目標をもって診 療や研究に取り組んでいく同僚の先生方が多い 中、私はどちらというと日常臨床の場で多くの 症例を経験し下地を固めてからその後のことを 考えたいとするやや慎重な姿勢で診療を続けて いました。幸い多くの症例を経験させて頂き、 外来・病棟業務においてもある程度のことはこ なせるような自信は出てきてはいたのですが、 日々の臨床の忙しさの中であまりそれぞれの疾 患の病態を的確にとらえて診療することは不十 分で未消化のまま仕事を続けていた面もあった かと思います。そんな折、疾患の本質からじっ くりと勉強をしてみたいと考え、少し遅くはな りましたが思い切って大学院への進学を決意し ました。医師生活8 年目のことでした。
私が大学院で取り組んだテーマは“レジオネ ラ感染による肺胞上皮細胞傷害の機序に関する 検討”で、レジオネラ肺炎が重症化する病態を ALI(急性肺障害)/ARDS に関わる肺胞上皮 細胞傷害の観点から検討したものでした。実験 で多くの失敗や困難にぶち当たりましたが、失 敗のなかにも何かひとつは成果をみつけ、それ を次のステップにつなげていくその過程が非常 に勉強になりました。幸い、素晴らしい環境に 恵まれ、当科教授の藤田次郎先生・講師の比嘉 太先生の手厚いご指導のもと、何とか研究論文をまとめることができました。非常に有意義な 時間を過ごすことができ、お世話になった先生 方皆様に御礼申しあげます。
私が取り組んだテーマは基礎的な研究ではあ りましたが、その病態に直接関係するような臨 床に非常に近いところでの研究でした。大学院 で勉強したことで、これまでとは違った面から 患者様や疾患を捉えることができ、臨床の幅を 少しでも広げることができたのではないかと思 っております。私にとって、今年は臨床の現場 への本格的な復帰の年となります。初心に戻っ て診療に当たりたいと思います、今後ともどう ぞ宜しくお願い致します。