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シニアリーグ

玉榮剛

宜野湾記念病院 玉榮 剛

あけましておめでとうございます。医療を取 り巻く状況が厳しくなる中、本年は皆様にとっ てよりよい年でありますように切に願うばかり でございます。

正直申し上げますとこの随筆の寄稿を仰せつ かるまで、自分が年男になることに気付かずに いました。まるで考えもしなかったこともあり、 いったい自分が何回目の年男になったんだろう とか指を折りながら数える始末であります。

思うに飲み会などで同級生や幼なじみが集え ば、気分はみんな昔のままなんだけどなぁとか、 その「むかし」とかいう表現を素直にだしてしま うところが、ちょっとヤバくなってきたような気 もします。酒が入りほろ酔い気分で話す話題と 言えば、あの時はこうだった、ああだったとほぼ 四半世紀も前の話題。時にはほぼ全員が忘れか けてしまった話題をもちだしてうらみつらみをブ チブチ文句たれるヤツもチラホラ。「いま何やっ てるの?」と尋ねたはいいけど、差し出された名 刺がぼやけて見えず、眉間にシワを寄せつつ目 を細めるか、めがねを引きずりあげ裸眼でみた り、あるいは両方の動作を同時に行うばかりか、 腕をめいっぱい伸ばして遠くからでないと見えな い有様。お互い体臭なども気になりだしてはい るのだが、気分だけは若いままでいようと着るも のは目一杯若作りの毎日であります。

そんな加齢臭が気になりだした自分ですが、 趣味として続けているものにバスケットボール があります。シニアリーグと言いまして、40 才 以上を対象にしたリーグで一般とは一線を画し た、いわゆるおじさま達のリーグに参加させて 頂いています(医師会の先生も何人か参加され てますね)。現役を退いてお遊びのレベルでや ってるんだろうと思われるかも知れませんが、これがかなりのハイレベル、各チームの選手の 方々の年令を聞いて二度ビックリです。ほとん どの方が自分より年上で、自分なんかはまだま だ若造です。その先輩方が走る走る! 20 才代 の連中と互角か、それ以上に走り、飛び回って いらっしゃいます。さらに目つきもギラギラし たものでボールを追いかける情熱は文字通り目 を見張るものがあります。さらに驚いたのは、 皆さん、週に二回も三回も練習されており、多 い方では週に五回以上もどこかしらで練習され てると聞きました。私の場合、平日に診療を終 えて練習に参加するのは少々無理がありますの で、主に土曜日だけの参加と言うことになりま す。もちろん当直や呼び出しなどで毎週は行け ませんが、できるだけ参加するようにしてます。

実は沖縄に帰ってくる前にもバスケットはほ んとにお遊び程度ではやっていまして、その頃 はさして向上心などなく、気持ちのいい汗を流 したあと、おいしいビールでも飲もうかという 安易な気持ちでやっていました。しかし、シニ アリーグに参加させていただいてからは、自ら 筋力トレーニングを課したり早めにコートに出 てシュート練習などやったりと、およそ現役の 時にもしなかったことまでやってます。

たまの休みなのに、なにやってるんだろう? と自問することがあります。ただ、試合で勝っ た喜び、負けた悔しさなど、これほどまでに感 情移入できる喜びと言いますか、ある意味「若 い」ときにしか味わえなかった気持ちをいまだ に仲間と分かち会うことができます。

ただ、考えてみますと、勤務医として日々の 診療でも同じ事ですね。手術を無事に終えた充 足感、退院していく患者様を送り出し、外来で 元気な姿でお会いする時などは似たような感情 かも知れません。もちろんチームプレイですし、 他の職種ではなかなか味わえない醍醐味かも知 れません。仕事でも趣味でもそう言う気持ちに なれるというのは案外幸せ者かもしれません。

気がつけば「若いとき」にとか言ってしま い、自分はまだまだ若手だと言い聞かせ、自分 自身に気合いを入れ直す毎日であります。