北部地区医師会 石川 清和
医療崩壊が全国的な問題になってきている が、北部地区では県立病院の産婦人科休止によ る手術の必要な産婦の中部への搬送、小児科外 来の縮小など医師不足による外来の縮小は数年 前から問題になっている。循環器の医師の確 保、今後の医師を確保し医療を再生するために は真剣に取り組まなければならない。女医の活 用もその一つであり、今回北部地区に縁のある 国際女医会の会長平敷淳子先生をお招きし、女 性医師が活躍してもらうために何が必要か?と いうことで講演していただいた。
講演主旨
女性医師の歴史はわ ずか100年強である。 女性が医学生として公 的、私的な教育をうけ る場を探しだすことか らはじまり、公的に国 家試験を受け、医師として認知されるにいたる 経緯には、女性自身による計り知れない努力が あった。忍耐と戦いの歴史。戦い抜いて、まず は自分が医師となった先人、女性のための教育 の場を創立するに至った先人の歩みを思うと き、恵まれすぎている現在から後退だけはさせ たくないと願っている。
教育の機会均等が当たり前の時代に学び、 1995 年の北京宣言以来わが国においても、男 女雇用機会均等、男女共同参画があらゆる場で 叫ばれている。この時代であるから、「女性医 師」の名の下に甘えはゆるされないと思う。
性別による差別なく、国から教育の援助を受 け、国家試験によって医師免許書が授与された 医師は、それこそ性別を問わず生涯働き続けて いくことが当たり前のこと。女性男性を問わ ず、医師としての生き方は医学生のときから培 い、いかに人生いきるかという個人の哲学をも っていかなければならないと思う。その背後を ささえるmentor や指導者との出会い、働く環 境について、若い女性医師への提言をしたい。
医療に従事しているものにとって、決して削 ることのできない「医療の質」や医師が生涯持 ち続けなければならない医学的な知識の「competence 」が故に、数学的に解決できない問題 があるのでしょう。
どうしたら、生涯輝いてはたらけるでしょ う。女性医師だけで解決できるも問題ではな く、社会、環境、生活全般の意識改革が最重要 課題と思います。
平敷淳子国際女医会長講演記
7 月末にあわだだしく講演会開催を決定し、 広報不足が否めない状況であったが、事務局、 医師会の諸先生方の尽力で当日は会場になった 出雲殿には約100 名の参加者があった。
平敷先生の講演は一生働き続けたいという強 い意志が必要であると述べ、医学部生、医師の 早い段階で良きMentor かrole model との出会 いが大切である強調された。女性医師の近年の 国家試験合格率は33 〜 32 %で推移しており、 30 代の女医の就業率は60 %台で若い女医の比 率の多い産婦人科では今後医師不足が加速され る可能性がある。2003 年の日本女医会のアン ケート調査では女医の休職の最大の理由は育児 であり、働きたいけど働けない現実がある。ま たキャリア形成の疎外因子として育児、妊娠、 出産、子供の教育が挙がっているが、本当にキ ャリアアップしたいなら勉強時間の工夫が必要 である。
平敷先生はご自身の国際女医会長までキャリ アアップした軌跡を振り返り
が大切であると述べられた。
最後に平敷先生の師の西澤潤一郎首都大学東 京総長の「相互理解は違いの必然性の認識から」 との言葉を紹介されて講演を締めくくられた。