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浦添市医師会の新しい試み
―「健康情報活用基盤実証事業」について―

池村剛

浦添市医師会広報担当理事
池村 剛

浦添市医師会は、数年前より浦添市との合同 事業として「メディカル・インフォメーション センター」の運営や、「3kg 減量市民大運動」 をつうじて浦添市民の健康増進事業に参加し、 市民の健康保持増進に寄与してまいりました。 またこの成果は、昨年の地区医師会連絡協議会 においても報告しております。昨今は予防医学 が重要視され、今年からは国民の健康保持増 進を目的として特定健診・特定保健指導も 開始されました。個々人の健康管理が大き く注目されるようになり、メディアでもメタ ボリックシンドロームを中心として健康情 報が数多く発信されています。また、医療 機関では紙カルテから電子カルテへの移行 など医療情報の電子化が顕著に進んでおり、 これらの現況を背景として医療情報の共有 化を実現し、住民の健康づくりを支援する 「健康情報活用基盤」を整備することが課題 となっています。厚生労働省は、病院や行 政、民間などの関連産業が持つ情報を共有 活用し、インターネットを利用することで 市民の疾病予防や健康管理に関する個別指 導を可能にする「健康情報活用基盤実証事 業」を策定し、これを浦添市が受託試行す ることになりました。浦添市医師会と浦添 市で行っている「3kg 減量市民大運動」など がこの事業の目的に合致しており、これらを中 心にデータベースを整備し活用できるよう制 度、運用面から確かめる方針となっています。 期間は2010 年度までの3 年間で、総務省や経 済産業省などと連携した三省合同による大掛か りな実証事業で、全国で使用される健康情報活 用モデルの確立を目指しています。また、この 事業は全国で唯一浦添市のみで試行されること から、医師会としても全面的に支援、協力して いくことを確認いたしました。

浦添市は、この事業に参加していただく市民 を一万人以上と想定し、幅広く登録を呼び掛け ています。1)「医師会・薬剤師会の持つ患者の 通院歴や投薬歴」2)「浦添市が持つ健診結果な どのデータ」3)「スポーツクラブなどの民間業 者の指導歴」4)「浦添市民の世代別、地域別の 病気の傾向など」を元に四つのデータベースが 構築され、この情報は登録した市民の許可の下 に、医療機関によるアドバイスなど市民の健康 保持増進や生涯にわたる健康づくりなどに活用 されることになります。

医師会は医療機関の履歴の作成を受け持つこ とになり、担当となる理事の先生を中心に検討 を行っております。医療機関側の問題点として は、どの程度の医療情報を盛り込んで履歴を作 成するのが妥当か、参加する医療機関に享受し うるメリットはあるのか、単なる情報の送り手 になってしまうだけではないのかなど危惧され る点も考えられるところです。元来この事業そ のものが住民を中心とし、住民の利益を目的と しているものであることを思えば、医療機関側 の負担は大きいものになるのかもしれません。 しかしながら、将来のより良い医療環境の構築 を求めていく中で、医療機関にとって面白い事 業展開となる事も期待できます。浦添市医師会 は「メディカル・インフォメーション事業」 「3kg 減量大運動」に続いて、H20 年8 月より浦 添市との新しい共同事業を開始することになり 動き出しました。