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研修医として指導医に求めること

高松岳矢

琉球大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
高松 岳矢

Ryumic(琉球大学医学部附属病院)初期研 修医2 年目の高松岳矢といいます。今回、研修 医から指導医に求めることという内容で文章を 書く機会をいただきました。よろしくお願いし ます。

ちょうど先日、よく一緒に遊んでいる大学時 代の先輩と話していたところ、その先輩のとこ ろに研修医がローテートしてきたという話題に なりました。そこで、先輩がいうには「いろい ろ教えたいなとは思ってたけど、研修医が何を 求めている分からないまま、それなりに一緒に 仕事をしていた。それで、研修の最後になっ て、もっとかまって欲しかったと言われてしま ったよ。」と、笑いながら苦労を語ってくれま した。

この話を聞いて、研修医の立場にいる私は、 指導医側も困ることがあるのだなと知り、また 私自身、先生方に求めるものがはっきりしてい なかったことを自覚しました。研修医として指 導医に求めるもの、私の場合は何か、ひとつこ こに書いてみます。

はじめに、私はいままで自分が歩んできた研 修の過程に対して、非常に満足しています。大 学病院に所属していますが、研修プログラムが 比較的自由であるため、沖縄本島の私立病院、 離島の県立病院、離島の在宅療養支援診療所な ど、様々な場所でいろんな先生方にお世話にな りました。それがとてもよかったです。

ローテートの良い点として、多分野の先生方 に会えることがあります。初期研修医という立 場を利用して(?)、はっきりいってご迷惑を かけながらも、全く初めての場所に飛び込ませ てもらい、専門の先生から学ばせてもらい、本 当に貴重な経験でした。そしてそのたびに印象 的だったのは、出会った先生方がみな、それぞ れの領域でいきいきとお仕事をされていたこと でした。

そんなわけで、私はその仕事の面白さを教え てもらいたいと思います。

医師である私たちは、医師免許を取得したあ と、自分自身で進む領域を選択します。そして それぞれの領域に、大袈裟に言えば、その個人 の一生をかけていくわけです。どの科でも、臨 床でも研究でも、大病院でも診療所でも、人間 ひとりが取り組んでいるすべての仕事に、その 人が見いだした楽しみがあるはずです。私はそ れを聞きたいです。

それは進路の選択のため、という目的があっ てのことではありません。単純に面白い話を聞 きたいからです。私自身の進路選択について、 何人かの指導医に相談したこともありますが、 意外に「選択」自体はその時のノリというか、 そこまで決定的でなく、やっていくうちに楽し くなってきたという体験談をよく聞きました。 どんな楽しみを見出したのでしょう。また、む しろ進路の選択とは逆に、自分が将来やりそう もない分野での、醍醐味、やりがいなんかを聞 いたほうが、面白いこともあります。

だれかの興味のある話を聞くのは楽しいもの です。情熱に触れることは意欲につながりま す。好きな話をすることは、コミュニケーショ ンにもなります。

またその先生のこだわりが、診療のキモであ ったりもします。たとえば、術後合併症をおこさないための細かな心配り、入院させずに外来 で疾患をコントロールする技術、患者に安心感 を与える方法、服装にこだわりをもっている先 生もいます。もちろん各科で最低限研修すべき 事項はもれなく学ぶ必要がありますが、こうい った教科書に書かれていないものこそ貴重です。

そして、大きな視点で医療を考えたときに、 こうして各々が個性を発揮して医療を支えてい るということが実感できれば、いい世の中だな と思えるんじゃないでしょうか。自分のできる ことをやっていく、謙虚に。

こんな風に面白い話をきけたらいいなと思い ます。以上が研修医の私が指導医に求めること です。だいぶ私的な内容ですが、読んで頂きあ りがとうございました。

ここで一句

〜やりがいを 語るあなたに 夢中です〜